レギオンとは————
- (羅:Legiō, 英:Legion)元はラテン語で軍団のことを指す一般名詞。後世には古代ローマ軍を指す固有名詞のようにも使われている。
- (Legion)キリスト教の新約聖書に登場する悪霊。
- 平成ガメラシリーズ2作目『ガメラ2 レギオン襲来』に登場した怪獣。
- バハムートラグーンにおける最下級兵。単なるザコにとどまらない点として、物語内での捨て駒としての兵士の姿を描くことで戦争の本質を見せる側面もある。
- 仮面ライダーウィザードに登場する怪人 → レギオン(ファントム)
etc……
新約聖書
新約聖書の「マタイによる福音書」第八章終盤、「マルコによる福音書」第五章前半、「ルカによる福音書」第八章中盤それぞれに「レギオン」と名乗る悪霊を祓う記述がある(同じエピソードに関する記述のバージョン違い)。キリスト教で悪魔祓い(エクソシスト)が公認されている根拠の一つとなっている。
聖書からの要約
ガラリヤ湖のほとりにあるゲラサ人の居住地にイエス=キリストと弟子の一向が立ち寄った際に、彼らの前に墓場から悪霊に憑かれた男がとび出してくる。(中略)イエスは悪霊と対峙し、男の体から出ていくよう要求する。悪霊はイエスが神の子であることに気づいて平伏し、この地から自分を追い出さないようイエスに嘆願する。そこに豚飼いの飼う二千頭の豚がいたため、悪霊はそれに憑依させてくれるようイエスに要求し承諾を得る。
悪霊は豚の群れに取り憑いて暴走させ、断崖から突き落として死なせていずこかへと消えていった。豚の騒ぎを聞きつけた村人たちは悪霊に憑かれていた男が正気になっていることに驚く。しかし村の財産である豚を失った原因であるイエスを芳しく思わず、村から発つことを村人はイエスに要求する。旅立ちの際、悪霊に憑かれていた男がイエスに旅への同行を願い出る。しかしイエスはこれを拒否し、代わりに自分の出来事をこの地方の人々に広めてくれと頼み、その男の働きによってイエスと神の奇跡はその地方に広まっていったという。
名前の解釈
マルコ5:9 また彼に、「なんという名前か」と尋ねられると、「レギオンと言います。大ぜいなのですから」と答えた。
ルカ8:30 イエスは彼に「なんという名前か」とお尋ねになると、「レギオンと言います」と答えた。彼の中にたくさんの悪霊がはいり込んでいたからである。
以上の通り、悪霊は名前を問われて(大勢なので)レギオンである、と答えている。新約聖書が書かれた時代に当該地域はローマ帝国の支配下にあり、レギオンと言えば軍団の事を指していた。このため、この「レギオン」は悪霊軍団の意であり、固有名詞ではないとする解釈は比較的自然なところである。
新約聖書を直接のモチーフとしたもの
悪魔を題材としたゲームである悪魔城ドラキュラ及び女神転生にもレギオンは登場する。
こちらの場合、上記の軍勢という意味も加味したのか、なにかが集合したような球体として描かれている。
ガメラシリーズ
隕石によって飛来した地球外生命体。名前は上述の新約聖書内の悪霊に由来しており、映画では「マルコによる福音書」5章9節を引用している。
自らの苗床となる「レギオンプラント」(一部ではレギオンフラワーとも呼ばれていた)を中心に、母体である「マザーレギオン」と雑兵として働く「ソルジャーレギオン」による蟻や蜂のような社会を形成して活動する生命体。
このマザーレギオンと、ソルジャーレギオンは、体がケイ素化合物(シリコン)によって構成された珪素生物であり、節足動物のような外骨格をもち、運動は筋肉ではなく高圧酸素によるガス圧で行う。
これらは共生関係にあり、基本的に「レギオン」は「マザーレギオン」を指すものの、劇中ではこの共同体全てを指してレギオンと呼ぶこともある。
非常に攻撃的で獰猛な生命体。
特に、マザーレギオンとソルジャーレギオンは電磁波によって交信するが、これを阻害する電磁波を探知すると、排除すべき敵と認識して猛攻を仕掛ける性質を持つ。
そのため、シリコンの含まれた土壌の多いエリアよりも、電磁波の強い繁華街を攻撃し、繁殖地として選ぶ性質を持つ。
歴代ガメラシリーズでも最強クラスの怪獣で、ガメラをプラントの大爆発によって仮死状態に追い込み(同時に仙台を壊滅させている)、最終的にはウルティメイト・プラズマの使用にまで踏み切らせるなど、ガメラと人類を極限まで追い詰めた。
ぶっちゃけ次回作のイリスより遥かに強いです。
というかガメラ3での「ギャオス大量発生」「イリス覚醒」といった事態はウルティメイト・プラズマの使用によるマナの大量消費によって起こったとされており、滅びた後にも人類とガメラに禍根を残す凶悪ぶりをみせた怪獣である。
マザーレギオン
レギオンの女王(女王蟻・女王蜂)に当たる存在。
複数の節足動物を掛け合わせたような、キメラのような外見をしている。
また、胴体にあたる部分に常時卵を抱いている。
電磁波・マイクロ波による強力な攻撃が武器で、角を開いて放つ「マイクロ波シェル」は広範囲を一瞬で炎上させる威力を持ち、ガメラの甲羅すら容易く抉る威力を見せる。
また、頭部の周りにパラボラ上に備わった干渉波クローは、強力な電磁波を発生させ、ミサイルの誘導をジャミングしたり、ガメラのプラズマ火球に電磁波を浴びせる事で無力化することまでやってのける。
シリコンで出来たボディ自体も非常に硬く、干渉波クローなどのもろい部分を除けば、人類側の兵器ではダメージを与えられない。また、角や巨大な足による格闘攻撃は強力で、飛行するガメラを叩き落したり、ギャオスの超音波メスでも破損しなかった甲羅を抉るなど、ガメラと同等以上の格闘能力も持つ。
角を失うとマイクロ波シェルを発射できなくなるものの、その代わりとして頭部から「マイクロ波ビュート(レギオン・ビュート)」を放つ事もできる。紅く発光する無数の電磁波のムチであり、触れた物体を一瞬で焼き切る。ガメラの甲羅すらも一瞬で貫通してしまう程。
また、1時間に100匹のソルジャーレギオンを生産し指揮する能力を持つ。
目立った弱点は存在しないものの、強いて挙げれば干渉波クローなどの部分が脆い。対戦車ミサイルの炸裂程度でも千切れてしまうほどの強度しかない。作中では、ガメラを援護するために放たれた対戦車ミサイルの波状攻撃を捌ききれずに被弾・破壊されてしまった。
しかし、その隙を突いて放たれたプラズマ火球は弱った干渉波では防げなかったものの、ボディにはほとんどダメージが無かった。
マザーレギオンの卵は、レギオンプラントの種子に付着しており、他の星に落下した後に孵化する。
幼体と呼ばれる成長前の形態は、成長後と比べて小さいが羽を持ち、マッハ1で飛行可能。
ちなみに元ネタはギロン。
当初、平成ガメラシリーズ2作目の敵怪獣候補としてギロンが上がっていたのだが、「今時こんなかっ飛んだデザイン使えるか」という意見によってこれは早々に却下された。
だが、宇宙怪獣、角が主な武器、無機物によって構成された体、などの特徴の多くが元となってマザーレギオンが作られることになった。
劇中での活躍
北海道恵庭市郊外に種子と共に落下し間もなく孵化する。
ソルジャーレギオンを生産しつつ北上し、札幌を繁殖地として定め、やがてすすきので種子を発芽させる。
しかし、飛来したガメラに種子発射を阻止されると、幼体のままで地下から飛び出し逃走。
津軽海峡上空でミサイル攻撃を受け消息を絶つ。
この攻撃で死んではおらず、完全にマザーレギオンへと成長すると、仙台において種子を再び発芽させる。
再び飛来したガメラを霞野飛行場で襲撃すると、人類を庇って防戦一方のガメラを圧倒し、種子発射まで足止めをする。しかし、結果としてガメラは満身創痍ながらも済んでのところでレギオンプラントを破壊。爆発によってガメラは瀕死に追い込まれるものの、宇宙への種子発射はまたも失敗する。
これをうけて仙台からなおも南下し、とうとう首都圏を標的に定めると、栃木県足利市の山中から出現して進撃を開始する。
人類側の抵抗を押し切って進むものの、復活したガメラが飛来。
人類とガメラの共同戦線の前にソルジャーレギオンの指揮を奪われ、干渉波クローを失い頭部の角をもがれるなど、大きなダメージを負うが、マイクロ波ビュートによって再びガメラを追い詰める。
しかし最期には、ガメラのウルティメイト・プラズマの前に灰になって消し飛び死亡した。
レギオンプラント
レギオンと共生関係にある巨大植物。
ビルを突き破って開花するほどの巨大な花。
レギオンフラワーとも呼ばれる。劇中では「草体」と呼称される。
大規模な爆発を起こして、種子を宇宙空間に飛ばすという特殊な繁殖方法を持っている。
この種子発射こそが、そのままレギオンにとっての繁殖方法でもあり、マザーレギオンは発射前にこの種子に卵を植えつけておくことで、他の惑星へと繁殖していく。
また、強力な電磁波のゆがみを発生させており、草体の周囲では緑色のオーロラが出現する。
レギオンプラントは、マザーレギオンが繁殖地と定めた場所へと運ばれ、レギオン達によって管理され発芽する。また、レギオン達がシリコンを生成する上で発生する高濃度酸素によって、種子の発射力(爆発規模)を高めている。
その破壊規模は、単一の草体の爆発でも、コンピュータによる試算では6km四方が壊滅するとされた。複数の草体が同時炸裂した仙台の例では、仙台市そのものが消滅、クレーターと化す被害を出した。
完全に成長し切る前ならば焼却する事も可能(高濃度の酸素に引火する危険性はあるが、火器による破壊効果も上がる)。根っこを爆破すると、活動を停止・遅滞させることができるようで、電磁波の放射も停止する。
元ネタは、ウルトラQに登場する巨大植物ジュラン。
平成ガメラシリーズの監督である金子修介は、ウルトラQの劇場版で是非ともジュランを登場させたかったが、結局企画が没になってしまい、そのリベンジとして本作で巨大な花を登場させたという。
ソルジャーレギオン
いわゆる働きアリに相当する小型レギオン。
体は黒く、巨大な目玉を持つ。
マザーレギオンの腹部・エッグチャンバーから大量に生産され、その指揮に従う。
種子の発芽や、繁殖地の確保など、多種多様な役目を帯びて活動する。
マザーレギオンのように自在に電磁波やマイクロ波を操ることは出来ないが、ガラスなどの化合物を一瞬で分解し、シリコンを吸収する能力を持つ。
羽を持っており、大群で飛行することもある。
また、刺々しい角や足を多く持っており、非常に攻撃的。劇中では地下鉄の運転手から機動隊まで多くの人間を惨殺している。
ただし電磁波を発生させる物や、ガラス・シリコン製品等を持っていなければ。こちらから攻撃しない限りは間近にいても襲っては来ない。外骨格はそれなりに丈夫だが、関節部分等の強度は脆く拳銃弾でも十分貫通可能。前述の通りガス噴射で体を動かしているので、穴が空くとガスが抜けて動きも鈍る。
大型の敵に対しては、大群で群がって一斉に電磁波を発生させ、電子レンジのように相手を蒸し殺そうとする攻撃を行う(これは、ミツバチなどが天敵に対して行う実際の行動がモチーフとなっている)。この戦法は非常に強力で、一度はガメラを退けた上に、最終決戦でもソルジャーレギオンの群れに襲われたら、ガメラに勝ち目はないとされるほどであった。
反面、知能は低く、異常な電磁波の排除を優先するあまり度々自滅する。が、人類側の対空砲火に対して、散らばって飛行して弾幕をすり抜けようとする行動も見せた。
草体の種子発射直前には姿を消す。
劇中での活躍
恵庭市への種子落下後、種子とマザーレギオンを運び札幌へと向かう。
途中、光ファイバーケーブルやビール工場のビンをシリコンに分解して食い荒らし被害を出す。
やがて札幌の地下へ到達すると、種子の発芽とマザーレギオンの成長を促すが、その内に地下鉄へと出現。
電磁波を発生する機器を持っていた乗客や、突入してきた機動隊を敵と見なし、激しい攻撃の末多大な被害を出す。その後、草体排除に動く自衛隊とは一進一退の攻防を展開する。
自衛隊によって地下鉄構内が爆破され、さらに飛来したガメラによって草体が破壊されると、地下から大群で出現しガメラに群がってダメージを与え敗走させる。だが、このとき戦闘したソルジャーレギオンは、変電所の送電線に群がって感電し、あるいは飛行するガメラから海へと落下して、全てが死亡した。
その後、新たに生産された思われる個体群は仙台で種子を再び発芽させる。このとき、パチンコ屋のネオンに群がって感電死したのが目撃された。
最後に生産されたのは、マザーレギオンが東京へと進撃を開始した際に生み出された個体群。
これらの個体は最初から飛行しており、戦闘機部隊や高射砲部隊と交戦するが、ガメラ出現によってマザーレギオンの元へと呼び戻される。
しかし、名崎送信所からの電磁波におびき寄せられてしまい、送電線に群がったところを、人類側のロケット砲攻撃で一掃された。
ガメラとの最終決戦の最中、マザーレギオンのエッグチャンバーがガメラによって破壊されたため、以降生産されることは無くなった。
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