概要
『WIND BREAKER』の柊登馬×佐狐浩太のカップリング名。
柊登馬はボウフウリンの四天王のうち、多聞天の名を冠している。多聞天の別名は武神、毘沙門天である。
一方佐狐浩太は獅子頭連の中でも5本指に入ると獅子頭連の頭取である兎耳山丁子から言わしめている。
それぞれのチームで強さを誇る二人は、詳細は後述するが、過去に因縁のある二人である。
「悪いが 勝たせてもらうぞ」
「あの頃のオレは もういない」
「期待にこたえてやれなくて すまなかった」
柊さんに“ついて来い”って 言って欲しかったんです…
原作での描写(以下ネタバレ注意)
第8話「衝突」
ボウフウリンと獅子頭連のタイマン大会の開催が決まってタイマン勝負の相手が次々と決まっていく中、兎耳山が「関係者」と言った面子に入っていなかったにもかかわらず突然「オレも…いいですか? 柊さんと」と佐狐は柊とのタイマンを希望する。それまでまったく戦うつもりのなかった柊も、佐狐に気付いて呆然とした後「すまん梅宮…オレもやるわ」と険しい表情で告げている。
第10話「杉下京太郎vs.有馬雪成」
1ページ目の1コマ目と2コマ目でボウフウリンと獅子頭連が向かい合っているが、このとき柊と佐狐は互いに端に並んでおり睨み合っている。
また2ページ目の扉絵においても、蹴り合う二人が描かれており、二人の対比構造が窺える。
第13話「因縁」
壇上に上がった佐狐に対して「久しぶりだな」と優しく語りかける柊。「お前には悪いが…勝たせてもらうぞ」というその柊の言葉に対して、佐狐は「“悪いが勝たせてもらう”? 今でもあんたはオレのこと下に見てるんだな」「気色悪い」と一刀両断する。
憎しみを湛えた佐狐の目に、徐々に顔を険しくしていく柊。
二人の確執の深さが描かれている。
余談だが、梅宮一に「柊は…自分のことあまり話さないからなぁ…」と言われる柊と、十亀条に「相変わらず何考えてっかわかんないねぇ」と言われる佐狐。実は自分のことを人に語らない、似たもの同士なのである。
また、二人の喧嘩の構え方にも注目すると、とてもよく似た姿勢であることが分かる。
第14話「武神」
十亀によって、獅子頭連に入ったばかりの佐狐はやけくそのように喧嘩をしていたことが語られる。さらに柊自身の口から、柊が佐狐に喧嘩を教えていたということが示唆される。
「まったくあんたは進歩してないんだな」と言ったり、「あんなヤツらとつるんでるから こんなことになるんだ」と言ったり、柊が弱くなったことを指摘する佐狐。佐狐の強烈な蹴りによって柊は倒れてしまう。その姿に憤慨する桜を止める梅宮から語られるのは、柊は四天王のうち武神である毘沙門天の別名の多聞天を冠しているということ。その梅宮の言葉に応えるように柊は立ち上がる。
第15話「その背中を追って」
最初こそ成長した佐狐に翻弄される柊だったが、次第に佐狐を追い詰めていく。
佐狐の目に映る柊は、仲間達と仲良くしているだけで強くなりたい向上心に欠けている姿だったはずなのに、どうして。そう考える佐狐は、柊との出逢いを回想する。
佐狐がまだ小学生だったとき、校舎裏でいじめられていた佐狐を救ったのが柊だった。その強さに憧れた佐狐は柊に「オレに ケンカ…教えて…」と縋る。同じ中学校に進学した後も、中学校で頭を張る柊に佐狐は憧れ続けていた。
風鈴高校への進学を決めた柊に、来年自分も風鈴に進学して柊がてっぺんを取るのを手伝うと告げる佐狐。それに対して柊が放った言葉が、今に至るまで佐狐が思い詰める原因となる。
お前はついてこない方がいい
お前はお前で 新しい目標を探せ
橋を渡って向こう側へ歩いていく柊の背中を、佐狐は追うことができなかった。
その後喧嘩に明け暮れる佐狐の前に兎耳山と十亀が現れて、獅子頭連へ佐狐を勧誘する。それ以来、馴れ合いもせずに喧嘩し続けてきた佐狐にとって、人の下について人と馴れ合って過ごしている柊は、憧れの人から倒すべき対象となったのであった。
「人の下についたあんたに 負けるわけない!!」
そう言って佐狐が放った渾身の一撃は、しっかりと柊に受け止められてしまう。
「期待に応えてやれなくて すまなかった」
柊の拳は佐狐の鳩尾に炸裂し、佐狐が崩れ落ちる。そのとき佐狐が縋りついたのは柊の脚だった。
違うんです あなたが謝ることなんて何もないんです
あなたはずっとオレの目標(道しるべ)だったから…
柊さんに“ついて来い”って 言って欲しかったんです…
第16話「副頭取の実力」
足元で倒れている佐狐を見つめる柊の表情は見えない。
佐狐を舞台からおろせと十亀が獅子頭連の者達に命令すると、柊が「いい オレが下ろす」と抱え上げる。余談だがこの抱え方はファイアーマンズキャリー、または徒手搬送法と呼ばれる。
意識の無い佐狐からスカジャンを乱暴に剥ごうとする十亀の手を止める柊は、ギリギリと十亀の腕を締め付けた。表情も険しい。
梅宮の隣の席に戻ってきた柊は、おずおずと「聞かないのか?」「あいつは誰なんだとか なにかあったのかとか…」と言い出すが、梅宮に「それ話したいのか?」と尋ねられて「あ…いや…そういうわけじゃ…」と言葉を濁す。彼の語りたくない過去に、一体何があったのだろうか。詳細はこの時点では語られていない。柊が自身の過去を梅宮に話すのはいつになるだろうか。
第125話「閃光」
ボウフウリンの壊滅を目論む烽の一員である盤杖奏音と橋上で戦う梶の助太刀に現れたのは、なんと柊と、佐狐率いる獅子頭連だった。
加えて佐狐は金髪に染めていた髪を黒に染め直した姿で16話ぶりに再登場している。
ひどくやられた梶の状態を見て怒りに燃える柊は、盤杖に対して激昂する。
第126話「あなたの隣に」
125話でなぜ二人が共に現れることになったのか事情が描かれる。
早くに自分の担当場所を守り切った柊たち多聞衆3年生は、商店街へ助っ人に向かっていた。
その途中で桜遥に呼ばれて援軍として訪れていた獅子頭連と合流する。
梶と盤杖のいる橋の守りが危ないという連絡を受けて焦る柊に、兎耳山は自分が柊の代わりに商店街に向かうから柊は橋の方へ向かうように言う。それを受けて柊は多聞衆の面々に兎耳山の道案内をするように指示をするが、そうすると一人で橋に向かうことになってしまう柊を心配した兎耳山と十亀が佐狐も一緒に連れて行くよう提案する。
強引に柊の前に連れ出され、百面相を見せる佐狐。かなり葛藤しながらも、柊からの言葉も受けて、共に梶の元へ向かうことになる。
向かった先で倒れた梶を介抱する柊。それを複雑な表情で見つめる佐狐は、中学の卒業式の日のことを思い出す。
卒業式の日に久しぶりに中学に登校した佐狐に声をかけた梶は、なぜ風鈴高校に来ないのかと佐狐に訪ねた。
憎しみのこもった目で梶を睨みつけ、一年前に柊から拒絶されたことを告げる。
だが実は梶も佐狐と同じように柊から「ついてくる必要はない」と伝えられていたのだった。
それにもかかわらず「ついていきたい」という自分の考えに従って風鈴高校に行くことを決めた梶。対して、お前はついてこない方がいいという言葉に絶望し風鈴に行かないことを決めた佐狐。
ここで1コマ入るすっぱい葡萄の表現は秀逸である。
もし オレも
そちらに行くことを選んでいたら
あんなふうに
ゆっくりと目を閉じた佐狐は、先ほど柊が優しい手つきで梶の頭を撫でていた光景を瞼の裏で反芻する。(だが佐狐本人の意識が無かったため覚えていないだけで、16話で佐狐も柊から手厚い介抱を受けている)
不意に柊から声をかけられ、佐狐はハッと我に返った。盤杖は柊が相手をするからと、盤杖についてきた他の連中の相手を任された佐狐は、まだわだかまりを抱えたままで柊から目を逸らしながらもそれを了承する。
よし いくぞ
ついて来い
そう声をかけながら盤杖の元へ向かう柊の背中に、佐狐はあの日の柊の背中を重ねて見た。あの時本当に佐狐が欲しかった言葉を、数年越しに聞くことができた。今聞いたって仕方がないというのに。
……偉そうに
佐狐はそう呟いて、あの日は後を追うことができなかった柊の背中を追って一歩を踏み出した。奇しくもまた橋の上の出来事であった。
第127話「狂喜乱舞」
この回の扉絵では中学時代の柊、梶、佐狐が描かれている。まだ柊が卒業する前、柊と佐狐の確執が生まれる前の和気藹々とした様子を見ることができる。
橋の中央で盤杖と相対した柊。向こう岸にいる烽のメンバーに向かって歩みを進める佐狐は、盤杖に対して「ご愁傷さま」と声をかけながら二人の横を通り過ぎていく。
たった一人で目の前までやってきた佐狐に対し舐めた態度の烽の連中だったが、佐狐に見事な回し蹴りを入れられ戦慄く。
今のオレは 偉そうに命令されて
虫の居所が 悪いんだ
虫の居所が悪いと言う割には、口端に笑みが浮かんでいる。果たしてそれは一人で大勢を相手するという逆境に対する興奮なのか、言葉に反して柊からの「ついて来い」に喜んでいるのか。
第128話「快楽」
時は戻って、兎耳山たちと柊・佐狐が別れた後。脇目も振らずに橋へ向かう柊の背中を見つめながら佐狐はどうしていいのか戸惑っていた。そこでいきなり犬上照臣が、柊に話しかけないのかと問う。佐狐の煮え切らない態度を見て勝手に犬上は前を走る柊に向かって盤杖の強さの程度を問うた。
その時聞いた盤杖の強さを思い返し、喧騒の最中でも柊を心配そうに見つめる佐狐。やはり柊が心配なのかと佐狐に構う犬上の背後へ襲いかかった敵を飛び蹴りで退けた佐狐は、自分の気が逸れていたことを素直に認める。
だが盤杖一人に集中するために、と他でもない柊から他の連中の相手を“頼まれた”のだ。自分の役目を今一度確かめた佐狐は、犬上と共に早くこの場を治めるため気持ちを新たにする。
一方熾烈な戦いを繰り広げていた柊と盤杖。柊は目の上をぱっくりと切られ、流れる血に視界を悪くしてしまう。それを見た盤杖は流れる血を洗い流すためか「一緒に逝こう」と橋の下の川へ柊と共に身を投げる。
第129話「憤怒」
盤杖と柊を見ていた多聞衆2年の級長と副級長の3人が柊を心配して声を荒げた。その声に反応して振り向いた佐狐の目線の先にはすでに柊の姿は無く、佐狐は柊の身を案じてそちらへ向かおうとする。だが周りには未だ多数の敵。行く手を阻む敵に苛立ち眉を寄せる佐狐は更にギアを上げた様子を見せ、犬上にも「巻きでいくぞ」と声をかける。
第130話「痛みの果て」
盤杖の戦意を削ぎ戦場に戻ってきた柊の姿を見て、佐狐はほっと息を吐く。目が合った二人は「悪かったな佐狐 こんな大人数任せちまって」「……別に 引き受けたのはこっちですし むしろ終わってなくてすみませんね」「すまん……そういうつもりで言ったんじゃ……」などと絶望的にすれ違った会話を交わす。これには犬上も苦笑いである。
二人の間に流れた気まずい空気を振り払うように佐狐は飛び蹴りを決める。
柊さんは休んでてください 服でも乾かしたらどうですか!?
これは オレが柊さんに頼まれたことですから
そう言ってムキになって拳を振るう佐狐だったが、その様子を見て顔を和らげる柊。その安堵とも取れる表情は、佐狐を頼もしく思う気持ちからくるものか、それとも拗れていた佐狐との関係が少し好転したことに対するものか。
そうは言っても 人数は多いほうがいいだろ
そう言い返した柊も佐狐の横で戦闘に加わる。
もし佐狐が風鈴高校に入学していたら見られていたかもしれない二人の共闘は、長い長いすれ違いと遠回りを経て、ようやくこの橋上で叶うこととなったのだった。
単行本書き下ろしプロフィールより
柊登馬のプロフィールは単行本2巻152ページに、佐狐浩太のプロフィールは単行本3巻25ページに記載されている。
名前 | 柊登馬 | 佐狐浩太 |
---|---|---|
年齢 | 17歳(高校3年生) | 16歳(高校2年生) |
誕生日 | 12月7日 | 12月2日 |
身長 | 187cm | 172cm |
体重 | 78kg | 65kg |
血液型 | A型 | A型 |
好きなもの | 音楽(ロック) | スイーツ |
嫌いなもの | 時間を守らない奴 | ブラックコーヒー |
以上から、
- 毎年12月2日から12月6日までは二人が同い年になること
- 身長15cm差
- 体重13kg差
- 血液型が同じA型
であることがわかる。
この他、
- 佐狐が私服の時は腕時計を付けていることから、時間を守ろうとしていること
- 二人ともタイトな服装を好んでいること
- 柊はブラックコーヒー派だが、佐狐はカフェラテが好きで常にガムシロを3個追加すること
- 柊はハンカチにアイロンをかけること、佐狐は几帳面でハンカチを持ち歩くこと
などの記載からもひいさこポイントを読み取ることができる。