概要
源久也作の百合コメディコミック。
コミック百合姫Sで連載が開始し、その後百合姫Sが姉雑誌であるコミック百合姫に統合されたのを機にキャラクター増員し連載継続。
作者曰く「趣味全開の、何処に出しても恥ずかしい百合本」とのこと。
タイトルは、主人公二人の関係が「夫婦」ならぬ「婦婦」(百合ップルな為)であるため、そこから付いたもの。「私たちだけの、特別な呼び方」という事である。
傾向
百合作品(というかLGBT作品全般)で主眼をおかれる「葛藤」が一切無く、百合ップルがイチャイチャする甘々百合百合な日々がメインとなる。一応一瞬だけ三角関係に近い状況もあったが、大きなトラブルにはならずスイートな日々を描き続けていた。
男性キャラクターがモブを含めて一切いないが、世界観的には決して女性だけの世界ではない…らしい。源氏は百合ップルしか存在しない世界の漫画も描く人だが…。
キャラクター
姫藤 喜菜々(ひめふじ きなな)
通称きな。伊予弁を使う「すぅちゃんのお嫁さん」。強度の天然ボケ。甘えん坊で愛情表現がストレート。家事に専念しており、仕事をするシーンはない。
独特のセンスを有しており、恋人関係をマグロの握り寿司に例え、「トロもマグロ、同じなのに(普通のマグロより)すごいんよ。わたしはすぅちゃんと、トロになりたいんよ」と、理解しにくい例えをした。
彼女からの提案で、「お互いがお互いのお嫁さん=婦~婦(ふ~ふ)」と呼ぶように。
観光地などに設置された「顔出し看板」が好きで、撮った写真は既にアルバム50冊分貯まっている。
また、業務用スーパーを「夢の国」と呼称。肉や調味料など、業務用の大容量商品を目前にしてテンションが高くなっていた。その他にも、大きなホームセンターにも行きたがっていた。
最終回で、寿美と結婚式を挙げ、指輪交換をする。
都 寿美(みやこ すみ)
通称すぅちゃん。在宅ワーカーな「きなのお嫁さん」。クールでしっかりものに見えるが、実際はかなりポンコツ。そして強度のムッツリスケベ。
喜菜々からのちょっとした一言で、よくムッツリスイッチが入ったりする(「浴衣を寝巻にすると胸元がはだける」など)。また、喜菜々に対しては受け身になる事が多い。
喜菜々の事を心底好きで、ちょっとした事で邪推したりヤキモチを焼いたりする事もしばし。また、同棲するにあたり喜菜々から「夫婦になる」と聞いて、「夫婦という呼び方は違うと思う」という考えを口にする(夫という字が入っている事も気に入らないとも)。
和食好き。また、喜菜々とは一日の仕事が終わった後に必ずイチャイチャしており、嘉菜々にからかわれる事も多い。
喜菜々と知り合ったのは、学生の時かららしい。
サプライズでペアリングを作り、喜菜々に贈ろうとするも、隠しきれずに喜菜々に途中でばれてしまう。
最終回で、喜菜々と結婚式を挙げ、指輪交換をする。
大守 はやせ(おおもり-)
連載誌を移った際にお隣に越してきたトリマーさん。お隣百合ップルの大きい方。おっとりした関西弁で話す。異常なまでにおおらかな性格だが、一回だけ糸目が薄く開き怒りの顔になったことがある。
本人も、自身の鈍さは自覚しており、そのために小麦の直接的かつ強烈なツッコミが無いと通じないと語っている。
引っ越したその日に、喜菜々と寿美の部屋に挨拶に赴き、その際にいきなりカミングアウトした。
トリマーなだけあって、動物も好き。特に小さな動物は全般好きとの事。
おっとりしてなおかつ鈍くはあるが、小麦の悩みを聞いたり、嘉菜々の相談に乗ったりと、芯の部分ではかなりのしっかり者。
小笠原 小麦(おがさわら こむぎ)
同じくお隣に越してきた百合ップルの小さい方。小柄なことがコンプレックス。そのため、「小さい」と呼ばれたり、小動物扱いされると怒る。
照れたり怒ったりすると口より先に手が出てしまう癖があり、百合漫画らしからぬボコスカ音を繰り出す。
普段の服装はゴスロリ。また、喜菜々同様に自宅では家事全般を受け持っている。
負けず嫌いな所もあり、喜菜々と「自分の方が(恋人の事を)すごく好き」と張り合った。
一見気が強く見えるが、はやてが自分に別れを告げる夢を見るなど、気弱な一面も有する。
後に、喜菜々とは一緒に近くのスーパーで夕飯の買い物を行ってたりもする。
姫藤 嘉菜々(ひめふじ かなな)
きなのお姉ちゃん。姉妹なだけあって、喜菜々によく似た顔つきをしている。
ノンケ女子さえ一発でオトす超絶ジゴロ系。有名アパレルメーカーに勤めており、仕事は有能。しかし凄まじい女ったらしで、職場の後輩はもちろん、職場の同期、行きつけのバーの店員さん(女性)も落としている。
そのまま恋人関係になるものの、別れるのも早い(交際前と変わらずに、他の女の子を口説きまくるため)。この「女の子を口説く」癖は、幼稚園児の時からあった様子で、園の女性の先生に「およめさんになって」とお願いしていた。
しかしその分顔も広く、寿美と喜菜々の旅行先の旅館の予約や、寿美が喜菜々へのサプライズの相談なども乗ったりしている。
喜菜々の事は可愛い妹として接しているが、同時にからかってもいる。寿美には手を出していない(というか、二人が仲良すぎるため手が出せなかった)。また、喜菜々と寿美のアパートの合鍵を(勝手に作って)持っていたりする(当然、喜菜々に怒られた)。
白雪と出逢って「追いかける恋」の楽しさを知り、彼女一筋になった。
ちなみに白雪の事を喜菜々と寿美に相談したとき、はやてと小麦とも出会っており、彼女たちをそれぞれ「おっきいのちゃん」「ちっちゃいのちゃん」などと呼んでいる(当然小麦からは睨まれた)。
新の件があった後、寿美からの電話を受けた時には、白雪とホテルの一室で一緒に過ごしていた。互いに肌を重ねた後らしく、二人とも裸になっていた。
畔 白雪(ほとり しらゆき)
嘉菜々を翻弄する程の強度クール系。
とあるパン屋に勤務しており、そこで嘉菜々と出会い知り合った。嘉菜々に最初ナンパされても落とされる事無く、彼女の自信を喪失させている。
しかし、逆に嘉菜々の方からナンパではないアプローチを受け、嘉菜々が自分の事を「追いかける」ように仕向けた。
クーデレであり、実は一途。
嘉菜々が自分のために、他の女子へのアプローチを止めた事を気に病み、喜菜々に相談している。
桜瀬 新(おうせ あらた)
おにぎり屋に勤務する女性。道端でいきなり喜菜々に告白し、彼女を慌てさせた。
実は、過去に嘉菜々にナンパされた女性の一人。しかし勤務しているおにぎり屋に嘉菜々が来ず(白雪のパン屋の方に通っていた)、その分想いを募らせていた。
改めて嘉菜々に告白するも、白雪もその場に居たために三角関係に。しかし、二人の様子を見て自ら身を引く。
最終回では、喜菜々と寿美の結婚式にて。ブーケを喜菜々から受け取る。
その他
- みやちゃんとセンパイ
一巻の巻末に掲載されている短編、「ツタワルコトバ」「アナタノナマエ」に登場する百合カップル。
「みやちゃん」は、表情が乏しく言葉少なな女子高生。しかし頭の中では大好きなセンパイの事でいっぱいで、あれこれ考えている。センパイの事を名前呼びしたくとも出来ず、悩むような性格。
センパイの本名は「日奈久(ひなく)ひより」。小さく落ち着きがないが、みやちゃんが大好きで、みやちゃんの少ない言葉でも、その意図を理解できてしまう。
「ふ~ふ」と同じ世界観の作品で、喜菜々と寿美ともすれ違っている。
ひよりがみやちゃんに、「手つないで~」と甘えているところに、喜菜々と寿美がすれ違い、
喜菜々「なつかしぃねぇすぅちゃん。私らも付き合い始めたん、あの位のときやったねぇ」
寿美「今じゃ同棲だものね」
と会話。それを聞いたみやちゃんは「同棲……っ したい! センパイと同棲!」などと心の中で考えていた。