概要
小説『ニンジャスレイヤー』における用語「忍殺語」のひとつであり作法である。ニンジャがイクサにおいて絶対の礼儀として重んじる行為である。
ニンジャにとってこのアイサツ行為は神聖不可侵とされているため、どんなに邪悪な組織でもニンジャであれば例外なくアイサツを行う。たとえ相手が憎悪の対象であっても(それこそ肉親の仇であろうとも)、アイサツは欠かせない。古事記にもそう書かれている。
これから互いに殺し合う状況で「これから殺す相手へ"恨むべき名を伝え"」、また「逆に自らを殺す者へ"倒したニンジャの名を刻む"」、互いへの礼儀を尽くす姿勢がアイサツの本質であるという。故にルールを破れば相手の礼儀を無下にした=シツレイとなるわけである。
作法
- 互いに向かい合って合掌(合拳なども可だし、片手を顔の前に立てる片手礼、片方の拳を掌で覆う覆拳礼も可、なんなら手をビシッと腿に付けて正しいお辞儀をしてもよい、要は手が止まっていることを示せれば良いので好みによる。決めポーズを取る目立ちたがりも存在するが、奥ゆかしくはないもののシツレイではない、ただの変な奴である)
- 「ドーモ(ここに初対面なら「ハジメマシテ」、さらに名前を知っているなら「⚪︎⚪︎=サン」と付けると実際奥ゆかしい)。〇〇です」等と名を名乗る
- オジギ
- 2'、3'.相手もそれに同じく返す。
この後、オジギ体勢を解いた瞬間からニンジャの戦闘、すなわちイクサが始まるのだ。
ただ逆に言えばアイサツが終わった瞬間0.01秒後に攻撃を仕掛けても何も問題はない、むしろアイサツが終わったのにチンタラしてる様なサンシタはオタッシャ重点である、備えよう。
アイサツ時の態度について
- 礼儀である一方、誇示的な口上や態度を併せる、わざと大袈裟かつ丁寧にアイサツする(死地に赴く直前なのにリラックスしている様な敵はスゴイ・コワイ!ということである)ことで威圧とする、先手を取ってアイサツすることで相手への機先を制したり、逆に後攻アイサツの間を取り調整することでイクサが始まる瞬間を調節したりなど、心理戦としての側面も持っている。アイサツの時点で既にイクサは始まっているのだ。
- ただし、基本的にアイサツの後、返礼を待たず攻撃するのは「一方的なアイサツ」としてシツレイに当たるが、こちらのアイサツの後、充分にアイサツする時間を与えても相手が返してこなかったり、口上が長すぎる、関係ない話を始めたなどの場合は「キチンと間をとったのにアイサツしなかったのは相手」であるため、付き合わず攻撃を仕掛けても「一方的アイサツ」=シツレイにはあたらない(アレンジアイサツの際は"「アイサツなら定型分以上の時間は必要ない」と切って捨てても構わないところをあえて待ってくれている"という意識は忘れては行けない)、アイサツを戦略的に利用する、口上を伸ばして時間稼ぎするにしても限度というモノがある、あまり長々と口上を垂れると「アイサツを返す気が無い」と判断されてしまっても何も文句が言えなくなるのは肝に銘じておこう。
- そもそも人型ではないニンジャであってもきちんとオジギや合掌等をするし、事情があって喋れないニンジャも仲間に代行してもらったり、ショドーを使って文章でアイサツの意を伝えるなど、状況によってはある程度アイサツのやり方が変化することがある。(例えば高速スプリント中はオジギできないので省略されたり、人などの武器ではない荷物を抱えており、降ろせない場合などは合掌なども省略される)いずれにせよ、「アイサツする意思」を相手に伝えられればよいようだ。
- また、「ヘル・オー!⚪︎⚪︎です!」などの様な特殊アイサツも時たま行われるが、上述通りアイサツする意図がキチンと伝わるのであればドーモの部分は基本的にあまり重要視されないためここに個性を出す者も少なからずいる。
- ただやはり伝統は定型を重んじてこそ意味がある様で相当我が強いタイプのニンジャ(それも生半なレベルでは無いとんでもない目立ちたがり)でない限りは基本「ドーモ」を使用している
- 多対多、多対一の場合、代表者が組織名、小隊名でアイサツすることもあり、その場合他の者がアイサツしないのはシツレイ(不名誉、恥)ではない。
- さらに乱戦状態で複数陣営のニンジャがイクサに入ってしまう場合などは「ドーモ」だけでも一応アイサツとして認められる。
- 本名を名乗らなければならない決まりはないため偽名を名乗っても良いし、何らかの事情で本来の名前で呼んでほしくない場合はそう呼んで欲しい旨を伝えてもよい。
- 基本的にアイサツ中は手を止めなければならず、途中での攻撃、武器に手を伸ばす行為はシツレイとされる。ただしアイサツ前のアンブッシュ=奇襲ならば、一度だけ認められており、このアンブッシュで爆発四散するようなニンジャは「アンブッシュへの警戒心もなければ、それを防ぐ実力もないサンシタ」であり、「イクサの相手とすら認められないクソザコ」なので敬意を払う必要はないという理屈である。なおこのアンブッシュにも様々な掟が存在する。
- たった一人だけ、アイサツ中の攻撃「のみ」を得意とするニンジャ界の異端児が登場したが、本人の評価は低く、敵にも味方にも「外道」とこき下ろされる有り様であった。
- また、海外のニンジャの一人は「オーチン・プリヤートナ(ロシア語でドーモ、ハジメマシテの意味)」を使用しているが「ニンジャの掟たるアイサツはともかく、日本の礼儀作法を侮蔑している」ため、礼儀を払う気はないという意思表示として構えを解かずアイサツしており、地の文に「なんたるシツレイ!」と呆れられていた。
- そんなこの上ない態度の悪さすら上述の異端児に吐き捨てられたような「もはや言葉も出ないほどスゴイ・シツレイだ!!」ではない辺りが「アイサツという掟と礼儀にツバ吐く行いがどれほど卑劣で卑怯な行い」なのかを表している。(そもそも彼は態度こそ最悪だがアイサツ自体はキチンとしているので)
- 上記の通り省略が許されるため、ごく稀に「アンブッシュの応酬によりアイサツなしでイクサが始まり、そのままアイサツするタイミングをお互い見つけられず最後まで行って片方爆発四散してしまう」事もある。
- 「アイサツは絶対の礼儀」故に勘違いされがちだが、実は「アイサツ無しのイクサはしてはいけない」訳ではない、アイサツにアイサツを返さない、アイサツ中に攻撃するなどでアイサツを無碍にするのはシツレイだが、実はアイサツしない事自体はシツレイではないのだ。(向こうはアイサツしてないかもしれないが、自分だってしていない、お互い様な)
- しかし、そういった特殊ケースは「あまり好ましくはない」とされるのでシツレイではないにせよそうならないに越したことはない。温情に甘えるのは実際奥ゆかしくないので、どうしても、という事情がない以上はキチンと手順を踏むのが礼儀である。
- なお、あまりに絶対すぎて、アイサツしなかった、シツレイを働いたなど作法を破った際のペナルティがない。とはいえ礼儀知らずの無礼者、サンシタの行く末など碌なものではないと相場が決まっているものである。ムゴイ死に方をしたくなければ奥ゆかしくするべし。
以上のようにニンジャの間では厳格に守られ続けるアイサツの作法ではあるが、あくまでも超人たるニンジャ同士のイクサの作法であるため、モータル(一般人)相手には必要ないし実際しない。もちろん、脆弱なモータルを恫喝し畏怖させるなどの目的で、あえてアイサツをするニンジャも少なくはない。そうして挨拶されたモータルは大抵NRSを起こし「アイエエエ!ニンジャ!?ニンジャナンデ!?」と叫んで失禁してしまう。
一方で、たとえモータルからであってもアイサツしてきた場合、ニンジャは本能レベルでアイサツを返してしまう。モータルでありながらニンジャと戦う者などにはそこを突かれて手痛いダメージを負うこともある。やられたニンジャ側からしたら卑怯ではあるが、この場合はモータル相手に不覚を取られてしまったニンジャ側の恥である、ということであるようだ。
重ねるがアイサツやアンブッシュはニンジャの作法である、モータルがニンジャの作法に従ってやる義理は何もない。
余談
アイサツ時の「⚪︎⚪︎=サン」の⚪︎は基本的に固有名詞であり、組織名、小隊名など複数名を指す場合は「=」を使用せず、「⚪︎⚪︎のみなさん」「⚪︎⚪︎さん」の様になる。
そのため「ドーモ、ドラゴン・ニンジャクランのみなさん」や「ドーモ、ソウカイシックスゲイツさん」は正しいが「ドーモ、オバア=サン」は誤りである(「ドーモ、おばあさん」は正)
関連タグ
おじぎをするのだ:他作品における似て非なるもの。