概要
『イース』のアドルとフィーナのカップリング。
人間と女神という種族を越えたカップルであり、さらに戦いが終わってハッピーエンドになると思いきや別離という悲恋カップル。
フィーナはイース1のヒロインなのだが、当時はドットのチップキャラでの表示のみで、しかも台詞だけの演出で(当然顔CGもなしで、牢から出たフィーナは自力でゼピック村まで逃げた)、牢屋にいた記憶喪失の少女(女性)というだけであまり印象に残らなかったプレイヤーも多かった。エターナルで見られた、フィーナの存在を印象付ける立ち絵CGや数々の演出やイベント(助けたフィーナをゼピック村まで誘導して連れていくイベント)がまったくなかったのも一因であるが…。
ちなみに当時の関連本では、神殿の探索を終えたアドルが一人でゼピック村まで逃げたフィーナと再会したとき、「貴女が勇気を出して一人で逃げ切ってくれたから、僕は神殿の奥へ進むことができた」とフィーナの勇気を称賛するなど、フィーナが勇気を持つ心の強い少女であることを描くなどフォローはされていた。
それだけにイース2のOPにおけるリリアのシーンの印象が鮮烈だったが、エンディングではフィーナがイベントCGで登場し、さらに「お別れです」と涙を流し、それを複雑な表情で見つめるアドル…というシーンによって、人間と女神の悲恋という衝撃の展開と結末を見せつけて、大勢のファンの心をわしづかみにした。
アドフィーが公式カップルなのは、当時発売されたドラマCD『サラウンドシアター・イース』におけるアドルとフィーナのやりとりからも明らかである。尺の都合があったとはいえ、レアやリリアを除外してまでアドルとフィーナだけ(二人だけの世界)にしたのは、ゲームで描き切れなかった二人の関係を表現して伝えたい制作スタッフたちの意図があったと思われる。
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余談
オリジナル版エンディングやサラウンドシアター・イースのドラマから、アドフィーは公式カップリングなのは明らかだが、PCエンジン版が発売された以降、エターナル版発売までの長い年月、二人の関係をないがしろにされたり、不当な扱いを受けていた時期があった。
PCエンジン版の移植を手がけたハドソンスタッフたちによる暴挙(自分たちの推しを目立たせて好きな男とくっつけてやるといういわゆる贔屓)で、エンディングで「お別れです」とフィーナが涙を流すシーンがはしょられて、さらにアドルとリリアのキスシーンが追加されてしまい、アドルが「好色一代男」と揶揄されたり、アドルはフィーナではなくリリアと…?と誤解したり、困惑したり、激怒するファンが続出した。スタッフロールでアドルと踊っているのがフィーナであることから、ハドソンスタッフ内でもアドフィーを守ろうとした人はいたと思われるが…。
また、ハドソンが手掛けたイース4でも、再会したアドルに対してフィーナが「残念ですが再会を喜んでいる時間はありません」とそっけない態度をとるなど、スタッフたちの推しカプや推しキャラを目立たせる演出や展開が多々見られた。
皮肉なことにPCエンジン版は(シナリオはともかく)ゲーム的には名作であり、イースの知名度をあげた作品だった。さらに、当時発売されたイースの解説書ともいえる『イース大全書』はPCエンジン版を元にして作成されていたために、アドルとリリアのキスシーンのエンディング画面が掲載されたり、キャラクター事典では、アドルとリリアが相思相愛であることが書かれていたり、まるでアドルとリリアが恋人同士であるかのように扱われていた。フィーナに関しては、アドルとの恋愛関係についてまったく触れられていなかったばかりか、キャラクター事典でフィーナは『アドルに普通の女の子として話せてうれしかったと言い残して天界に帰っていった』と書かれている始末であった。
そういった影響か、後に発売された小説版でも、アドルとフィーナの関係はあっさりしたものになっている。
移植を行ったハドソンという会社自体、移植作品を自社色に染めて移植する傾向があったので(『白き魔女』のセガサターン版移植でもそれが顕著に見られた)仕方ないかもしれないが、この暴挙に憤ったファン(主にフィーナのファン)の怒りが、何故かリリアに向けられて彼女がヘイトを集めてしまう時期もあった。そのことによるファン同士の衝突も何度か見られた。
当時はメールやツイッターのような気軽にゲーム会社やスタッフに意見を届けるSNS環境がなかったため、リリアを誹謗中傷することで原作を冒涜したハドソンスタッフたちに怒りをぶつけていたと思われるが、リリアには何の罪もないので勘違いしないように。
現在はエターナル以降の演出強化とビジュアルのおかげで、アドルとフィーナは相思相愛であり、リリアはアドルを慕っているが妹分な存在だということは周知されているが、アドフィーには不遇の時代があったことを忘れずに、これからも応援していきたいものである。