概要
下級貴族でありながらローゼマインの側近という、難しい立場を共有する同士。
出会ったころは、ダームエルはローゼマインに仕える成人騎士、フィリーネはローゼマインと同い年の子供だった。
のちに側近同士となり、ある事件をきっかけに、フィリーネはダームエルへの恋を自覚する。
フィリーネは叶わぬ恋だろうと考えながらも、想いを糧にして努力を続けた。
ダームエルは、フィリーネの想い人をローデリヒだと誤解して動いていたが、のちにフィリーネを結婚相手と定めた。(※3)
本編の最後あたりでは「何かあった?」らしい。
出来事など
出会いはフィリーネが7歳になった冬、フィリーネの洗礼式(冬の始まりの宴)。(※1)
ローゼマインがユレーヴェで不在の二年間の子供部屋では、共にヴィルフリートとシャルロッテを手伝っていた。
フィリーネ側
入学前のフィリーネは「ローゼマインに仕えたい」という自分の言葉を笑わず真摯に返事をくれたダームエルに励まされ、実家では虐げられるようになってもめげずに、ローゼマインに捧げるお話を書き続けた。
転機となったのは、ローゼマインの側近同士となり、実家から救出された時のこと。
フィリーネと弟のコンラートが監禁されていた物置に真っ先にたどり着いたダームエルは、貴族らしからぬ格好をしていたフィリーネをさげすむことなくマントで包み隠し、励ました。フィリーネはそんなダームエルの理解ある瞳と優しさに触れ、恋を自覚した。
恋を自覚した当時のフィリーネは、『すぐにでも結婚したいダームエルが、結婚まで何年もかかる子供の自分に振り向いてくれることはないだろう』と現実的に考えていたが、それでも自分の恋をポジティブに受け止め、努力の糧とした。その想いは「顔に出ている」と言われるほどで、側近仲間には知れ渡っていたらしい。(※5)
後に、貴族院で結婚相手の話になったさいには「自分が実家を継ぐ」と語っており、『入り婿に向いている』という現実的な条件からもダームエルを意識していた。
ダームエル側
ダームエルは、救出劇のさいに、フィリーネの実父もまたフィリーネを守らない者だと気づき、憤りを見せながらも、フィリーネには笑顔を見せて励ましていた。
その後も、慣れぬ執務+フェルディナンドの無表情に涙目のフィリーネを励ましたり、貴族達の心ない視線から庇ったりと、フィリーネに親切に接していた。
だが、『フィリーネはローデリヒに気があるようだ』と勘違いしており、「中級貴族にあがれる機会は貴重だ」と助言したり、「自分には結婚相手が見つからない」とフィリーネの目の前で嘆いて見せたり、結婚相手にフィリーネはどうかというローゼマインの提案に一度は反対したりもしていた。
ローゼマインの中央移動および、孤児院の子供からも貴族を出す話が出たさいに、コンラートを貴族に戻すための手段として婚約を提案したが、断られたそうで元気をなくした。
自分をかなり低く見積もっている様子で、婚約を断られた原因も、フィリーネのその気のなさゆえだと解釈していた。(※その気はないが、別種の好感情はあると考えていたらしい)
婚約の提案が出た後
フィリーネは「ダームエルの言葉に甘えるのはダメだと思った、胸を張って隣を歩けるような女性になってから求婚したい」とローゼマインに語った。
ダームエルはローゼマインからその話を伝え聞き、半信半疑ながらも生気を取り戻して、エーレンフェストに残ってフィリーネの選択を待つ意向を示した。(※3)
フィリーネは「ハルトムートに求婚したクラリッサを参考にする」と言っていたらしいが……?(※7)
主人公の急成長の前後
フィリーネ四年生時の貴族院には特例で成人側近のダームエル達も滞在しており、3週間ほど同じ屋根の下で暮らしていた。ただし、序盤にローゼマインが失踪している。
本物のディッターのあった春には、二人で祈念式に向かうことが決まっていた。防衛戦後、予定通りに向かったと考えられる。
ローゼマインの婚約式の日、ダームエルは『フィリーネとの関係』を話題に出されて、何度か頷く、という反応を返しており、主人公は何かしらの変化を感じ取った。(※2)
本編から見て未来の話
フィリーネの卒業式では、ダームエルがエスコートをする見込みである。(※4)
余談
五部6の表紙
書籍版五部6の表紙に、二人揃って登場している。
原作者先生が「エルヴィーラ&彼女との話し合いで進む道の決まった側近を優先に、できるだけいっぱい詰め込んでください!」とお願いした結果とのこと。
この表紙のダームエルの頬は、薄く色づくように塗られている。(挿絵の先生は、平常時のキャラクターの頬には赤系の色を乗せない傾向がある。)
ちなみに、五部6には、ローゼマインの中央行きの予定が知らされたころの物語、エルヴィーラから出た婚約案(※9)や、悩むダームエルの姿、フィリーネの求婚の決意などが収録されている。
魔力感知
フィリーネは貴族院四年生終了時には魔力感知が発現しており、ダームエルの魔力を感知できている。(2022/11/10発売ふぁんぶっく7にて判明)
いつ発現したのかは不明だが、エーレンフェスト防衛戦の準備、防衛戦、祈念式の旅、ローゼマイン婚約式の時のダームエルの反応などは全て感知後である。
主人公は鈍い?
主人公は不自然なほどフィリーネの恋愛感情を見落としており、相手はローデリヒだというダームエルの話もそのまま信じたようで、フィリーネの想いを感じ取った時には混乱した。(※8)エラからフーゴへの想いを見落とした描写もあり、主人公が懸想を認めにくい範囲は自分の中だけではないのかも知れない。
年齢、歳の差
ダムフィリの年齢/学年の差は10。(ユルゲンシュミットの一年420日を単純計算で一年365日に当てはめた場合、11.5歳差)
側近仲間になり救出劇があったころは、20歳と10歳。(23歳と11.5歳)
エーレンフェスト防衛戦のころは、23歳と13歳。(26.5歳と15歳)
関連話・挿絵一覧など
それぞれの視点の話
フィリーネ視点(web版)
367『城でのお留守番』
SS10『わたくしの主はローゼマイン様です』
SS44『貴族院からの帰宅』
フィリーネ視点(書籍版)
四部3特典/短編集1『わたくしの騎士様』
四部5『城でのお留守番』
ふぁんぶっく3『主に内緒の図書館見学』
短編集1『わたくしの主はローゼマイン様です』『貴族院からの帰宅』
五部8『避難訓練通りに』
ダームエル視点(書籍版)
コミカライズ二部7『初めてのトロンベ討伐』
二部3『神殿の昼食時間』
三部5『下級貴族の護衛騎士』
本人視点を除く、関連の深い話
web版
336〜338『情報の買取りとフィリーネ』〜『コンラートを神殿へ』
357『留守番中の生活 後編』(※6)
454『別離』
560『側近達の選択』
562〜564『カルステッド宅でのお話 後編』〜『子供の魔術具 後編』
574〜575『トロンベ狩りと星結びの儀式』〜『トゥーリの成人式』
674『婚約式』
書籍版
四部3『情報の買い取りと魔力圧縮講座』〜『コンラートを神殿へ』
四部4『留守番中の生活』(※6)
四部9『出発準備』
ふぁんぶっく4『魔力感知と結婚相手の条件』
五部6『側近達の選択』『母と娘』『子供用魔術具』『トロンベ狩りと星結びの儀式』『トゥーリの成人式』
ふぁんぶっく6『貴族になるための準備』
その他、原作者による情報
原作者の活動報告やTwitterなどでは、ダームエルの鈍感さやフィリーネの努力だけでなく、卒業式でエスコート相手になること、 ダームエル側も恋心を持つこと、キスをしても困らない間柄であることなどが、示唆・想定されている。
特に、卒業式のエスコートは、本編の未来の話として決まっている可能性が高い。(※4)
主人公のダムフィリフラグ見落としコレクション
342/四部4『春を寿ぐ宴』
357/四部4『留守番中の生活』
主人公ようやく気付く
540/五部4『青色見習いの受け入れと孤児院の子供たち』
挿絵など一覧
★=カラー
ダームエル16〜18歳
二部2 | 口絵★ | 全身鎧 |
二部3 | 口絵★ | 全身鎧 |
二部3 | 騎士団の処分と今後の話 | 貴族 |
二部3 | 襲撃 | 全身鎧、騎獣 |
二部4 | 口絵★ | 平民の?服、横顔 |
二部4 | 誘拐未遂 | 平民の?服 |
三部1 | 口絵★ | 略装の鎧 |
三部2 | 口絵★ | 全身鎧 |
三部2 | プロローグ | 略装の鎧 |
三部3 | 表紙★ | 全身鎧 |
三部3 | 春の訪れとアンゲリカ | 略装の鎧 |
三部4 | 口絵★ | 宴の衣装 |
三部4 | イルクナーのブリギッテ | 略装の鎧 |
三部4 | リーズファルケの卵 | 全身鎧後頭部 |
三部4 | ダームエルの申し出 | 求婚、横顔アップ |
三部5 | ダームエルの成長 | 全身鎧 |
三部5 | 神殿の二年間 | 略装の鎧 |
三部5 | 巻末四コマ | 1人乗りレッサーバス対比 |
他 | ふぁんぶっく1 | 顔のみ |
フィリーネ7〜8歳
三部3 | 子供教室 | 貴族、アップ |
三部5 | お姉様の代わり | 貴族、横顔 |
他 | ふぁんぶっく2 | 全身 |
フィリーネ10歳〜11歳前半
他 | ふぁんぶっく2 | 全身 |
四部1 | 図書館登録 | 貴族院 |
四部2 | 図書館へ行こう | 貴族院 |
四部3 | 口絵★ | 貴族院 |
四部3 | フィリーネの家庭の事情 | マント包み |
四部4 | 巻末四コマ | 貴族? |
外伝一年 | ローデリヒ視点 | 貴族院 |
四部5 | 冬の社交界の始まり(二年生) | 文官お仕着せ、斜め後ろ |
四部6 | 口絵★ | 貴族院 |
短編集1 | 口絵★ | 貴族院 |
短編集1 | ローデリヒ視点 | 貴族院(貧しそう) |
短編集1 | 巻末四コマ | 後ろ頭など |
フィリーネ11歳後半〜12歳
四部8 | フェルディナンドの館 | 文官お仕着せ |
五部1 | ヒルシュールと加護のお話 | 貴族院 |
五部6 | 表紙★ | 文官お仕着せ |
五部6 | 子供用魔術具 | 文官お仕着せ |
フィリーネ13歳
五部9 | それぞれの武勇伝 | 文官お仕着せ |
ダームエル20歳〜
四部3 | フィリーネの家庭の事情 | 略装の鎧 |
四部4 | 魔術具のインク | 略装の鎧、手甲見やすい |
四部4 | 留守番中の生活 | 略装の鎧 |
四部4 | 巻末四コマ | 斜め後ろ |
外伝一年 | 巻末四コマ | 略装の鎧 |
四部5 | 巻末四コマ | 略装の鎧 |
四部8 | フェルディナンドの館 | 略装の鎧 |
四部8 | 巻末四コマ | 略装の鎧マントなし背中 |
四部9 | 救出 | 略装の鎧 |
四部9 | 巻末四コマ | 略装の鎧 |
五部4 | 口絵★ | 略装の鎧 |
五部4 | 西門での攻防 | 略装の鎧 |
五部5 | 巻末四コマ | 青色神官の儀式服 |
五部6 | 表紙★ | 略装の鎧 |
五部6 | 子供用魔術具 | 略装の鎧 |
五部7 | 親睦会(四年) | 青色神官の儀式服 |
短編集2 | 兵士と騎士の情報収集 | 略装の鎧 |
五部8 | 強固な守りと繋がり | 全身鎧アップ |
ふぁんぶっく7 | 椎名優先生漫画 | 全身鎧 |
ダムとフィリが両方いる絵
四部3 | フィリーネの家庭の事情 | 救出シーン |
四部8 | フェルディナンドの館 | 転位陣の実験 |
五部6 | 表紙★ | 移動予定の側近達 |
五部6 | 子供用魔術具 | コンラートの選択 |
コミカライズ初出のフィリーネの衣装
四部9話 | 騎獣服 |
※服装名には、便宜上つけた仮称を含みます。
注釈
※1 厳密には推測。洗礼式前のフィリーネがダームエルと出会っている可能性の低さを考えると、洗礼式で出会い、子供部屋で面識を得たと考えるのが自然で、主人公も「洗礼式の時から知っているフィリーネとの仲」と捉えているが、断言できる描写はないと考えられる。(2022年11月10日現在)
※2 婚約式の日にローゼマインとダームエルが面会した部屋には、側近仲間達、ジルヴェスター、ボニファティウス、彼らの側近達、エルヴィーラなど、フィリーネを知っているメンバーが多数いる。そんな中でダームエルは、フィリーネの名前つきで恋バナをふられても否定したりひどく動揺したりしなかった。フィリーネを相手と見なしていることは周知されていて、本人達の関係もある程度は落ち着いていると考えられる。
※3 ダームエル側の恋愛感情は「不明」。フィリーネは自分の片思いだと考えたが、ダームエル視点の話は主人公の2年間の眠りの時期までしかないため、フィリーネが側近仲間になった後のダームエルの感情の情報は全て『他人から見たもの』に過ぎない。(2022年11月10日現在) ローゼマインとの会話から考えるに、いつでもフィリーネからの求婚を受けられるよう相手探しは中止したはずで、「フィリーネを結婚相手に決めた」とは言える。原作者Twitterにおいては恋愛感情が示唆されている。
※4 『ハンネローレの貴族院五年生』が次回作の案の一つだったころに、ダームエル視点の『フィリーネの卒業式』というタイトルも挙げられていた。本編で「交際相手がいないせいで一人だけ貴族院に行けない」ことが強調されていたダームエルが縁談なしに貴族院に足を運ぶとは考えにくく、それでもなお特例で卒業式を見に行くと仮定するならば『主の卒業式』などのタイトルが妥当だと考えられるため。
※5 フィリーネ二年生時に貴族院に在学している女性の側近は全員知っており、その翌年にはハルトムートも「ダームエルがその気になればなんとかなると思った」などと発言している。
※6 web356『留守番中の生活 前編』あとがき「フラグ、立て! 折れるな! 頑張れ!」 357『留守番中の生活 後編』あとがき「フラグ、頑張りました」 ユーディットともフラグが立っている可能性がある。
※7 自分から求婚したいフィリーネが、どこまでクラリッサを参考にするのかは謎。ダンケルフェルガー式の求婚の一部、意中の男性を武力で押さえこむ女性の姿は印象的だが、『女性のほうから求婚する』こと自体が貴族としては珍しいため、女性から求婚できることそのものや、『求婚の課題をもらって達成する(役に立つ存在と認められてから求婚する)』ほうを重視している可能性も考えられる。
ちなみに、普通の貴族女性は、刺繍の腕を見せるなどして「求婚して欲しい」とアピールし、男性から求婚してもらう。(フィリーネは刺繍作業への参加、自身の衣服のお直しなどをしており、側近仲間から裁縫の指導も受けている。上達していく姿をダームエルも目にしていた可能性は低くない。)
※8 書籍版では加筆され、『主人公自身にはフィリーネとローデリヒの間柄に恋愛という発想はなく、ダームエルに言われたからそうなのかと思うようになった』ことが強調されている。(454話→四部9『出発準備』、540話→五部5『青色見習いと孤児院の子供達』)
※9 エルヴィーラはローゼマインが二人を手放したがらないことを理解しているため、中央に移動させることも考慮した意見を出したが、貴族の常識から見れば下級貴族が王族の側近として移動すること自体が大変な無茶であり、勧められはしないことなのであろうと考えられる。また、貴族から見れば、貴族街に家のある文官のフィリーネが城に一室を与えられていることも妬まれるような特別扱いである。そういった貴族の事情をふまえたエルヴィーラ案(エルヴィーラの考えたダムフィリグッドエンド)は、『ダームエルとフィリーネを婚約させ、フィリーネの実家の実権を取り返させてフィリーネの生活の基盤を実家に戻し、そのまま結婚させ、エーレンフェストでローゼマインの残した各業務を支える仕事を続けさせる』あたりだったのではないかと推測される。