プロフィール
誕生季 | 冬 |
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適性 | 土 |
属性 | 土→土・風 |
所属領 | エーレンフェスト→アレキサンドリア(予定) |
階級 | 下級貴族 |
役職 | ローゼマインの文官見習い、青色巫女見習い、孤児院長、エルヴィーラ付き文官見習い(兼任・予定・臨時含む) |
瞳の色/髪の色 | 若葉のような黄緑/蜂蜜色 |
CV | 石見舞菜香 |
概要
「本好きの下剋上」に登場する下級貴族の少女。ローゼマインと同学年で、貴族院にて文官見習いとして側近になる。
下級貴族の中でも貧しい家に生まれ、実母を失い苦労していたが、家で虐待まで受けるようになっていたため、主となったローゼマインが救出・介入。実弟のコンラートと共に家から離れることになった。
身分の低さや金銭面など苦労は絶えないが、主や側近仲間達の協力、本人の芯の強さなどによって、厳しい生活を乗り越えている。
コンラートが孤児として入った神殿にも馴染んでいき、灰色神官/巫女達に警戒されずに話ができる貴族の一人となる。
ダームエルに恋をして、ダームエルにとっての貴重な伴侶候補にもなるが……?
ローゼマインの中央行きの話に対する選択は、『名捧げはせず、成人までエーレンフェストで過ごし、(婚約者もしくは夫と共に)ローゼマインの元に向かう』。文官と孤児院長を兼任しつつ、自身の成人までコンラートを見守ることになった。
身分差がなければローゼマインのお友達になれたかも知れない人物。
人物
素直な努力家。優しく、心が強い。
領主一族の文官にしては素直過ぎるきらいがあるが、そこもローゼマインに必要だと考えたハルトムートは素直さには手をつけずに教育を行ったらしく、フィリーネ二年生時に紹介されたクラリッサはその素直さに驚いていた。
非常に前向きな考え方が身についており、嫌なことがあっても視点を変えて良い部分を見つけ出したり、望みの薄さに負けずに努力を続けるような力を持つ。
『ローゼマインの側近にはなれそうにないと判断していても、できることを考え努力を続ける』
『ダームエルが振り向いてくれることはなさそうだと判断していても、視界に入るための努力を続ける』
など、前向きエピソードには事欠かない。
ハルトムートを案じるオティーリエの姿から自分の母親を思い出した時も、悲しむのではなく思い出せたことを喜んでいた。
他者から見れば「厳しい」ハルトムートの指導も、フィリーネに言わせれば「とても丁寧」。
コンラートがフィリーネと離れる選択をした時も、「教えてくれてありがとう」とお礼を言った。
「そういう考え方もあるのか」(ヴィルフリート)
「フィリーネは賢いですね」(ローゼマイン)
「フィリーネの心の強さは確かに素晴らしいでしょう」(クラリッサ)
などと、周囲からも感心されている。
前向きだが楽観的ではない。「泣いたところで事態が好転しないことは嫌と言うほど知っています」などと考えていたあたりからも、苦境や諦観があったからこそ身につけたポジティブシンキングであろうことが窺える。
涙目になったり、顔をほころばせたり、ひどく緊張したりと、周囲に感情を読み取られることも多いが、感情に流されにくい部分も持っている。
ダームエルに恋をしても、『早く結婚したいダームエルに対して、成人まで何年もかかる自分は不向きだ』などと現実的にダームエル側の都合と自分の現状を比較していた。
心折れずに側近を続ける、暴力に屈せず声をあげる、魔獣の出た場所に向かうローゼマインに迷わず同行するなど、度胸もたびたび示す。
また、とても働き者である。ローゼマインの元で激務に慣れてしまったのか、仕事中毒か、「城ではやることが少ないので落ち着きません」とこぼしたことも。側近仲間になったころのミュリエラは、ローゼマインの文官の仕事量に驚き、「領地に戻ったらもっと増える」というフィリーネに引きつった笑みを見せた。
出来事など
物語登場前 貧しい貴族の子供
下級貴族の中でも貧しく立場の低い家に生まれる。
5歳の時、弟のコンラートが生まれてから季節一つほどで実母テレージアが亡くなり、フィリーネは「コンラートをお願い」と繰り返す母の声を忘れずに育って行った。
フィリーネ姉弟の養育に悩んだ実父は、金銭的な理由から、乳母を雇うのではなく身寄りをなくした親族を受け入れると決め、行き遅れと言われる年齢になっていたヨナサーラを後妻にし、その伯母のエイネイラを側仕えとして引き取った。
当初はヨナサーラもエイネイラもフィリーネ姉弟を尊重していた。
冬の子供部屋
7歳〜9歳の貴族の子が集められる冬の子供部屋で、『一番絵本に興味を持っている子』として主人公の目に留まり、亡き母がしてくれたお話を語ることになる。ローゼマインはそれを喜んで聞き、本にした。フィリーネはローゼマインが自分に母を残してくれたと感謝し、ローゼマインに仕えたいと思うようになる。
『ローゼマインの変えた子供部屋』も高く評価しており、ローゼマインがユレーヴェで眠っている間の子供部屋では、維持や統率に奮闘するヴィルフリートやシャルロッテ、ダームエル達を手伝っていた。
子供部屋に関する報告を受けたフェルディナンドが「ダームエルからもヴィルフリートからもシャルロッテからもフィリーネの名前が出てきた」と思うほど熱心に頑張っていたらしい。
実家の環境悪化
実父が、親族から反対されていたにもかかわらず後妻ヨナサーラを妊娠させ、家でのフィリーネとコンラートの扱いは日を追うごとに酷くなり、躾と称して暴力をふるわれることも珍しくなくなっていった。フィリーネ9歳の夏にヨナサーラが男児を出産してからは、エイネイラもほぼ赤子につきっきりで、実父はヨナサーラの味方をしてフィリーネを叱るばかり。フィリーネは冬に貴族院に行くまでコンラートの世話をしていた。
貴族院一年生
二年の眠りから目覚めたローゼマインは、お話を書き溜めながら待っていてくれたフィリーネに喜び、貴族院でもお話集めに協力するよう依頼。「フィリーネを側近に迎えたのか?」とざわついた子供部屋から、緊張感や視線の厳しさを知ることとなったが、それでも側近に望んだ。
貴族院に移動した後、ローゼマインの側近に召し上げられたフィリーネは、やはり苦労することとなったが、本人の芯の強さや協力的な側近仲間に支えられ、努力を続けられた。
『一発合格被害者』の1人にもなる。大変な詰め込み学習をさせられた上、いまいちな成績のまま強引に合格を取ることとなったため、教師からも心配され、合格後も特例で講義を受けることを認められた。ローデリヒも同じ理由で講義を受けており、二人で講義に向かうことも多かった。
お話集め仲間だったローデリヒが居場所をなくしていることを心配していたが、ローデリヒのほうは、側近となったフィリーネにどうしても嫉妬してしまい、自己嫌悪に陥っていた。
ハルトムートの指導を受け、情報収集や、報酬付きの写本の取りまとめ、下級貴族としての立ち回り、これという時は引かない胆力など、様々なことを叩き込まれ、一冬の間にも大きく成長した。(※1)
実家からの救出と初恋
貴族院から戻ると、実家では、家の乗っ取りを企むヨナサーラとエイネイラがコンラートをこれまでよりもひどく虐待し、貴族に必要な魔術具をも奪っていた。(※10)フィリーネ自身も金銭を奪われ、暴力を受け、コンラートと共に監禁されてしまう。
フィリーネは黙ってはおらず、エイネイラが嘘を吹き込んでいたオルドナンツに自分の悲鳴を紛れ込ませてローゼマイン達に異常を伝え、救出されたが、コンラートは貴族としての人生を失い孤児として神殿へ。フィリーネは実家ではなくローゼマインの元で暮らすことになる。
フィリーネ救出のさい、真っ先に監禁場所にたどり着いたダームエルは、服装を恥じた(※2)フィリーネを黙ってマントで包み、見下すことなどないと態度で示した。フィリーネはそんなダームエルの優しさに、恋の芽生えを感じた。
コンラートが洗礼式より前に家を出てしまったため、実家の正式な後継ぎはフィリーネになった。(※3)
一年生春 お仕事と訓練のはじまり
製紙・印刷業の文官としての仕事もはじまる。会議に出席し、エルヴィーラの指導を受け、シャルロッテと資料集めを行い、ローゼマインのハルデンツェル行きにも同行した。
貴族の森に採集に行った時は、グリュン出現という緊急事態に全く動くことができず、ダームエルによってレッサーバスに投げ込まれた。その後、文官も最低限の自衛のため騎士と共に訓練を受けることになり、ボニファティウスの怒号に硬直しながらも頑張ったらしい。
ローゼマイン式魔力圧縮法を学び、魔力圧縮もはじめた。
一年生春 神殿通いの側近生活
城に用事がなくローゼマインが神殿にいる時は神殿に通うようになり、ローゼマインと共にフェシュピールの練習、写本、フェルディナンドの執務のお手伝いなどを行なっていた。執務では、鋭い視線のフェルディナンドに何度もやり直しを命じられて涙目。慣れるまでたびたび落ち込んでいて、ダームエルやハルトムートに慰められていた。
一年生夏 密告の手紙と、伝わらない?告白
ローゼマイン達が城を留守にした日。お留守番組のフィリーネは、護衛につけられたダームエルと共に文官見習いの講義に向かい、不自然な様子のローデリヒから手紙を渡された。手紙は恋文と勘違いされたが、実際にはマティアスやローデリヒ達による密告の手紙だった。フィリーネから襲撃計画を知らされたダームエル達は迅速に対応。襲撃は未然に防がれ、ローゼマイン一行は無事だった。だが、安堵したダームエルは、「期待した恋文ではなくて残念だったな」とフィリーネを励ます。あまりの誤解ぶりに頭に血が上ったフィリーネは、名セリフ「ダームエルは、わたくしが成人するまで、恋人も、結婚も、できなければ良いのです!」を生み出した。(※4)
貴族院二年生 成長の日々
努力の日々が実を結び、算術の試験を難なくこなし、音楽の教師からも上達を褒められた。知らない人との会話にも慣れ、お話集めも順調。お古の衣装を手直しして着ているため、お裁縫の腕も上がったらしい。
領地対抗戦の準備から当日にかけても、周囲の文官見習いより迅速な動きを見せた。
ローデリヒの側近入りを応援しており、ターニスベファレンが出現した時は、非常に怖がったローデリヒを支えるため、共にレッサーバスに乗り込み現場に向かった。
二年生 春〜秋 三角関係?
側近入りしたばかりのローデリヒと共に、身分の低さで特に苦労をしそうなライゼガングにも迷わずに向かった。
神殿では、執務手伝いに慣れないローデリヒを、ダームエルと共に励ましていた。
夏、ディートリンデ来訪時のフェルディナンドの館では図書室組に入っており、ライムントの作った転移陣の使用実験を、ダームエルと共に散々やらされた。
秋に起こった聖典盗難事件では、孤児院での灰色達への聞き込みや、下町からの続報のまとめを担当した。ひどくおびえながらも成長も見せたコンラートに、姉として喜びとさみしさを感じる一幕も。また、このころフィリーネは「想い人の眼中にない」とダームエルに相談しており、ダームエルは相手がローデリヒだと思い込んだまま対応したらしい。(※6)
貴族院三年生 メスティオノーラのご加護
ご加護の儀式で英知の女神 メスティオノーラの加護を得て、風属性が増え、流れるように神に祈りを捧げた。下級貴族としては百年ほど例を見ないほどの快挙であり、加護を得る方法を特定するきっかけにもなった。
マティアスが効率的な素材採集方法を考え、レオノーレが作戦にローゼマインのシュツェーリアの盾を組み込み、フィリーネが「それならお弁当が食べられる」とひらめいて、シャルロッテが乗ったことから、悲愴になりかねなかった名捧げ組の素材採集はピクニックのようになった。
三年生春 有能文官
クラリッサがエーレンフェストに飛び込んできたため、城でクラリッサと共にレーベレヒトの下に付くことに。レーベレヒトは当初難色を示したが、仕事は難なくこなせたらしい。結果的に、粛清後の人手不足に悩む城で文官としての優秀さを広めることにもなった。
久しぶりの神殿勤めのさいには、孤児院での貴族の子の受け入れについて、灰色達に助言していた。
城での仕事とローゼマイン図書館での報告がメインでなかなか神殿に行けなかったこの時期は、『コンラートがもうじき洗礼式で他人になってしまうのに、顔を見に行くこともできなかった時期』とも言える。
三年生春 選択
ローゼマインの一年後の中央移動が内定。同時に、孤児院の子供から貴族を出す話も持ち上がり、フィリーネは自分とコンラートの行き先に迷って混乱した。その後、ダームエルの助言やコンラートの希望(※7)を取り入れて、成人までエーレンフェストに残ると決め、「ダームエルに甘えることなく、立派な女性になって自分から求婚したい」と語った。
ローゼマイン移動後はエルヴィーラの庇護下に入る予定だが、メルヒオールの側近には難しかった孤児院長職をも引き受けることになり、大変な引き継ぎ業務を開始する。
このころまでは書類仕事をメインに働いていたが、ローゼマインがヴィルフリートから「文官に調合の機会も与えたほうが良い(実技の成績が心配)」と指摘されたのをきっかけに、調合も命じられるようになった。
三年生夏〜秋 主の移動に向けて
神殿で誓いの儀式を済ませ、青の衣を賜り、貴族兼青色巫女見習いとなった。(※8)
「中央移動のさい、もしもエーレンフェストに側近を残していくなら取り込みたい」というシャルロッテ達の声を受けたローゼマインが、引き抜き対策や身分の保証として紋章入りの魔石を用意。フィリーネ達はそれを真っ先に受け取った。(コピペ魔術は、フィリーネやユーディットやダームエルの確保がきっかけで誕生したのである。)
時期は不明だが、ローゼマインから青色巫女の儀式用の衣装も譲り渡されている。
孤児院用(実質ディルク用)の回復薬の調合や、ディルクが貴族になるための指導も任されており、同じく指導を任されたダームエルと共にディルクのサポートもしていた。
貴族院四年生 まさかの主不在
採集地を回復させる儀式に、気合いを入れて挑んでいた。
四年生が始まってすぐに主人公がとんでもない留守をしたため、この時期の描写は本編にはほとんどないが、特例で3週間ほど貴族院に滞在していたダームエル達成人組とも力を合わせて非常事態を乗り切ったと考えられる。
四年生春 防衛戦と巣立つ主
ローゼマイン不在の間、祈念式に向かう準備を進めていた。
春の洗礼式、ローゼマインのエーレンフェストでの最後の儀式に、青色巫女見習いとして参加した。
エーレンフェスト防衛戦では、事前準備の魔術具の調合や、神殿の守りを担当。実際に事が始まった時は少し動揺を見せたが、周囲の助言もあってすぐに持ち直し、孤児達の避難指示と確認、ローデリヒと共同で結界の魔術具(神殿長室の守りの魔術具)の発動と、無事に役目を果たした。
防衛戦後は予定通りダームエルと二人で祈念式に向かったと思われる。
防衛戦時にローゼマインの移動が公表され、行き先が『下級貴族は孤立必至の中央』ではなくなり、ローゼマインが神殿の側仕えも連れて行くことになったため、フィリーネは大きく変わった周囲の貴族からの目に対応、神殿の人員配置の仕切り直し、もともと予定されていたエルヴィーラ配下への異動などなど、忙しく過ごしていたと考えられる。
ローゼマインの婚約式の時は、未成年のため領地を出られず、ユーディットと共にお留守番。ダームエルを「ものすごく恨みがましい目で見た」らしい。
貴族院五年生 名前は出ている
『ハンネローレの貴族院五年生』では、ローゼマインが、フィリーネ達を夕食に招く予定を語っている。
貴族院六年生
フィリーネの卒業式はダームエル視点で語られる予定らしい。(※9)
能力
下級貴族の中でも暮らし向きが下のほうで、ほぼ育児放棄されていた期間もあるため、貴族院に入学したころは教育も魔力量も不足していたと思われる。
三年生になるころには、魔力を使わない文官仕事においては上級貴族を感心させるほどに成長していた。
子供の扱い | 弟がおり、身の回りの世話もさせられていたため上手い |
心構え・斡旋業等 | ハルトムートの教育の賜物 |
製紙印刷業の知識 | ユストクスやエルヴィーラからも指導を受けた |
算術・書類さばき等 | フェルディナンドの元で伸びた |
魔術 | 主と共に学び、三年時に四年生を凌ぐ理解・応用力を示した |
音楽 | ローゼマインの元でお稽古をして伸びた |
古語 | 大量の写本などで、3歳上の上級文官に匹敵するほど伸びた |
お裁縫 | シュヴァルツ達の衣装の刺繍や、自分の服のお直しで鍛えた |
戦いの空気慣れ | 訓練で向上したが、さすがに本物のディッターには緊張した |
対人・お話集め | 城と神殿、接した人数の多さでさらに伸びた |
神への祈り | 神殿で身についたらしく、流れるように捧げる |
人を見る目 | ミュリエラとリュールラディを引き合わせたくらいある |
魔力感知
貴族院四年生修了時点で発現している。(発現時期は不明)
同時点、側近内では、ダームエル、ユーディット、ローデリヒ、グレーティア、辛うじてラウレンツを感知可能。
他の登場人物とフィリーネ
ローゼマイン
フィリーネを『物語集めの大切な同士』として認めており、主従関係にしかなれないことを不満に感じていたほど。(※12) 寝台の枕元に呼び寄せて一緒に読書したりと、物理的な距離感も近い。
ユレーヴェから目覚め、周囲との差や奇異の目に沈んでいた時に、目が合ったフィリーネが笑顔になったことで浮上する、フィリーネが口にした別視点で気分が上向くなど、フィリーネの行動で気持ちが和らいでいる描写が度々あり、派手さはないもののフィリーネの存在も心の支えの一つであることが窺える。
ユーディット
貴族院の寮では同室で、仲良し。2人一緒に会話に加わっている描写が多数あり、普段の2人の会話もはずんでいることが窺える。身分差による支障もあまりなかったらしく、フィリーネの側仕えのイズベルガも「同僚の方々も下級貴族だからと爪弾きにしない親切な方ばかりで安心いたしました」と語っていた。
イズベルガ
親族。貴族院においては主従。イズベルガはフィリーネの実母テレージアの従姉で、フィリーネの貴族院での側仕えを務めている。フィリーネの父親から側仕えを打診された時は渋々だったが、領主一族とのコネになったことで「来年も是非」とやる気を見せるように。多少の現金さはあるがフィリーネ達を心配していて、フィリーネの家に立ち寄ったさいには生活の不足やコンラートの健康状態の悪さを気にかけ指摘していた。フィリーネはヨナサーラ達に批判的なイズベルガの意見に安堵し、味方になり得る親族として繋がりを求めていた。イズベルガは貴族院での側仕えの仕事を続けつつ、ローゼマインに名捧げした側近ぶんの同じ仕事に親族を紹介したりもしている。
リヒャルダ
フィリーネの大きな相談相手。側近に選ばれた時は、下級貴族には重荷ではないかと危惧していた。支度金の前借りの相談に応じるなど初期から面倒を見ており、良い相談役になって行ったらしい。オティーリエと共に、フィリーネに回すためのお古の衣装を集めたりもしていた。リヒャルダがジルヴェスターの側近に戻った後も、近くで働いている時は、よく会話していたらしい。
ブリュンヒルデ
フィリーネとなかなか上手くやっているらしい。困りごとの相談相手として、リヒャルダ、オティーリエと並んで名前が出てくる。側近部屋に呼び出されて緊張するフィリーネを安心させたり、普段のブリュンヒルデならば使わないであろうフィリーネの言葉を真似て使うなど、側近同士になったころから歩み寄りを見せており、ローゼマインからも「上級貴族でもフィリーネを可愛がってくれている」と認識されていた。
レオノーレ
ブリュンヒルデ同様、初期からフィリーネを受け入れる姿勢だった。「顔が怖かったかしら」とフィリーネに謝るほど。
リーゼレータ
中級貴族以下という気安さもあってか、側近初年度からフィリーネやユーディットと会話をはずませていた。「仕事から離れると急にお喋りになる」と、初期にはフィリーネを驚かせてもいた。他の女性側近同様、さらに親しい仲になって行ったらしく、二年目には恋バナにも積極的に突っ込んでいた。
コルネリウス
フィリーネにも目を配っている。側近決定当時、心配していたリヒャルダに向かって「フィリーネの忠誠心を信じている」と言えるくらいフィリーネを見知っていた。一発合格でフィリーネに良くない成績が残ってしまったときは、(妹が暴走した罪滅ぼしとして)フィリーネをできるだけ守っていかなければ、と、より協力的になった。
ハルトムート
「フィリーネはそのまま素直に育てば良い。そういう存在もローゼマイン様には必要だから」と、フィリーネの価値を認めており、彼なりに大切に育てているらしい。フィリーネのほうは、自分達にも利のあることはハルトムートの厚意として受け取ったらしく、レオノーレやブリュンヒルデが別の意図を感じているようなハルトムートの行動にも素直に感謝していた。ハルトムートの聖女語りの聞き手でもあったが、ローゼマインの急成長のころになると賛美は「もう聞きました」と側近達に受け流されていたそうで、さすがのフィリーネも話に際限なく付き合うことはなくなっていたのかも知れない。
アンゲリカ
誰にも対してもアンゲリカはアンゲリカ。ローゼマインに頼まれた『他の側近とも仲良く』を守ったり、自分にはできない書類仕事をこなす者として尊重したりしていると考えられる。フィリーネが、アンゲリカの外見と中身を受け入れ「アンゲリカは変わらない」と考えていたあたりからも、他者と差のない態度が窺える。
オティーリエ
もしもハルトムートから無茶な要求をされたら教えて、と、何やらとても心配していた。リヒャルダ同様、相談役になっていたらしい。
ローデリヒ
子供部屋でお話集めをしていた同士だっだが、白の塔事件で立場をなくしたローデリヒは子供部屋でも貴族院でも孤立するように。心配そうに、自分だけ後が側近になってしまったことを後ろめたそうにしているフィリーネに対して、ローデリヒは「身分は低いくせに」などと嫉妬してしまい、自己嫌悪に陥っていた。(フィリーネがローデリヒに気を遣う姿は、ダームエルの目には、望みのある関係に見えていたらしい。)貴族院二年生時にローデリヒが側近候補になってからは、『焦るローデリヒと気にかけるフィリーネ』という構図が増え、ローデリヒがフィリーネを頼りにして行動することも。ハルトムートからクラリッサを紹介された時には、2人で逃げるように東屋から退出した。(※5)エーレンフェスト防衛戦時には、結界の魔術具に2人がかりで魔力をこめ、発動させた。
クラリッサ
仲は良いらしい。ハルトムートからフィリーネを紹介された時は、心の強さを褒めつつも、素直で優しすぎると驚いていた。その後、フィリーネの事務処理能力を知り、その点では対抗心を燃やすように。ローゼマインからも「共同研究をしていた仲良し兼ライバル」との言葉が出ている。2人の古語の習熟度は同じくらい、との情報も。(フィリーネ四年生春時点/クラリッサは三歳年上)
クラリッサがエーレンフェストに来た時には「慣れた者と一緒に」と配慮され、2人でしばらくの城勤めを命じられた。クラリッサの行った求婚の話などなど、雑談もたくさんしていたと考えられる。
ラウレンツ
フィリーネの計算能力や胆力に一目置いており、「見習って堂々としていたいものだ」と考えているらしい。また、フィリーネが見ている前でローゼマインに軽口を叩いており、フィリーネもある程度は気安い相手に入っていることが窺える。弟(になるはずだった子供)が孤児院に入った同士でもあるが、その点の細かい話はしていなかったようで、ラウレンツはベルトラムが口にした孤児の生活に驚きを見せていた。
ミュリエラ
フィリーネ三年生、ミュリエラ五年生時に同じ側近となる。フィリーネから、恋物語に熱中する同志のリュールラディを紹介され、貴族院生活の楽しみが増えた。ミュリエラが予定よりも早くエルヴィーラ付きになったため同僚であった時期は季節一つ程度だが、翌年も貴族院ではローゼマインの文官として働いており、本編の終盤ではフィリーネもエルヴィーラ付きになっている見込みで、縁は続いていると考えられる。
グレーティア
側近同士、北の離れの側仕えの居住区域で暮らしている同士。金銭的な余裕が少ない側仕え達が着付けをし合う『支度部屋』を使っていることも同じで、支度部屋から側近部屋へと一緒に動いていることも珍しくなく、身近な存在になっていたと考えられる。
マティアス
側近同士。性格的に、特に問題なく側近仲間をしていると考えられる。
フェルディナンド
フィリーネや父親の情報もある程度は持っていたと考えられる。ローゼマインがユレーヴェから目覚めたころは『ずいぶんとローゼマインを慕っているらしい下級貴族』と認識しており、ローゼマインが好意的な反応を示す姿も見ていた。フィリーネ救出のさいは、ローゼマインに立場を教える側としてやんわりと介入に反対していたが、ハルトムートが建前を作り出すと小さく笑ってそれに乗った。フィリーネの側は、仕事を手伝うようになった当初はフェルディナンドの表面的な態度に怯えており、慣れるまでひどく落ち込んでいたらしいが、やがて、神殿でのフェルディナンドとローゼマインの様子が微笑ましい物に見えるほど落ち着いたらしい。
エックハルト
フィリーネを実家から救出するさいに、フェルディナンドの護衛として同行していた。ハイデマリーと境遇が似ていると言われるフィリーネと実父の決別などを見て、全く何も感じなかったとは考えにくい。また、共に神殿で書類仕事をしており、顔を合わせる機会は少なくなかったと考えられる。
ユストクス
フィリーネ一年生時の冬の後半、トラウゴットの側仕えを建前に貴族院で働いていたさい、製紙印刷業について指導したことがある。フィリーネのほうは、目的のためなら女装までするユストクスという人物をつかみかねていた。
ライムント
すごい上司に振り回される同士。貴族院では基本的には階級の同じローデリヒと接していたようだが、フェルディナンドの館で転移陣の実験をしたりと、フィリーネやダームエルとも接点はある。魔力は中級貴族の最低限で、成長したフィリーネと釣り合う可能性がある。
シャルロッテ
直接の主従ではない中では良い関係を築いている様子。子供部屋の運営が思うように行かず落ち込んだシャルロッテをフィリーネが励ましたり、お話を書いているフィリーネにシャルロッテがわざわざ話しかけに行ったりと、子供部屋の時期から交流がある。ローゼマインが領地に帰還中の貴族院やローゼマインが神殿にいる時の城など、ローゼマインがいない場所で代わりに頑張っていることが多いので作中に出てくることはあまりないが、たびたび協力し合っており、シャルロッテの側近とフィリーネの間にも交流があることが窺える。(コミカライズ版には実際に側近とちょっとしたやりとりをしているコマもある。)また、シャルロッテは「もし側近を残して行くなら欲しい」とローゼマインに内々に打診したが、これは実質的にはフィリーネの名指しである。(※11)
ヴィルフリート
子供部屋で絵本に興味を示したフィリーネに「すごいだろう」と誇って見せていたなど、下級貴族であることを理由に線引きをしていた雰囲気はなく、同じ領地の貴族として、妹の側近として、存在を受け入れていた様子。「文官に調合の機会も与えたほうが良い(実技の成績が心配)」と、ローゼマインに指摘したこともある。ただし、存在を当たり前のように扱うことはプラスだけに作用するわけではなく、ローゼマインを通さずに命令したり、ヴィルフリートを立てて当然とする側近達がフィリーネ達から仕事を奪ったことに気付けなかったりもした。ヴィルフリートの側近には「魔力では負けない」とフィリーネと張り合っていたイグナーツがおり、悪い意味での敵視ではなさそうな様子を見せていたが、他の側近には身分重視タイプもいるため、側近全体でのフィリーネへの態度は不穏寄りの不明。(2022年11月現在)
メルヒオール
神殿貴族仲間となり、良い関係が築けているらしい。ローゼマイン移動後の神殿長と孤児院長になることが決まった時は、自分よりも神殿歴が長いフィリーネに、素直に助力を願った。頼られたフィリーネは笑顔で頷き、その後、一緒に執務をすることも楽しんでいた。メルヒオールの側近にして神官長となるカジミアールも身分差のある貴族のはずだが、フィリーネを緊張させたりせずに一緒に仕事をこなしており、防衛戦時には、動揺したフィリーネに冷静に話しかけ、すべきことに意識を向けさせた。
ジルヴェスター
フィリーネが側近に選出された時、シャルロッテに人となりを質問して「ローゼマインに忠誠心があるならば心配いらぬだろう」と安堵していた。子供の側近の頭数はきちんと把握しているようで、フィリーネを心配するローゼマインに向かって「そういえば、其方の側近が一人来ていないな」と口にしていた。フィリーネのほうは、アウブとの面接を控えたディルクとのやりとりから、孤児の言い分にもきちんと耳を傾け評価してくれるアウブだと信用している雰囲気が見て取れる。また、そもそも彼がローゼマインを養子にしていなければ今の自分もないため、感謝は常にしていると考えられる。
ボニファティウス
訓練、領主代行時の仕事などで接点があり、ローゼマインの側近として認識している。「ローゼマインの側近達が城内で働き、主の印象を上げている」という話題でフィリーネの名前も口にしており、仕事ぶりに低くない評価をしていることが窺える。フィリーネのほうは、訓練でボニファティウスの怒号に硬直していたが、それで本人を怖がったりはしていないのか、本人に対する感情や考えについては特に語られていない。(2022年11月現在)
フロレンツィア
ヴィルフリートと同い年であり、子供部屋でシャルロッテが興味を見せたことがあり、ローゼマインの側近になり、自分の側近であるレーベレヒトの下で働いたこともあるフィリーネを、認識はしていると考えられる。
レーベレヒト
一時的に上司・指導役を務めた。クラリッサとフィリーネの指導をローゼマインに頼まれた当初は軽く難色を示した。
エルヴィーラ
フィリーネの情報もかなり把握していたと考えられる。ローゼマインの母であり製紙印刷業の責任者を務める文官でもあるエルヴィーラは、ローゼマインが保護してでも得た側近かつ製紙印刷業の文官でもあるフィリーネのことも、調べ、場合によっては関与する立場だった。中央行きの話のさいは、ダームエルとフィリーネの婚約案を楽しんでいそうなそぶりも見せたが、どこまでが個人的な楽しみで、どこまでが貴族として常識的な判断なのかはっきりしない。ただ、物語の終盤にフィリーネの身柄をあずかっているため、ダームエルが恋物語のネタの座から逃げ出すことは困難であろうと考えられる。
リュールラディ
同学年の文官見習い同士。リュールラディは、エーレンフェストの順位上昇によって順位が下がったヨースブレンナーの上級貴族だが、ローゼマイン用写本バイト・ヨースブレンナーチーム(仮)の取りまとめをしており、ローゼマインの側近であるフィリーネを「フィリーネ様」と呼ぶほど尊重している。フィリーネは、恋物語の愛好家であるリュールラディの熱烈さの方向性を見抜いており、話し相手を求めていたミュリエラに引き合わせ、出会った二人の会話が盛り上がる前に場所を変えさせるという的確な対応をした。
ハンネローレ
三年生の授業のご加護の儀式のさいに会話をしており、「フィリーネという下級貴族の女の子」と、個人を認識している。王族の前で気を使ったのか、フィリーネを含むローゼマインの側近に対して「中級貴族が多いのですね」と階級をぼかすような発言をしたことも。一年生の頃から顔は合わせていたはずで、いつから認識していても不思議はない。
ディルク
フィリーネを話しかけやすい貴族と認識しており、メルヒオールの言葉が理解しきれなかった時に「あとでこっそりフィリーネ様に尋ねよう」と考えていた。フィリーネ側も、貴族になるための指導をまかされた以上に、ディルクのことを気にかけている。コンラートが洗礼式を迎えるまでは、フィリーネがコンラートに会いに行けばほぼ確実にディルクも一緒にいたため、接した回数は少なくないはずだが、フィリーネが孤児院に足をはこぶことはその時期の日常に含まれるため、接している様子の描写はあまりない。
ベルトラム
洗礼式前のベルトラムは、フィリーネ達と接点を持とうとしなかった。(わざわざ無視したり、自分から反発するようなことを言ったりはしないが、下級貴族を軽視する態度を隠しもしなかった。)洗礼式後の描写はほとんどなく、フィリーネ側の認識にも情報らしい情報はないと思われる。(2022年11月10日現在)
ダームエル
※フィリーネ視点の話の一覧、フィリーネの挿絵収録巻などもダムフィリの項目にまとめています。
注釈
※1 成長ぶりは本人も認識している。貴族院から領地に戻ってすぐの救出劇にて、「自分のハッタリは、ハルトムートの指導のたまもの」と考えていた。また、シャルロッテの文官の指導役のマーヴィンは、ハルトムートとフィリーネの働きぶりを見て「成人の文官もいないのに良くやっている」と評価していた。状況的に、ハルトムート以外の側近仲間からの助言や指導も多数あったと考えられる。
※2 貧しさゆえ、フィリーネは家では一人で着られる平民の服を着ていた。他人の手を借りずに一人で着られる服、側仕えがいらない服は、貴族女性の姿ではない、とのこと。
※3 フィリーネの家の当主は亡き母テレージア。実父は入り婿であり、代理の当主。フィリーネは成人すれば正式な当主になれる。ちなみに、実父の名前はweb版ではシッカーク、書籍版ではカッシーク。「名前が気になってストーリーが入ってこない」といった声を受けての変更で、本当はweb版も修正したいが時間がかかるのでしないとのこと。
※4 恋人と結婚は否定したが、婚約は否定していない。ダームエルとフィリーネは立場的に『試しに恋人として交際してみる』ことなどできないため、成人前のフィリーネにできることは婚約一択。とても的確な願望である。
※5 あの東家から男女二人で退出する姿が周囲に見られていたとしたら、どのように解釈されるのか。事情を理解され気にされない可能性と、噂される可能性、どちらも考えられる。
※6 聖典盗難事件の時、ローデリヒは孤児院と距離があることが明確になったが、ダームエルの目からは『コンラートを含む孤児達への距離感の違いが、上手くいかない原因』に見えた……可能性はゼロではない。本当に伏線だったなら、非常に細かく丁寧なフラグ抑制である。
※7 コンラートの望みは、青色神官になり、貴族になるディルクを支え、共に神殿の孤児達の環境を守って行くこと。貴族に戻る案は、実家には絶対に戻りたくないと強く拒否された。
※8 青色巫女見習いになったものの、コンラートの洗礼式は行き違いに終わってしまっており、見ることはできなかったと考えられる。また、収穫祭には出ていない。(この時点ではローゼマインと側仕えを共有しているため、
収穫祭に向かう人員がおらず、収穫祭の収入で側仕え達を養う必要もまだない。)
※9 『ハンネローレの貴族院五年生』が次回作の案の一つだったころに、ダームエル視点の『フィリーネの卒業式』というタイトルも挙げられていた。
※11 ユーディットも子供部屋時代に打診したことがあるくらいなので取り込みたい人材であろうが、「特に文官が欲しい」となるとフィリーネしかいない。名捧げが知られていたローデリヒはもとから対象外。ハルトムートとクラリッサはバラバラに移動できるはずがなく、上級文官の需要から考えて残して行く可能性は非常に低い。ダームエル、アンゲリカ、リーゼレータ、オティーリエは文官ではない。(シャルロッテはダームエルの文官方面の優秀さも知っているが、城と神殿を行き来するメルヒオールならともかく、シャルロッテの立ち位置では活用しにくく、下級貴族かつ異性のため、抱え込むにはデメリットが大きいと考えられる。)
※12 『わたしにとっては同士』(285話など) 『お友達になれるかと思ったフィリーネにも、平民時代を知っているダームエルにも、主従としての線を引かれ、気安い関係にはなれない。』(654話) 「フィリーネとはいいお友達になれると思う」(web版登場人物まとめ)
関連項目
やや残酷な表現を含む注釈
※10 貴族の生命線である『子供用の魔術具』だが、コンラートに用意された魔術具は、テレージアの魔石(遺体)を素材に、テレージアの残した財産を使って作られたものだった。さらに、フィリーネが使っている魔術具は、それまでテレージアが使っていたものである。貴族の通例では、子を望む妻は嫁入り時に我が子のための魔術具を用意するらしく、ヨナサーラは、魔術具の準備もないのに子を産み、我が子に自分の魔術具を譲るという選択もせず、コンラートから奪ったことになる。
ちなみに、魔術具と赤子の魔力が近くなければ魔力をうまく吸い取れないという情報、アダルジーザの離宮に生まれた男児の扱いなどから考えて、近親者の魔石が素材にされることはさほど珍しくない可能性が高い。貴族になれなかった親族の魔石では容量が足りず、魔獣などの魔石から作る場合、大勢の騎士を雇って戦わなければならないような、かなり容量の多い素材が必要とのこと。
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