曖昧さ回避
- 小説「本好きの下剋上」の登場人物。本項で解説。
- ゲーム「白猫プロジェクト」の登場人物。→魂を裁く吸血鬼ヴィルフリート
プロフィール
概要
「本好きの下剋上」に登場するエーレンフェストの領主候補生。
領主であるジルヴェスターの長男で、父親そっくりなミニジル様。
祖母ヴェローニカに育てられたため、領主一族ではひとりだけ旧ヴェローニカ派閥とみなされている。
養女となったローゼマインの義兄にあたり、第四部では婚約者となった。
人物
外見・中身共に父親そっくりなわんぱく坊主。
根は素直で正直者。騙しや姦計、腹の探り合いが苦手。
カッコ良さに拘り、弟妹には良いところを見せたい年相応な少年。
幼い頃は側近たちをよく振り回しており、護衛騎士たちを振り切って脱走し課題から逃げ出すのが常だった。ローゼマインとの初対面でも彼女を無理矢理連れ回し、顔面擦りおろし事件を起こしているが、ローゼマインの虚弱さを理解した後は彼女に対して乱暴する事はなくなった。
二度の瑕疵で自身の勉強不足と無知の恐ろしさを自覚してからは、課題から逃げ回る事も辞めた。
甘やかされて育ったため、他人からの悪意に疎く空気が読めない。湾曲的な表現で言質を取らせない貴族の社交を周囲から不安視されているが、本人は社交下手なことに自覚がない。
他者の言葉には耳を傾け、言い分を素直に受け止める美点がある。
反面、他人の言葉を鵜呑みにしがちで惑わされやすい。本来ならば諫言すべき側近たちが耳障りのいい言葉しか言わないため、情報を広く集め精査する習慣がない。
向上心が無い訳ではなく、弟妹から功績を譲られるよう筆頭側仕えのオズヴァルトに言われた際には、そんな行為は兄として次期領主として不甲斐ないと拒否をした。しかし周囲からの批判や嫌味に耐性がないため打たれ弱い。
一年生の春に父の命令でローゼマインと婚約。これにより次期領主の内定が確実となる。しかしローゼマインとは互いに婚約者としての自覚が薄く恋愛感情は欠片もなかった。当初はそれで問題なかったが、旧ヴェローニカ派の粛正によりライゼガング派閥が活発化し、自身とローゼマインとの能力の差を大勢から指摘され続けた事で、叔父と義妹の存在が大きなコンプレックスとなる。
ローゼマインもアーレンスバッハに婿入りしたフェルディナンドへの心配で手一杯となり、互いに婚約関係にあることが苦痛に感じていた。
そんな三年生の春、ローゼマインへ王族へ養女となるよう王命が下る。王命でローゼマインを奪われるなら今まで自分がしてきた苦労はなんだったのかと不満を爆発させるヴィルフリートに、ジルヴェスターは領主以外の道を提示。産まれた時から領主になれと言われ続けた彼に初めて選択肢が示され、一年の間に自分が一体何になりたいのか、どう生きたいのかを考えるよう諭される。
また、苦痛だったローゼマインとの婚約関係も白紙となり、ただの兄妹として再び関係を築きなおそうと和解した。
育ての親であるヴェローニカの事は、罪を犯したことを理解しつつも大好きな祖母として未だに慕っている。祖母への思慕をたびたび漏らしているため、これが旧ヴェローニカ派として見られる原因のひとつとなっている。
しかしこの祖母への親愛がローゼマインとフェルディナンドとの関係への理解にも繋がっており、フェルディナンドがアーレンスバッハで倒れた際には「そんなに助けたくば助けに行けばいい」と真っ先にローゼマインの背中を押した。
本編完結後のスピンオフ「ハンネローレの貴族院五年生」では、ギーベに内定した事が判明。ヴィルフリートを慕い嫁入りを希望するハンネローレに、気持ちは嬉しいがギーベとなる自分に大領地の姫が嫁ぐ訳にはいかないと断っている。
能力
下位領地ながら6属性であり、貴族院入学後は懸命に魔力圧縮に励んだため大領地の領主候補生に迫る魔力量を持つ。三年生で授かった神々の加護数は12。
体力も申し分ないため騎士と共に戦闘訓練に参加し、実戦でも戦力として充分に活躍できている。
貴族院ではあのローゼマインの暴走を可能な限り抑え&振り回されながらも、大領地の領主候補生と同レベルの成績を修めている。
基本的にローゼマインが引き起こしたことはヴィルフリートが対処していた為、シャルロッテはほのぼのとした貴族院生活が過ごす事が出来た。
父親譲りのガキ大将気質なため、周囲を引っ張り場の空気を盛り上げる事を得意とする。ローゼマインも寮内の音頭取りは彼に任せていた。企画・立案のローゼマイン、現場指揮のヴィルフリート、調整・補佐のシャルロッテと、兄妹間の役割分担は割とうまくいっている。
しかしながら幼少期の教育不足と祖母・側近たちによる甘やかし方針の影響が中々抜けず、領主候補生としては視野が狭く言葉の裏を読むのが苦手。湾曲的な悪意や嫌味に疎いため、社交が苦手と言及されるローゼマインとは違った意味で不安視される。
さらに同学年にあらゆる意味で規格外なローゼマインがいるため、何かに付けて能力を比べられやすい。
他領からの評価は「優秀だが普通の領主候補生」。
側近・派閥問題
ヴィルフリートの抱える苦労、悩みの種。
ヴェローニカに甘やかされて育ち、白の塔に幽閉されたあとも思慕の念を抱き、また側近もあらかた旧ヴェローニカ派のヴィルフリートは、ローゼマインの台頭を根拠にライゼガング系が発言権を強めているエーレンフェストにおいて、肩身の狭い立場となる。
また、旧ヴェローニカ派の側近たちが時流を読めていないこともあり、ヴィルフリート本人は無自覚なまま、周囲との軋轢が強まる。
(マイン視点となる本編ではあまり語られないが、SSや書籍版描き下ろしに顕著)
特に筆頭側仕えであったオズヴァルトは典型的な旧ヴェローニカ派であり、ヴィルフリートを立てることで将来的にヴェローニカの開放を目指す彼のスタンスは、やがてヴィルフリートに大きな影をもたらした。
最終的には更迭されたものの、それ以降も手紙などを通してヴィルフリートに意見をしており、彼の認知を歪める一端となった。
幼い頃の教育問題は改善されたものの、側近たちの思想までは改められなかったことが、ヴィルフリートの将来を大きく歪めてしまった原因の一つと言える。
ローゼマインが貴族社会で成り上がる立場であったのと対照的に、ヴィルフリートは貴族社会の厳しさ、難しさを示す役どころであった。