マネジメント
まねじめんと
マネジメント(英:Management)とは、日本語で「経営」や「運営」、「管理」などを意味する言葉である。一般的には、組織においてこれらを行うための機能(システム)や取り組みのことを指している。
組織におけるマネジメントとは、自身の管理下にある組織やそこに属する部下たちをして成果をあげるために、経営資源(人材・設備・資金・情報・時間など)を効率的に活用し、リスク管理を行い、組織が設定した目標の達成を目指すことを意味する。
組織は、その内部において複数の人間が協力し、意思疎通を図りながら多様な課題を同時に遂行するとき、マネジメントの機能や取り組みを必要とする。もしも、組織内にマネジメントの機能がなければ、組織は管理不能となり、組織内の各部分がそれぞれ勝手な規格のもとに仕事を進めるようになってしまうのである。
また、マネジメントに近しい言葉として「リーダーシップ」があるが、こちらは組織や部下を管理するための取り組みであるマネジメントとは異なり、組織や部下を目標の達成へと導くために発揮する能力のことである。
「マネジメント」という言葉は、ユダヤ系オーストリア人の経営学者であるピーター・ファーディナンド・ドラッカーが1974年に著した経営学書『マネジメント』を境に広く知れ渡るようになっており、同書は小説『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(岩崎夏海)の題材になるなど、ビジネス界以外でも話題を集めている。
加えて、近年では「○○を管理(コントロール)する」というような意味合いで、下記のように「○○マネジメント」というような語句も存在している。
- アンガーマネジメント:心に沸いたストレス(怒りの感情)をコントロールすること。
- リスクマネジメント:自身の決断や行動によって起こりうるリスクを考慮して、二手三手先を考えること。
組織において行われるマネジメントは、一般的に次の3つの役割を果たすために行われる。いずれの活動も、組織が自らの持つ特有の能力を社会において発揮するために必要となる要素である。
組織のマネジメント
組織が、自身の特有の使命とそのための能力を発揮するために、組織自身の存在理由(目的)を定義し、そこから組織が果たすべき目標や計画を策定する取り組みを指す。
社会的責任の遂行
組織が、自身が社会に及ぼす問題を処理し、同時に社会への貢献を果たすために、社会が規定する道徳を守る取り組みを指す。
組織は、社会のなかに自身が存在するために、まず初めに「我々の組織は何であるべきか」と組織自身のアイデンティティ(存在理由)を定義するところから出発する。そうして、自身が社会に果たす使命(目的)が明確になったところで、「我々の組織は何をするべきか」という具体的な目標やその実現のための計画を策定する段階に移るのである。
組織は社会を相手にして活動を展開するにあたり、「マーケティング」と「イノベーション」という二つの取り組みを行う。まず、マーケティングとは、社会が置かれている現実と彼らが必要としている欲求や価値を理解し、これを提供するという一連の活動のことである。次にイノベーションとは、社会が将来に向けて成長していくために、現在提供しているものよりもさらに上質な満足を生み出す活動のことである。
いずれの取り組みも、その実践のために製造や廃棄、流通や信用の構築といった諸々の過程を踏む必要があり、そこにマネジメントによる管理を必要とする。そのため、マネジメントは、マーケティングとイノベーションのそれぞれの活動に対して「集中すべき分野」と「社会上の地位」という二つの目標を示すのである。集中についての目標があることで、組織は自身の存在意義とそれに伴う計画、そしてその実践をひとつなぎにすることができ、社会において組織が占めるべき立ち位置を定めることで、競合するほかの組織との競争というような最適な組織活動が可能になるのである。
組織は、その活動を展開するためにさまざまな種類の資産を活用するが、そのなかでもっとも重要な資産となるのが「人」である。組織で働く人々が持つそれぞれの力を最大限に発揮し、それによってさらなる成果を追求するために、彼らが取り組んでいる仕事の環境をマネジメントする必要がある。
組織で働く人間がよりよい成果を求めるようにするために、組織は、彼らの仕事を生産性(働きがい)のあるものにする必要がある。そのための具体的な取り組みとしては、組織で働く人間に対して自己管理をする環境を与えることがその代表的なものとしてあげられる。彼ら自身に仕事に対する自主的な裁量とそれを後押しする情報(フィードバックなど)、そしてその身分の保証を与えることで、彼らの持つ強みを自発的に引き出させることが可能になるのである。
あわせて、組織は、そこで働く人間たちを成果に向けて動かすにあたり、彼らの持つ強みを総和(足し算)ではなく相乗効果(掛け算)で発揮させるとともに、彼らの弱みについてもこれを打ち消すことを求められる。そのために、組織は彼らの強みに価値を置いて適材適所の配置に努めたり、成果中心の精神による協力の動機づけを行うのである。
組織は、それ自体が社会を構成する一員であり、それゆえに自らの活動は常に組織外の人や環境、そして社会全体に影響を与えている。そのため、組織は社会への責任を果たす手立てとしてマネジメントを必要とするのである。
組織が社会に果たす最大の責任とは「自らの組織に特有の機能を果たすこと」であるが、そのほかにも組織の活動に付随する形でさまざまな責任を要求される。法令や社会の規範を守ることを要求する「コンプライアンス」や、組織が社会に与える負の影響(環境破壊や人権侵害など)を局限する「リスクマネジメント」、利害関係者に対して組織の透明性を保証する「アカウンタビリティ」などがその代表的なものであり、それらを総合した「CSR」(Corporate Social Responsibility:組織の社会的責任)を遂行することは、今日の組織における大きな関心ごとになっている。そして、これらの社会的な責任を果たすことによって、組織は社会全体と将来にわたってよりよい関係を結べるようになるのである。
マネジメントの権威として知られるドラッカーは、マネジメントを行う者に必要な唯一にして絶対の資質として「真摯さ」をあげている。同氏は、マネジメントの際に真摯さがあることによって、組織の意思決定において最善の決断を下せるのみならず、組織が持つもっとも重要な資産、すなわち組織で働く人間たちに対して、自発的な動機づけを与えることができると説いている。つまり、真摯さとは、マネジメントを単なる人事管理から真のリーダーシップへと進ませる鍵となるのである。
あわせて、同氏は、真摯さに欠ける者が組織のマネジメントを行うことについて、「組織にとってもっとも重要な資源である人間を破壊する。真摯さの欠如は許さない。決して許さない」と警鐘を鳴らしている。たとえその者がどれほど優秀だったとしても、人の弱みに目を向け、優秀な部下に脅威を感じ、人の選(え)り好みをし、現状に甘んじて変化を望まないような人間であるとすれば、その者は「組織の精神を損ない、やがて組織全体を堕落させる」であろうと説いているのである。
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