君たちが真のスーパーヒーローだ
概要
演-アントニー・スター、日本語吹替-近藤浩徳、堀内賢雄(ザ・ボーイズ:ダイアボリカル)
『ザ・ボーイズ』で登場するスーパーヒーローの1人。本名はジョン・ギルマン。
ヴォート・インターナショナル社最強ヒーローチーム「セブン」のリーダーであり、星条旗を模したマントに青いボディースーツを着た金髪の白人男性である。
常人を遥かに凌駕する怪力と頑強な肉体を持ち、空を飛び、目からレーザービームを放ち、透視ができる等、スーパーマンと酷似した特殊能力を持つ。この能力を生かした悪党の始末が主な職務である。
愛想がよく、謙虚で、誠実であり、民衆からの人望も厚く中には彼を神と崇めている者さえおり、その姿はまさにスーパーヒーローそのもの。
だが精悍な見た目と裏腹に、その本性は悪の権化と言えるほど傲慢な外道。ヴォート社の方針として人助けは会社の利益や名誉を得るための「ショー」で、本人も人気維持のためにやっているので、それに寄与しない善行はやりたがらない。自分を慕っている市民達も内心では「クソ共」と侮蔑・嫌悪しており、自分の失態の”目撃者”となった場合は口封じとして容赦なく始末するほか、最悪の場合は八つ当たり感覚で虫ケラ同然に殺す。
というか進んで悪事を働くことすらあり、作中では後述のようにやりたい放題している。
ヴォート社内など閉鎖的な空間では暴力、モラハラ、セクハラは日常茶飯事で、自分のアイデンティティを傷つけた相手はレーザーで粛清する。しかも八つ裂きにされた死体を見て笑みを浮かべる等、殺戮に楽しみを見出している節さえある。
セブンの仲間達に対してもプライベートでは暴君のごとく振る舞う。土壇場の状況ではそれなりに聞く耳を持つこともあるが、そのあまりの不安定さから周囲には一切信用されておらず、ほぼ問題児同然の扱い。
まさに狂気のヒーローだが、後述の生い立ち故にマザコンじみた一面があり、作中では副社長でマネージャーのマデリンなど特定の人物に対してまるで幼児のように愛情を求めたり、牛乳や母乳を美味しそうにゴクゴク飲んで愉悦に浸るといった変態行動を取っている。
加えて承認欲求の塊でもあり、上述の通り大衆を見下しておきながらも大衆からの称賛が欲しくてたまらないため、人気取りのためであればプライドを押し殺して大芝居を打つことも厭わない。
元はヴォートの研究所で生み出された強化人間で、子供の頃から隔離された環境で戦士となるべく育てられながらも、モルモット同然の扱いで強力な戦士を生み出すための実験台にされていたという過去を持つ。
テストで皮膚に熱線を照射されるなど虐待同然の仕打ちを受けており、また親や兄弟と呼べる存在もおらず誰からも愛情を注がれずに育ったため、他人を思いやる心や良心が著しく欠如し、しかし一方では愛情に飢えるという歪んだ人格が形成されてしまった。
ネット上で自己愛、サイコパス(後天的なので正確にはソシオパス)と呼ばれるような人間に近いと言うヒーローとして致命的な欠点を抱えており、生みの親であるジョナー・ヴォーゲルバウム博士は彼の事を「最大の失敗作」と呼んで作った事を後悔している。
もっとも彼が脆弱な精神を持ち合わせていることはある意味幸運でもある。
行動原理の根本が承認欲求であるために辛うじてコントロールが可能になっている。もしもこれが強固な正義観など持ち合わせていたら、どんな化け物が完成していたか知れない。
なお身体的に無敵と言って良い人物ではあるが、厳密には強化された人間である為どんな生き物でも存在する老いがあり、中年のよくある悩みとは無縁ではいられない。
自慢の怪力も同格の能力者3人がかりなら抑えられる等、本当の意味での「無敵」ではないため真っ向勝負で苦戦することもある。
作中での動向
- シーズン1
ヴォート社を脅してきた市長の飛行機を撃墜したり、旅客機ハイジャック事件で乗客が”失態の目撃者”となったため口封じとして皆殺しにしたり(※)、マッチポンプのためコンパウンドV(能力者を生み出す薬剤)をテロリストに横流ししたりした。
(※本人はテロリストだけ始末するつもりだったのだが、判断ミスで操縦系統も破壊してしまい旅客機が墜落不可避に。数人だけなら救出できたが、その場合「真相」を言いふらされて自分の名誉に傷が付く恐れがあるので、もう全員殺して「不幸な事故」で処理しようとした)
8年前にビリー・ブッチャーの妻でヴォート社の広報担当だったベッカ・ブッチャーをレイプして殺したとビリーから疑われ恨まれていたが、実際はベッカと不倫してただけで、しかも彼女との間にはライアンと言う子供まで生まれているがマデリンにより「異常な早産で母子いずれも死んだ」と言う偽情報による隠蔽でそれを知らずにいた。ライアンの存在を知るとひた隠しにされていた事に怒って、彼女を殺害した。そしてブッチャーを生きていたベッカとライアンの元へ連れて行った。
- シーズン2
息子のライアンを自分と同じ存在と見なして異常に執着し、彼を育てようとするも苦心する。
ある時、テロリストとの戦いで一般人を巻き込み死なせた動画が暴露されて炎上してしまう。
新たに加入してきたストームフロントと人気で対立していたが後にセックスするほどに親密になっていき、更には腐敗したヴォート社に反発したスターライトを裏切り者として拘束した。後に自分が社長エドガーがザ・ボーイズと手を組んでライアンと引き離そうとする事を知るが結局ライアンに見限られた上にクイーン・メイヴから先の旅客機の事故の真相が映っているビデオで脅された為にライアンとザ・ボーイズ、更には救出されたスターライトに手を出すことができなくなってしまう。
- シーズン3
元ナチスと言う正体が暴露されたストームフロントとの関係が原因で評判が下がった際に、スターライトとの共同リーダーと言う形となった。
だがストームフロントが自殺するとショックを受け、その後の誕生日パーティーで本音をさらけ出してしまった。だがそれが切っ掛けで人気が急上昇し始め、ますます増長、ビデオに関しても世に出せば「恐れられる存在も悪くない」として人々や地域を破壊尽くす気満々で開き直り脅迫材料の意味が無くなってしまう。
そしてニューマン議員と共にエドガーを排斥してアシュリー・バレットを傀儡としてヴォート社を乗っ取ってしまい、独裁を始めていくのだが、ある時ザ・ボーイズにより死んだと思われていた前世代のヒーローソルジャー・ボーイがロシアで発見され、ザ・ボーイズと結託した彼と戦う事になる。
だがこの騒動で自分がソルジャー・ボーイの精子から生み出されたいわばソルジャー・ボーイの息子であった事を知った。
父親であるソルジャー・ボーイをライアンを使って懐柔させようとするも決裂する事に。その後に最終的にライアンと一緒に暮らす事となり、人々にライアンの紹介をした際にライアンを侮辱した人を公然と殺害、それでも喝采を浴びていた。
- シーズン4
一度は殺人罪で起訴されるも無罪判決を言い渡され、シスター・セージを新たなヴォートの社長とする。そして彼女と共にニューマンを大統領にしようとしつつ、ライアンをブッチャーから切り離そうと企てる上に彼をスーパーヒーローホームボーイに仕立てようとする。
だがニューマンが能力者だったことを暴露、代わりに新大統領になったカルフーンと結託した。
何故悪に堕ちてしまったのか
外伝作品『ザ・ボーイズ ダイアボリカル』は若き日のホームランダーが見れる。
今作ではかつての彼は正義感あふれる善良な戦士だった。しかし、デビュー当時は彼より人気が高かったブラック・ノワールに対する焦燥感で功を焦り、犯罪者たちから人質たちを救うという最初の任務で人質に突き付けられた銃を誤って爆発させ1人の人質が死亡、人質に銃を突き付けた犯人の腕を欠損させてしまう。
その事を人質や犯人たちから責められた彼は実験されていた時期のトラウマがフラッシュバックしてしまい、咄嗟に彼らも殺してしまった。
しかしホームランダーは自身がしてしまった事を隠蔽し、事件を解決したヒーローになった。
そこから彼は世間からの人気を得るためならなんでもやるというヒーローの皮を被った悪の道に堕ちてしまった。
余談
- コミック版では、セブンの一員になったばかりのアニー・ジャニュアリーに、ある性行為を強要したのは、ディープではなくホームランダー。
- この時、「アメリカで最も尊敬されているスーパーヒーローが、こんな事をするなんて信じられない」と言ったアニーに対して「そうだ。僕こそがアメリカで最も尊敬されているスーパーヒーローだ。だが、今、僕はコミュニケーションというものの難しさに困惑している」という珍回答を返してしまう。
- ただし、これでも実はコミック版のホームランダーはドラマ版より人格的には遥かにマシである……のだが、コミック版における「ホームランダーはやった事は酷いのに人格はそれどほど酷くない」のには話の前提が引っくり返るレベルのとんでもない秘密が有り……?
- 『CoD:MWII』にてコラボバンドルが発売されており、劇中で印象的だったレーザービームが肉体破壊表現有りでとどめの一撃として実装されている(日本語版は規制)。また、担当俳優と吹替声優はドラマ版と同じである。
- 『モータルコンバット1』では毎作恒例の映画/ドラマコラボの一環で、同じくゴア表現があるアメコミ作品のキャラとして『インビンシブル』のオムニマン、『ザ・スーサイド・スクワッド』のピースメイカーと共に参戦が決定している。
- スピンオフドラマである『ジェン・ブイ』に登場するゴドルキン大学の学部長インディラ・シェティはホームランダーがシーズン1で起こした飛行機墜落事件により夫と娘を失っており、それが原因で彼女は超能力者を憎み、超能力者を抹殺するウィルスを作ってしまう。
関連イラスト
関連タグ
オルステッド…最初は善良な戦士だったが彼もまた親友や王国の人々に裏切られ続け愛を捧げると言った婚約者すらも裏切り最終的に魔王という悪に堕ちてしまった共通点がある。(ただ彼の場合は愛する人が裏切る前までは死んでしまった仲間達による助言があった為に直ぐには魔王にはならなかった)
ジオット・セヴェルス…悲惨すぎる生い立ちや家族を持っていない(彼の場合は妹や弟が殺されたか餓死して無くした)など彼と同じ哀しき悪役的側面も持っているが同時に主人公の恋人を死よりも苦しい目に遭わせるなど非人道的な事をする面も共通している。