「一緒にいてくれると、それはうれしい」
「ずっと、こうしてみたかったのですよ」
概要
ユウメルとは、メルクストーリアに登場する無気力少年ユウと、瓶詰め少女メルクのカップリングである。
『幽霊を捕まえた』……2人の出会いは数年前に遡り、"幽霊"という曰く付きで売られていた瓶詰めの水をユウの父が引き取ったことをきっかけに、メルクは7才のユウの元に辿り着く。その後ユウの父が行方不明となり、強いショックからユウが引きこもりを始めた折、ふとした拍子に彼が瓶に触れたことで、ただの水であったメルクは上半身のみヒトの形を取れるようになるが……
「おれの前からいなくならないでくれ」
「私はユウさんがいなければ、どこにも行けないのです」
───〈メインストーリー第1部 56話〉
メルクは目覚める前の記憶が無く、ユウの母の口調を真似て言葉を覚え、ユウとの会話や貰った本から知識を学び、さらには8年後、ユウと共に記憶を探す旅に出ることで、彼女は世界と自分を知っていく。一方でユウは、自らいなくなることのない存在の出現で父失踪のショックから立ち直るが、記憶を探す旅が進むにつれ、8年前にメルクと交わした「嘘をつかない」「どこにも行かない」この約束が反故にされるのではないかと懐疑心を抱き始める。
「(なんだろう、動揺してる?……メルクが自分で動きたがってることに?)」
「ユウさんには言わないでほしいのですよ」
───〈メインストーリー第1部 52話〉
世界を知るにつれ、メルクは次第にいつも誰かに運ばれている自分の現状と、自分で動きたいという気持ちのギャップに悩み始め、ユウには伝えないで欲しいと念を押しつつ、旅の仲間の1人にそれを打ち明ける。しかしユウはその様子を静かに見ており……
「お前がなんでもいい。幽霊でも、不思議な水でも。ただ、俺の……」
「ユウさん。私……」
───〈メインストーリー第1部 最終章〉
主人公コンビらしからぬ、湿っぽい関係性が人気のカップリングである。
エピソード
以下はメインストーリーとはパラレルにあたる、イベントクエストで描かれた2人の関係性が窺えるエピソードを付記する。
「ユウさん!ここは代わりに払ってあげるのですよ!」
「いいのか?あんなに指輪がほしいって言ってたのに」
───〈災厄の魔女と異才の劣等生 2話/おちこぼれのユルエ〉
道中ある少女への助け舟として、弁償金の肩代わりを申し出た2人の一幕。ユウが旅で得た報酬金は、基本的にメルクの指輪代になる模様。
「お兄さんも旅をしているのではないのですよ?旅が楽しくないのです?」
「楽しいよ、すごく。ずっと……、ずっと旅をしたかったから」
───〈時空の三女神と時を掛ける癒術士 9話/現在編その3〉
青年期のユウが正体を明かさないまま、現代のメルクとの邂逅を果たした際の一幕。青年期のユウの傍にメルクの姿は無く、この会話中に一瞬彼から笑みが失われるが、詳細は不明のままユウは現代から去っていく。
「結婚指輪に安いも高いもないのですよ!」
「ご、ごめんなさい……」
───〈郷愁の灯と不揃いな歯車たち 4話/ブランコにひとり〉
離婚の危機に瀕した男性の相談に応じる2人の一幕。メルクから男性に対する叱咤の言葉であったが、発作的にユウの口からも謝罪の弁が出たあたり、思う所があるようだ。
「俺も、大事な人の所に帰らないとな(暗転)」
「それにしても、ユウさんが目を覚ましてよかったのですよ……」
───〈奇跡の作り方と愛のロジック 14話/あいのきせき〉
意識を失ったユウが目を覚ました際のワンシーン。ユウがメルクとの関係を問われた際に答えがちな"家族のような友達"とは一線を画す、"大事な人"という珍しい形容が出た一場面。
「俺がメルクと旅に出たのは、メルクが瓶詰めだからって理由じゃなくて。旅に出ようって言ってきたのが、メルクだったからなんだよ」
───〈創世の種と根源の森樹 11話/可愛さだけでは得られない〉
"癒術士"に"瓶詰め少女"という特別な2人を羨む少年に対してユウがかけた言葉の一節。イベントクエストはメインストーリーのパラレルにあたるため、2人の旅立ちについて初めて言及されたシーンである。
「まあ……、それでユウさんのところにたどり着いたわけですし、別にもう、いくらだっていいのですが……」
───〈紫燐灰の誘惑と柔らかな足枷 5話/いなくなる人〉
かつて10ゴルドで売られた身の上を刑事にポツポツと語るメルク。金額に不満はあったものの、結果としてユウの父に引き取られ、ユウと出会えた現状に不満はない様子。
「雪の中って、真っ暗で静かですよね、きっと。そういうところに、ひとりはつらいだろうなって」
───〈氷瞼の魔女と融けゆく嘘 4話/白銀の静寂〉
吹雪ではぐれたメルクを探そうとするも、引き止められた際のユウのセリフ。周囲の嗜めやモンスターの襲撃、遭難の危険も厭わず、捜索に励もうとするユウの鬼気迫る姿が窺えたワンシーン。
「ほんとうに、優しくするのも心配するのも、ずっとは大変だよ。……予想外の、情がわく」
───〈ボトルとバケツとなんでもない話 10話/水やり〉
ユウとメルクの関係性をセルフオマージュしたイベントにて、ユウを想起させる覆面画家がメルクを想起させる瓶詰めの美女への想いを吐露した一節。ユウ同様に覆面画家もまた、瓶詰めの美女が自分の元から去ることに忌避感を覚えている様子。
「みゅーん……。じーっと窓の外を見つめていたら、ロマネバロムが通りがかったり……」
「(お話に出てくる怪人が、もし本当にいたら。メルクはその怪人に、この狭い部屋から連れ出してもらうのかな)」
───〈最果てに輝く浪漫、針巡る街の人間悲喜劇 19話/物語を始めよう!〉
引きこもりの少女を前にしたユウが思い出す、引きこもり時代の自分とメルクの回想シーン。旅を始めたきっかけは前向きなものではなかった、と彼は少女へ言葉を続けつつ、旅の良さを優しく熱弁し、背景ではメルクの立ち絵を思い浮かべている。
「究極合体!バンダナー!推参!」
「合体したのですよ!」
───〈狂宴!白翼のアイドルと冷徹なネコ銃士! 2話/脅威のラスヴォース〉
突如ロボットと化したユウと、そのコックピットにメルクオンしたメルクの名乗り。周囲の反応を置き去りにし、メルクはユウの必癒技「ユジュットパンチ」「ブラストユジュツ」「ダークネスユジュタックル」「ライトニングユジュドリル」「ウィンドユジュエコー」「ファイヤユジュジェット」を使いこなす。
余談
・瓶の中の小物について。ゲームギフト主催のアンケート企画『突撃インタビュー』にて、彼女が持つ指輪は「主人公(ユウ)さんに貰ったもの」とメルク自身が回答しており、原作では指輪の一つにまつわるエピソードが克明に描かれている。同じく瓶に収められた3点の花、2点の宝石、無骨な指輪と華奢な指輪についてはエピソードが存在しないため、推測の域を出ないが、瓶の中のアイテムは全てユウが贈ったものではないかと考えられる。
・メルクストーリア公式画集第4弾『OVW4』開発スタッフインタビューでは、メインストーリー最終章について13ページに渡って解説されており、
"旅を通じ、主人公の中で彼女の存在がとてつもなく大きくなっていたという事実に、プレイヤーもおおいに共感できる"
"旅の始まりであった「メルクの秘密」が最終章で明かされたのち、(中略)まさかの流れでメルクが主人公の手を取る。白く繊細なメルクの指と、旅の果てを思わせる主人公の荒れた肌の対比が印象深い"
"肌と肌の触れ合いと、とくに「手」の表現に、こだわりました"
……など、2人を描くにあたっての真意がスタッフ目線で綴られている。