概要
原作、野田宏。作画、若松卓宏。恋は世界征服のあとでのタッグの前作品。
やわらかスピリッツにて連載されていたグルメ?漫画。全7巻。
あらすじ
心優しい人魚姫がハマった禁断の味。
それは愛する"お友達"!!
ホラーなのかギャグなのか!? 空前絶後の読後感!!
飽和し過ぎたグルメマンガ界に突如として現れた超新星・エラ姫さまの”友食い”グルメ★
(公式より引用)
登場人物
(各キャラCVはYouTubeで公開されているミニアニメのもの)
エラ姫/餌羅姫子
CV:田所あずさ
本作の主人公。20歳。公式の煽り文は「サイコパス可愛い共食い人外っ娘」。
海の世界を支配する海王の娘であり、心優しい人魚姫。
ある日友人の鰹男(カツオ) が人間に捕獲されてしまったため、弔いのため魚料亭の「魚友」を訪れたのだが、そこでは沢山のお友達が調理済みという残酷な光景が…!
哀しみながらも「カツオのたたき」を注文し、それに手を合わせて帰ろうとした時、客から「食べられないと釣られた魚も浮かばれない」と言われる。
弔いの気持ちを証明するためしょうがなく友人の遺体……もとい魚料理を食べたのだが、これが物凄く美味しくて病みつきになってしまう。
涙を流しながらも「ごめんね鰹男。良いお味です―!!」とのたまうエラ。
これを皮切りに、仲間が人間に捕獲されてしまうたび、弔いと称して魚料理を堪能しまくっていくことになる。
普段の行動、立ち居振る舞いは基本的に海の仲間への思いやりに満ちており、海に生きとし生けるものを「お友達」と本心から思っている。その性格から海の仲間たちからも深い親愛を向けられている。
しかし、公式から「サイコパス」呼びされるように
「仲間の死を悼み、友食いに忌避感や罪悪感を感じつつも、それはそれとして食欲には抗えないし魚料理は心から堪能できる(してしまう)」
という、まごうことなきホンモノ。
そうした心の闇は、それに気づいてしまったキャラを例外なく震え上がらせる。
恋愛面では、人間に釣られてしまった幼馴染の鮪郎(マグロ)をずっと一途に思い続けるなど、純真な一面もある。
なお、当然ごめんねごはん済みである。
また、見た目こそ人間に似ているが、エラの自認は作中通して「海の生き物(魚)」寄りである。
地上に出向くのはあくまで魚料理をたべるためで、出会った人間達には社交辞令程度の反応で、あまり興味を示さない。
そのため作中の人間キャラとは「それなりには親しい顔見知り」以上の関係にはならず、話が進むにつれ人間界パートでは主人公というより「TPOを一切無視して背景でいつも魚料理を食べているオチ要因」と化していき、人間界パートの大団円シーンではひとりだけ蚊帳の外、という扱いをうけた。
主人公なのに。
(一応弁護しておくと)エラ目線からすると人間は「お友達を釣りあげて食べてしまう相手」であり、事実エラの友人や想い魚もその犠牲となっている。
それを考えると好意を持たないのはむしろ当然で、敵意や悪意を抱かないだけ育ちが良い、と言えるかもしれない。
…もっとも、当のエラ自身も魚料理に舌鼓を打っているのであるが
晴海 良
目つきの鋭い、メガネの青年。
海辺の町にある魚料理屋「魚友」の息子。高校生時代は漫画家志望で絵の実力もあったが、現在はやる気のない釣り好きの無職。
地上に出た際、一時記憶喪失になったエラを助けたのがきっかけで、その後も何かと面倒を見る。
ぶっきらぼうで冷めているが、根は面倒見のいい人物。
……という明らかにラブコメが始まりそうな展開だが、残念ながらエラは鮪郎を思い続けている上、地上に来ている目的は一貫して「弔いと称して魚料理を食べる事」のみである為、関係性は恋愛どころか「それなりに喋る顔見知り」以上に発展しなかった。
漫画家の夢を諦めたのは高校時代の暇田とのすれ違いによるものだったが、後に無事解決。
ふたたびコンビを組み、最終話では連載を持つプロの漫画家となった。
サンゴ
CV:仲田ありさ
本作の、事実上のメインヒロイン。エラ姫の友人である人魚。
実年齢は同じく20歳だが、小柄なスレンダー体型と金髪ツインテールのせいでエラより幼く見える。
若輩ながら「人間界研究局」の局長を務めている秀才で、白衣がトレードマーク。
色々と苦労しているためか、ジト目の表情をしていることが多い。なお、苦労の原因は大抵エラ。
人間界研究局、という部局ゆえにある程度は人間世界に詳しいが、すべて伝聞。
そのため当初は地上を世紀末的な場所と思い込んでおり、非常に怖がっていた。
しかしエラを追ってやむなく地上に出た際、ピンチになったところを暇田に助けられて一目ぼれ。
彼に会うため積極的に地上に赴くようになり、親しくなっていく。
最終的に暇田からのプロポーズを受けて、これを承諾。
人間界パートは、彼女と暇田の結婚式で大団円を迎えた。
なお本作の人魚は、恋愛・結婚相手として人類・魚類を特に区別していない様子。
たとえば主人公であるエラの場合は、想いをかける幼馴染も、結婚相手としてお見合いする対象もすべて魚類だったりするが、一方でサンゴのように人間相手のケースも「住む世界が違う」的な理由で忌避されるだけで、種族の壁的な話はあまり問題にならないようである。
暇田先輩
晴海の先輩。フルネームは暇田大地。
インテリヤクザ風の色男で、エキセントリックな言動が多い。
繁華街をうろついていたエラを怪しげな仕事に引き込もうとす
るが、実は思わせぶりなだけで実態はただのメイドバーの店長。
所謂三枚目キャラだが、その一方で人助けのために荒事にも躊躇なく割って入ったり大切な人の為に自らの夢を諦めようとするなど誠実な好漢。
高校時代には物書きを志しており、晴海の絵に惚れ込んで説得し原作・暇田、作画・晴海でマンガを投稿したこともあったが、
編集者から「絵は良いが原作がマニアックすぎる」とコンビ解消・晴海の単独デビューを打診される。
晴海の負担になるまいと黙って身を引いたことから喧嘩別れしてしまい、お互いに筆を折る結果になった上に現在も残るわだかまりとなってしまった。
ヤンキーに絡まれている所を助けた結果サンゴと知り合い、徐々に距離を縮めていく。
彼女のことを思うがあまりから回ってしまうことも何度かあったが、最終的にはサンゴが人魚であることも受け入れ結婚。
サンゴとの出会いや「好きなことをやっている暇田が好き」という後押しもあり、晴海とマンガを書きたいという想いをサンゴとの結婚式において吐露。
再度のコンビ結成となり、人間界パートのエピローグでは無事、ふたりでプロの漫画家となっている。
亜利紗
晴海の幼馴染。黒ギャル風の子。
昔から晴海の事が好きだが素直になれず、そんな彼の傍に現れた謎の美女(エラ)のことが気になってしまう。
……というところからラブコメ的三角関係に発展するのが普通の漫画だが、
本作はエラと晴海の関係が「知り合い」から一切微動だにしなかったため、彼女の心配は杞憂に終わった。
海王
エラの父親。
見た目は二十代でも通じそうなハンサム。
一人娘の事が心配でしょうがない、過保護気味のパパ。
エラの母
海王の後妻で、エラの育ての母(エラの実母は彼女の妹であり、血縁上は伯母)。
いわゆる「日本の人魚」デザインであり、表情その他が一切動かない。
言葉も「ゴボボ」しか発しないが、家族や魚たちとは意思疎通ができている。
ホラーな見た目とは裏腹に、義理の娘であるエラを心から慈しむ良き母親。
海の仲間たち
デフォルメされたデザインで描かれる魚介類たち。
毎回さまざまな人間……もとい魚類ドラマを展開する。
そんな魚たちの「ちょっとイイ話」「ちょっと切ない話」等々が、最後に人間に釣られてぶち壊しになった挙句、エラ姫にごめんねごはんされてしまうのがこの漫画の基本パターンである。
ミニアニメ
コミックの絵を使ったCVつきミニアニメがあり、YouTubeで見る事ができる