概要
かつては、勲等であるならば宝冠章>瑞宝章となる形で、違う勲等なら勲等が上位の方が上となる形で(例えば、勲一等宝冠章>勲一等瑞宝章>勲二等宝冠章)運用されていたが、2003年を最後に授与対象者が分離される形で、宝冠章(および旭日章)と瑞宝章は同格扱いとなった。
同年の制度改革以前以後を問わず、女性のみに限定して叙勲される勲章である。
制度改革以前は、旭日章相当の功績の女性であるならば、同格の宝冠章が授与された。そのため民間人や政治家にも多数の宝冠章授与者がいた。
しかし制度改革以降は、皇族女性に対するものと、外国人、それも外国の王族に対する儀礼叙勲以外では用いられなくなっている。これは、旭日章が男女問わず叙勲されるねようになったため。同じ外国人叙勲でも、民間人や政治家はやはり旭日章が授与される。
また、同年を最後に勲等が廃止されている(各等級毎の勲章自体はそのままで、単一等級になったわけではない)。この時まで宝冠章・瑞宝章は勲等以外に各等級個別の名称を持たなかったが、これを機に旭日章と同じく、各等級ごとに個別の名称が用いられるようになった。瑞宝は旭日と同じものを使用するようになったが、宝冠は大綬章以外独自名称を用いることに特徴がある。
名称の由来、および意匠はかつて女性天皇に用いられた冠(宝冠)に由来する。章の中央には宝冠を象った刻が施され、中央の楕円部の中に刻まれている。また、この勲章は周囲に真珠がはめ込まれた装飾も施され、意匠に定評のある日本の勲章の中でも一際豪華絢爛なイメージを持つ(実際、製造費は最高額である)。
正章の上部には、宮廷に仕えていた女官の装束の紋様をモチーフとした鈕(章と綬の間にある金具)が施され、各等級ごとの名称の由来となっている。
副章は大綬章のみ持つ。五角形の星型のものであり、通常胸部に佩用して使用する。この副章にもなんと208個もの真珠がはめこまれており、非常に豪華なものである。
また、かつては八等級存在し、勲七等・勲八等にあたる勲章は鈕が無かった。しかし、同年の制度改革で勲章は六等級までとされた。
なお、宝冠章のうち、皇后・内親王・皇太子妃・親王妃は宝冠大綬章が、女王・王妃は宝冠牡丹章が叙される。外国王族に対してもこれに準じて叙勲がなされる(女王は菊花章頸飾・女性王太子は菊花大綬章が授与される)が、実は宝冠白蝶章以下の勲章は運用された実績が無い。
世界的には騎士団勲章としての性格を持つ。
この場合の事実上の団長格は不明(授与対象の最高位に位置するのは皇后)。天皇は男性であることや、より上位の大勲位菊花章頸飾・同大綬章及び桐花大綬章を帯びているため、保有しない。
旭日章の種類と各ランク
名称 | 旧等級・名称 | 主な叙勲対象 |
---|---|---|
宝冠大綬章 | 勲一等宝冠章 | 皇后・内親王・皇太子妃・親王妃、外国王妃、公妃、太子妃など |
宝冠牡丹章 | 勲二等宝冠章 | 女王(皇族)・王妃(皇族)、外国の王女 |
宝冠白蝶章 | 勲三等宝冠章 | 不明 |
宝冠藤花章 | 勲三等宝冠章 | 不明 |
宝冠杏葉章 | 勲五等宝冠章 | 不明 |
宝冠波光章 | 勲六等宝冠章 | 不明 |
(なし) | 勲七等宝冠章 | 廃止 |
(なし) | 勲八等宝冠章 | 廃止 |