概要
瑞宝章は日本の勲章の一つで、かつては旭日章のすぐ下位に設定された。
同じ勲等であるならば旭日章>瑞宝章となる形で、違う勲等なら勲等が上位の方が上となる形で(例えば、勲一等旭日大綬章>勲一等瑞宝章>勲二等旭日重光章)運用されていたが、2003年を最後に授与対象者が分離される形で、旭日章と瑞宝章は同格扱いとなった。
同年の制度改革前から男女を問わず叙勲された。最高位の勲一等瑞宝章(旧)に対して「瑞一」の略称が使用され、「瑞一企業」と言えば経営トップが勲一等瑞宝章を叙勲される企業、すなわち民間企業トップクラスの企業を暗に指す言葉として用いられた。
また、文化・芸能分野での最高位勲章としても知られた。歌舞伎役者の六代目中村歌右衛門は、既に文化勲章を叙勲されており(文化勲章は勲一等に準ずるとされ、旧制度化では勲一等瑞宝章>文化勲章>勲二等旭日重光章)、それ故に晩年に叙勲された際同章が叙勲されている。以後、制度改革後も芸能人に大綬章を授与された例が未だない(扇千景は桐花章を叙勲されたが、これは政治家・参議院議長としてである)ため、「瑞一」は未だに芸能分野における史上最高章である。
菊花章を授与された者には、同気勲章として瑞宝章と桐花章が共に叙されるという制度が存在したが、現在は廃止されているとされる。
しかし制度改革以降は、「国家または公共に対し功労があり、公務等に長年従事し、成績を挙げた者」に授与されるようになった。叙勲の性格上、公共事業に於いて功労のあった者(農業団体や民生委員など)を除けば、殆ど公務員のための勲章になったと言われる。
また、同年を最後に勲等が廃止されている(各等級毎の勲章自体はそのままで、単一等級になったわけではない)。この時まで宝冠章・瑞宝章は勲等以外に各等級個別の名称を持たなかったが、これを機に旭日章と同じく、各等級ごとに個別の名称が用いられるようになった(瑞宝は旭日と同じ、宝冠は独自名称)。
宇摩志麻遅命が神武天皇に奉った「瑞宝」に基づき、名称や意匠が決められたとされている。章の中央部に鏡(銅鏡)を象ったと考えられる円部及び周囲の八方角状の星型に赤の連珠が配置、更に四方(大綬章・重光章のみ八方)に光線をモチーフにした意匠が伸びる。鈕(章と綬の間にある金具)の桐葉は栄典改正後に取り付けられた。
副章は大綬章・重光章のみ持ち、通常胸部に佩用して使用する。
また、かつては八等級存在し、勲七等・勲八等にあたる勲章は光線にあたる意匠が無かった。しかし、同年の制度改革で勲章は六等級までとされ、元来勲七・勲八相当の勲章の授与相当の功績の人たちの叙勲は単光章(旧勲六等)に引き上げられたため、同章は廃止された。
世界的には騎士団勲章としての性格を持つ。
この場合の事実上の団長格は天皇であるが、現在今上天皇は大勲位菊花章頸飾・同大綬章及び桐花大綬章を帯びているため、瑞宝章は佩用しない(明仁上皇の代までは同気勲章として瑞宝章を共に佩用している姿が見受けられるが、今上帝が保有しているかは不明)。
瑞宝章の種類と各ランク
名称 | 旧等級・名称 | 主な叙勲対象 |
---|---|---|
瑞宝大綬章 | 勲一等瑞宝章 | 事務次官、旧帝大総長、大国の特命全権大使、侍従長、統合幕僚長など |
瑞宝重光章 | 勲二等瑞宝章 | 省庁外局のトップクラス(文化庁長官など)、国立大学学長、高等裁判所長官、 |
瑞宝中綬章 | 勲三等瑞宝章 | 公共団体の長、公立大学学長、特命全権大使等 |
瑞宝小綬章 | 勲四等瑞宝章 | 公立中・高等学校の校長、一等書記官クラスの外交官、裁判所判事、警察や自衛隊の幹部等 |
瑞宝双光章 | 勲五等瑞宝章 | 公立小中学校の校長、事務官、公社以前の郵便局長など |
旭日単光章 | 勲六等瑞宝章 | 公共団体の従事者、民生委員、保護司、消防団団長、技官、インフラ調査等に功績あった企業の職員等 |
(なし) | 勲七等瑞宝章 | 廃止 |
(なし) | 勲八等瑞宝章 | 廃止 |