概要
心臓が正常な血流を生み出せていない状態のこと。
大きく分けて心室細動、無脈性心室頻拍、無脈性電気活動、心静止の4つに分けられる。一般の印象と異なり心臓が本当に停止しているのは4つ目の心静止のみであり、他は心臓が活動しているものの血流が生み出せていない状態である。
心室細動
心臓は多数の心筋によって成り立っており、この心筋たちが順序良く収縮することで心室全体が収縮し、秩序だった血流が生まれる。
心筋の収縮順序が崩壊、心室全体としてはぶるぶると震えることしかできず、血流を生み出せなくなっているのが心室細動である。
心筋細胞はブドウ糖と酸素を取り込んでアデノシン三リン酸(ATP)を生成し、これをエネルギー源としている。
血流が生み出せていないにもかかわらず心室が震え続けてしまうと、ブドウ糖と酸素の供給がないままATPを消費し続けることとなるため、やがてATPを使い果たして心静止に陥ってしまう。
これを防ぐために早急な除細動が必要である。
無脈性心室頻拍
順序は崩壊していないものの、スパンが早すぎて十分な収縮、拡張が行えず血流が生み出せていない状態。やがて心室細動に移行する。
除細動が必要。
無脈性電気活動
心電図は動いており心室細動、頻拍の兆候もないが、何故か脈拍が生まれていない状態。
血液量の不足や低酸素による心筋のエネルギー不足、心臓が物理的に締め付けられている(心タンポナーデ)ことによる血流阻害など様々な原因が考えうる。
除細動は不要。胸骨圧迫を開始する。
心静止
心臓が完全に止まっており有意な電気活動も見られない状態。
ぶっちゃけほぼ手詰まりだが、ワンチャンあるかもしれないのでとりあえず胸骨圧迫はしておく。