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概要編集

江戸川乱歩が、新潮社より刊行されていた雑誌「日の出」昭和十二年九月号から十三年十月号まで連載した推理小説。

児童文学用に表現をマイルドにしたバージョンも存在しており、そちらは「呪いの指紋」に改題されている。


物語は所謂復讐劇であり、三重螺旋の指紋をシンボルとする復讐者と、標的となった実業家に事件の解決を依頼された法医学者の攻防を中心に展開していく。


あらすじ編集

法医学者である宗像隆一郎博士の助手・木島が三重螺旋の指紋がついた靴箆と白紙の封書を残し何者かに毒殺された。木島助手は、製糖会社取締役川手庄太郎の依頼を受けた宗像の指示により、調査を行っていた。


川手はここ一か月余り身に覚えのない脅迫に晒され、警視庁に助けを求めたが一向に相手にされず、やむなく民間の探偵を雇うことにした。しかし、名探偵と名高い明智小五郎は海外出張中で日本に居なかった為、明智と並び称される名探偵・宗像博士に事件の解決を依頼したのである。


木島の死を知った警察はようやく重い腰を上げたものの時すでに遅く、川手の次女・雪子が殺され死体は衛生展覧会の蝋人形(「呪いの指紋」では菊人形)にされ、衆目に晒された。

木島の無念を晴らすべく宗像ともう一人の助手・小池は警察と共に川手の警護に当たるが、そんな彼らをあざ笑うように犯人は川手の長女・妙子を拉致。

その後、妙子の死体はお化け屋敷の中にある施設の中で発見され、犯人らしき妖しい人影を追った小池は射殺されてしまった。


警察と宗像を手玉に取った犯人はいよいよ本命である川手の命を狙う。果たして宗像は川手を守り、二人の助手の敵を討つことができるのか・・・・?


登場人物編集

  • 宗像隆一郎

物語の主人公で、丸の内に研究室を構え犯罪事件の研究と探偵業に従事する法医学者。

警察も手こずる難事件を次々解決し、研究所開設から僅か数年で名探偵明智小五郎に匹敵する名声を得ている。

明智小五郎の海外出張中に実業家の川手庄太郎から脅迫事件の解決を依頼されるが、三重螺旋の指紋をシンボルとする犯人に悉く裏をかかれ、予想だにしない苦戦を強いられる。


  • 川手庄太郎

一か月余りの間、身に覚えのない脅迫を受け続けている実業家。幼少の頃に父親を亡くし、無一文から現在の地位を築き上げた立志伝中の人。一年前に妻を亡くし、二人の娘と親子水入らずで暮らしていたが、娘と自分を殺すという予告を受け警察に相談するが相手にされず、当初は明智小五郎に事件の解決を依頼しようとした。折あしく明智は朝鮮に渡った後だった為もう一人の名探偵宗方に助けを求めたがその甲斐もなく娘達は惨殺されてしまう。

生きる望みを亡くし、娘達の無念を晴らしたい一心で田舎の一軒家に身を隠すと言う宗方の策に望みをかけるが・・・・。


  • 中村係長

「三十渦巻事件」の捜査を担当する警視庁の刑事。明智小五郎とは過去の事件を通じて友人関係にあり、帰国した明智にある事を依頼される。


  • 明智小五郎

ご存じ名探偵。事件が発生した時は朝鮮へ出張中だったが、物語の終盤に帰国。中村の捜査メモを読み、一連の事件の裏に名状しがたい違和感を覚える。

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