概要
正確なタイトルは「未来忍者 慶雲機忍外伝」。
1988年12月2日、ポニーキャニオンより発売されたオリジナルビデオ映画。
1988年、ナムコが販売したアーケードゲーム「未来忍者」の外伝作品であり、サイボーグ忍者『機忍』を率いる黒鷺軍機甲師団と、それに対抗する諏訪部軍、及び諏訪部軍に協力する黒鷺軍からの抜け忍「白怒火」の戦いを描く。
雨宮慶太による初監督作品であり、その内容は「スターウォーズにインスパイアされた」ものとのこと。
『東京国際ファンタスティック映画祭』出品作であり、通常の劇場にはかからず、VHSビデオリリースされた。後にLDも発売。
2003年には、DVDもバンダイより発売されている。
当時はSF映画が西洋文化の王道だったため、ビジュアルやディテールなどが和風にまとめられていた本作は斬新であった。その個性的な世界観は、現在もファンは多い。
内容
戦国時代の日本を思わせる、異世界。
黒鷺軍は、機械の忍者・機忍の軍団を率い、周辺諸国を侵略していた。
それに対抗する諏訪部軍は、三年前の合戦において、家中随一の剣豪・飛勇鶴が行方不明になってから、劣勢に。
そこで、黒鷺の本陣中央にある居城『奇械ヶ城』を、直接破壊する作戦が立てられた。砲撃するための巨大な機動砲が開発・設置され、その狙いを定めていた。
しかし、陣中見舞いに来ていた諏訪部軍のサキ姫が黒鷺軍に捕らわれてしまい、しかも機動砲の砲弾開発工場も破壊されてしまった。
奇械ヶ城の天守閣では、黒鷺軍を率いる妖術師・雷鳴法師がサキ姫を捕え、総大将「黒鷺敷波」復活の生贄にする儀式の準備が行われていた。
諏訪部軍の家老・梶原は、傭兵・赤城にサキ姫救出の依頼を受け、飛勇鶴の弟・次郎丸たちを引き連れて黒鷺軍の領地内へと侵入する。
飛行艇・気門を奪い奇械ヶ城へ潜入を試みるも、その発着場に至る洞窟内にて、機忍たちの攻撃を受けて窮地に陥る赤城ら一行。
しかし、超人的な戦闘力を有する機忍がそこに現れ、窮地を救った。
彼の名は、不怒火。黒鷺の抜け忍だった。
登場人物
諏訪部軍
- 白怒火(しらぬい): 演:横山誠(声:伊藤聡)
黒鷺軍の機忍。何らかの理由で黒鷺より脱走し、抜け忍となる。超人的な強さを誇り、通常の機忍程度では歯牙にかけないほど。
そのエネルギー源は、胸部に収められた仏像。ここから発せられる「気」のエネルギーを用いて稼働する。
また、腕には「経絡」を模した装置があり、それに気を送り込む事で、多少の破損を修復する事が可能(ツボを指圧して、気の流れを良くする事で回復する)。
- サキ姫: 演:森下恵理(現・Nobori Eri)
黒鷺軍に抵抗する諏訪部軍を率いる姫君。気高く男勝りの性格。
- 赤城(あかぎ): 演:河井半兵衛
諏訪部に雇われた傭兵で、凄腕の機忍ハンター。黒鷺軍に捕らえられたサキ姫救出に向かう。豪放磊落な性格で、人間でない機忍が人の世を支配する事を良く思っていないため、諏訪部に雇われている。
冒頭で、抜け忍になった不怒火が下忍を斬り捨てた直後に彼と遭遇している。また、その際に倒された下忍たちを、自分が倒した事にして報酬を上乗せしてもらおうとする、ちゃっかりした一面も有する。
- 次郎丸(じろうまる): 演:井田弘樹(現・井田國彦)
諏訪部の若き剣士。兄・飛勇鶴の形見の十字剣を手に赤城に同行する。実力は兄には劣るが、その熱い心意気を赤城に認められた。当初は不怒火を快く思っていなかったが、その正体を最後に悟る。
- 梶原三太夫(かじわら さんだゆう): 演:牧冬吉
サキ姫の忠臣である家老。黒鷺軍の居城・奇械ヶ城を、機動砲で砲撃し破壊する計画を進めた。
- 飛勇鶴(ひゆうかく): 演:伊藤聡
諏訪部一の剣士。序盤の、3年前の戦いで行方不明となった。
黒鷺軍
- 黒鷺敷波(くろさぎ しきなみ): 演:江森正明
黒鷺軍の総大将。その正体は異世界より黒鷺軍を指揮する精神体。雷鳴法師の儀式を以て、サキ姫を生贄に現世へ出現を目論んでいた。劇中ではその姿は、簾型のモニタースクリーンに映るのみ。
- 橡伎(しょうき): 演:吉田瑞穂(声:三田弘明)
機忍軍団の侍大将。機忍ではあるが、生体要素の無い完全なロボット。白怒火をライバル視しており、抜け忍となった不怒火をなぜ討たせてくれないのかと不満を漏らしていた。その顔面を変形させ、相手の機忍からエネルギーを吸い取る能力を有する。また、長身から繰り出す剣技も優れており、不怒火や赤城らを苦戦させた。
- 雷鳴法師(らいめいほうし): 演:山本昌平
黒鷺敷波に仕える怪僧で、黒鷺軍の指揮官。機忍の製作者でもあり、不怒火を含めた機忍を製造開発した。また、自身も手から光線を放つ法力めいた能力を有する。黒鷺出現の儀式を指揮する。
登場メカ・小道具
- 機忍
文字通り、機械の忍者。
黒鷺軍の主力兵士であり、様々な形状のものがある。不怒火もその一体。
- 諏訪部軍・移動城砦
冒頭の合戦に登場した、諏訪部軍の大型兵器。巨大な城壁で、中心部に四連装砲を装備。しかし合戦で黒鷺の移動城郭により破壊された。
- 諏訪部軍・機動砲
起死回生を狙い、黒鷺軍天守閣・奇械ヶ城を破壊するために用意された大型砲。
- 黒鷺軍・移動城郭
冒頭の合戦に登場した、黒鷺軍側の大型兵器。移動する城郭といった形状で、諏訪部の移動城壁と対決した。
- 黒鷺軍・神社ウォーカー
同じく冒頭の合戦に登場した、黒鷺軍の量産歩行兵器。
いわゆる神社のような意匠の「スカウトウォーカー」といった形状で、大量に出現し諏訪部を翻弄した。
- 黒鷺軍・気門
黒鷺軍の大型飛行艇。空を飛ぶ天守閣のような形状をしている。飛行する事で陣地に強襲し、機動砲の弾薬製造工場を破壊した。
- 気力スカウター
赤城や次郎丸など、兵士が付けているスカウター。兵士の「気力」を数値で表す事が出来る。この気力が髙ければ高いほど、戦闘力も高くなる。
- 十字剣
飛勇鶴や赤城らが携えている刀剣。柄の部分に弾丸を内蔵・装填し、敵に切り付けると同時に気力で弾丸を放ち、ダメージを倍増させる。
- 封印砲(仮)
諏訪部の兵士が持つ、手持ちの火器。二種類あり、最初の砲撃で機忍に当てて動きを止め、次の砲撃で機忍の気力を消し、完全に息の根を止めることができる。
機忍
黒鷺の主力兵士。
いわゆるロボット忍者であるが、その性能や形状は様々。不怒火・橡伎の他にも、下記の機忍が登場した。
- 機忍・下忍
いわゆる雑魚敵。目の部分に三種類のカメラアイを内蔵。ズームなどに用いる。
手裏剣を放つ他、剣で戦う。己の意思を有しているようで、一部の個体は自分が儀式に参加できない事に不満をもらしていた。
- 機忍・イナリ
気門の発着場に続く洞窟内に現れた、中忍と思しき機忍。その頭部は狐を模しており、下忍らよりも優れた剣技で赤城や次郎丸らに襲い掛かって来た。
- 機忍・ムカデ丸
気門の発着場を守っていた、中忍と思しき機忍。橡伎および機忍・片目とともに、気門の発着場を守っていた。その頭部には這うムカデの意匠が施されている。次郎丸と剣で対戦し圧倒したが、最後には倒された。
- 機忍・片目
同じく気門の発着場を守っていた、中忍の機忍。隻眼の人間を模した形状で、その目からは破壊光弾を放つ。赤城を光弾で苦戦させるが、最後には切り捨てられた。
- 機忍・翁(オキナ)
- 機忍・媼(オウナ)
奇械ヶ城の天守閣に、雷鳴法師とともに控えていた二体の機忍。その名の通り、翁と媼……老人と老婆を模した面を有した機忍(なぜか翁の顔は天地逆)。
翁は二刀流、媼は両手の爪を武器としている。