概要
排気の排出や室内の空気の入れ替え(換気)を強制的に(自然対流などではなく)行う装置。電気モーターにより、プロペラなどを回転させて空気の流れを発生させる。
窓や壁の上方に設置され、厨房など火気、水分などを用いる場所に設置されることが多い。
種類
羽根による分類
軸流ファン(プロペラファン)
風量を必要とする場合に用いられる。
遠心ファン
シロッコファン: 小形で高静圧を必要とされる場合に用いられる。
ターボファン: 風量や、効率を求められる場合に用いられる。
横流ファン(ラインファン)
静かで幅広い風を要求される場合に用いられる。
混流ファン(斜流ファン)
プロペラファンにひねりを加えて静圧をあげたもの。
形状による分類
一般換気扇
四角形の筐体にファンを取り付けた形式のものが多く用いられている。電源スイッチとシャッターが連動しており、使用しない時にはシャッターを閉めて外気を遮断する「連動式」と、電気的に開閉する「電気式」、換気の風圧で開閉する「風圧式」がある。また、連動式の中にもひもを引くことにより風量を2段階に調節できる「速調付」や、ひもを引っ張ることにより吸気を行うこともできる「吸排式」もある。最近では、住宅の高気密化に伴いより強力なレンジフードが使われることが多く、大きな静圧が得られない一般換気扇が使われることは少なくなった。しかし、高気密化住宅に強力なレンジフードを設置しただけでは、室内への吸気が間に合わず排煙効率が悪化したり、負圧でドアが開かなくなったり、空調された空気を排気する事で空調の効率が低下する。それを防ぐため、吸気口の間近で外気を取り入れる「同時給排式」や、それに加えて、隣家への臭気対策、ダクトや壁の排気口を廃止して配管コストや壁強度の問題を解決する「循環式」のレンジフードも存在する。ただし循環式は、外気との入れ替えをせず室内の空気を濾過・硝煙・消臭して循環させるため、オール電化住宅向けであり、燃焼で二酸化炭素を出すガスコンロでは使えない。※メイン画像
窓用換気扇
小型の窓に取り付けるための枠が付いている換気扇。窓用エアコンと同じく、本体と枠を窓に取り付け、空いた隙間に付属の板を取り付けて、利用するときは換気扇のある部分の窓を開けて使用する。羽根の大きさは重量の制限から15 - 25cm程度であり、台所用としてもリビング用としても利用される。トイレの窓に取り付ける超小型のものも市販されている。窓と干渉するため、シャッターはない。
空調換気扇
熱交換素子によって排気と給気の熱を交換しながら同時給排し、給気を室温に近づけながら換気する(熱交換率約70%)。
ダクト用換気扇
外気に面していない部屋(例えば浴室やトイレ、マンションの台所など)で天井裏に通したダクトを使って換気する方式の換気扇。ダクト排気で静圧が高いファンを必要とし、シロッコファンが主に用いられる。昭和43年から集合住宅向けで発売されている。 メーカーによって「ダクト用」であったり、「天井埋込型(天埋型)」などと表現されるが、基本的に同じ物である
還流ファン(ダクト用換気扇の一種)
天井面と室外を結ぶダクトに取り付けられる換気扇。天井面に垂直な方向の流れの排気と天井面に沿った流れの吸気を同時に行い、室内に循環流を発生させて効率よく換気を行う。
利用環境による分類
台所用換気扇
台所の調理中に出る煙などを外に排出するための換気扇。風量が必要であるため、一般換気扇が用いられる。また、油汚れなどから羽根や筐体・シャッター等を汚さないようにするためのフィルターが市販されており、フィルターを内蔵した製品や、羽根を油汚れを落としやすい素材にしたものも発売されている。付着した油が滴下するのを防ぐため、下部に油受け皿を装備したものが多い。煙の拡散を防ぐため、フードを設置してその中に設置するのが一般的であるが、フードと一体になったタイプもあり、レンジフードファンと呼ばれることも多い。
リビング用換気扇
リビングのタバコの煙などを外に排出するための換気扇。おもに一般換気扇や空調換気扇を用いるが、羽根が見えないように格子を加えたものや、静寂性のため速度が数段階ある製品が多い。また、羽根を逆回転させて給気もできるようにした製品も存在する。
床下換気扇
床下の換気口に設置して床下にこもる湿気を排気し別の換気口から吸気する事で床下を換気する。
季節等によってはタイマーで作動する。
浴室用換気扇
浴室の多湿環境に対応した換気扇。漏電を防止するため電動機やスイッチ等の回路が十分に絶縁保護されている。一般換気扇が多いが、空調換気扇や、暖房機能、洗濯物の乾燥機能を備えたものも存在する。家庭用としては15 - 18cm程度の小型のもので、同時に吸気穴を設けた製品が多い。
有圧換気扇
主に工場や倉庫、飲食店の厨房などで利用される換気扇で、羽根は非常に大きく枚数が3 - 4枚の金属製で角度がついており、シャッターやスイッチがない。ほとんどの製品は通風孔には埋め込まず壁で固定する。そのため電動機や羽根など、本体がすべて内側に納まるようになっており、通風孔の形状を選ぶ必要がない。また、有圧換気扇にも一般型換気扇のようにデザイン性を持ち合わせたものも存在する。主に飲食店の店内で使用される。
温室等では大型でシャッターが付いていたりする。
ルーフファン
主に工場や倉庫の屋根に設置される換気扇で、壁に設置した送風機では換気できない面積が非常に大きな建物や発熱等が多く大風量を必要とする建物で用いられる。
トイレファン
汲み取り式トイレの外に突き出している臭突(便槽に籠るガス等臭気を外部に逃がすパイプ)の先端に装着して排気を促す。