概要
杜美心とは、Red Candle Games(赤燭遊戯)のホラーゲーム『還願 Devotion』の登場キャラクターの一人で、物語の核心に関わる重要な人物である。
1975年生まれ。往時の人気脚本家・杜豐于と、国民的女優兼歌手の鞏莉芳の一人娘で、親譲りの歌唱力を持つ。
僅か10歳の身で一般参加型オーディション番組「七彩星舞台」に出演、4週連続で勝ち抜いて幼き二世タレントとして注目を集める。しかしいつの頃からか精神的な不調を抱えるようになり、ある日の放送で緘黙を起こして歌えなくなるアクシデントが発生。前回王者に敗退してからは二度と番組に参加出来なかった。
父のフォンウには溺愛されており、フォンウは(明らかにおかしいものも含めて)様々な手段を講じ、娘を救おうとするが、それが取り返しのつかない悲劇へと繋がっていく。
人物
引っ込み思案な性格で、親戚一同が集う場でも顔を出さないほど大人しい。しかし精神の不調が現れるまでは普通に学校へ通って友達と遊んでいたこともあり、いつも可愛がってくれる父のフォンウを慕うごく普通の少女。身体的にはあまり丈夫ではなく、熱を出して学校を休むこともあった。
芸能界では著名な夫婦の子であり、歌番組での好成績もあって周囲、取り分け両親には大きな期待を寄せられていたが、人前に出るのが苦手でデリケートなメイシンには非常に重荷であった。それでも両親のために立派な歌手になろうと努力する健気な一面と、父からもらった絵本のクマや、水槽に閉じ込められた家のアロワナを憐れみ、フォンウのボツ原稿でチューリップの折り紙を折って父にプレゼントする優しさも持つ。
以下ネタバレ注意
メイシンの不調は彼女の家庭に原因があった。彼女の父・杜豐于(ドゥ・フォンウ)は脚本家の仕事が上手くいかず生活苦に陥っていたが、金銭感覚が裕福だった頃から抜け出せておらず、体裁のために無駄遣いをして妻の莉芳(リホウ)を困らせていた。
実家から金を借りたり働きに出ようとしたり、リホウは八方手を尽くして状況の改善を試みるが、世間体を気にする夫には激しく反対され、最後には必ず口論になってしまうのだった。大人しいメイシンは両親の喧嘩にストレスを溜め、徐々に精神が不安定になっていった。
更にはフォンウが娘の“病”を治そうと新興宗教に傾倒していき、多額のお布施にまで金を出し始めた。これに愛想を尽かしたリホウはとうとう二人を残して家を出る。母に置いていかれた事でメイシンの病状は悪化し、番組出演時にパニックを起こして歌えなくなってしまったのだった。
やがて通学もままならなくなり、メイシンは自宅療養をするようになるが…。
メイシンの容体が一向に良くならないことに焦ったフォンウは、日頃からアドバイスをもらっていた何(ホー)という陸心会(フォンウが信奉する新興宗教)の女に縋る。
だが実は陸心会は信者たちから高額の寄付金を貪りあらゆる家庭を崩壊させてきた悪徳宗教団体だった。フォンウから金を巻き上げることしか頭に無いホーは、最早用済みとばかりにフォンウへデタラメな治療法を教えた。それは
酒と毒蛇が入った風呂にメイシンを七日間漬ける
というとんでもないものだった。幼く体も弱いメイシンにそんな事をすれば助からないのは明白だったが、陸心とホーを盲信するフォンウはそれを実行してしまう。
ホーは「効き目は当日か長くて七日後には現れる、それまで浴室の扉は決して開けないように」と言い置いて、その間に行方を晦ましてしまった。
七日が経ち、フォンウは浴室から娘の気配がしないことに不安を覚えホーに電話を掛けるが、彼女が電話に出ることは無かった。思い余って階上の慈孤壇の部屋を訪ねるがホーの姿は無く、一つのカセットテープデッキが残されていた。フォンウがそれを再生してみると、そこにあったのは陸心の被害に遭った人々の不信と怒りの声。
ここに来て漸くフォンウは自身も騙されていたことに気付く。
自分はただ娘を助けたかった。
だが治療法が偽りなら、
自分は娘に何をしてしまった?
朦朧とする意識で自分の部屋に帰り着いたフォンウは台所の大量のゴミ袋を尻目に、浴室に至る廊下の血の跡を踏み越え、凄惨な光景が待つであろう浴室の扉を開けた。
しかし、そこにあったのは眩い光に包まれ森へ颯爽と駆けていく在りし日の娘の元気な姿。
メイシンは公園で心ゆくまで砂遊びを楽しむと、父に向かって声を掛けた。
パパ、おうちに帰ろう
メイシンは父を恨まなかった。
どれほど辛い目に遭った場所だったとしても、父が折り紙を教え、絵本を読み聞かせてくれた思い出が残るマンションが彼女にとっての“還る”べき場所だったのだ。
現実を離れ、妄想の世界に逃げ込んだ父の魂を現世に連れ戻し、フォンウの目は再び開かれた。
全てが終わり、一人になったフォンウが真っ暗なリビングで放心している姿を最後に、物語は終幕する。
演者
セリフ及び実写シーンで演じているのは林芷瑈、歌唱パート及びエンディングテーマを歌っているのは劉芷融、共に(収録当時)杜美心と同様の10歳前後の子役である。
関連イラスト
余りに悲惨な運命を辿ったメイシンを想ってか、彼女を象徴する黄色のチューリップと共に、明るい笑顔を見せるメイシンや一家団欒を描いたイラストが多い。