伝承
大和国(奈良県)吉野郡・川上村の伯母峰峠に現れたといわれる妖怪。
元は熊笹がついた大猪だったが猟師にうち殺されてしまう。
その後、付近の湯が峰温泉に現れて「鉄砲と犬をよこせ(どかせとも)」と言ったが
聞き入れられなかったことに怒り伯母峰を通る人たちを食い殺していたという。
そのせいで東熊野街道(現在の169号線)は人知れずの道となってしまった。
そこに丹誠上人(この人物の登場から時代は1590~1620の間になる)が訪れ、
地蔵による結界と封印を施して退治した。
ただ、どんな封印でも決まりがつきもので「12月20日は自由にしていい」という決まりで封印。
その後は再び伊勢参りなどでの賑わいを取り戻したが20日は「果ての20日」と言われ恐れられた。
一本だたら関係の伝承でもしっかりとしたもので昔話などでも扱われることがある。
一本だたらは大和(特に猪笹王の出る吉野郡)の隣の紀州に現れる妖怪で一説にこれを指すとも別個体ともいわれている。
また、果ての20日自体は近畿地方各地に伝わるもので
「山の神が出る(山に入れない)日」「罪人を処刑するのが大抵この日だから」
物忌みして家でじっとしていようという風習がある。
(余談だが伊豆諸島の海難法師も元はほかの理由が変化したものだった)