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藤原涼子

ふじわらのすずしこ

『とりかえ・ばや』の女主人公。 後述する沙羅双樹の君、のちの睡蓮の尚侍。
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概要編集

とりかえ・ばやの女主人公。

人物編集

本名は藤原涼子としての通称は沙羅双樹

左大臣・藤原丸光の姫君で睡蓮の姉。

母親は西の対の方。

とても明るく活発な美少女。

同世代の男の子と庭で走り回ったり、蹴鞠をするという貴族の姫君らしからぬ行動をして丸光を悩ましている。

(平安時代の姫君は外に出たりするのはよくないとされている)



関連タグ編集

とりかえ・ばや












ネタバレ注意編集

本来の性とは違い、男らしく育ってしまったことで弟の睡蓮(月光)とともにお祓いに行かされることになり、その道中、天狗たちによって襲われてしまい、二人はそのまま誘拐されてしまう。


天狗たちから逃げようと沙羅双樹は着ていた女物の着物を、睡蓮は男物の着物を互いのを交換し合い、追手に追われながらも無事に帰還したことで沙羅双樹は男装、睡蓮は女装をすることを許されることになった。




元服

父・丸光が朱雀帝から呼び出され、表向きは男子としている沙羅双樹の「元服」について話をされてしまう。


沙羅双樹が女であることを明かすことができない丸光は沙羅双樹を男子として元服させ、睡蓮を女子として裳着の儀を行うことを決意する。


元服後に朱雀帝に謁見することになるが、丸光から今後は睡蓮の本名である「月光」を借りて名乗ること、「沙羅双樹の君」として宮中に出仕することを命じられ、睡蓮には自身の「涼子」という本名を貸すこととなる。


内裏に行くと沙羅双樹の美しい容姿に人々は感嘆しており、朱雀帝に挨拶をすると側で仕えるように命じられる。


その日の帰路で内裏には自身と同じ男装をしている「女性」がいない現実を見てショックを受けてしまう。


とある日、帝が馬を閲覧して臣下たちに分配をする儀式の際に石蕗の中将という帝の従兄弟で美しいと評判の貴公子を知り、目が合うが、彼は人々から称賛を受けている沙羅双樹のことを面白くない存在だと思い睨み付けられてしまう。


そんな中、二人を見ようとした内裏の女房たちが押し寄せ、御簾が破けるというトラブルが発生してしまい女房たちはパニック状態になってしまう。


その様子を見た石蕗は大笑いをする一方、沙羅双樹が自ら盾となり女房たちを避難させた勇気ある行動が叔父である右大臣大殿や朱雀帝などその場にいた人々から称賛されることになる。


そして、その場にやって来た東宮からも称賛され、自身が活躍し、注目を浴びたことで妹(弟)睡蓮が沙羅双樹と瓜二つの美しさであることを熱弁した右大臣、大殿によって朱雀帝と東宮から興味を持たれてしまうことになってしまう。


その後日、いきなり石蕗から声をかけられたが関わりたくないと思い、その場から去ろうとするが友になろうと言われたことに困惑。あろうことか、自宅まで押しかけられ、睡蓮を狙っていることを明かされて睡蓮を取り巻く現実に驚愕しまう。




そんな中、不吉の象徴である日食が起こることを報告された朱雀帝が病で倒れたことで人々は日食を防ごうと朱雀帝の看病をしたり、必死にお祓いをするが日食が始まってしまう。恐怖で人々は建物に閉じ籠るが臣下たちが反対をする中、東宮が日食と対峙することを決意し、沙羅双樹と石蕗をお供にして外へ行き、所持していた水晶玉で雨乞いをして雨を降らせることに成功する。







その日以降、更につきまとうようになった石蕗とそれをあしらう沙羅双樹の様子を御簾ごしから朱雀帝の女御麗景殿が微笑んで見ていたが、その一方で眉をひそめている妹の東宮妃梅壺からは面白くないと思われて彼女から目をつけられてしまう。


夜、沙羅双樹と石蕗の前に東宮の寝所に向かう梅壺が通りかかり、ひれ伏すがいきなり自分の目の前で止まったことを不思議に感じ、梅壺を見上げるが無礼だと扇で叩かれ、その場から立ち去ってしまう。石蕗は梅壺の行動に激怒し、沙羅双樹の心配をしている一方で自身は梅壺から敵意を向けられていることに気がつく。


沙羅双樹と睡蓮が人々から称賛されていることに苛立っている梅壺は自身に仕えている女房たちの会話で沙羅双樹と睡蓮が入れ替わっているのではないかと疑念を抱くようになってしまう。


自身の女房を使って沙羅双樹に近寄らせて探ろうとするがその行動を不審に思った沙羅双樹が睡蓮に相談して自分たちのことを良く思ってない梅壺に気をつけるように助言されるが、行幸で行われた狩りの際に梅壺が差し向けた刺客によって矢を放たれ、負傷してしまう。


梅壺が自ら手当てをすると言い出したことで梅壺が犯人であることを確信し、更に服を脱がせることで正体を暴こうとしている魂胆に気づく。騒ぎを聞きつけた石蕗がその場に乱入した隙に自分で手当てをしてその場を切り抜けることに成功する。


年が明けると朱雀帝が退位し、東宮が帝となったのを機に貴族たちも世代交代をして沙羅双樹と睡蓮の父親の丸光は大殿から位を譲られ、左大臣と関白となったことで「関白左大臣」となる。石蕗は「宰相の中将」と呼ばれ、沙羅双樹は侍従から三位の中将に昇進し、新しい東宮には朱雀帝の女一の宮・光子が位に付き、女東宮となった。





四の姫との結婚

沙羅双樹の正体を暴きたい梅壺が右大臣に妹の四の姫と沙羅双樹を結婚させてはどうかと進め、正式に左大臣家に縁談を申し入れることに成功する。


結婚相手である四の姫は16才である沙羅双樹より3つも年上の19才の女性で沙羅双樹は自身が女であることに悩むが、この縁談の話が朱雀上皇の耳に入り、縁談に賛成されてしまう。しかも、自身の娘・女東宮の尚侍として睡蓮を出仕させてはどうかと提案をされてしまうが当然、睡蓮は尚侍になることを拒否し、沙羅双樹は頭を悩ませる父親を見て、縁談を受けようと考えていることを明かす。父親と自身の母親・西の対は正体がバレる恐れもあり反対をするが、梅壺が自身の正体を怪しんでいることを話し、この縁談は梅壺の策略かもしれないこと、納得させるには縁談を受けるしかないと言い聞かせて納得させる。


ある日、正式に四の姫との縁談を受けたことで激怒した石蕗から怒鳴られてしまい、絶交宣言をされてしまう。石蕗の様子に困惑するが、実は石蕗は以前四の姫に想いを寄せていて、右大臣に猛反発されていたということがあったことを知ると石蕗に謝るが睡蓮との仲と取り持ってくれと言われてしまう。睡蓮に正式にその申し入れが来てしまうが睡蓮は結婚するくらいならと女東宮の尚侍になる決断をする。


沙羅双樹が縁談を受け入れたことに梅壺は驚き、入れ替わっているのは自分の思い違いかとショック受けていた。一方で四の姫との初夜の際、彼女と対面するために訪問するが彼女に仕えている女房から手紙を渡され、手紙の内容から自身が拒否されていることを知るがその場に座って夜が明けるまで四の姫を待ち続け、朝になると諦めずにまた来ることを告げて右大臣邸を後にする。


二日目の夜も四の姫の部屋に訪問をしたが一向にも御帳台から出来ず、口を開いたかと思えば大嫌いだと言われてしまう。沙羅双樹はどうしたら心を開いてくれないのかと悩んでしまう。


三日目の夜。正式に夫婦になるための最終日になかなか現れない沙羅双樹に右大臣や右大臣邸に女房たちは困惑し、結婚はなしかと落胆、当の四の姫は沙羅双樹がそれだけの男であったと笑っていたが、いきなり現れた沙羅双樹に驚いて奥に逃げようとして転倒しまう。


沙羅双樹は四の姫を助けるが、四の姫の髪が乱れたことで彼女の額に傷があることに気づき、心配したことで彼女から生まれつき痣があって気にするあまり自身に仕えていた女房から痣を消す薬を入手をして使ったが焼けるような痛みで傷として跡が残り、帝の妃として入内することができなかったことが語られる。


自身も以前つけた矢の傷を見せたことで四の姫が心を開き始めたことで距離が近づき、夫として認めてくれるようになる。男女関係は結んではいないものの、周りの人々からおしどり夫婦だと称賛されるようになる。


睡蓮が滞在する宣耀殿に忍び込んで追い返された石蕗は美女である睡蓮に男としての情が湧かず、思わず沙羅双樹の顔を見て沙羅双樹の方が好みだと発言してしまったことで自分は男色家ではないかと悩んでいた中で沙羅双樹の邸に訪れた際に沙羅双樹と夫婦関係になれないのは女としての魅力がないのではないかと悩んでいる四の姫に近づき襲ってしまう。


四の姫が石蕗に襲われたことを知らない沙羅双樹は彼女が寝込んでいることを知って心配し、見舞うが四の姫は沙羅双樹への罪悪感を感じて塞ぎ込む一方であった。


二人が逢瀬を重ねていることを沙羅双樹は知らぬまま、時が過ぎ、四の姫が懐妊をしたという報告に驚愕し、罪悪感から四の姫と離縁しようと考えるようになってしまう。




新しい協力者

女東宮か吉野山へ静養することになる睡蓮はそれにお供することになり、沙羅双樹も護衛として同行することなる。初めて二人が一緒にいる所を見た女東宮から二人はそっくりであると笑顔で言われ、吉野山に住んでいる吉野の宮について語られる。


吉野山に到着した夜、睡蓮と沙羅双樹は女東宮を喜ばせようと蛍を探すが、従者たちとはぐれてしまう。

その中、一人の天狗に出会い、沙羅双樹は立ち向かうが気絶させられ、睡蓮も立ち向かおうとするが気絶をした沙羅双樹を持ち上げた天狗についていくように言われ彼に従い、館に行くことに。


沙羅双樹が館で目覚めると天狗から沙羅双樹と睡蓮に二人が性別を入れ替えているのは何故だと問いかけかれ、二人は固まってしまうが、従者たちが探しに来たことで二人を解放する。


次の日、女東宮から二人に昨日の出来事は話すようにせがまれているところに客人が現れる。

その客人は沙羅双樹の刀を持っており、その顔は昨日の天狗と同じだったことに二人は驚愕し、天狗だと騒ぐが女東宮が「吉野の宮」と彼を呼んだことで、この客人は天狗ではなく皇族の吉野の宮であることが発覚する。

沙羅双樹と睡蓮は自分たちがした非礼を詫びるが、吉野の宮が咎めなかったことで許されることになる。


吉野の宮が去り際に沙羅双樹と睡蓮の事情を知っている上で困った時は自分を頼るようにと二人に告げ、二人は都へ戻ることに。





石蕗への疑念

都に戻った沙羅双樹は家の前に挙動不審な石蕗がいたことに疑問を感じ、四の姫の部屋から石蕗の香の香りがすることに気がつく。


飢饉で苦しむ土地に「ヤマトタケルのミコト」として国司などの邸宅へ赴き、米俵を押収する役割に石蕗ととも抜擢されるが、石蕗の不審な言動に疑念がますます深まっていく。


役目を終え、都に帰ると四の姫は女児を出産。右大臣を始めとした周りの人々は祝いの言葉を口々にしていたが、沙羅双樹が赤子を抱き上げると顔が石蕗の面影があり、やはり父親は石蕗であることを確信する。


祝いの宴の席を立ち、衣を取りに部屋へ行くと声で四の姫と石蕗が密会していることを悟り、慌ててその場から立ち去ってしまう。


ある日、ついに石蕗を呼び出し、子供の父親はについて尋ね、慌てた石蕗を見て自分は四の姫と離縁するから四の姫と結婚しろと告げる。


話を受け入れない石蕗の様子に苛立ち、絶交宣言をして部屋から出ていこうとするが沙羅双樹を掴もうとした石蕗の手が沙羅双樹の胸を触れてしまう。石蕗は突き飛ばされ、沙羅双樹は部屋から出ていったが残された石蕗から女ではないかと疑われてしまう。





正体がバレて懐妊

その日から沙羅双樹は石蕗は避け、一方の石蕗が落ち込んでいる姿を見ていた式部卿の宮の計らいによって二人のために作文会を開き、二人を招いたが、沙羅双樹が体調不良で倒れてしまう。


沙羅双樹が女だと思っている石蕗が自ら介抱をすることを名乗り出てしまい、挙げ句の果てに式部卿の宮は自身の部屋を貸すと言い、二人きりにしてしまう。



沙羅双樹の真相を確かめたい石蕗によって衣をはだかれてしまい、正体がバレてしまう。




目が覚め、自身が女であることが石蕗にバレてしまったことに頭が真っ白になり、石蕗に他人にこの事を漏らさないようにしてくれと懇願する。


石蕗は沙羅双樹が今までどんな思いをしてきたのか考え泣き出し、俺が守ってやると宣言をする。そんな雰囲気の中、沙羅双樹は口づけをされ、そのまま抱かれしまう。


その日から塞ぎ込むようになった沙羅双樹を女房たちは心配し、石蕗も心配で文を送るが返事がこないことに痺れを切らしてやって来てしまう。


やって来た石蕗との会話で彼を追い返そうとする乳母のあぐりに石蕗に手を付けられてしまったことを知られしまう。

その後、あぐりの館で静養を続け、沙羅双樹を案じた帝から文を付けた季節外れの桜の枝を贈られたことで再び立ち上がることを決意する。


帝の睡蓮と会ってみたいという申し出を断ることが出来ず、宴の際に自分と睡蓮が合奏をするという約束をしてしまう。勝手に約束をされたことに睡蓮は案の定、怒ってしまうが、その話を聞きつけて嫉妬をした梅壺に嫌がらせで渡殿を汚されてしまう。


睡蓮は病だと嘘をついて辞退をするが、帝が宣耀殿まで見舞いにやって来たことに驚き、睡蓮は逃げてしまう。沙羅双樹が睡蓮のフリをして帝の問いに受け答えをするが、帝が帰る時に突風が吹いて御簾が捲られたことで帝と目があってしまったことにバレていないかと内心ヒヤヒヤしていたが、帝は睡蓮を入内させたいと強く思うようになってしまう。



四の姫が第二子を懐妊したことが知らされ、石蕗のしぶとさに痛感することになる。すすめられた祝いの酒で気分が気持ち悪くなったのと同時に四の姫がつわりを起こしたことで自分自身も懐妊したのではないかと疑い、あぐりに懐妊の兆しの症状を聞いたことで懐妊は確信へと変わる。


無意識に吉野山を訪ね、吉野の宮に今までのことを洗いざらい話し、どうすればいいのかと問い、吉野の宮からどうやって生きるのかは自分で決めるべきだと進言される。


石蕗に懐妊した事実を話すが四の姫のことでは不柔不断な石蕗に激怒し、この話は嘘だとして突き放す。


乳母のあぐりにも懐妊したことを話し、あぐりが石蕗に激高しているのをなだめる。一方、沙羅双樹の着物が日々に衣が増えていく違和感を覚えた石蕗は本当の事を教えてほしいとあぐりを訪ね、土下座する。石蕗の必死な姿をあぐりは懐妊した事実を話してしまう。







沙羅双樹の失踪

男として生きる最後の日に花の宴が催され、沙羅双樹は人々の心を揺さぶるような笛を奏でる。その夜に一人で都を離れようとしていたが、石蕗が自分と都を出ようと言い出し、抵抗しようとするが言われるがままに石蕗の父親の別邸に身を寄せることに。


都の人々は沙羅双樹が行方不明になったことに驚愕する。右大臣も必死で沙羅双樹の捜索をしていたが四の姫が生んだ子供は沙羅双樹の子ではないため嫌気がさした沙羅双樹が去ったのではないかという噂を耳にしてしまう。

右大臣は雪姫を抱き上げ、姫の顔を見ると沙羅双樹に似ていないことを確信し、以前四の姫に恋文を送っていた石蕗にそっくりであることに気が付いてしまい、四の姫と雪姫、お付きの女房の左衛門を追い出してしまう。


女性として生きる事となった沙羅双樹に石蕗は片時も離れず、生活をしていたが、四の姫が勘当されたことを知らされると石蕗に四の姫のところへ行くように言い、彼女の元へ向かわせるが、今まで抱いたことがなかった女の嫉妬心が湧き上がり、四の姫と自分を行き交い舞い上がっている石蕗に呆れ返る。



死産、そして再会

沙羅双樹は気晴らしにと街に出掛けていたが、以前自分がしていたような姿にそっくりな男とすれ違うが気のせいだとしてその場を離れるが腹部から激痛が走り、倒れてしまう。


子供を産むが生まれた子は死産となってしまう。

知らせを受けてやって来た石蕗に子供を死なせてしまったことを詫び、石蕗も自分が沙羅双樹を不安させてしまったことに謝罪をするが沙羅双樹は悲しい思いでいっぱいいっぱいだった。


心が虚しさでいっぱいだった沙羅双樹は宇治川に入水しようとしているところに本来の男の姿をしてやって来た睡蓮と再会し、彼の胸に飛び込んで涙を流す。


睡蓮と再会をしたことで石蕗と別れることを決意し、今後のことを吉野の宮に相談をするため、吉野の山へ二人で向かうことに。そして、二人揃って出家したいと申し入れると吉野の宮からしばらくここに身を寄せて話し合うといいと提案される。


しばらくしたある日、帝が吉野の宮を訪ねにやって来る。帝は政が上手くいっておらず、吉野の宮に再び宮中に来てほしいと申し入れるが自身は政治的に死んだもの同然だと断られしまう。


落胆して帰っていく姿を見た沙羅双樹と睡蓮は出家することを止め、誰かの役に立てるのではあれば、懸命に使うべきだと考えを改め、お互いの立場をそっくり入れ替えて宮中に戻ることを決意する。



帰還

沙羅双樹は女である涼子として睡蓮は男である月光として無事に都に帰還し、二人が帰ってきたことを父親の左大臣、二人の母親である西の対、東の対はとても喜んでいた。


以前、男装をしていた涼子の十二単姿の美しさに人々は見惚れていたが、月光の母である東の対は涼子の髪の長さが女性としての長さでは短いことに気がつく。月光が自身が男になった際に切り落とした髪をかもじ(つけ毛)として使うことを提案し、東の対が快く涼子に使うように譲ったことで短い髪はかもじによって長さが補われる。完全に女性の姿に戻った涼子の姿を見て左大臣たちは睡蓮(月光)が戻ってきたようだと感嘆した。


再び睡蓮の尚侍・藤原涼子として宮中に行くことになり、これから仕える女東宮は既に睡蓮が男だったことを知っているので自分が睡蓮の偽者であることが分かってしまっても誠心誠意仕えることを決意する。







ライバルの尚侍

女東宮への挨拶に行く道中、自分と同じ尚侍となった右大臣の娘・三の姫と鉢合わせてしまう。

互いに道を譲ろうとするが涼子が四の姫の姉であるからという発言を待っていたかのように先に女東宮の所へ行かれてしまうことに。彼女のしたたかさを目の当たりにした涼子は侮ってはいけないと身を引き締める。


女東宮に二人で挨拶に参るが、女東宮が体調が優れず、会えないことを告げられてしまう。実は寝所に男に入り込まれ逃げられしまう事件があったことを聞かせる。しかも、元々いた大勢の女房たちも解雇されてしまったことも耳にする。


女東宮に受け入れられて話をするが、女東宮にいきなり胸を触られ、自分が知っている睡蓮ではないことに腹を立てられしまい、まとも話を聞いてもらえずに遠ざけられてしまう。


そんな時に不吉の予兆である流星が都の夜に流れ、涼子は女東宮を案じて写経をすることを提案する。

そして東宮の御殿の庭に護衛として現れた月光が女東宮様を守ることを宣言したことで女東宮はこの月光が以前側にいた睡蓮だと見抜いたことで涼子が言いたかったことに理解を示し、提案を受け入れて写経をすることに。

次の日の夜、流星は流れなかったことに帝を始めとして人々は喜ぶことになった。





そしてある日、女東宮は舞人の中に寝所に入り込んだ男と同じ香り人物がいることを涼子に告げ、涼子は月光と協力して舞人たちのことを調べることにする。


東宮排除派と親しくしている舞人がいることを突き止めると証拠を掴むために三の姫に事情を話し、彼女も協力させることに。月光の使いから舞人の衣を手に入れ、女東宮の所へ持っていこうとするが顔を隠した舞人本人に奪われ逃げられしまうが、三の姫のおかげで捕まえることに成功する。


その際に三の姫自身から生い立ちを聞かされ意気投合するが、彼女の帝の女御となって皇子を生んで帝と女東宮様の役に立ちたいという宣言をされたが涼子は何かモヤモヤとした思いでいた。


その宣言後、帝への使いの仕事は三の姫に独占されてしまい、涼子に仕える女房たちは三の姫の態度に不満を漏らし、涼子のモヤモヤとした思いは晴れないままであった。



宴が催された夜に舟にいた女東宮を訪ねに帝がやって来る。その時に舟が揺れて涼子は転倒をしそうになるが帝が抱き止めたおかけで転ばずに済む。しかし、涼子を見つめる帝の熱い視線は周囲の人々にバレバレで瞬く間に噂が広がるがその現場を目の当たりにした三の姫から嫉妬をされ、堂々と帝を巡って戦おうと宣言をされて困惑してしまう。



その三の姫が五節の舞姫として猛特訓している姿や帝への想いに感服し、三の姫が嘲笑われないようにと配慮して自分も舞姫として舞台に立つことに。挑戦を受けたことに三の姫は喜んでいたが、本番前に涼子は彼女に花を持たせようと体調不良を理由に辞退してしまう。


涼子を案じてやって来た帝に辞退した理由が嘘であることを見抜かれ、自身を女御として入内させることを望んでいる帝に子供が生めない体だと嘘をつき、自分はふさわしくないと告げ、三の姫を女御に迎えるように進言をして突き放してしまう。





女東宮が体調を崩してしまい、朱雀上皇の邸宅で療養することが決まったことで帝に女東宮についていくことの了承を得て帝の前から去るが、追いかけてきた帝から仕事については応援をするが縁組みは許さないと告げられ、お前を他の男には渡さないと宣言をされたことに驚いてその場にヘタリ込んでしまい、自分の帝を想う気持ちが止まらないことを悟る。





療養をしたことで元気になっていった女東宮が月光を恋しく思っており、どうにかして会わせたいと思い、女東宮に月光と会わせることを約束する。


月光も会うことに喜び、約束の日を迎えるが庭に隠れていた月光を事情を知らない三の姫は狼藉者だと叫んでしまい、月光は捕らわれしまう。慌ててやって来た朱雀上皇、麗景殿女御たちは捕まった男が月光だったことに驚き、涼子は月光を庇おうとするが三の姫の鋭い指摘でさらに窮地に陥ってしまう。


そこに女東宮がやって来て自分が呼んだことを明かして月光を救う。


朱雀上皇は見舞いにきてくれたことに喜ぶ一方で訪ね方が適切ではなかったと戒め、この事は他言無用にするように人々に命じるが、噂は広まってしまう。



噂が広まったことで処罰を避けられない事態となり、涼子と月光は二人揃って帝に謝罪をする。

月光が自身の官位を取り上げて流してほしいという申し出たことで月光はしばらく都を離れることに。

涼子も尚侍を辞することを申し出て、帝は受け入れることになった。


しばらくして女東宮が東宮を退位するという知らせを受け、鞍馬山に女東宮のために平癒祈願をしに行くがそこの僧たちが女東宮のために準備した御供米に何かを仕掛けており、その御供米を食べれば病が重くなるという会話を聞き、さらに今の帝を引きずりおろして我々の皇子を帝にして政ごとを牛耳ようと企んでいることも聞きつけ戻る道でその御供米を落とし、都に急いで戻る。






帝の尚侍

女東宮や帝を守らなくてはという思いがあり、宮中に戻りたいことを母の西の対に打ち明けると西の対から帝から賜った着物を渡される。東宮の尚侍としては豪華すぎる着物に驚く涼子に帝付きの尚侍として宮中に戻ることを告げる。


再び尚侍として戻ると帝が笑顔で迎え、役目は私の側で仕事を助けることだと手を差し出して告げられ、涼子も受け入れて差し出された手を取り、堂々と帝の尚侍として宮中に入内をする。


帝の住居である清涼殿で働くことになるが元々勤めていた女房たちをすぐにまとめ上げ、女主人のように慕われるようになる。


鞍馬山での出来事を仕事の合間に帝に伝えようと帝に伺うと帝は周りの人々に尚侍と二人っきりになると伝え、涼子は帝の寝所で帝に鞍馬山の件を伝える。






新しい東宮候補

新しい東宮候補してやって来た弓弦親王と一緒にやって来た僧・銀覚が女東宮を殺そうとした犯人だと確信する。


帝にこの事を伝え、弓弦親王は危険なのではないかと告げると東宮としてふさわしいか一緒に判断してほしいと頼まれる。


弓弦親王の教育係として任命され、お世話をしていたが式部卿の宮から嫌みで帝と仲睦まじい貴女が懐妊をすれば弓弦親王は追い出され、生まれた皇子が東宮となるだろうと言われてしまい、親王を思う涼子は心を痛めてしまう。


弓弦親王は銀覚の差し金で、もし自分が懐妊をすることになれば銀覚にとって痛手になると考え、懐妊したと偽る。この知らせは銀覚や帝の耳にも入り、帝は涼子を避けてしまうようになってしまう。帝の態度に心を痛めるが、贈られてきた品々の中に身に覚えがある布袋を見つける。


中身は女東宮に贈られるはずだった御供米と同じで毒入りであるのか確かめるため、庭に撒くと、食べた雀は苦しみ出して動かなくなったことから毒入りであることを確信する。



証拠を掴み、帝の所へ持っていこうと御殿から飛び出すが後ろから何者から突き飛ばされてしまい、渡殿から転落してしまう。




転落して際の怪我で熱を出してしまい、涼子が転落したという報せを受け慌ててやって来た帝は見舞うが、その時に涼子が妊娠していなかったことを知らされてしまう。涼子は銀覚を誘き出すための嘘であったことを打ち明け、証拠を持ち去れたことを悔しがり、帝から危ないことはするなと叱られてしまうが帝は意識を失ってしまった涼子を人目をはばからずに看病をする。






涼子を突き落とした犯人は彼女に仕えていた女房で、しかも銀覚を通じており、証拠を持ち去った後、証拠を銀覚に渡すと涼子の肩には傷があることを告げて都から逃亡をする。


病み上がりに弓弦親王となんと銀覚がやって来たことに

警戒をし、銀覚が御供米を献上する際に自分のことを沙羅と言ったことに動揺するが、負けじと消えた女房のことを聞き出そうと訪ね返す。


張りつめた空気に耐えられなくなった弓弦親王が出ていってしまうと銀覚が自身に駆け寄り、秘密をばらしてほしくなければ宮中から出ていけと脅されてしまい、固まってしまう。




月光が転落してしまうという不吉な夢を見た時に吉野の宮からの文で鞍馬山に向かっていることを知り、自分も帝のために立ち上がることを決意する。


月光が証拠を掴んだことでその証拠を帝と女東宮に提出することに成功をするが、月光が行方不明になってしまったことにショックを受けた女東宮が倒れてしまう。


銀覚を断罪することは決定したものの、弓弦親王と式部卿の宮がまで処罰をさせないかと心配し、帝に銀覚を追い込むことが出来ればそれが一番なのではないかと伝え、帝から自身が表に出ないことを条件付きで帝は了承する。






銀覚が吉野の宮によって断罪されて流罪に処された後、行方不明だった月光が東宮を辞めた光子たちに捜索された末に見つかったという報せを受けて喜んで涙を流した。


銀覚が断罪されたことで弓弦親王の後見人だった式部卿の宮は外されて、新しく左大臣家が後見人になることが決まる。改めてお世話することを申し入れ、落ち込んでいた親王から笑顔を取り戻す。



七夕の夜に改めて帝から告白をされるが帝からの申し入れを解けない呪いがあるとして断ってしまう。




銀覚からの文によって涼子と月光が入れ替わっていたという梅壺の疑念が確信へとなってしまう。


二人が入れ替わっていたこと、左大臣家と二人を罰することを帝に訴えられ、それでも動かない帝にしびれを切らした梅壺からお付きの女房たちを下がらせて彼女の御殿に呼ばれてしまう。


部屋中が着物を虫干ししているという奇妙な雰囲気の中で彼女と対面をするが、梅壺の命令で彼女の女房たちが部屋の影から飛び出して拘束しようと手を伸ばしてくる。着物を脱がせろと命令する梅壺に正体がバレていることに気づき抵抗し、梅壺に対して、昨夜の夜に帝に自身の肌が白く美しいと仰せられたと嘘をついたことでショックを受けさせる。


その時に涼子の女房たちからの助けの要請に応じて駆けつけた月光のおかけでその場から連れ出される。


人気のない所で梅壺からされた事を話し合い、帝が自分たちの入れ替わりについて気づいてことを悟り、自分を軽蔑していると泣いてしまうが、帝から言及されるまで役目を全うすることを心に決め、二人で最後まで戦い抜こうと誓う。


後日、梅壺の一件で腹を立てた涼子の女房たちが帝に自分たちの主人が彼女にされた所業を訴え、梅壺は数日間里下がりをされることになる。


ある日、都まで届いたよからぬ煙を吸ってしまった帝が倒れてしまい、看病をすることに。


床に臥せる帝から梅壺からされたことを尋ねられ、真実を話すことを決める。自分の女房の中に怪しい者がいて突き落とされたこと、梅壺だけの策略ではなく、別の人物も関与していることを話すと帝は梅壺が銀覚と関わっていたことに声を荒らげる。


その時に白蛇が現れ、帝に襲おうとしていることに気がつき、帝を庇い、肩を噛まれてしまう。


毒を吸いだそうと帝に肩を露出され、傷を見られてしまうが、帝は何もなかったかのように白く美しい、何も傷もない肌だと言われたのと同時に自分を許してくれた帝に感極まって涙を流すが蛇に噛まれたことで気を失ってしまい、騒ぎを聞きつけた女房や帝の付き人たちに手当てをされる。


その頃、帝を見舞いに都にやって来た吉野の都から帝から託された水晶玉を渡され、帝と自分を守ることを告げられて安心する。


自身を見舞いに来た弓弦親王が見舞いの品を取りに戻った際に彼の様子がおかしいことに気がついた式部卿の宮から彼の居場所を尋ねられ、嫌な予感がして帝の元に急いで駆けつける。


嫌な予感は的中し、何かに取りつかれている弓弦親王が刀で帝を襲っているところで到着し、なんとか弓弦親王を押さえつける。


涼子を追って来た式部卿の宮のおかげで弓弦親王を気絶させることに成功し、騒ぎを聞いた吉野の宮と月光が駆けつけ、部屋の香りが違和感があり、さらに吉野の宮から呪いの一種で銀覚の呪いでもあることを指摘される。


吉野の宮によって呪詛返しされたことにより、銀覚は死に至るがそれを復讐しようと彼の弟子である幻覚が右大臣邸に放火したことで火の手が広がってしまう。


その頃、内裏にいた涼子は梅壺の女房から助けを懇願され、部屋に入ると気絶している梅壺と幻覚がいるを目にする。意識を取り戻した梅壺から火をつけた犯人であること、彼は幻覚であることを大声で知らされるが梅壺は幻覚に叩かれたことで再び気を失ってしまう。


自身と帝や東宮を殺すと呟き続ける幻覚に手をのばされて、側にあった刀で幻覚の背中を一気に突き刺すが痛みで抵抗する幻覚に髪をつかまれてしまい、かもじがほどけてしまう。急いで気を失っている梅壺と女房を避難をさせ、幻覚は承香殿に火を放ち、そのまま火の中に入ってしまう。


内裏から出火したことでそこにいた役人や女御たちはパニックになってしまうが、沙羅双樹(月光)に装った涼子が混乱する人々を落ち着かせて右大将として指示を出し、帝の元に駆けつけるがそこに来ていた月光と鉢合わせたことで帝に言い逃れできない状況に。


帝にバレてしまったことで二人は出家して罪を償わせてほしいと懇願をするが冷静な帝は天に聞こうと告げると雨が突然降りだし、火が鎮火していったのを見届けるとと、帝が沙羅双樹を装っていた涼子を女性の装いに戻し、自らの衣を羽織らせると、二人は宝だという優しい言葉をかけたことで許しを得た二人は思いを受け取り、涙をする。






帝の女御

騒ぎが収まると二人の父、丸光が自分の家を里内裏として帝に使用することを申し出をし、左大臣邸へ向かうことになる。

帝が涼子を一緒に輿に乗るように言い出すが、輿に乗れるのは帝や妃など高貴な身分の者した乗れないことで丸光は断ったが帝は涼子を自分の「女御」に迎えると宣言したことで反対を押し切り、輿に乗せられてしまう。


突然のことに涼子だけではなく、月光と丸光や母親たちも驚き、月光に帝に入れ替わりのことが許されたことを告げられると安堵していた。


左大臣邸の中を案内をすると、女御になることが決まったことで帝から身を清めて夜に来るように告げられ、顔を赤らめてしまう。


二人きりになると内裏の焼け跡から幻覚の骨が見つかったこと、流刑先で銀覚が亡骸で見つかったことを告げられて安堵した時に帝から口づけをらされるが、過去に石蕗との子を死産したことで帝の女御にふさわしくないと

という思いがくすぶっていたが、愛する帝に抱きついてそのまま、床入りをすることになる。


床入り後に目を覚まし、隣に帝がいないこと動揺をするが、彼は近くで何かを考えているように外を見ていることに気がつくと、自分が乙女ではなかったことに気がついたのではないかと不安になってしまう。


自身が起きたことに気がついた帝から優しい言葉をかけれたことで過去に子供を産み落としていたことを正直に話し、子供は死産だったことを告げ、だから自分は相応しくないと涙を流すが、帝は涼子の過去を受け入れ、改めて女御になってほしいと告げられたことで涼子は心から帝の寵愛を受け入れることになる。



それから、「女御宣下」を受けて正式に帝の女御となり、関白の女御と呼ばれるようになる。




懐妊、出産

しばらくしたある日、帝の沐浴を準備していた際に気を失って倒れてしまい、涼子を受け止めた帝が薬師に見せたところ懐妊していることを告げられ、喜びで涙を流す帝に無事に子供を産むこと誓う。


関白の女御が懐妊したことは左大臣、月光、西の対、東の対を始めとした左大臣邸の人々を喜びに湧かせ、東宮を辞した光子、三の姫など親しい人たちも喜んでいたが、報せを受けた右大臣は顔が真っ青になり、梅壺は複雑そうな表情を浮かべ、また帝の他の女御たちも悔しそうにしていたのであった。




無事に出産を迎えた涼子であったが、出産最中に気を失う事態となり、出産を手伝っていた乳母のあぐり達は騒然としてしまう。


夢の中で三途の川で足をとられて溺れそうになるが、帝に背負われて救い出されたことで意識を取り戻したことで皇子を出産する。



しばらくしてお目見えの際に帝と再会し、自身を労り、皇子を産んでくれたことを感謝される。

そして帝は涼子を「中宮」に昇格させて産まれた皇子を「東宮」にすることを発表し、月光が内大臣となり、石蕗も出世することも決まった。


新しい東宮が立てられたことで旧東宮であった光子は正式に自由の身となり、月光と結婚することが許される。







それから数年後では帝との間に三人の皇子と一人の内親王に恵まれ、月光と光子は一人の息子の子宝に恵まれており、左大臣邸は子供たちの声でにぎやかで涼子の娘である内親王が男勝りな少女で月光の息子が泣き虫で女の子のようにおとなしい少年という涼子と月光に似ている光景が広がっていたのであった。

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