造翼者
ぞうよくしゃ
「天外の海から到来した羽夷は数えきれない殺戮と蛮行を行った。帝尊が軍を起こし戦った末それを撃退し、羽人方士および仙方をいくつか得た……」
ー《仙舟通鑑》
仙舟同盟大敵の1つであり、「豊穣の民」の主要な部族の1つ。同盟は「忌み物」に分類している。起源の星はいまだに解明されていない。仙舟人が初めて造翼者と接触したのは、仙舟が出航する前の「古国時代」に遡る。古国時代、造翼者は仙舟人の宿敵であった。
もっとも有名な侵略戦争は「火劫の戦」だろう。仙舟艦隊は造翼者による2回目の侵攻を食らい、枝が垂れ下がり、羅浮は滅びる寸前となった。帝弓の光矢が降臨して建木が切断されなかったら、きっと敗戦で終わったという。しかしその後反物質レギオンの侵略により衰退。それ以降、宇宙を流浪するようになった造翼者の多くは、傭兵や星間海賊となった。
鳥類に近い生理的特徴を持っている。背部の筋肉が発達しており、1対(もしくは複数対)の翼、細長い脚、力を発揮しやすい足指の構造をしている。
飛行に長ける造翼者は、最高時速400キロで空を飛ぶことができる。その骨格と筋肉には特殊な気泡空洞構造があり、迅速な空気交換によって、高速急降下と驚異的な突撃が可能となった。同時に、その構造は造翼者に(短時間での空気交換は欠かせないものの)真空空間での飛行と行動を可能にした。
雲騎軍が造翼者と戦闘する際の注意点は以下の二つである。遠距離時は射撃に気を付けること。近距離時は相手の飛行機動性を封じ、自身の長所である体重と体力を活用すること。
造翼者の文化では、飛行能力を持たない陸上の知的生物はすべて『塵民』と呼ばれ、彼らは自分たちのことを『雲君』と呼ぶ。
他の知的種族を奴隷化し、自分たちのための生産、住処の修復に従事させた。
造翼者は厳格な社会的階級に従って、「穹桑」での位置が決まる。「穹桑」は彼らの故郷で、惑星からエネルギーを吸い上げる星レベルの巨樹である。「木の枝」のような構造で、上に行けば行くほど階級が高くなる。
その頂点に鎮座するのが「豊穣」の使者であり、天青石聖の巣の主・造翼者の羽皇。
彼(もしくは彼女)は穹桑の成長と繁盛を導くことと、すべての羽民を育むことを役目としている。その統治下には次のような階級がある。
造翼者が星間戦争で露呈した科学技術から、彼らの文明は大きな衰退を経験したことが推測できる。
彼らは空間跳躍できる「枝」を掌握している一方で、エネルギー供給と武器製造は略奪もしくは他の豊穣の民との貿易に依存している。三度の豊穣戦争にわたり、彼らはずっと歩離人の武器と鎧を身に着けていた。
・「古国時代」に仙舟人と初めて接触する。その頃から両者は宿敵だった。
・「三劫時代(星暦3000年~星暦4000年ごろ)」、三劫の一つ「火劫」勃発。「穹桑」が建木に引き寄せられ、「羅浮」に接近する。同盟は民衆や囚人、歳陽の首領「火皇」の力を借りて撃退する。記録によると、英雄「帝弓」から放たれた一撃が建木を破壊し巨獣を貫き、穹桑を羅浮から切り離したという。この戦により雲騎軍が誕生する。また巡狩の星神「嵐」が初めて降臨した。
・星暦5320年前後、「穹桑」が反物質レギオンにより破壊される。
・星暦5700年ごろ、絶滅大君の1人「星嘯」は仙舟朱明に対して抵抗の放棄、および航路の変更を要求した。その目的は、彼女の造翼者世界に対する攻撃に協力することだった。