「「長年の敵愾心、一隻の船に万の災難。水の命は限り無く、一杓だけ飲むことはない」」
概要
巡狩の星神「嵐」を崇拝せし、宇宙規模を誇る古代〜現代文明。一隻が惑星レベルの超弩級方舟型スペースコロニー「仙舟」六隻を主体とする艦隊群で生きており、八千年前に母星を離脱して以来、宇宙を放浪している。
独立性が高く、スターピースカンパニーとは部分的な協力関係こそあるがネットワークに入ってはいない。また、星神の加護をかなり直接的に受けているため強大な力を持ち、宇宙にあまねく勢力からの侵略を跳ね除ける事が可能な、銀河でも上位の大御所。
また、舟同士が常に一緒に行動しているわけでは無く、「方壺」のように仙舟人ですら別の舟からだと立ち入りが面倒な舟もある。
過去
伝承
古代神話の時代、長生の薬を求めるよう命じられた仙舟は、長い年月をかけて肉体の意志を消耗し、最後には薬師の加護を願ったという。しかし、長生の果実は、海を荒らし、人々を苦しめるだけだった。巡狩の星神である嵐が深淵より戻り、重力を弦に見立て、満を持して弓を引き、一撃で建木を折り、「豊穣」の罪を断つまで。仙舟が誤った道から脱した後、船員は「巡狩」に導かれて同盟を結び、強力な雲騎軍を組織した。同盟は不死の汚染を断絶する事を己が責任とし、豊穣の忌み物を道標に、無限の星海を巡航する。
長い時を経て「仙舟同盟」は、神がいた様々な世界に上陸し、不死の忌み物を一掃してきた。豊穣を崇拝する種族は、天舟に星を消滅させられる可能性を考慮に入れなければならない。まさにこれが「仙舟同盟」が求めている抑止力なのであった。彼らは自ら警鐘となり、生に貪欲なすべての人が払うことができない代償となった。
現在、様々な種族が集まる仙舟は、「豊穣」への復讐と、「巡狩」の意志を完全に遂行するためにある。だから、不死の苦しみが続く限り、星間を巡る旅は続く...
要約
元々はどこかの惑星に定住していた文明だが、当時の帝の命により九隻の船で不老不死を求めて長い旅に出たのが起源。
二千年の旅の末に当時の仙舟人は薬師から「建木」を与えられ、その力で長命を獲得。
薬師を信仰するようになったが、その結果として人口の爆発や資源の奪い合いによる内戦、建木に惹きつけられた豊穣の民による侵攻といった事態を招き、更には長生きしすぎた仙丹人が「魔陰の身」という理性を失い狂暴化する状態に陥るようになる。
それらの危機的な状況において嵐が現れ、建木の破壊と豊穣の民の撃退に力を貸したことから、以降は嵐を信仰する組織へと変わった。
なお「魔陰の身」は克服されたわけでは無く、仙舟人は個人差はあるが約千年程度でこの病を発症する。
ちなみに、建木の負の側面による度重なる危機の発生によって薬師信仰が揺らいでから、嵐が星神として出現するまでは数百年の期間があり、その間はクリフォト信仰が主流となっていた。現在の同盟内でも一部にその名残を見ることが出来る。
現在は本編の舞台となる「羅浮」の他に「曜青」「玉殿」「朱明」「方壺」「虚陵」で構成され、放浪しながら豊穣の民を狩る組織となっている。各々に特色がある模様。
それぞれの舟に雲騎軍を束ねる将軍がおり、更にその六人を統べる雲騎元帥・華を合わせた七人を「帝弓七天将」と呼ぶ。
将軍は軍事だけでなくその舟の政治においても指導者的な立ち位置にあり、更に前線で戦う武勇まで求められるため、歴代の将軍で長命種であっても百年以上その地位にあった者はほとんどいない。
種族
仙舟の住民、即ち「仙舟人」は、その人種の違いから以下の四種類に分けることができる。
- 天人
人口の大多数を占める原住民で、「豊穣の星神・薬師」から祝福を受けており、平均寿命は1000歳だが肉体的な限界はなく、中には稀に1000歳以上生きられる者もいる。
しかし長生きすれば、肉体は不老不死でも精神が記憶の蓄積に耐えられなくなって感情が希薄になり、やがて「魔陰病/魔陰の身」と呼ばれる理性や倫理観の欠如した状態に成り果ててしまうことがほとんど。
基本的な身体能力は通常の人間とあまり変わらないが、回復力は非常に高い。その一方で、先天異常は治せない特徴もあり(一時的に改善できても短期間で元に戻ってしまう)、これが魔陰の五つの症状の一つである「残傷」に繋がる(余談を参照)。
彼らが魔陰の身から完全に逃れる方法は現在のところ存在せず、発症した結果十王司や雲騎軍に対処されることが実質的な寿命である。
- 狐族
豊穣の民に侵略されていたところを仙舟に助けられ、それを機に一部が仙舟に残り、仙舟の人口を構成する一部となった種族。名のとおり、狐のような耳と尻尾を持つ。優れた聴覚と反応神経を持つことから、星槎の飛行士になる者が非常に多い。
寿命は300歳ほど。仙舟の長命種の住民としては比較的短命かつ唯一明確な死があるため、葬儀に関する習俗が多い。
豊穣の派閥である歩離人とは同源の種で、歩離人と同じ「月狂い」の性質を持っているが、歩離人ほどの自己治癒能力はないため、一時的な力の代償に肉体にも精神にも致命的なダメージを受けることになる。
歩離人の下で暮らす者もいるが、そこでの扱いは歩離人の所有物、奴隷に過ぎず、戦争の弾除けとして消費される運命にある。
- 持明族
「不朽の星神・龍」が宇宙中に散りばめた「龍の血族」のうちの一つ。元々はとある海洋惑星の住民だったらしく、仙舟に加わったあとも(羅浮の「鱗淵境」のように)故郷の環境を真似た場所を作ったりしている。
外見は天人とほぼ変わらないが、唯一見分けの特徴として、他のファンタジー系作品によく登場する長命種族が持っているものに似た尖った耳を持っている点が挙げられる。
輪廻転生の概念を持ち、500歳で寿命の限界を迎えると自分の「来世」に転生するという形で「不朽」を実現している。ただ転生において記憶は持ち越せないため、基本的に前世の自分は別人と認識されている。また、繁殖能力をほとんど持たないことから、転生前に外因で死んでしまうと、そのまま種族の不可逆的な人口減少を招いてしまう。
- 殊俗の民/化外の民
いわゆる普通の人類で、平均寿命も100歳未満。
他の惑星からの商人や招聘された学者、単純な観光客などもいるが、「不老不死」の仙術・仙薬の噂を聞いてやってきた動機不純の者も多い。
他の種族を「長命種」こちらを「短命種」と呼び分ける事もあり、生物としてのレベルが劣る彼らは仙舟で差別対象になってしまうことも少なくない。
なお、豊穣の民と対立する仙舟同盟でも、外部の人々が豊穣の信仰を持っていること自体はある程度容認しており、「薬乞い」には可能な範囲で医療を提供する他、豊穣の信仰を持っている行商人の出入りを禁じたりもしない。しかし、それ故に起きる問題もある。
他にも「金人」と呼ばれる機械生命体がいるが、過去に天才クラブ会員の「皇帝ルパート」によって引き起こされた「皇帝戦争」に巻き込まれて大反乱を起こし、住民を無差別に大量虐殺したことがあったため、現在は知性を奪われ警備ロボットのような扱いを受けている。
その他
「豊穣」が生んだ忌み物とされている一族で、固定形態を持たない純エネルギーからなる寄生生物。
博識学会の記録の中では「歳陽」に関する記載が極めて少なく、仙舟人の言い分によると、歳陽とは喋る炎で、魂と欲望を吸い尽くす、人を傀儡のように操る精妖である。おそらく、ある種の無形目魂精科の生物だと推測する。
- 梨菩
遺物「鋳煉宮の焔輪天織」のストーリーに登場する仙舟朱明の職人。高温の恒星爆発と異常な天体現象の中を生きることができる。
- 金人
高度な知能を持つ人型ロボット。しばしば同盟軍の警備や軍事目的に使用される。
- 入魔機巧
仙舟で使われているさまざまな機械技術のことで、工造司の職人たちによって作られている。
政治
「神策府」将軍直轄の組織。六司の管轄を越えた重要な事案を扱っている。
(詳細はリンク先の「神策府」を参照。)
同盟は各舟に以下の統治機構かおかれている。これらは「仙舟六司」と呼ばれる。
組織名 | 業務 | 関連人物 |
---|---|---|
工造司 | 工業や研究・開発 | |
太卜司 | 占いによる航路や物事の吉兆の予見 | 符玄、青雀 |
天舶司 | 交通及び貿易 | 停雲、御空 |
地衡司 | 行政全般 | |
丹鼎司 | 医療。かつては仙丹研究も行っていた | 白露、丹枢 |
雲騎軍 | 軍事及び治安維持 | 景元、彦卿、素裳、鏡流 |
また、六司から干渉を受けず上位におかれる組織として、長命種の寿命の管理を行う「十王司」が存在する。よく勘違いされやすいが、雲騎軍は名前が「軍」でありながら「六司」の一つとして数えられ、逆に「十王司」は「司」の名がついているにもかかわらず「六司」には含まれていない。
職務 | 業務 | 関連人物 |
---|---|---|
十王 | 十王司のトップ。元ネタと同じく十人を指した称号かは現状不明。雲騎元帥とよく並んで言及されるため、地位はかなり高い模様。 | |
判官 | 具体的な業務にあたる役人。「拘」「鎖」「刑」「問」の四種類に分別される正式な判官と、見習いの判官が存在する。 | 雪衣、寒鴉、フォフォ |
冥差 | 子供の見た目をしており、戦闘能力は特になく、主に退魔道具を使って判官を補佐する役目。 | |
武弁 | 判官に追従して任務を遂行する武衛。 | |
勾魂 | 十王司の命に従い、法を執行する。 |
先述した通り、十王司は六司より上位に位置する組織である。羅浮の星核暴発事件では、自分を地衡司に連れて行ってほしいという雪衣の要求に対し、素裳は自分は雲騎軍として十王司判官の命令に従わなければならないと説明している。また、綏園のイベントストーリーでも、十王司の見習い判官であるフォフォの取り調べ依頼に対し、天舶司のトップである御空は(一応断る権利はあるものの)それに応じる態度を取っている。(十王司が特別視される理由は十王司の業務と意義を参照)
- 六司の中でも暗黙の上下関係が存在し、特に丹鼎司はまだ薬師が信仰されていた頃に仙道の研究で知られた部門であったため、「魔陰の身」の発覚と「建木」の破壊以降、他の五司に比べて著しく地位が低下している。(詳細は丹鼎司の下部・歴史を参照)
- なお、雲騎軍で最も武芸に優れた者は「剣首」の称号が与えられるが、現在の羅浮の剣首はとある事情により空席。
著名人
帝弓七天将
かつての将軍
五大龍尊
余談
仙舟の構成について
かつては以下の三隻を加えた九隻の船団であった。
- 「岱輿」:星暦1200年頃に豊穣の民「視肉」との戦いの中で大破し、惑星タラサの伊須磨州自治区に墜落。豊穣の民が原因だが、この時点ではまだ薬師と遭遇していない。一方タラサは墜落した「岱輿」から技術を手に入れたことで発展し、数百年後に仙舟同盟の貿易パートナーとなる。
- 「円嶠」:星暦3200年頃に褐夫(庶民・被支配者層)と耆宿(貴族・支配者層)の対立が激化。褐夫が仙舟艦隊全域で大反乱を起こし、その争いの結果として轟沈。これは両陣営共に望まぬ事態だったため、互いに意気消沈して休戦するきっかけとなる。この頃はまだ薬師が信仰されている。
- 「蒼城」:星暦6300年頃に活性化惑星「呑界羅睺」に呑み込まれて行方不明となった。雲騎軍の剣首伝説「無罅の飛光」の中にこの事件に関する章があるが、余りにも長い物語なのでこの章を語るだけで三日三晩かかるらしい。鏡流の出身地。
乗り物について
仙舟同盟には「星槎」という空を飛ぶ乗り物がある。正確には建木がもたらした「植物」の一種であり、星槎の樹から成る種子「核」を培養液の入った水槽に入れて成長させる。日常で使用する他、雲騎軍も成長プログラムを改変して戦闘機「闘艦」として活用する。
魔陰の身について
- 仙舟人(主に天人)の寿命の限界と見なされている「魔陰の身」は、実は一つの症状ではなく、五つの症状を総称したもの。この五つの症状は、それぞれが「残傷」「汚染」「嗔恚」「他化」「無記」と名付けられている。
- 「残傷」
- 肉体が外界からの暴力によって著しく損傷し、自己治癒能力によって長く苦しい修復を行わなければならないこと。
- 薬王秘伝の魁首・丹枢が盲目を直すことができず、義眼を付けようにも付けられないのは、この症状に陥っているため。
- 「残傷」
- 「汚染」
- 肉体が不滅であるが故に、何らかの手強い宇宙のウイルスまたは細菌に感染し、長期間にわたって共存すること。
- 「汚染」
- 「他化」
- 肉体から変異した器官ができ、人間としての姿を保っていられなくなること。
- プレイヤーがゲーム内で戦う豊穣エネミーのほとんど(「魔陰の身・兵卒」「薬王秘伝・鍛錬者」「薬王秘伝・内丹士」「薬王秘伝・器元士」などの異形エネミー)がこの症状に該当している。
- 「他化」
- 「無記」
- 心が謎の虚無感に支配され、空虚な状態に陥ってしまうこと。
- 「無記」
星神について
仙舟同盟では星神に独自の呼称を用いている。卜者の心得について書かれた『覗密集』によれば、仙舟が星神を以下の三つに分類していることが分かる。
- 司命:凡人の生死を予兆し、文明の盛衰に関わる。
【帝弓司命、嵐】
【補天司命、クリフォト】
- 天君:その善悪恩威を測るのは難しく、往々にして所在も不明。
【遍知天君、ヌース】
【遊雲天君、アキヴィリ】
【常楽天君、アッハ】
【妙見天君、イドリラ】
- 禍祖:万禍の元凶。避けなければ、必ず滅びの大難を招く。
【寿瘟禍祖、薬師】
【燼滅禍祖、ナヌーク】
【螟蝗禍祖、タイズルス】
卜者は太卜司制度の創設時から「天(宇宙)と神(星神)を占ってはならない」とされる。これはこの二つは正確な占い結果を出せないためで、占うこと自体は見逃されることもある模様。ただし、寿瘟禍祖を占うことだけは別で、それは極刑に値する重罪とされている。