概要
ゲーム『崩壊:スターレイル』に登場する組織。星神ヌースの配下に属す派閥。
知恵の神であるヌースは常に宇宙の方程式を導き出し、未だに未発見の虚数法則を推論し続けている。時折、世界のどこかで「知恵の閃き」が現れると、ヌースはその源に信号を送り、宇宙の答えを探すための行列に招待する。
知恵の神に招待された者、即ち「天才」たちによって構成された勢力、それが「天才クラブ」である。クラブのメンバーには、登録された順番に応じた「会員番号」が付けられる。
なお、カフカによれば「クラブの歴史に名を残した80数名のうち、大半は天寿を全うした」らしく、更にヘルタ曰く「無視できない数のクラブのメンバー」、スクリューガム曰く「大部分のメンバー」がポルカ・カカムに殺されているとのことで、メインストーリー開始時点で健在の会員は少数だと思われる。
現在最新の会員番号は84だが、会員番号79のチャドウィックが約200年前の人物であることから、そもそも加入の頻度は低く、長命種か寿命を克服している者でないと生存していないと思われる。
あくまでも学者・研究者の集まりであるが、その影響力は極めて大きい。
全宇宙最大の勢力であるスターピースカンパニーが、「第二次皇帝戦争」終戦後に全宇宙の機械生命体の根絶を計画していた際に、機械生命体であるスクリューガムがクラブに加盟したことを知り、たったそれだけの理由で計画を放棄し、反って機械生命体と平和を締結するに至ったほど。
一部のメンバーは使令であることが明言されているが、カンパニーの搾取に抵抗できなかったチャドウィックのケースもあるため、恐らく全員ではない模様。
メンバー間の交流は少なく、行方をくらましている者の安否については同じメンバーでも把握していない。
そのため、「模擬宇宙」のように四人ものメンバーが協力して継続的にプロジェクトを推し進めているケースはかなり稀なことと思われる。
選定基準に知性以外の部分は関係ないようで、スクリューガムのように銀河の平和に寄与した者もいれば、原始博士のように文明をいくつも滅ぼす実験を行っている者、スティーブンのように目立つのを嫌って市井に紛れている者もいる。
会員一覧(公開済の情報のみ)
会員番号1 ザンダー・ワン・クワバラ
- 「天才クラブ」の名義上の創始者。
会員番号2 ハラルド・パンチ
- 「天才クラブ」の事実上の創始者。
- 会員番号3のニューウェル・イマンと天才クラブを結成した。二人はその後、幾度となく対立と和解を繰り返した。
- 1級合成素材である「燃素」の存在を一時的に証明した。
- 嘗ては「虚数の樹」理論の最初の提唱者であるとされていたが、博識学会の考察により、ザンダーこそが最初の提唱者だと考える説が主流となった。
会員番号3 ニューウェル・イマン
- 「天才クラブ」の事実上の創始者。
- 会員番号2のハラルド・パンチと天才クラブを結成した。二人はその後、幾度となく対立と和解を繰り返した。
- 1級合成素材である「燃素」の存在を否定し、ハラルド・パンチの証明を覆した。
- ニューウェル・イマンは宇宙ステーション「ヘルタ」の望遠鏡の名前にもなっている。
会員番号4 ポルカ・カカム
- 「静寂の主」(ロードオブサイレンス)と呼ばれる謎に満ちた女性。
- 無視できない数の天才クラブのメンバーが彼女の手にかかって命を落としたとされている。
- 起こりえる偶然を必然に変えることができる『確率操作』能力者。自分や知識の拡張に関することであればどこでも姿を現すことができる。全宇宙の自分の肖像画と彫刻の破壊もこれに関与していると思われる。
- 長いこと音沙汰がないが、ヘルタは彼女が生きていると信じている。その上で、ヘルタはポルカに会いたいと思っており、自分とは共通の話題がたくさんあるはずだと思っている。しかしその願いは、模擬宇宙:不可知域にて思いがけない形で邂逅することになる。
会員番号7 柏環
- エネルギー分析分野でトップレベルの男性科学者。
- ニューウェル・イマンの説を覆し、1級合成素材である「燃素」の存在を再び証明した。
- 数日後にポルカ・カカムに殺された。
- ラム、クラインとは同じ世紀、同じ星に同時に誕生し、その時代は「黄金時代」と呼ばれている。
- 3人の間でラブコメが繰り広げられたらしく、クラインは柏環に奇物「人造隕石」を贈った。#8ラムとは4回再婚している。
会員番号8 ラム
- 生物波探査分野でトップレベルの女性科学者。
- 柏環、クラインとは同じ世紀、同じ星に同時に誕生し、その時代は「黄金時代」と呼ばれている。3人の間でラブコメが繰り広げられたらしく、2人との結婚経歴がある。
- 爆発事件によって即死。3人の最初の犠牲者であり犯人はポルカ・カカムであると#9クラインは疑っていた。
- 逝去後、ルアン・メェイはラムを生き返らせる実験を試みた。しかし、死からよみがえりたくないラムは微笑むだけで、姿を消した。
会員番号9 クライン
- 合金素材学分野でトップレベルの科学者。
- 「人造隕石」では「彼女」となっているが、柏環は「彼」と呼んでいるため性別不明。ラムと結婚していたため、男性の可能性が高い。
- 燃素を捕らえ、貯蔵する性質を持つ「灰玉合金」を発明した。
- 柏環、ラムとは同じ世紀、同じ星に同時に誕生し、その時代は「黄金時代」と呼ばれている。「人造隕石」を制作した女性で、柏環にプレゼントをした。「人造隕石」の表面には、彼女がコピーした「博識の目」が刻まれている。
- ラム殺害の犯人はポルカ・カカムであると睨んでいた。証拠を録音していたクラインはポルカの名を口にした直後謎の雑音によってかき消される。その後、クラインの遺体は邸宅の地下室で発見された。
会員番号22 リルタ
- 他人を助けるために自分の才能と人生を費やした天才。
- 「天才クラブ」の名を宇宙に馳せた最大の貢献者。
- 九字算法と呼ばれる新しい数式的概念を発明した。また知識の概念を覆す「知識の特異点」仮説を提唱した。
- 「誰よりも無私無欲で、誰よりもおかしな人」とヘルタに評価されている。
- 彼が亡くなった後、スターピースカンパニーはずっと後任者を見つけようとしていたが、数琥珀紀に渡って探しても、引き受けてくれる天才はいなかった。その末に見つけたのがヘルタだった。
会員番号23 阿茶
- 長命種の女性。#81ルアン・メェイが語る所によれば物語開始時点で故人であり、とある機械の街で一生を終えたという。
会員番号27 ルパート
- 「皇帝」の異名を持つ機械族。
- もともとはゴミの山に捨てられたコンピューターだったが、奇跡的に自我を覚醒し、廃材の埋め立て場で絶えず自我の計算力を高めた。その知恵はヌースの目に留まり、天才クラブへ勧誘され、27番目のメンバーとなった。
- 数多の琥珀紀を跨る宇宙大戦「機械皇帝戦争」を引き起こした元凶。
- ポルカ・カカムによって殺された。
- 「ルパート2世」
- 没した#27ルパートの後を継ぎ、より凄惨な「第二次皇帝戦争」を開始した人物。全ての有機生命体の敵でありながら、なんと自身もまた有機の肉体を有していた。
- 元は貧しい生身の人間。ルパートが没して数年後の彼の墓前に現れ、反有機方程式を解読した。それにより「全ての有機生命体は他者を欺く為の機械であり、自分だけが自由意志を持つ」という考えに支配され、1世が抱いた有機生命への怒りとは異なる、彼らへの憐憫を以て有機生命体の殺戮を開始した。
- ルパート2世となった彼は再び反有機方程式を拡散し、ルパート帝国を復活させて戦争を再開。さらに、「知恵」のヌースの思考法をモデルとして、己の外付け思考拡張ユニット、無機生物模倣ニューロンクラスター「セプターシステム」を創りあげ、たった一人で帝国の全てを掌握した。
- 彼がどのように死んだのかは未だ不明。遺されたセプターシステムはカンパニーに鹵獲され、博識学会に引き渡された。凡人達が天才の遺物の使用権を奪い合う醜い学派戦争の末、セプターはただ一つ価値あるもの、後世の天才誕生に繋がる鍵を導き出した。
会員番号29 セセルカル
- 後に「創世の織り手」と謳われるようになった、一匹の小さな雌蜘蛛。
- 彼女は、人間尺度で計算するならば僅か「29日」しかなかったその極めて短命な一生において、蜘蛛という種族の文明を数千年も進歩させる偉大な発明を数多く残した。
- 「位相変換」技術。この技術を発明したセセルカルは、「位相霊火」の製造に成功したが、霊火がすぐに別の位相に移行してしまい、彼女のいる位相に戻ってきたとき、彼女は既にその短すぎる寿命が尽きてしまったため、霊火を捕獲することは出来なかった。彼女の死後、「位相霊火」は絶えずに位相を移行し、諸界を燃やし、各地に火焔の末裔を残した。
- 「メタバース空間」。生物種や次元の相違を超越した世界。どんな生物でも深潜装置を使うだけで神経信号を意識ネットワークに同調させることが可能。世界を越えられない生物も、共通の夢を通して、現実では存在しない安らぎと平穏を求められる。
- 素晴らしい才能を持つだけでなく、知的で、親切で、謙虚でもあった。彼女が生命の最後の日に天才クラブのメンバーに問いかけた質問は、今でも答えられる者はいないという。
会員番号55 余清塗
- 模擬宇宙で手に入れられる奇物「ピンクショック」や「ターラの毒火炎」などのカクテルを作った女性。
- カクテルに派手な名前を付けるのが好きらしい。
- 優れた音楽センスの持ち主で、ルアン・メェイと非常に親しく、自分の最も好むクラシック楽曲の中から目に付いた名前を選び、それをドリンクにして彼女に送ったことがある。
会員番号56 イリアスサラス
- 天才クラブ史上2人しかいない公選部長の1人。
- 現代宇宙文明の交流の礎——共感覚ビーコンと超距離センシングを発明した。
- この二つの技術の知的財産権は「博識学会」に属している。
- ヘルタは「博識学会」があまり好きではないが、イリアスサラスの発明を再現したのは大きな功績であると認めている。
- 超距離センシングの発明は、虚数の唯一性を反証したことになり、ザンダーの「宇宙の樹」説の根幹を揺るがした。
会員番号64 原始博士
- 数々の反人類的犯罪を犯した正体不明の科学者。宇宙を汚染させた「人類退化実験」は特に悪名高く、人類を実験対象としか見ていないマッドサイエンティスト。
- 「巡海レンジャー」の恨みを買っているらしく、宇宙を跨る逃走劇を繰り広げている模様。本人はこの逃走劇を楽しんでいたようで、わざと証拠を残していたらしいが、現在は完全に消息不明。
- 模擬宇宙の開発メンバーを新たに募集する話が持ち上がった際、スクリューガムが「応じそうな人物」として名前を挙げたが、ヘルタがカンパニーとの関係を理由に明確に拒否している。
会員番号76 スクリューガム
- 機械族の天才。スクリュー星王。
- 傑出した機械的な頭脳を持っており、小さなネジ一つさえあれば、それのみを使って完全な惑星とその惑星に住む機械生命体を作り上げられるという、驚異的な技能の持ち主。
- 上記ルパートの行いによって、宇宙中の敵レベルに失墜した機械生命体の尊厳と立場を、ある程度取り戻す事に成功した傑物。
- 優雅で礼儀正しい機械貴族であり、ヘルタからも「本当にいい人で、まさに紳士って感じ」と評価されている。
会員番号77 メイト
- 加重奇物「天才の迷いの時間」「利他主義者の末路」で言及された天才。女性。
- 跳躍に代わる星間輸送技術を開発した。平和主義者だった彼女は、この技術が軍事転用されるのを目の当たりにして「天才」となった。
- 奇抜な思いつきから専門外の教育分野に手を出し、マイクロワームホールや虚数亜空間など複数の空間構造を内包したクラインの壺を開発して、子供の物理への関心を高めるための知育玩具として売り出した。
- 当然ながら普通の子供が理解できる作りをしておらず、さっぱり売れなかった。いくら知恵の神に一瞥される程の天才といえど万能ではない事の証左とされている。
会員番号79 カルデロン・チャドウィック
- 固体物理学、虚数応用理論、軌道力学などを専門とする短命種の男性。
- 二琥珀紀(約200年)前に天寿を全うして亡くなっているが、その短い歳月で学術上の数々の難題を突破し、宇宙を揺るがした。彼の最も優れた業績は、「虚数崩壊インパルス」という名の兵器を開発したこととされる。
- ピノコニーの冒険クエスト「樹海は静謐に帰す」に登場。亡くなっているはずのチャドウィックが夢境の中で老体で存在しており、相談したヘルタとスクリューガムと共に調査に乗り出した。
会員番号81 ルアン・メェイ
- 詳細は上記のキャラクター項目を参照
- 生命の根源を渇望し追及する、生命科学の専門家。
会員番号83 ヘルタ
会員番号84 スティーブン・ロイド
- ヘルタに「変人」と呼ばれている天才。
- 才能を発揮することに全く興味がなく、毎日3分の2の時間を養父が営む果物屋で過ごしている。
- 「模擬宇宙」のようなプロジェクトにも興味がなく、ヘルタたちの手伝いを少しだけしているが、大げさにしたくないという理由で匿名を希望している。
会員の共同による成果・プロジェクトなど
「燃素」の証明
- 1級合成素材である「燃素」は、霊火を構成する微粒子とされている。
- 会員番号2のハラルド・パンチが「燃素」の存在を証明したが、会員番号3のニューウェル・イマンがその説を覆した。その後、会員番号7の柏環が再び「燃素」の存在を証明したが、その数日後に会員番号4のポルカ・カカムに殺害された。
「模擬宇宙」
- スクリューガム、ルアン・メェイ、ヘルタ、スティーブン・ロイドが協力して進めているプロジェクト。その目的は、数琥珀紀に渡り、人類を悩ませてきた究極の問題——「星神」の神秘を解決するというもの。四人のそれぞれの役割は以下のとおり。
- スクリューガムはプログラムの基層ロジック作成と銀河演算を担当
- ルアン・メェイは模擬星神のプロトマーの育成を担当
- ヘルタは場所、人材、リソースを提供し、面白いシステムを追加したりしている。
- スティーブン・ロイドは模擬宇宙内のあらゆる「アイデア」をつぎ込んでいる。
用語解説
天才
- 先述の通りヌースに招待される程の知恵を持つ者。誰もが正に人智を超えた才能の化け物であり、人為的に再現できない「天の才」。
- おかげでスターレイル宇宙では天才のハードルが青天井となっている。
- 天才とそれ以外の者の間にある溝は絶望的なまでに深い。たとえ天才が残した思考器官を使っても、ヌースの思考を覗いたとしても、凡人は天才になることはできない。
知識の特異点
- #22リルタにより提起された概念。「天才」の定義すらも一変させてしまう文明レベルの境目。
- 群れの天才による火の発見、重力の発見と、知的生命体が知識の特異点に到達するたび世界の知識総量は爆発的に増加し、旧世界は価値を失い、世界はより高次の視点から捉えられるようになった。
- 星間文明を築いた現在、知識の特異点への到達は容易ではない。これまでに何人もの天才が挑んでは、その手前で膝を折ったとされる。
知識の輪
- 全宇宙の知識総量を「既知」と「未知」で2分したモデル。既知を未知が包み込むようにして存在し、その辺縁は輪の形を取る。
- 知識の特異点到達とは、この輪をただ広げるのではなく飛び越すことを意味する。
不可知域
- 知識の輪から外へ飛び出した時に発生する混沌を指す。「未知」とも呼び、知識の拡張を信仰する多くの天才達にとって至高の目標でもある。
全知域
- #4ポルカ・カカムが創り出す実験場。「知恵」の確定性と「神秘」の混沌がせめぎ合う、不可知たる宇宙と切り離されたシミュレーション空間である。
- 全知域にあっては量子論的確率は意味を為さなくなり、全ての可能性がポルカが望む様に実現する。早い話、ポルカが望む未来は"必然"となる。
- 今まで知識の特異点に到達しようとする天才達は、この確率操作能力によって消されてきた。
余談
「ラム」の名前
- ギリシャ語のアルファベットの11番目の文字「ラムダ」が由来であると思われる。英語表記ではLambda(ラムダ)である。
「リルタ」の名前
- 「リルタ」は他人を助けるために人生を捧げた天才であるが、その素行は実はキャラ名に直接体現されている。
- 「リルタ」の中国名表記は「利尔他」。「利」は「~の利になる」という意味の動詞で、「尔」は「あなた」、「他」は「他人」。つまり、「リルタ=利尔他」」とは、文字通り「あなたや他の人のためになる」という意味が込められている名前だったりする。
チャドウィックの原型
- カルデロン・チャドウィック博士のキャラクター原型となった現実の人物は二人いる。
- 一人は、「原爆の父」として知られるオッペンハイマー博士。マンハッタン計画の主導者であり、ゲーム内のチャドウィック博士が開発を主導した兵器「虚数崩壊インパルス」も、現実のオッペンハイマー博士が開発を主導した原子爆弾が元ネタとなっている。
- もう一人は、名前の由来となったジェームズ・チャドウィック。こちらも「マンハッタン計画」に参加した物理学者で、イギリスチームのリーダーであった。