概要
1962年、フランスの文化人類学者クロード・レヴィ=ストロースが発表した書籍。
表紙にはフランス語で「思考」を意味する「pensée」と花のパンジーを掛けて、野生種のパンジーである三色スミレが描かれている。
発表されるや数多くの論議を呼び、現代西欧思想史の画期となった「構造主義」時代の幕上けとなった。
書籍内ではトーテミズム(祖先神であるトーテムを軸とした宗教的、社会的な規範)などにみられるオーストラリアの未開人の心性と近代科学的思考と異なる非合理的なものとみる旧来の偏見を批判し、豊富な民族誌的資料と明晰な構造論的方法によってそれが「野蛮人の思考」ではなく「栽培思考」(文明化した思考)に対する「野生の思考」でありそれ自体精緻な感性的表現による自然の体系的理解の仕方であり,「具体の科学」であることを明らかにした。