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金枝篇

きんしへん

『The Golden Bough』。イギリスの社会人類学者ジェームズ・G・フレイザーによる未開社会の神話・呪術・信仰に関する一大研究書。1890年に初版が刊行された。
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概要

イギリスの社会人類学者ジェームズ・G・フレイザー(1854~1941)が、世界各地の魔術や呪術、タブー、慣習などを膨大な史料や文献、口碑伝承からまとめ上げ、初版刊行後も40年以上もの時間をかけて完成させた文化人類学研究の歴史的大著。

1890年に2巻本の初版を刊行した後も増補が行われ、1900年には3巻本の第二版、1911年に決定版として第三版が11巻本としてまとめられた。更に1914年には索引・文献目録、1936年には補遺が追加され、この2巻を合わせた全13巻の決定版が完成した。

解説

タイトルにある金枝とはヤドリギのこと。イタリアネミには女神ディアナを讃える聖地の森があり、ここにはそれを守る「森の王」と呼ばれる祭司がいた。
そしてこの森にはヤドリギを宿した聖なる樹が生えており、誰も触れてはならなかったが逃亡奴隷のみがそこから枝を手折ることが許されていた。
「森の王」となるには二つの条件があった。一つは聖なるヤドリギから王の金枝を折り取って持っていくこと。もう一つは、現在の「森の王」と戦い、これを殺すことであった。

なぜ、挑戦権を得るには金枝を折らねばならないのか。そしてなぜ、前任の王は殺されなければならないのか。
フレイザーは「前任の宗教的権威者を殺害する」という似たような「王殺し」の風習が世界各地に存在していたことに着目。本書ではこれらの謎の神話的背景を探ることを発端として、「共感呪術」や「感染呪術」の概念を定義しながら、ヨーロッパのみならずアジア、アフリカ、アメリカなど世界各地で見られる様々な魔術・呪術、タブー、慣習などの夥しい例とその考察が示されている。

1890年当時、世界の支配層であった欧米にとって、彼らの文化的・精神的支柱であったキリスト教も、キリスト教が野蛮な異教として扱ってきた他の宗教と同様に古代の原始宗教から発展して生まれたものの一つに過ぎないと文化人類学という論理を以って断じた本著の登場は衝撃であった。

フレイザーは膨大な文献研究によって本著を書き上げたため、フィールドワークを重要視する実証主義的研究者からは「本からできた本」「書斎の学問」と揶揄され、また現在の文化人類学的視点から見れば幾分思考方法にツッコミどころがあるのは時代的に仕方ないが、それでも古代宗教・呪術に関する膨大な事例をこれほどまでに広く蒐集・総合した例は他に無く、非常に高い資料的価値を持つ民俗学・神話学・宗教学の基本書として現代まで評価され続けている。

余談

どういうわけだかTRPGクトゥルフの呼び声」では魔導書に指定されており、読むとSAN値が削れる設定があるが、実際の本書はあくまでも学術書である。
また、アニメ交響詩篇エウレカセブンではある登場人物の愛読書として登場している他、本書の内容を意識した台詞や設定が存在し、ひいてはエウレカセブンという作品構造そのもののメタファーとなっている。

関連タグ

宗教 神話 呪術
機神咆吼デモンベイン アウグストゥス(デモンベイン)
交響詩篇エウレカセブン

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