ASURA
あしゅら
かつて城南工大の古柳教授が研究開発を行っていたコンピュータ・システム。
古柳は生き物のように動く機械の実現を目指し、その制御システムとしてASURAを開発していたが、「費用や使途などがはっきりしない」といった点が問題視され、研究は中断してしまったという。
劇中に具体的な説明は出てこなかったが、犯罪レイバーグリフォンの謎を追う中でASURAに行き当たった後藤隊長は「OS開発ぐらいで大学全体は騒がない。恐らく新しいコンピュータ・システムそのものを開発していた(要約)」と推理している。
この推理は当たっていたようで、劇中に「レイバー制御用ASURAシステム」として登場した機材は既存のコンピュータとは比較にならないほど巨大なユニットと化し、搭載機であるグリフォンは小柄な人間しか搭乗できないという制約を受けていた。
機器として実用的とは言い難い状態だったが「生き物のような動き」という当初の目的は実現できたようで、対応する性能を備えた機体と組み合わせれば、既存のレイバーとは一線を画す動きを実現させる。
その機体こそがTYPE₋J9グリフォンであり、素手の格闘戦で完全武装の軍用レイバーすら手玉にとるほどの圧倒的な運動性能を発揮することが可能になっていた。
その一方、あまりにも生物的過ぎたためか、パイロットの癖をそのまま反映し、走り出す直前の「溜め」がパターン化して動きを読まれてしまうといった弱点も生じている。
グリフォンに実装された状態では、VRゴーグル式かつ網膜識別機能を組み込んだ専用ヘルメット、搭乗者の間脳電流を読み取るといった、現行のレイバーに比べてはるかに高度な制御系統を採用しているが、十分な性能を発揮するには搭乗者側にも適性が必要とされる。
更に、現行のフォーマットから完全に外れた代物である「ASURA」のユニット自体も替えが利かない貴重品であり、緊急時の回収を前提にした発信機や防水保護機能などが施されている。
研究開発が中断させられ日の目を見る事なく終わったASURAだったが、古柳教室に所属していた生徒は巨大複合企業シャフト社にエンジニアとして採用されていた。
「内海」の偽名でシャフト・ジャパンに入り込んでいた組織犯罪者リチャード・ウォンはこれに目をつけ、ASURAに対応する高性能な採算度外視の技術アピール機の名目でグリフォンを発案。
技術パフォーマンスとしての犯罪に使用される以上、表舞台に出ることは更に叶わなくなったASURAだったが、内海の計画としては「イングラムを倒して奪ったOSを売り捌く」「基礎理論や技術者に高値を付けて売り込める」という金儲けの算段もあったようだ。
度重なる愉快犯的戦闘に投入されたグリフォンは「パトレイバー」の主役メカ98式AVイングラムを上回る性能を見せつけ、部外者として事件を傍観するしかなくなっていた古柳教授も「美しい」と表現するほど「生き物のように動く機械」を実現してみせた。
この強敵を相手に、イングラムとその後継機を擁する特車2課は、成長型OSと共にパイロットの練度を高めることで性能差を覆していくことになる。