CIRAS(Combat Integrated Releasable Armor System)は、アメリカのEAGLE Industriesが同国の特殊部隊向けに開発したボディアーマー。ポーチを自由に付けられたり、瞬時に一発で脱ぐことができたりするすごいヤツである。
ちなみにCIRASはあくまでEAGLE Industriesが供給するアーマーの商標であり、当然のことながら他社から供給されているものは仕様や品名が異なる。
概要
名称に「Releasable」とあるとおり、緊急時に素早く投棄できるクイックリリース機能が付いたボディアーマーである。これは艦船などから落水した時に装備の重さで溺れることを防いだり、胴体に受傷した時に素早く取り外して治療を行う場合に非常に有効な機能で、例えば同世代の陸軍一般部隊向けのインターセプターボディアーマー等には無い画期的な機能である。
このモデルの後に開発された殆どのモデルにクイックリリース機能が付くようになった。
構造
本体の前後には小銃弾を防護できるハードプレートが挿入可能なほか、左右側部にも小型のハードプレートが挿入できる。また、ほぼ全面にPLSEテープが縫い付けられているので、任務や好みに応じてポーチなどを脱着・配置できる。
陸上部隊向けのLand Versionと、上陸戦などを行う部隊向けのMaritime Versionの2種類が存在する。サイズは体格に応じて複数種類が供給されているが、実際にはやや小さめのものが人気だとか。
着用
装着方法は、Tシャツのように頭を通した後に後ろ側から伸びる薄手のカマーバンドを腹の前で接続し、上から前側の本体を被せる。この際にカマーバンドをやや強めに締めると、CIRASの重量が肩と腰にいい具合に分散されて幾分楽である。
その後に、本体前面の小型のフラップを開けてやはり後ろ側から伸びる厚手のカマーバンドを腹の前に装着し、最後にフラップを閉じる。
……と文章で解説してもなんのこっちゃわからんと思うので、動画を見たほうが早い。
リリース
首元にある輪っかを引っ張ると、前と後ろに分裂する。
割と長いワイヤーが入っているが、全て抜けるまで引き抜く必要がある。また、再び着用するには分裂した部品全てを組み直してからでなければ着用することは出来ない。
また、分離する箇所に跨ってポーチを配置したり、正しい組み立て方や着用方法を守らないと本来設計された通りにリリースできない恐れがある。
ユーザー
2000年代初頭に登場し、SEALsでは2004年頃から使用が確認されたという。元々が特殊部隊向けであるため、アメリカ陸軍の第75レンジャー連隊、海軍のSEALsなどのごく限られた部隊で使用されていた。
現在では登場から10年以上が経過しているため、後年開発された新型に置き換えられている。