IOTVは2007年からアメリカ陸軍で使用されているボディアーマー。
先代のインターセプターボディアーマー(IBA/OTVとも)から、使い勝手などが大きくアップグレードされている。
概要
必要なときに、ハンドルを引くだけで素早く装備を外せるクイックリリース機能がついたボディアーマーである。
また、胴体への装着方法が「ただ羽織って前で留めるだけ」の先代から改良されて、重量物であるボディアーマーを肩部と腰部の2点で支持できるため、身体への負担が大きく減っている。
ポーチなどの細々とした装備品は、本体にくまなく縫い付けられたPLSEテープを使って自由に配置できる。
生地、つまり迷彩パターンはUCPやOCPなど陸軍向けのパターンのみで、PLSEテープも迷彩柄である。
性能
本体には拳銃弾を阻止できるソフトアーマーが内蔵されているほか、本体前後と脇腹のカマーバンド内に小銃弾を阻止できるハードプレートを挿入できる。
また、必要に応じてソフトアーマーが入ったカラー(襟)、DAPS(上腕部のオプション)、グローインアーマー(ちんk… じゃなくて鼠径部)などのオプションを取り付けることで更に防御力を上げることができる。
これらのオプションは、太い血管が通る部位を保護し、万一受傷しても大量出血のリスクを減らすためのものである。
また、DAPSは銃弾や砲弾の破片が大きな開口部である袖口からボディアーマーの内部に侵入するのを防ぐ役割がある。
着用/投棄
動画を観れば、後述の稚拙な文章など読まなくとも理解できると思う。
- 着用
先ず、上から被るように着用し、薄手のカマーバンドを腹部全面で貼り合わせる。このときに、ややキツめに締めると腰や肩が楽になる。
次に前側の本体を下ろして、外側のフラップを上げる。ここに、厚い方のカマーバンドを持ってきて貼り合わせて、フラップを閉じれば完成。
- 投棄
緊急時にどうしても脱ぐ(脱がせる)必要がある時は、喉部にある輪っかを引き抜く。結構長いワイヤーと繋がっているが、すべて抜き取らないと上手に脱げない。
この機能、陸軍一般部隊向けのボディアーマーでは初めて採用された機能だが、実のところこの方法でボディアーマーを脱ぐと、元に戻してから出ないと再び着ることが出来ない。
Tシャツで例えると、縫い糸を素早く上手に引き抜いて生地をバラバラにして脱がしているようなものなので、もう一度着るには再び縫う(つまり組み立てる)必要がある。
その他
IOTVは、アメリカ陸軍で普遍的に使用されることが想定されているため、やや防御力に重点をおいた構造とされている。
ところが、重量が嵩むために機動力が求められる作戦や、脅威度が低く長時間に渡る作戦では不向きという意見から、陸軍ではやや軽量なSPSCが並行して使用されている。これは作戦内容によって指揮官がIOTVを使うかSPSCを使うか判断するという。
更に機動力が求められる特殊部隊向けにはMBAVが使われている。
また、陸軍と海兵隊で使われていたOTVを全面改良した形で登場したIOTVだが、海兵隊はIOTVとは別モノであるMTVを採用、配備(2006年〜)した。
この頃から、アメリカ軍のボディアーマーは数が増えすぎて初見殺し状態になっている。