Universal Camouflage Patternの略称。
2005年に採用された迷彩服「ACU」に使用された。
概要
デジタル調とも評されるような大小さまざまな四角が折り重なったパターン。風景に溶け込む事よりもぱっと見の印象に残らないような配色をされている。
特に、従来殆どの迷彩柄で用いられていた「高いコントラスト比の色を組み合わせてシルエットを判り辛くする」というアプローチを放棄し、色調もさることながら生地にも特殊な加工を施して赤外線を用いた暗視装置に対しても、草木に近い見え方となるよう工夫が成された。
パターンは濃淡二色の灰色とページュとも白とも形容し得る色が特徴で、その色彩から俗に「都市迷彩」とも呼ばれる。
しかし、実際は都市専用ではなくあらゆる場面においてそれなりの効果を発揮する汎用性の高い迷彩として開発された。
導入
2000年代初頭に行われた採用審査で、Crye Precision社が提出した「スコーピオン迷彩(後のマルチカム)」を下して採用された。
同時に開発されたアメリカ陸軍の最も基礎的な戦闘服「ACU」や、「インターセプターボディアーマー」・「IOTV」といったボディアーマーやそれに付属するポーチ類、ヘルメットカバーなどの他に、これまで単色だった「CVC Coverall」と呼ばれる戦車・装甲車兵向けの難燃性のつなぎ服や、ヘリコプター搭乗員向けの被服にも用いられた。
同時に、これまでOD単色だった装具類(ヘルメットの地色やヘルメットバンド、顎紐、トラウザースベルトなど)もUCPのベース色の明るい青灰色となった。
評価
採用後程なくしてアフガニスタンに展開する部隊に送られたが、「極めて限定的な局面でしか効果を発揮しない」と現地の部隊での評価は芳しいものではなかった。
そこで、陸軍は急遽民間向けのマルチカムをOEFCP(Operation Enduring Freedom Camouflage Pattern)として採用し、将兵らに支給した。
一方で、それまでのUCPから色調を変更した発展型が数種類開発され、このうちパターンに褐色を加えたUCP-Dは部隊でテストが行われたものの採用されず、マルチカムに似たスコーピオンW2ことOCP(Operational Camouflage Pattern)が新たに採用された。
一方で、マルチカムやOCPが採用された後も予算の関係から消耗するまでUCP装備は継続して使用された。
最終的にこの迷彩柄は2019年9月30日付けで正式に廃止。翌10月1日からはOEFRやOCPなどを着用することなり、専ら訓練用などで使用されている。
アメリカ軍が使用していた「ウッドランド」や「タイガーストライプ」といった迷彩はアメリカ以外での多くの親米政権で使用されたが、結局UCPのパターンをコピーした国はほとんど現れなかった。
故に成功作とは言い難いものの、他に例のない迷彩パターンは逆にアメリカ陸軍である事をアピールするにはこの上なく適した存在で、創作作品や趣味者の間では人気となった。
アメリカ空軍の迷彩服「ABU」は、色調と基本的なデザインはUCPに似ているものの、パターンはタイガーストライプに似ている。