ウッドランド(Woodland)はアメリカで1980年頃に開発された迷彩柄。
最も有名な迷彩パターンの一つでアメリカ軍以外でも非常に広く使用されている。
概要
ベトナム戦争の頃には基となる迷彩柄が開発されたものの迷彩パターンの開発には試行錯誤した形跡があり、今日言われる「ウッドランド」パターンが決まったのはベトナム戦争後暫く経ってからである。
登場してから30年以上が経過しており知名度が高く、多くの払い下げ品がタウンユースで用いられているほか、服や靴に迷彩柄をデザインに取り入れる際にもこの模様をベースとした迷彩が使われている事が多い。
デザイン
パターンは、カーキの生地に茶、緑、黒がプリントされた4色構成。(或いは白い生地にカーキ、茶、緑、黒をプリントする)
各色はアメーバのような有機的な曲線で構成された幾何学模様である。
カーキ、茶、緑が殆ど同じくらいの割合で、黒色のみやや面積が少なめ。
これは、ベトナム戦争期に使用されていた迷彩パターンの一つ「ERDL」を引き伸ばした意匠とされる。
装具類
この迷彩は、被服(BDUなどの戦闘服)のほか、ヘルメットカバー、バックパック、ボディアーマー(PASGT,レンジャーボディアーマー,インターセプターボディアーマー,FSBE,…etc)等に使用されていた。
ただし、この迷彩が使用され始めた頃は、マガジンポーチやサスペンダー、バックパックといった装具は旧来のOD単色のものが多かったそうである。
ユーザー
アメリカ合衆国
アメリカ軍では、1980年代に制式となってから陸軍、海軍、空軍、海兵隊の4軍全てと準軍事組織で使用されていた。
後に、全ての軍で2000年代初頭にそれぞれで開発された迷彩服に一度更新された。
しかしながら、米国国外に派遣される部隊のうち、戦闘地域で現地軍と行動を共にする精鋭部隊や特殊部隊では再びウッドランドに戻したり、ウッドランドのパターンを用いた新型戦闘服を使用している例もある。
軍以外では、保安官、警察のSWAT等が訓練などで使用していたり、税関や国境警備局の職員が着用することもあるが、予算が少ない地域や部署の職員が訓練や作業に用いる作業服として軍の払い下げ品を使用しているの実情だとか。近年はより新しいUCP等の払い下げ品も使われているが、何れも州兵などと誤認されないよう実際の現場での使用例は少ない。
アメリカ以外
他国でも米国によって供与されたり、或いはコピーされたりといったプロセスを経て、世界中で使用されている。(厳密に言えば米国製以外は「ウッドランドに似た柄」と言える)
主に、親米的な政策を取っている国々や、米国政府によって支援を受けた国や組織で使用されているが、時を経て主義信条関係なくAKの如く世界中に広まったため、現在ではユーザーの主張や信念など関係なく使用されているのが実情である。
1990年代からは人民解放軍でも同様の迷彩が使用されているし、発展途上国の場合はたとえ砂漠であっても軍人や警察官など「武装してる公務員」である事をアピールする必要がある国や地域なら皆これを着ているほど。
日本では、航空自衛隊がアメリカから購入し使用していた防弾チョッキ「PASGTベスト」がウッドランド柄であった。
かのオサマ・ビンラディンも着ていたと書けば、どれだけ世界中で使用されていたか実感できる筈。
上記の通りこの手のパターンを使用している(していた)国や組織、人物は非常に多岐にわたるため全て網羅することは困難である。