概要
低音域の得意なノーマル(酸化鉄)ポジション(TYPEⅠ)と、高音域の得意なハイ(クロム)ポジション(TYPEⅡ)を2層に重ね塗りすることで、非常に幅広い音域を忠実に録音することが出来た。
ハイポジやメタル(TYPEⅣ)のような検出孔は備えず、手動でポジションセレクトを行う必要があったが、Fe-Cr規格には対応しないデッキも多く、その場合はノーマルポジションとして再録を行うことも可能であった。
(当初は中央1穴の検出孔を設ける計画もあったが、承認が得られなかったと言われている)
この規格はカセットテープ史上最高クラスの性能を誇ったと言われているが、構造上製造コストがかさみ高価であることや、磁気移りが生じやすく保守が面倒なことなどから、後にメタルテープが開発されると衰退し、昭和60年代には殆ど姿を消してしまった。
各種テープについて
DUAD オープンテープ
オープンリール用のFe-Crテープである。
対応したオープンデッキはSONYからしか発売されていなかったので、あまり普及しなかった。
LカセットDUAD
かつで、ベータマックスのような大きさのカセットテープ(Lカセット)が存在し、その規格にもDUADが販売されていた。
しかし、使い勝手が悪くかさばった為に廃れて忘れ去られた。
今でもネットオークションなどで時折テープが販売されている。
初代Duad
初めて登場したカセットテープ用のFe-Cr。
初代は小文字で「Duad」と表記する。
外見はSONYの第1世代(LNやHFなど)とほぼ同様のデザイン。
このテープは特に磁気写りが生じやすく、保守に苦労したという。
また製造技術が確立されていなかった為か、現存している個体を発見しても、表面のハイポジ磁性体が剥がれている場合が多く再使用は困難である。
二代目DUAD
二代目はDUADと大文字で表記するように改められた。
外見はSONY第2世代のAHF/BHF前期型を茶色にしたようなデザインである。
当時の販売価格は@900円程度。(TDK-Dなどは300円程度だった)
尚、現在のオークションでは(状態にもよるが)使用済み@500円前後、未開封@5000円程度が相場。
改良後も通常のテープよりは磁気写りが生じやすいが、初代のような磁性体剥離が顕著に生じることはなくなった。
その為、状態の良い個体を見つけることが出来れば、今でも使用は可能である。
尚、昭和58年前後にAHF/BHFが改良され、銀光沢ラベルの第3世代へ進化した以降もDUADに改良が加えられることはなく、そのままメタルテープの登場をもって終焉となった。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm10141072