概要
ロンドンと港町サウサンプトンなどを結ぶロンドン・アンド・サウスウェスタン鉄道が、ターミナル駅であるウォータールー駅とシティ・オブ・ロンドンを連絡するため1898年に開業させた地下路線、ウォータールー・アンド・シティ線では、開業以来の電車の老朽化が進んでいた。これを受けて1940年、サザン鉄道(1923年の私鉄再編によりロンドン・アンド・サウスウェスタン鉄道などを合併して設立された会社)により導入されたのが、本形式、class 487である。
構造
シールド工法で建設された狭いトンネルを走るため、ロンドン地下鉄の車両(いわゆるチューブ)と同等の車体断面を持つ。1編成は5両編成で、先頭の2両が動力車となっている。トンネル断面に余裕がないため、集電方式は第三軌条方式である。また先頭部の動力台車は付随台車よりも大きいため、この部分だけ床が一段高くなっており、運転席寄りは機器室となっている。ウォータールー・アンド・シティ線はウォータールー駅とシティ駅(現在のバンク駅)の1区間を往復するだけで、全線複線なので、先頭部には赤色の標識灯のみが設けられ、ヘッドライトとテールライトの区別がないのも特徴である。
カーブに差し掛かると激しく揺れ、ジェットコースターのようだとも形容された。気を付けていないと座席から振り落とされることもあったそうである。
運用
class 487は全部で28両(先頭車12両、中間車16両)が製造され、1948年の鉄道国有化によりイギリス国鉄に引き継がれた。53年間にわたってウォータールー・アンド・シティ線を走り続けたclass 487は、1993年5月28日に営業運転を終了して引退。後継はロンドン地下鉄1992年形電車の同型車であるclass 482であった。その後ウォータールー・アンド・シティ線はイギリス国鉄民営化に伴い、1994年にロンドン地下鉄に移管され、現在に至っている。
保存車
先頭車1両(61号車)がロンドン交通博物館に保存されている。