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概要

センター試験の後継となる試験であり、独立行政法人大学入試センターによって2021年度より施行されている。

2024年現在で試験内容等に大きな変更が生じたのは移行期の2021年度試験および新課程入試が開始される2025年度試験の2回である。

科目(2025年度以降)

※必ず大学入試センターのホームページを参照してください。これは令和7、8年度の要項を参照した大枠です。

教科科目範囲選択方法時間配点
国語国語現代国語、古文、漢文全問必答90分200点
地歴公民地理総合、地理探求、歴史総合、日本史探求、世界史探求、公共、倫理、政治経済総合的に出題2科目を選択。注1を参照。1科目につき60分1科目につき100点(最大200点)
数学①数学Ⅰ、数学A数学Ⅰは総合的に出題。数学Aは場合の数と確率、図形の性質数学Ⅰのみ、もしくは数学ⅠA70分100点
数学②数学Ⅱ、数学B、C数学Ⅱは総合的に出題。数学Bは数列、数学Cは統計、ベクトル、複素数平面数学Ⅱは必答。数学BC4項目から3つを選び解答70分100点
理科物理基礎、物理、生物基礎、生物、地学基礎、地学、化学基礎、化学総合的に出題2科目を選択。注2を参照。1科目につき60分1科目につき100点
外国語英語、ドイツ語、フランス語、中国語、韓国語英語コミニュケーションⅠⅡ、論理•表現Ⅰ及びそれに準ずる範囲。英語はリスニングとリーディング、その他は筆記のみ。1科目を選択。英語:80分+60分、その他:80分計200点(英語は100+100)
情報情報Ⅰ総合的に出題。必答60分100点

注1:「地理総合/地理探求」「歴史総合/日本史探求」「歴史総合/世界史探求」「公共/倫理」「公共/政治経済」「地理総合/歴史総合/公民(この中から2つを選択、1科目扱い)」に分かれている。同じ分野を含むものを組み合わせることはできない。

注2:「生物基礎/地学基礎/物理基礎/化学基礎(この中から2科目を選択、1科目扱い)」「生物」「地学」「物理」「化学」に分かれている。この中から2つを選択。地歴公民とは異なり、組み合わせの制限はない。

注3:受験科目は出願時に申請

どの科目も配点は同じなので落とすことはできない。高ランクの大学を狙うのであれば得点率8〜9割を求められる厳しい世界。足切りされなければ受けることはできるが、実力の指標としてしっかり得点しておこう。

難易度(センター試験との比較)

思考力や分析力等を求めているからか、(科目によるとはいえ)センター試験に比べて数倍難易度が高い。実際にセンターは6割を平均として作成しているのに対し、共通テストは5割平均として作成しているため当然とも言えるが。もはや従来のセンター試験とは別物と見ていい(特に英語)。

但し、それ以外の科目は基本的にセンター試験と解き方は変わらない。センター試験の時に使えた裏技も引き続き使用できる(それが使える問題が出るかは別として)。

単なる暗記ではなく、その単元に深い理解が無いと解けない問題も多い(特に理科)。

主な変更点(科目別)

英語

センター時代のアクセント・語彙文法問題が廃止され、筆記200、リスニング50だった配点がリーディング100、リスニング100という比率になっていることが大きな特徴。但し大学によってはリーディングに傾斜をかける大学もある。

リーディングは試験時間80分だが、普通に解いているだけでは80分では到底終わらない。

出題される文章も「実用性」を意識しているためかパンフレット形式だったり図解付きのマニュアル形式だったりと独特で、英語力というより情報処理能力に偏重している。

リスニングは1回しか流れないものが多い。特に後半は1回しか流れないのに講義形式の会話文を聞き取りつつ表やグラフにもしっかり目を通さねばならない問題など、なかなかにハイレベル。

また、リスニングをはじめとした「ネタ」要素は健在であり、2022年のすしざんまいや(第4問A1) 2023年のmiiのようなキャラクターなどまさに歴史は繰り返すを言い表したものとなった。

なお、移行期に大幅な変更を加えたからなのか、2025年度試験からの大きな変更点は特に見られない。

国語

当初は「現代文2題(評論・小説各1題)+古文1題+漢文1題」とセンター試験からの大きな変更は見られなかったが、2025年度以降は現代文の問題数が3題に変更されることとなった。

また、現代文の問題数変更に伴い、2025年度以降の試験では配点が「現代文110+古文45+漢文45」、試験時間は90分にそれぞれ変更されることとなった。

数学

センター試験から共通テストに移行した際、数学①(数学Ⅰおよび数学ⅠAが該当)の試験時間が70分に変更された(従来は60分)。数学②については移行当初試験時間の変更はなかったが、2025年度以降の試験では数学①と同様に70分に変更されることとなっている。

また、2025年度以降の試験において数学②に該当する科目が「数学Ⅱ・B・C」のみに変更され、これに伴い数学Ⅱのみの受験は不可能となった。併せて、2024年度試験を最後に「簿記・会計」および「情報関係基礎」が廃止されることとなった。

さらに、2025年度以降の「数学I・数学A」では従来であった数A部分の選択問題の消滅、「数II・B・C」では「B・C」に相当する4題から3題選択(従来は「B」に相当する3題から2題選択)に変更となった。

情報

2025年度試験から導入される新設教科。出題範囲は「情報Ⅰ」、試験時間は60分である。

教科の追加は共通一次試験・センター試験を含めても前例のない出来事である。

国立大学を志望する者は従来の5教科に加えて「情報」も必ず受験しなければならないとされている。IT・データサイエンスに関する知識の重要性が年々高まっていることから必須科目にされたようだが、一方で国立大学を志望する受験生の負担増も懸念されている。

社会

センター試験→共通テストは特にこれといった変更点は無かったが、2025年新課程入試から大きく変更。

従来の科目「世界史A」「日本史A」「地理A」「現代社会」を廃止。「世界史B」「日本史B」「地理B」がそれぞれ「歴史総合・世界史探求」「歴史総合・日本史探求」「地理総合・地理探求」に、「倫理」「政治・経済」「倫理、政治・経済」が公共を含んだ上でそれぞれ「公共、倫理」「公共、政治・経済」に変更。また「地理総合・歴史総合・公共」が新設。

「歴史総合」は2022年度からの必修科目で、大雑把に言うと日本史Aと世界史Aを合体したもの。その為従来は日本史か世界史一方で良かったのが新課程から実質両方を学ばなくてはならず負担がさらに増えた(流石に探求ほど多くはないが)。

「公共」も2022年度からの必修科目。これは従来で言う現代社会に相当。ちなみに公共の中で倫理と政経の比率は倫理:政経=1:3程度なので、公共、政治・経済を選ぶと被りが多くなる。

この変更により従来の「倫理、政治・経済」に比べて負担は減った。

有名なネタ

【大☆惨☆事】2022年度数学ⅠAの悲劇

2022年、前年に引き続き第2回目の共通テスト、数学ⅠA。過去の事例から見て、「2年目は難化する」とある程度推測されてはいたものの、実際、平均点はなんと37.96点。

旧センター試験を含めても、歴代最低の平均点を記録するという異常事態に発展した。

このようにやらかした事態になってしまった主な問題点としては試験時間70分しかないということをまるで考慮していないキチガイレベルの難度、量の多さ、問題文の長さなどが主な元凶かもしれない。

これには、受験生だけでなく教育現場からもかなり批判されている。

ちなみに、ⅡBも平均点42.06点という事件になっているがⅠAのインパクトが大きすぎて影が薄くなっているのは内緒。

2023年、科拳

2023年度大学入学共通テスト、世界史Bの問題において古代中国の官吏登用制度である科挙が、科拳と誤記されてしまっていた。本来の科挙が経典や詩などを扱うものであったばかりに、Twitter上では「武の官吏登用制度が生まれてしまった」とさんざんネタにされた。

大事な共通試験、問題配布の段階でいきなり訂正用紙によってインパクトの強い誤字を知らされ緊張のほぐれた受験生もいたことだろう。その誤文は、

「朝鮮の知識人が、科拳を採用せず広く人材を求めない日本を批判した。」

というもの。

ちなみに何ならその後の「国語」の試験では科挙の模試がそのまま漢文の問題となっており世界史選択の中には「科拳じゃないぞ」と心の中で言いまくった者も少なくなかったであろう。

あまり拡散されなかったが、ウマイヤ朝のカリフ「ムアーウィヤ」が「ムアーウィア」になっていたりもした。

2023年、ダークドラゴンズ

当該項目参照。

2024年、英語リーディング

2024年、これ以上の難化は考え難いと言われてた英語リーディングでさらに難化。第5問に至っては1250語程度の長文と上位国公立大学でもあまり見ない量の多さだった。ただ英語は数学と違い全問選択式のため勘で当たる事も多いからか平均点は51.5点と2年前の数IAのような大惨事にはならなかった。

2025年、枕草子(※化学)

夏は、夜。月のころはさらなり、闇もなほ、蛍の多く飛びちがひたる。また、ただ一つ二つなど、(が)ほのかにうち光りて行くも、をかし。」(清少納言枕草子』から抜粋・改変)

なんだ、ただの古文じゃないかと思われたそこのあなた。これは化学で出題された問題の選択肢である(「(蛍が)ほのかにうち光りて」の箇所が下線部)。

繰り返しになるが、国語ではなく化学である。(化学発光生物発光に関する知識を問う問題。)

化学の試験に古文が登場したことが話題となり、SNSでは「化学で古文出すな、国語で実験するぞ」「和歌化学反応式書くぞ」「古文で熱化学方程式解かせるぞ」「古文で滴定するぞ」などの大喜利が始まる様相を呈した。

ただし上記の通り、枕草子の原文には無い『(蛍が)』という補足が問題文に追加されているため、たとえ古文の知識がまったく無くても、問題なく解ける構造になっている。

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