概要
軍師とは、軍を指揮する君主・将軍など(=最高司令官)が行う戦略指揮の、補佐などを務める者。
近代~現代の参謀・幕僚に相当するが、戦略指揮の補佐しかしない例はまずなく、軍の指揮そのものや政治・行政一般にも関与している。
中国では、戦乱期に群雄の参謀となった名士や学者が、後漢時代から「軍師」と呼ばれるようになった。曹操の参謀であった郭嘉たちは軍師祭酒に、劉備に仕えた諸葛亮は(宰相兼)軍師将軍になり、政治全般に関与しているが、もともと正規の官職ではなかった事もあり、職務の変質を繰り返しながら、隋で廃止された。ただし、職務での「軍師」ではなくても軍師的な活躍をした人々は、やはり「軍師」と呼ばれるようになる。
軍師は「三国志演義」などの物語でも登場人物として出てくるが、フィクション性の強い作品内では、ほとんど魔法使いのような扱いを受ける羽目になる。
日本でも「軍師」と呼ばれる者は戦国時代にいたが、その実態は合戦の際に占いを行う「軍配者」と呼ばれる武士・僧侶などであった。
江戸時代になると、過去の知将タイプの武将のうち、勢力の最高指導者でなかった者が、軍学、軍記物、講談、中国の歴史物語の影響を受けて、軍師として扱われるようになった。