解説
主人公の宮部久蔵の同僚だった大日本帝国海軍の戦闘機パイロットである。階級は中尉。
飛行学生としてかり出され、教育を受けて特攻要員となった時に宮部と出会い、彼から教官として指導を受けて訓練を行っていた。
腕は良く、宮部からも賞賛されていたが、彼を含む特攻要員たちを特攻に行かせたくなかった宮部は『不可』を出し続けたため、最後まで特攻に行くことはなかった。
宮部のことは素晴らしい教官であったと慕っていて、急降下訓練の際に親友が操縦失敗によって事故死したとき、精神がたるんでいると親友を罵倒する上官に抗議して彼の親友の名誉を守ろうとした宮部を敬愛していた。
戦後は一流企業の社長まで勤め上げており、宮部の孫である佐伯健太郎と姉の慶子が祖父の話を聞くために訪ねた際は、宮部との話と特攻に関する様々な逸話を二人に話した。
その中で、先の戦争を引き起こしたのはマスコミ関係者(主に新聞社)であると主張しており、一緒に訪ねてきた特攻隊を【テロリスト】呼ばわりする高山記者には激怒し、真っ向から抗議しており、当時の新聞社・新聞記者の過剰な戦意高揚や、戦後に掌を返したようにGHQに言われるまま民主主義万歳を唱え、戦前・戦中の日本を貶めるようになったことを痛烈に非難し、黙らせた後に追い立てるような形で帰らせている。
このシーンは読者にかなりの衝撃を与えていたようで、映画版では完全にカットされていたことに不満を漏らす声も多かったが、その後に放送されたドラマ版ではほぼ原作に忠実に描かれており、絶賛された。