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昭和元禄落語心中の編集履歴

2015-08-07 12:43:36 バージョン

昭和元禄落語心中

しょうわげんろくらくごしんじゅう

『昭和元禄落語心中』とは、雲田はるこによる漫画作品の名称。

概要

講談社が発行する漫画雑誌風アンソロジーコミックITAN』で掲載されている連載漫画。


江戸落語物語の主題に据え、落語家を志す天涯孤独の任侠崩れ「与太郎」と伝説的存在の大名人有楽亭八雲」、その八雲を殺したいほど憎みながら同居する「小夏」との間で展開される奇妙、且つ複雑な人間模様、同時に3人の影で見え隠れする落語の亡霊有楽亭助六」の存在を描く。


2016年冬シーズンにアニメ化が決定し、アニメイズム枠で放送予定。


特徴

本筋の時代設定は平成初期であり、昭和の名残を色濃く残す落語家が物語を彩る主要人物として関わるため、それに準じた風景や小道具が数多く登場する。また、主題が落語である事から東西を問わず様々な噺が登場し、見所や解説を交えながらその一部始終を見せる、そして単行本巻末には筆者による落語や寄席を楽しむためのコラムが収録されている演芸入門書としての側面を持つ。


登場人物

有楽亭一門

江戸落語を代表する亭号の一つ。八雲は有楽亭の止め名(最高位)であり、どの代も名人と謳われた実力者揃いであるため、この名跡を襲名するには八雲の重責を全うするに相応の品性と実力を兼ね備える必要がある。定紋は『に並び』だが、八雲のみ替紋『瑞雲』の使用が許される。


  • 与太郎(よたろう)


本作の主人公。幼い頃に両親を亡くして頼る身寄りも無く、のように慕っていた人物を追う形で任侠の道に入るが、抜けを条件に懲役3年の肩代わりを言い渡される。模範囚として平穏に刑期を過ごす中で慰問演芸会に訪れた八代目が演じた『死神』に惚れ抜き、満期を迎えて出所したその足で八代目の下へ訪れ、直談判の末に初めての内弟子として引き取られる。本名は「強次」(きょうじ)だが、苗字は不明。


弟子入りまでの経緯から教養こそ浅いが、持ち前の人懐っこさと不思議な可笑しみ、天真爛漫な性格で人に好かれやすく、どこか間の抜けた様子を八代目が落語になぞらえて「与太郎」と呼んだことから通り名、ひいては前座名となる。


内弟子修行中に取り返しの付かない失態を犯して一度は破門の身となるが、八代目が提示した条件を飲む形で復帰を許されて以降は必死に芸を磨き、入門13年目で迎えた真打昇進に際して名跡『有楽亭助六』の三代目を襲名する。


  • 有楽亭八雲(ゆうらくてい やくも)

八雲


世間からは「昭和最後の名人」、席亭の主人連中からは在所に因んで「向島の師匠」と呼ばれ、八代目八雲として有楽亭の名を今に受け継ぐ孤高の落語家。寄席の前で松田に食い下がる与太郎をカタギではない事を一目で見抜くが、話を重ねるに連れてその風変わりな内面に面白さを覚え、道楽半分に内弟子としてその身を預かる。前座名は「菊比古」(きくひこ)。


「おまいさん」「あすこ」などの下町言葉を常用する戦前の風雅を色濃く漂わせ、生家が芸事を生業としていたために一通りの歌舞音曲にも深く通じる一方、スリーピースなどの洋装も自在に着こなす。芸事の家に男として生まれた上に足を悪くした二重の悲運からなし崩しに七代目の下へ弟子に出され、さらにそこで出会った後の助六が見せる天賦の才に惚れつつも嫉妬を隠せないなど、外観の精悍さに反して苦悩に満ちた半生を送った事実から極めて気難しく複雑な性格を持つ。


落語の衰亡を誰よりも怖れる一心から第一線を走り続ける中で、まるで覚悟の違う与太郎が予期せず起こした失態に失望にも似た怒りを覚えて破門を言い渡すも、どうあっても離れようとしない与太郎に一縷の望みを賭けて条件付きの復帰を許し、真打昇進の際に三代目助六を襲名させる。


  • 有楽亭助六(ゆうらくてい すけろく)

寿限無


小夏の。八雲と共に戦後の江戸落語界を牽引し、妙技を尽くす天才の名を欲しいままにしながら影に埋もれていった末に早逝した非業の落語家。両親の顔すら知らぬ捨て子同然の身であり、天狗連として落語を講じていた老人に拾われて養ってもらっていたが、その老人の死を契機に七代目の門を叩きに向かったその日に後の八代目と出会う。前座名は「初太郎」(はつたろう)。


入門当時から既に大ネタの『文七元結』『野ざらし』『明烏』『船徳』『よかちょろ』などを聞き覚えていた上、大きな縁故を前提に入門した八代目の通学、疎開などの優遇に反して七代目のカバン持ちとして戦地慰問にまで赴いた生活即落語の毎日を送った叩き上げであり、二つ目にして大いに座を沸かせる緩急自在の話術で頭角を現す。しかし、誰よりも落語を愛する心を決して曲げない意志、さらには自身が名乗る助六の因縁から七代目と対立して破門の身となる。


  • 小夏(こなつ)

二代目助六の忘れ形見である一人娘。立て続けに両親を失い、身寄りの無い所を八代目に引き取られる。父を死に追いやった元凶が八代目にあると信じて疑わず、同居こそしているものの事ある毎に憎しみを露わにして糾弾する。の身であるがために父の遺志を継いで落語家になれない事実を心底悔しく思い、それでもなお父の落語を愛するがゆえに八代目に隠れて独り稽古に勤しむ一面を持つ。


与太郎が内弟子となってからは形式上の兄弟子として稽古に付き合うようになり、自身の成果を通じて助六の型で演じられた『出来心』を仕込む。


  • 七代目八雲

八代目と助六の師匠。かつて色々と世話になった知古の縁から八代目を、時を同じくして押し掛け同然で転がり込んだ助六を二人揃って内弟子に迎え入れる。しかし、「絶対に有楽亭八雲の大名跡を受け継ぐ」と大言して憚らず、若手随一の実力者でありながら日に日に女癖の悪さや金銭の無心など日頃の素行が目に余る助六を快く思わなくなり、落語の行く末を憂う意見の対立から遂に「有楽亭助六の看板を背負ったまま破門」という生殺しに等しい重罰を課す。


その他

  • 松田(まつだ)

七代目と八代目の二代に渡って仕える使用人であり、八代目と助六を入門当日から知る唯一の存命者。七代目の頃から女将と共に炊事、洗濯、掃除などの家守に務め、独身を貫く上に内弟子を取らない八代目からはカバン持ち、スケジュール管理、での送迎なども一手に担う。


  • みよ吉

小夏の。戦前は芸者を務め、その縁から八代目と出会って密かに心を寄せていたが意思の相違から破談となり、時を同じくして破門の身となった傷心の助六と共に東京から姿を消す。後に、八代目が行方を突き止めて地方温泉街に足を運んだ時には既に助六と小夏を捨て、再び行方をくらましていた。


  • 円家萬歳(つぶらや ばんさい)

萬月の父にして、100人以上の弟子を抱える上方落語界の重鎮。八代目の高座が湯呑みを備える江戸落語伝統の形を取るのと同じく見台、膝隠し、叩き、小拍子を備える上方落語伝統の形を取る。萬歳が十八番とする『応挙の幽霊』は八代目が自身のネタに加えてさらに練り上げたほどの絶品だが、近年では高齢から来る体力の衰えに加えて舌のもつれが顕著になりつつある。本名は「淀川公男」(よどがわ きみお)。


  • 円家萬月(つぶらや まんげつ)

萬歳の実子。幾度と無く八代目の門を叩いたが断られ続けて遂に諦めた苦々しい過去を持ち、萬歳に弟子入りしてもなお八代目に尊敬の念を絶やさない反面、内弟子に入り込んだ与太郎にはあからさまな嫉妬を抱いている。


  • 初代助六

助六の養い親。天狗連に属して落語を披露する日々の中で助六を拾い、寄席を代わりにして貧乏所帯の二人暮らしを始める。かつては有楽亭一門に属したとも、七代目と因縁の深い間柄とされたとも言われているが、その真相を明かさぬままに世を去る。


  • アマケン

雑誌記者。幼い頃から落語を愛し、とりわけ八代目を尊崇する熱烈なファンであり、同じく文芸評論の道を歩んだ父に連れられて何度も八代目の楽屋を訪れた経験を持つ。痛烈な嫌味を含んだキザな物言いが目立つ一方、行き詰まりを感じていた与太郎の心境をはっきりと言い当てる確かな分析力と観察眼を持つ。


関連タグ

講談社 ITAN 落語

有楽亭八雲


外部サイト

アニメ版ティザーサイト

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