開発経緯
第二次世界大戦末期、ドイツ軍で開発されたStG44は銃器界に突撃銃という新しいカテゴリをもたらした。
これに注目していたソビエトのミハイル・カラシニコフは、戦車兵として第二次大戦で戦って負傷した際、ドイツ兵の使用するMP40やMG34などの"軽量な自動火器"の強力な牽制射撃に逃げ惑う味方にショックを受け、祖国のための新たなライフルの開発を行っていた。
突撃銃に関心を持っていた軍からの助けもあり、1947年、ソビエト全軍にカラシニコフ突撃銃、AK47が採用された。
実際は西側兵器の影響も見受けられるが、カラシニコフ氏自身はAK50周年記念のインタビューの際、「ドイツのStG44や、その他自動銃とはまったく関係ない」とコメントしている。
しかし無骨なこのアサルトライフルにはStG44の影響が各所にしっかり現れているのが良く分かる。また作動機構に関しては、米軍のM1ガーランドを参考にしていると言われる。
AK-74が開発されるまでソビエトの正式ライフルであり、ソ連崩壊後の現在も訓練用などとしての露出も多く、後継機種も現役となっている。
海外では中国で生産された56式自動歩槍(名前の似た56式半自動歩槍という銃があるが、こちらはSKSカービンを中国で生産したものなので注意)をはじめ、ルーマニア、ハンガリー、チェコ、ユーゴスラビアなど旧共産圏で大量のAK47コピーが生み出され、安いという点から中東やアフリカの紛争地域や発展途上の国々でも好まれている。
旧東側の各国で大量にコピー製造されたため、純正も含めた生産数は1億丁以上といわれており、市場では安価で取引されているためテロリストやマフィア、アフリカの反政府ゲリラなどが多く所有し、湾岸戦争以来「世界最小の大量破壊兵器」「最も人の命を奪った銃」と言う不名誉な名も付けられ、開発者のカラシニコフは、「祖国防衛のための私の銃が他の国で罪無き人々の命を奪っているのはとても悲しいことだ」とコメントしている。
ソ連の崩壊によりイジェフスクが民間企業化したことでライセンス料の徴収を始めたが、共産圏特有の問題で商品として保護がされておらず、特質した構造も無い事から特許で保護することも出来ず、コピー品の製造に歯止めが利かず、一部のまじめな企業はライセンス料を払うものの、無視して払わなかったり大きく改良を加えて別の銃であるとして支払いを拒否する企業もある。
カラシニコフ社は対策として形状を商標登録申請、形状を模倣した商品だけでなくゲーム等の映像作品であってもカラシニコフ社の許可を得ていない製品のロシアへの輸出は不可能となる。(後にロシア国外でも同様に申請をする予定)
PMSCsでは中東圏での部品や弾薬の入手性の高さ、砂塵等でのトラブルの低さ等からAKが愛用されているが、一部の予算が十分にある、西側の軍と協同する企業は信頼性を高めたAR-15等を用いることが増えている。
二次元でもその存在感やメディアでの露出から多用される事が多いが、やはりテロリストやマフィアの所持が多いが、ゲームにおいては主人公の初期装備とまではいかなくてもたいてい反動は大きいが高威力な設定で、敵が使用していて弾が手に入りやすいことなどから使用するユーザーも少なくないようだ。
基本データ
全長 | 880mm |
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銃身長 | 415mm |
重量 | 4,300g |
口径・薬莢長 | 7.62mm×39弾 |
装弾数 | 30発 |
有効射程 | 600m |
初期のアサルトライフルである為に鉄製/木製のパーツで構成されており、やや重い事は否めないがなによりもジャミングが少なく、泥にも砂にも水にも衝撃にも錆びにも強いという"信頼性"においては、イギリスのL85は勿論そのほかの国の小銃より一線を隔している。
劣悪でめちゃくちゃな環境でもしっかり動作し、構造が単純ゆえにジャムの対処も簡単で、高価になるとはいえ削りだしのレシーバーを採用することで落とそうが踏まれようが容易に変形しない頑丈さはどこへ行っても好かれる存在である。(パチモノや他社製品のプレスモデル、イジェフスク製であっても初期・現行型のプレスモデルは変形しやすいが、そもそも踏んでしまうような扱い方は前提ではない)
そういった点が銃を扱いなれていない新兵の多いソ連・ロシア軍だけでなく、メンテナンスを怠りやすく過酷な条件下の多い中東やアフリカのゲリラに好まれている理由のひとつでもある。(当たり前ではあるが全くクリーニングをせずに撃ちつづければ故障するし最悪は壊れてしまう。雑なメンテナンスや保管状況であっても故障しにくいのが本来のウリである)
しかし弱点もある。まず木製ハンドガードの内部にはまともな遮熱機構がなく、30発連続で撃ち切ると非常に熱くなり素手で触れなくなり(寒冷地での作動しか考えられてなかったのかも)それでも撃ち続けるとハンドガードが燃え出してしまう、木製のストックなので時間経過や射撃の振動、乾湿で膨張と収縮がおきる事で木ネジが緩んでくる、シアスプリングやトリガーユニット等の小部品が錆等で破損しやすい、東側で主流となっている鉄製薬莢が薬室に張り付きやすいといった点、次に述べる反動(特に反動によるマズルジャンプ)の強さは大きな欠点と言える。
7.62mmという一般的な小口径アサルトライフル(5.56mmが主流)に対して一回り大きな口径ゆえに反動が大きい、ただし勘違いされがちだが使用されるのはNATO規格の7.62mmライフル弾に対し薬莢が短く装薬が少ないアサルトライフル弾である。
銃弾由来の反動もさることながら、強烈なマズルジャンプはその構造によるところも大きい。
今日のアサルトライフルの雛形を作ったと言ってよいAR-15系の小銃と比べ、重く大きいボルトはロングストローク・ガスピストン方式によって大きく前後に移動し銃自体を強く揺さぶる。
またAKの7.62mm弾は威力はあるが低初速な性質上、銃口の外に弾頭が抜けるまでに(5.56mm口径の高速弾と比較してではあるが)時間がかかり銃身内にかかる後退圧力が大きくなってしまう。そして重いボルトを前後に安定して動作させるため、確実に激発させるために雷管を必要以上に強く叩く方式を取っていることで大口径弾の強反動とグリップ位置の都合から構造物が動いて銃が右上に跳ね上がってしまうといったことが大きな反動の原因となっている。
何よりこの反動を支えるためのストックが銃身より低い位置にある曲銃床であり、銃身の跳ね上がりを増す結果になっている。(現在の一般的なアサルトライフルでは直銃床となっており、ボルトの後方に配置され、反動を肩で直接受け止められるようになっている。)
一方AR-15系は弾薬が小さかったこともありボルトの作動にはガス直接利用方式(ダイレクトインピンジメント式)をとっており、ボルト本体が小さく前後動の距離が短いためほとんど発砲の反動のみとなり、弾薬の低反動さと相まってAKに比べると非常に当てやすい銃であった。これがのちにソ連がAK-74と5.45x39mm弾を開発した理由の一つでもある(一番の理由は、西側の小口径高速弾化に遅れを取りたくなかったことらしいが)
また、低い命中精度にさらに拍車をかけているのが古い設計のアイアンサイトである。
AK47のアイアンサイトはいわゆるミリタリータイプタンジェントサイトという銃の歴史のなかでも最初期の調整式照準器(第二次大戦まではこのタイプがほとんどだった)で平板の側面にノッチサイトを載せたガイドと彫り込みがあり、ガイドを前後に移動させることで高さを変えて距離にあわせて使うもので、これ自体は単純で扱いやすく遠距離にも対応できるのだが、
銃の上面後半部のレシーバーカバーは整備性を考慮したため安易に取り外せる状態の上に薄い金属プレスで製造されており照門の設置には不向きで、より前方のハンドガード後端にこのタンジェントサイトを設置せざるを得なかった。
このため一般的な小銃よりサイト間の距離が短くなり近距離には強いが、遠距離に対しては狙いづらくなってしまった。
きちんと製造された個体であれば命中精度もそう悪くはないのだが(ただし純正品のグルーピングで100ヤード6MOAとこの数字はライフルとしてはかなり低い)ソ連以外の国々で安い材料と工作機械で乱造された低品質なAKが命中精度に於ける悪評を生んでいるとも言われる。
いかにAKと言えどそのような製造環境で造られた個体は動作の信頼性も著しく低くなっている。
当然そのほかの銃でも同じことが言えるが、やはり正規品よりコピー品や密造品の方が多いといわれるAKならではの問題である。
アメリカでは国内のガンメーカーがカスタマイズAKを製造しており、内部をガリルを参考にアンビセレクター化(両側にセレクターがある)等の様々な改良を施した機関部、AR-15系(主にM4)の部品を流用したスライド式の銃床、レール付きのハンドガード、レール付きの高強度削りだしレシーバーカバー、レシーバーカバーの上から被せるアッパーマウントレール(リアサイト部とストック基部での二点固定)、ボルトを後退位置で固定できるセレクターレバー、MINIMIやAR-15のグリップを装着する部品等、様々なカスタムパーツが販売されており、それらを使用したモダナイズドAKも製造・販売されている。
アメリカの銃規制法の関係でレシーバーなど主要部品の輸入は難しく、東側諸国の製品は何かあればすぐに輸出規制の対象となるために安定した入手は難しいという事も有り、国内製造しなければならないといった理由もある模様。
一方でカラシニコフ社も対策を進めており、カラシニコフUSAを設立、アメリカ現地法人での主要部品の製造を開始している。
中小企業だけでなくSurefire社やTDI社といった大手企業からもカスタマイズパーツが発売されており、AR-15と並ぶほどに市場が確立している。
マズル部はM14ピッチ1.0逆ネジが切られており、AKMや社外品のハイダーへの交換が可能な事からそれらから流用した部品によりカスタマイズがされた銃もある。
(余談ながら東京マルイが電動ガン化した際にマズル部のネジを規格ごと再現した為、規格の共通化のために以降の製品は実銃のネジ規格は無視されて全てM14P1.0LHとなった)
ハイダーの固定はスプリングによりテンションのかかったピンで固定されており、クラッシュワッシャーのような消耗品は使用されていない。
近代化や、旧西側諸国にマーケットが拡大したことにより、スライドストック化やRAS化、NATO加盟国のアサルトライフルの使用弾薬である5.56mmNATO弾を使用する姉妹機の開発などもされ、互いに仮想敵国であったアメリカの市場でも人気があり、アメリカの企業でも製造されている事などから史上最も成功したアサルトライフルといえよう。
(ただし米国シューターにとってはAKはあまり評判は良くない、彼らにとってAKはまっとうなライフルとして見てない場合が多く、更に信頼性が高いが故に排莢力が強く屋根のあるシューティングレンジの場合薬莢が屋根に当たり、白い目で見られるならいざ知らず最悪シューターの怒りが最高潮になる事も)
ちなみにブルパップ方式を採用したAK47もあるがあまり知られていない。
一般では他のAK系と混同される事も少なくないので注意されたし。