「ハモンドさん。慎重に検討してみたんですが、やっぱり、推薦状なんて書けませんよ。」
演:サム・ニール
概要
アメリカ・モンタナ州の古生物学者で、恐竜(主にヴェロキラプトル)の発掘・研究を行っていた。
ある日、発掘現場を訪ねてきたジョン・ハモンド(リチャード・アッテンボロー)からある島のテーマパークに恋人であるエリー・サトラー(ローラ・ダーン)の共に招待される。
原作版
子供好きで何よりも発掘調査を愛する男。博物館にこもってばかりの同業者には批判的な側面を見せる。
ティラノサウルス・レックスに襲われた子供達でハモンドの孫であるレックスとティムを助け、ティラノサウルスの襲撃もマルドゥーンの助けで切り抜け生還した。
正義感も強く、責任から逃れようとしたジェナーロを一喝する一面も。
ボートに乗って川を渡ろうとしたらティラノサウルスに追いかけられる、襲いかかってきたラプトルに猛毒の入った卵を食わせて撃退する、野性化したラプトルの調査を行なうなど、映画版よりアグレッシブな活躍が多い。
映画版
原作版と違い、ラプトルの話で子供を怖がらせて泣かすなど、子供嫌いな設定となっている。だが、子供たちが危険な目にあった時には、決して見捨てることはなく、本心から嫌ってるわけではない。(作中序盤で子供を怖がらせた事に関しても、ラプトルを「デカい七面鳥」とバカにされたのがきっかけ)
また機械音痴だったり、ヘリのシートベルトをうまくしめられずに無理矢理結んで誤魔化したりと、天然ボケな1面を見せる描写もある。
蘇った恐竜達を見た時は興奮を隠せず『僕らは失業だ』との感想だったが、冷静になるにつれてパークが極めて不安定な存在であることを見抜き、緊急事態になった際にはカオス理論の数学者であるイアン・マルコム(ジェフ・ゴールドブラム)と協力して、アレクシス・マーフィー(レックス)(アリアナ・リチャーズ)とティム・マーフィー(ジョセフ・マゼロ)を救出し、ティラノサウルス・レックスやヴェロキラプトルの襲撃から二人を守りながら行動を共にする。途中で合流したエリーら共々、ラプトルに襲撃にされて危機に陥るが、腹を空かせたティラノサウルスの偶然ながらの助太刀により、無事に生還を果たした。
ちなみにこの時、何を決心していたのか、ずっと持っていたラプトルの爪の化石を、自らの意思で捨てている。
その理由は、誰にも分からない。
第2作
マルコムが主人公という事もあり、作中では彼の事は一切語られておらず、どこで何をしていたのかも不明だが、ティラノサウルスによるサンディエゴ事件の時に現場にはいなかった事だけは、第3作で解明される。
第3作
恐竜男のおじさん。
理由は最後まで解明されていないが、エリーとは既に破局している。それでもなお、お互いに信頼し合っている。
第1作の時点で世界的な古生物学者であったが、ジュラシック・パークの件で更に著名となったようである。だが、本物の恐竜で研究すべきではと言う野次じみた意見にも、ジュラシック・パークに関して本人は「アレは恐竜ではなく怪物」(シリーズに登場する恐竜や古生物はいずれも「カエルなど他の生物の遺伝子を混ぜたキメラ」であって純粋な恐竜ではないため、この見方はある意味正しい)「ジュラシック・パークについて話す事は無い」とし、世間の好奇の視線に晒されながらも発掘調査を続けている。
ある日、ポール・カービー(ウィリアム・H・メイシー)、アマンダ・カービー(ティア・レオーニ)夫妻の偽の資金援助話に乗せられ、助手のビリー・ブレナン(アレッサンドロ・ニヴォラ)と共に、恐竜が生息しているイスラ・ソルナ島を訪れることとなる。ティラノサウルスに追いかけられたり、スピノサウルス、ヴェロキラプトル、プテラノドンに襲撃されたりしながらも、エリック・カービー(トレヴァー・モーガン)と共に生還を果たす。しかし、ビリーはプテラノドンの襲撃で重傷を負ってしまい、研究資金を得ることは、もちろん出来なかった。
この頃には、子供嫌いを完全に克服しており、エリーの息子に恐竜の事を教えたり(この時、「恐竜男」とあだ名を付けられた)、エリックともマルコムの著作への少々の批評で意気投合していた。
しかし機械音痴はそのままらしく、それをネタにビリーから「先生はコンピューターはお好きでしょ?」と問われたところ、「私はアナログ人間だ」と答えている。
ジュラシック・パークについては「神への冒涜」だと吐き捨てるなど批判的な態度を崩しておらず、ラプトルの卵を盗み事態を悪化させたビリーに対しても「ここのパークを作った連中と同じだ」と厳しく非難した(その後、ひどいことを言ってしまったと悔やんでいたが)。
第4作(ジュラシック・ワールド)
映画において直接の登場はないが、小説版によれば前作(Ⅲ)で見たラプトルのコミュニケーションに関する報告書を提出していたことが明かされている。この報告書はオーウェンがラプトルの調教をするにあたって、大いに参考になったとみられる。
備考
島に渋々ながら行った理由は二作共、資金援助が条件として出たためである。研究熱心だが調査の為の資金不足が悩みの種となっており、現金な性格である(現実でも研究者が資金不足に陥りがちなのはよくあることではある)。
ちなみに、彼が子供の頃から一番好きな恐竜はトリケラトプス(これはスピルバーグが好きな恐竜でもある)。
モデルとなったのは、実在の古生物学者で、マイアサウラの発見・命名や、ティラノサウルスの腐肉食説で有名なアメリカの古生物学者ジャック・ホーナー、鳥類の起源や獣脚類全般の権威であるカナダのフィリップ・カリー。小説版の小畠郁生氏の解説によると、恐竜の絵画では著名なグレゴリー・ポール氏にもインスパイアされた部分があると記している。
映画初期の絵コンテでは、ロバート・バッカーのようなお髭の生えたおじさんとして描かれていた。
また、第1作と同じくスピルバーグの監督作品であるインディ・ジョーンズのインディが着用している物と同型の帽子を着用している。
なお、サム・ニール氏が同じシリーズで同じ役を2度も演じたのは、実はこのグラント博士が初。