イアン・マルコム
いあんまるこむ
カオス理論を提唱するテキサスの数学者。アラン・グラント(サム・ニール)やエリー・サトラー(ローラ・ダーン)と共にジュラシック・パークを訪れることとなる。
皮肉屋で口が悪く、ジョン・ハモンド(リチャード・アッテンボロー)とは犬猿の仲。数学者だが自然界の在り方や生命倫理に対しても深い考えを持っており、自然や生命を自分勝手に弄ぶハモンドやインジェン社に対しては一貫して批判的な意見を浴びせている。
しかし、根は実直で命懸けで子供たちを助けようとするなど好人物である。
『ジュラシック・パーク』
- 原作版
原作での容姿は映画版のエディ・カーと同じ頭が禿げ上がった中年である。中盤、柵を抜け出したティラノサウルスから逃げようとして失敗し負傷。何とか回収されたものの、その後はうわ言のように自然の力の強大さやカオス理論を説くようになり、やがて昏睡。一行が島を脱出する際にはそのまま島に放置された。エピローグではハモンドと共にその埋葬の困難さについても述べられるなど、この時点では明らかに死亡した設定であった。
しかし続編では、その後コスタリカ軍に助けられ生還したことが判明する(確かに、明確に死亡シーンが描かれたわけではないので辻褄が合わないという事はない)。
- 映画版
黒いスーツスタイルの服装と黒いサングラスが特徴。恋人のグラントの前でエリーを口説こうとするなど女好きで軽い性格をしており、離婚歴があり複数の妻がいる。
子供が三人いると言う設定が追加され、子供好きとして描かれており、中盤で重傷を負う原因が、ティラノサウルスから嫌っているハモンドの孫であるレックスとティムを救い出そうとして失敗するという流れに変更されている。
恐竜を蘇らせた事については終始批判的であり、初めて恐竜(ブラキオサウルス)を見た時にも「信じられん、恐竜を蘇らせたのか。(日本語字幕)」「ハモンドの奴、本当にやりやがった。(日本語吹き替え)」と口走るが、その直後には恐竜たちを見ていて思わず笑みを漏らしている。
その後は物語からはフェードアウトするが、特に重篤な状態に陥ることもなく無事に生還を果たす。
第2作『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』
前作から引き続き登場し、主役に昇格している。
- 原作版
自分の学説の正しさを証明する為にサイトBを訪れる。前作の負傷の影響で足が不自由で歩行の際には杖を使用するが、非常時には杖が無くても歩行は可能。ティラノサウルスの夫婦などに苦しめられるが生還する。
- 映画版
インジェン社による口封じを拒否し、イスラ・ヌブラルに恐竜が存在するという事実を公表するが、インジェン社による事件の揉み消しにより存在しない恐竜の話をしたとして嘘つきのレッテルを貼られ大学をクビになっており生活も荒れているのか自宅の部屋も汚れている。三人の子供の内の一人であり娘のケリー・マルコム(ヴァネッサ・リー・チェスター)(なぜか黒人)が登場。
ジョン・ハモンドの指示で島に向かったサラ・ハーディング(ジュリアン・ムーア)を連れ戻す為にサイトBを訪れ、恐竜の脅威を警告するが、それが全て現実のものとなる。ティラノサウルス夫婦の襲撃でトレーラーを失ってからはローランドやルドローと協力して島からの脱出を目指し、前作と同様に足を負傷し、ティラノサウルスやヴェロキラプトルに襲われるものの無事生還する。
その後、後にサンディエゴ事件と呼ばれる、本土に雄のティラノサウルスが上陸するというトラブルを、サラとの共闘で鎮圧した。
エンディングではサラ、ケリーと共に自宅のソファーで休息を楽しんでいた。
前作と比べるとかなり実直かつ生真面目な性格となっているが、相変わらず皮肉屋のままで、同じく皮肉屋で口が悪いエディ・カー(リチャード・シフ)とは馬が合い、後にティラノサウルスの夫婦に捕食されたエディを「餌」とローランドに侮辱されたときには、メンバーで唯一抗議している。
また、ティラノサウルス相手に余計な陽動をして負傷した前作とは対照的に、恐竜の性質を理解し正しい対処法をとるようになっている。
第3作『ジュラシック・パークIII』
名前だけ登場。グラントとエリック・カービーとの会話の中で、「恐竜そっちのけでカオス理論の話ばかり」「自画自賛もいいところ」と著書をこきおろされている。
第4作『ジュラシック・ワールド』
著書が登場する。オペレーターのロウリーのデスクに置いてあったり、子供たちのお目付け役でクレアの秘書のザラ・ヤングが電車の中で読んだりしている。
吹替えを担当した大塚氏は、本作ではジュラシック・ワールドを開園させたマスラニ・グローバルの設立者サイモン・マスラニの吹替えを担当している。
第5作『ジュラシック・ワールド/炎の王国』
21年ぶりに再登場し、連邦議事堂の議会にてシャーウッド上院議員の相談役を務めた。年月の経過もあり、白髪に口髭を蓄えた老人となっている。
ハイブリッド種インドミナス・レックスによる人災でジュラシック・ワールドが閉演して3年後、火山噴火が間近に迫ったイスラ・ヌブラル島の恐竜たちを救出するか否かの会議で、一部の反対意見などを受けながらも、恐竜の運命は自然に委ねるべきだと議会に助言した。
「何度証拠を見せればいいのか、何度説明すればいいのか。人は自ら滅びようとしている」
終盤、保護活動の支援をしたロックウッド財団が救出した恐竜の密売を目論んだ挙句、アメリカ本土に恐竜たちが解放された事を知る。
「多くのレッドラインを超えました。遺伝子操作の急速な進歩はすぐに破局をもたらす、これは恐竜の再生から避けられない運命でした」
「日常の中の急な変化は仕方ない、そうおっしゃる方もいる。例えば交通事故とか死に至る病とか」
「しかし予測可能な変化もあるのです。それが今起きました」
「彼らは今そこにいます。気を抜けば滅びるのは人類かも」
そして、「新時代の始まりです。ようこそジュラシック・ワールドへ」と議会で怒りを込めて皮肉り、ジュラシック・ワールド/炎の王国を締めくくる。
ちなみにこれは全ての始まりとなった1作目でのハモンドの「ようこそジュラシックパークへ」の台詞のオマージュとなっている。
第6作『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』
表向きはバイオシン社専属の講師として働いているが、裏ではルイス・ドジスンの陰謀を解明しようとしており、かつての友人をバイオシン社へと招待する。また5人もの子供を授かっていたことが判明する。
軽い性格だが意外に恐竜の命も人命も大事にする筋の通った人物である。ただし、2作目のラストでのピーター・ルドローに対しての態度は冷たい。
彼の言葉はインジェン社のような金利主義に走って後先を考えずに暴走する現代企業、引いてはそういった集団を野放しにしている現代社会に対する批判に満ちており、ジュラシック・パークという作品世界を全否定している。ある意味で作中に於けるアンチヒーローのようなポジションのキャラクターと言えるのかもしれない。
なお1作目の公開から20年後の2013年に放送された『獣電戦隊キョウリュウジャー』のキョウリュウブラック/イアン・ヨークランドは彼がモデルになっている。
軽い性格でナンパな皮肉屋だが同時に信念も併せ持つ筋が通った人物というマルコムの影響をモロに受けてるキャラクターだが、一方で職業はグラントのように考古学者だった。
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