安倍首相は、2016年6月1日に記者会見で、前回の総選挙前に再延期しないと表明した消費税10％への引き上げを、当初の2017年4月から2年半再延期すると表明。再延期を巡っては、予定通りの引き上げを主張した麻生財務大臣が国民の信を問うべきとして、衆参ダブル選挙をするよう求めたが、ダブル選挙は行わないことも併せて表明した。
また、公職選挙法が改正されたことにより、選挙権年齢が18歳以上に引き下げられてから初の国政選挙になったほか、「一票の格差」是正による定数の「10増10減」が実施された。これにより、宮城県・新潟県・長野県の各選挙区は定数4議席改選2議席から、定数2議席改選1議席に削減。鳥取県と島根県、高知県と徳島県はそれぞれ統合し、一つの選挙区とする「合区」が日本の選挙史上初めてされた。
一方、北海道・兵庫県・福岡県の各選挙区は定数4議席改選2議席から定数6議席改選3議席に、愛知県選挙区は定数6議席改選3議席から定数8議席改選4議席、東京都選挙区は定数10議席改選5議席から定数12議席改選6議席に増加した。
与党は、改選議席の過半数（61議席）確保を目標とし、安倍政権の経済対策「アベノミクス」の恩恵がすべての国民に行き渡っていないことを認めつつ、旧民主党政権時より株価や有効求人倍率などが改善していることを強調。さらにアベノミクスを加速し、景気回復を進めると訴えた。また、後述の野党共闘を「理念も政策もバラバラな野合」と批判。特に自衛隊の考え方が真逆の民進党と共産党が手を組んだことを中国の「国共合作」をもじって「民共合作」と批判した。
一方、野党は選挙前に民進、生活、共産、社民の4党が「打倒安倍政権」「安保法案廃止」「改憲勢力の2/3議席確保阻止」を旗印に連携することで合意。さらに、32ある改選1の「一人区」で同士討ちを避ける目的で、共産党が擁立していた候補者を香川県選挙区を除いてすべて取り下げ、野党4党の統一候補者に一本化することでも合意した。
