CV:洲崎綾
概要
落合が作り上げた「融合個体」と呼ばれる生体兵器、その一号。
星白型の胞衣の卵子に海苔夫(落合)が製作した人工精子を受精させる事でガウナと人類の融合に成功した生命体。
シドニア随一の圧倒的な戦闘力を持ち、目覚ましい活躍を見せるが、当初はガウナへの嫌悪感から存在を疎んじる船員も少なくなかった。
デビュー戦で敵と勘違いした衛人に攻撃され危機に陥った際、谷風長道に助けられたため長道を慕うようになり、長道を通して科戸瀬イザナや緑川纈とも友好的な関係を築いていく。結果的にこれがつむぎの幼い精神を安定させることになり、やがて多くのシドニアの船員たちにとっても頼もしい仲間となる。
容姿
衛人との連携(掌位も含む)を前提としているため、身長は同サイズの17メートル。
桃色の甲冑とドレスを纏ったような優美な外見を持つものの、尾や触手状の器官を備え、専用射出器も含めほぼ胞衣(エナ)で構成されているため、奇居子とも似ている。
このため初出撃時には新手の奇居子と認識され(人型および衛人型奇居子の前例もある)、正式に披露された際も一般船員からの拒否反応があった。
これは機能上の必然であると同時に、設計者である岐神海苔夫の思想(後述)が反映された結果とも取れる。
『シドニア百景その五十・融合個体一号格納庫』では、マスク部分を外したすっぴん状態のつむぎが確認できる(一応閲覧注意)。
性格
性格は温和で照れ屋、優しく礼儀正しい。丁寧で大人びた口調に反して精神は幼いため、寂しいときは、シドニアに張り巡らされた古い配管を通して格納庫から触手(小つむぎ)を伸ばし、その先端でコミュニケーションを取っている。
一応、機密上の存在ではあるのだが、現在では完全に公然の秘密状態と化しており、長道の家にほとんど居候状態であることも軍内部ではバレバレとなっている。
趣味は読書とお風呂とトランプで、キノコグッズを集めている。猫好きで科戸瀬家の猫と仲が良い。長道のために料理を作ろうとしたこともあるが、人間の味覚が分からないらしく一人では上手く作れない(味見してくれる人がいればちゃんと作れる)。
胞衣で形成された装甲を外皮としているため仮面のような顔立ちをしてはいるが、照れたり泣いたり焼きもちを焼いたりなど感情表情はとても豊か。(谷風曰く「つむぎは顔によく出る」)
本体が待機している専用格納庫には小さな本棚が設置されており、窓から見える星空と本棚の本以外に見るべきものがない。この境遇に長道が自らの過去を重ねたことが、つむぎを居住区に引き入れる動機となった。
なおこの本棚の中には『シドニア百景』『きのこ図鑑』等と並んで、『はらぺこゴウナ』が確認できる(アニメ版では『はらぺこガウナ』になっており、本の種類も増えている)。
能力
ヘイグス粒子をエネルギー源としており、体内に圧縮貯蔵することができるため、膨大な粒子量を保持することが可能。
これにより衛人を大きく上回るパワーと推力・機動性を誇り、数十倍の体積まで胞衣を展開させたガウナも単独で撃破している。
心臓部を破壊されない限りは殆ど不老不死に近い生命力を持つものの、再生速度はガウナには及ばず、大きなダメージを負った際には専用の設備で治療を受ける必要もある。
武装としては主に胞衣で形成した弾体加速装置を使用する他、人工カビで作られた格闘戦用の爪やブレードを持つ。
尻尾で衛人操縦席から操縦士を吸い出し、胸部指揮官席まで移動させることが可能。この能力で恒星レムに落下する実験機から長道を救出している。
ネタバレ注意
以下の記述は、原作終盤の展開に関するネタバレを含む可能性があります。
岐神海苔夫
融合個体の開発に着手した時点で、岐神海苔夫は既に身体を乗っ取られており、その正体は岐神邸の地下にシドニア血線虫の姿で潜伏していた科学者・落合である。
自身の製造者であり、また体内に搭乗して指揮を執る海苔夫のことを、つむぎは当初『お父様』と呼んでいた。
パイロットが海蘊(トクシーヌ)に替わり、日常生活は長道やイザナと過ごすようになったことから急速に親離れが進み、後の水城による遠征任務の際は『岐神さん』と呼ぶようになっている。
一方の落合はつむぎの情操教育には万全を期しているものの、彼女の存在そのものを真の目的(後述)に対する布石としており、暴走せずシドニアに貢献している限りは直接支配下に置く拘りはないことが伺える。
触手お化け騒動
基地内の女子光合成室で頻繁に目撃され、居住区でも出現したナゾの触手状生物。
その正体は後述の融合個体二号から伸びた触手器官なのだが、二号開発計画が極秘扱いであったため、纈はつむぎの仕業だと思い込んでいた。
ダミー情報として『三百年前に研究されていた食用昆虫』という噂が流されたが、仄焔・仄煉が独断で駆除作業に乗り出した結果、谷風邸とヒ山邸が破壊されるという事態に発展。
当初は極秘扱いだった長道とつむぎの同居が公然の秘密となったのも、触手お化け騒動を沈静化させるために故意に流出した可能性がある。
融合個体二号・かなた
原作では対オカリナ(小衆合船二一)戦で大破したつむぎが再生・復帰した直後から、融合個体二号の開発が始まっている。
無敵の防御力を誇る超構造体の身体に、最強の攻撃手段として重力子放射線射出装置を内蔵した究極の兵器として設計された。
しかしこれらの技術の実用化に難航したため、人格が備わった段階で本体は未完成のままであり、二号開発計画そのものが極秘扱いであったこともあって、岐神開発の研究施設内で幽閉状態に置かれることとなった。
二号に芽生えた人格『かなた』はつむぎと較べて幼く不安定なものであったが、これはつむぎのように人間と親しくなる機会が得られなかったことと、充分な情操教育が為されていなかったことが原因と思われる。
というのも、落合の真の目的は二号の肉体に自らの人格を転写し、百年越しの悲願である『究極の生命への転生』を成し遂げるというもので、かなたの人格は完全な捨石であり、むしろユレ博士の注意を逸らすために故意に不安定なままにしていた可能性すらある。
つむぎと同じく狭い空間で人間と接するための触手器官を胸部から伸ばし、気配だけは感じることができる『ともだち』を探し回った結果、シドニア各所にて上記の『触手お化け』騒動を引き起こすこととなる。
奇居子の気配を求め外生研にたどり着き、自らの母体であるエナ星白を発見したことで錯乱状態に陥り、射出装置が暴発。シドニアに甚大な被害をもたらし、凍結状態に置かれる。
またこの際、岐神海苔夫が新脳集波制御装置による制御を試みるも、二号の胞衣に侵食された装置に押し潰され、意識不明の重態に陥った。
この事態が落合にとって不測の事態であったのか、想定の範囲内であったのかは不明。新脳集波制御という技術自体がダミーであることを匂わせる描写もあり、諸々の追及をかわすため故意に海苔夫の肉体を破壊して見せた可能性も捨てきれない。
事実、シドニア血線虫によって傀儡にされていた田寛ヌミが、この騒動の最中に落合(クローン)の目の前で拳銃自殺をさせられている。
後に東亜重工が機械式の重力子放射線射出装置を完成させ、融合個体二号は解体されることになるのだが…
ちなみにアニメ版では、素材に胞衣を取り入れた重力子放射線射出装置のみが開発され、試射実験で胞衣が活性化・暴走すると言う展開になっている。海苔夫(落合)の反応から、故意に暴発させたわけではない模様。
海苔夫は無傷で避難しており、事態収拾後に改めて融合個体二号の開発を始めている描写がある。また田寛ヌミも(少なくとも肉体は)生存している。
関連イラスト
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シドニアの騎士 触手系ヒロイン 触手 ガウナ 融合個体 生体兵器