概要
西武401系の改造車であり、2両編成1本のみが在籍する。
開業100周年を記念してデビューした近江鉄道の看板車両。
愛称は「あかね号」で、これは八日市線の沿線で、「あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る」という万葉集の句を額田王が詠んだことが由来。
ところで、近江鉄道は中小私鉄とは思えぬほど高い技術力を持っており、500系を自社製造してしまうほどである。
その技術力をふんだんに生かして製造されたのがこの700系あかね号である。
このあかね号、冒頭でも述べたが、西武401系からの改造である。
401系や他の401系から改造された車両たちと比べて見てほしい。誰がこの車両を元401系だと思うだろうか。
どんな改造が施されたのかをみていこうと思う。
主な改造点
- ブレーキの電気指令式化 近江鉄道では旧性能車にも電気指令式化が行われており、それが700系にも行われた。
- 車体端部の切り取り 車両限界対策で車両側も少々削られており、近江鉄道の西武401系改造車の特徴となっている。
- パンタグラフ1基撤去 前面側のパンタグラフが撤去された。
- 電気連結器の撤去 西武では2両単独で使用することはほぼなく、他の車両と連結して運用されていたが、近江鉄道では2両以上になることはまずないので、電気連結器が不要となり撤去された。
- ワンマン化 近江鉄道では1987年5月からワンマン運転が行われているため、整理券発行機や、運賃箱、自動放送装置などが設置された。
- 前面の交換 流線型風の前面に付け替えられた。前面窓は大型化し、運転台側面に三角の小窓も装備。ライトも角形のものが取り付けられた。
- スカートの取り付け 401系にはスカートがなかったが、灰色で大型のものが取り付けられた。
- 側面窓の大型化 従来の「日」の字のような側面窓をすべて取り払い、連続的な大型窓に交換。
- 貫通路の縮小 401系の広幅貫通路を狭幅貫通路へと変更している。
- 座席の交換 もともとロングシートであったが、車端部の車椅子スペース付近以外はすべて転換クロスシートに交換されている。
この転換クロスシートは、もともと国鉄185系特急形電車の普通車に用いられていたものと同じものであり、185系のリニューアルに際して使われなくなった座席を譲り受けたものではないかと言われている。
ちなみに185系時代のシートピッチは910mm、近江鉄道は1020mmと、特急型よりゆったりとした座席配置となっている。
…もう一度言うが、これらの改造はすべて自社の彦根工場で行われている。本当に近江鉄道は中小私鉄なのだろうか。
形式一覧
- 701
貴生川・多賀大社前・近江八幡方の制御電動車。
パンタグラフ、主制御器、主抵抗器を搭載している。
- 1701
米原方の制御電動車。
パンタグラフのない車両。
電動発電機、コンプレッサーを搭載している。
兄弟車
西武401系から改造された車両たち。
近江鉄道
- 800系
- 820系
三岐鉄道
- 101系
上信電鉄
- 150系
余談
『烈車戦隊トッキュウジャー』のエンディングのコーナー・「みんなの列車コーナー」の第37駅でこの車両が紹介されたことがある。