概要
対象の数値や数式同士を足す、合わせて数を増やす、増える計算。
「加法」「加算」とも呼ばれ、その結果を「和」と言い、演算子には「+」が用いられる。
整数や複素数のみならず、ベクトルや行列においても交換法則・結合法則が成り立つ。
逆演算は引き算。
足し算においては0に影響力が無く、A+0=A=0+Aである。
この性質により、0は加法単位元(足し算に関する単位元)と呼ばれる。
ベクトルの場合は正確には零ベクトル(要素が全て0のベクトル)、行列なら零行列(要素が全て0の行列)が加法単位元となる。
単に単位元と言うと、1が掛け算に関する単位元だったりするので注意が要る。
「単位」という表現は「単位体積あたり」「単位ベクトル」など、むしろ1に通じる意味合いで使われる事が多い。
A-0=Aでもあるが、0-A=-Aであるため、引き算に関する単位元とは言えないが、右単位元であるとは言われる。
また、プラスとマイナスを反転させた数を反数と言うが、反数との足し算は、加法単位元である0になる。
つまりA+(-A)=0である。
この性質により、反数は「足し算に関する逆元」と呼ばれる。
ベクトルや行列においては、要素数や行数・列数が一致しているもの同士の場合にのみ定義されている。
掛け算とは異なり、スカラーとの足し算も定義されていない。
論理における足し算
論理演算や集合におけるORと結び付けられ、結果をそれぞれ論理和、和集合と言ったりする。
ただAND⇔掛け算の場合とは異なり、OR⇔足し算、真⇔1、偽⇔0の置き換えでは、1+1の場合が2となるため完全な一致はしない。
真⇔∞と置き換えた場合は一致するが、こちらは掛け算については0×∞が不定形となり一致しなくなる。
足し算をORと見た時、ANDに相当する演算は、用途によって幾つか考えられる。
真を1、偽を0とする見方は割合や確率と通じるものがあるが、この場合では「1-((1-a)+(1-b))」が相当し、式を簡単にすれば「a+b-1」つまり「足して1を引く」となる。
描画モードにおける加算に対するAND版もこの方式となり、これは色反転したもの同士を加算して再び色反転する処理となるが、マイナーな描画モードであるようで名前は不明。
一方、通常の実数の範囲では真⇔∞、偽⇔0のように見た方が合う事もある。
これに当てはまる代表としては「逆数の足し算の逆数」があり、これは並列抵抗の合成を求める時の計算である。
抵抗をコンダクタンスとして見た場合は逆に、並列は足し算となり、直列はこの計算となる。
式で書くと「1/(1/a+1/b)=ab/(a+b)」であり複雑であるが、これを平行の記号を演算子として用いて「a∥b」と表現する事がある。
対して、掛け算をANDと見た時も、ORに相当する演算が幾つか考えられる。
割合などの場合では「1-(1-a)(1-b)」が相当し、式を簡単にすれば「a+b-ab」となる。
この方式は「スクリーン」と呼ばれる描画モードでも使用されている。
描画モードにおける加算
色の値を足し算し、最大値を超えたら最大値に合わせる、という処理となっている。
結果は必ず元と同じか明るくなり、デジタル8色同士ならばORと同じ働きとなる。
同様の処理に先述のスクリーンや比較(明)があるが、これらと比べると明るくなり易く、それ以上に白飛びが起こり易い。
加算とは別に「加算(発光)」が設けられている事もある。
重ねられる側のみを色反転させた上で加算し、更に色反転を行うと減算の処理となる。
これは足し算⇔引き算的な意味合いで、加算と対となる処理である。
もう一つ、OR⇔AND的な意味合いで対となるものとして、先述の「色反転したもの同士を加算して再び色反転」がある。
これは「重ねる側のみを反転して減算」でも同じ効果が得られる。
需要が低いのか実装されている事はまず無いようだが、乗算よりも暗くなり易く、黒つぶれし易い処理となっており、闇のエネルギー的なものを表現するのに使える場合もあるかもしれない。
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