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国際組織犯罪防止条約の編集履歴

2017-12-31 13:05:55 バージョン

国際組織犯罪防止条約

こくさいそしきはんざいぼうしじょうやく

国際組織犯罪防止条約とは、組織的な犯罪集団への処罰や対抗措置を定めた国際条約である。

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概要

正式名称は『国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約』。『TOC条約』とも呼ばれる。

国際連合にて2000年11月15日に採択され、イタリアのパレルモにて署名会議が行われたことから『パレルモ条約』とも呼ばれている。

犯罪組織に対する処罰や対抗措置が定められた国際条約であり、「犯罪組織への参加・共謀」「犯罪収益の洗浄(いわゆるマネー・ローンダリング)」「司法の妨害腐敗(公務員による汚職など)」などが対象となっている。


詳細

この条約では、

「重大な犯罪の実行についての合意、犯罪収益の資金洗浄を犯罪化すること、条約の対象となる犯罪に関する犯罪人引渡手続を迅速に行うように努めること、また、捜査、訴追、及び司法手続において最大限の法律上の援助を相互に与えること」

などを規定としている。


本条約の内容を補足する条約として、3つの議定書が作成されており、これらの議定書を締結するためには、先に本条約の締結が必要となる。内容は以下の通り


議定書

「人身取引」に関する議定書

人身取引を防止し、これに対処するための協力を促進する国際的な法的枠組みの構築を目的とした議定書。

「密入国」に関する議定書

移民を密入国させることを防止し、これに対処するための国際的な法的枠組みを構築することを目的とした議定書。

「銃器」に関する議定書

銃器等の不正な製造及び取引を防止し、これに対処するための協力を促進するための国際的な法的枠組みを構築することを目的とした議定書。


主な内容

第2条:用語・第3条:適用範囲

  • 本条約において「組織的な犯罪集団」とは、三人以上の者から成る組織された集団であって、物質的利益を得るため重大な犯罪又は条約に従って定められる犯罪を行うことを目的として一体として行動するものをいう。
  • 本条約において「重大な犯罪」とは、長期四年以上の自由を剥奪する刑又はこれより重大な刑を科することができる犯罪を構成する行為をいう。
  • 本条約において「組織された集団」とは、犯罪の即時の実行のために偶然に形成されたものではない集団をいい、その構成員について正式に定められた役割、その構成員の継続性又は発達した構造を有しなくてもよい。
  • 本条約は、別段の定めがある場合を除くほか、第5条、第6条、第8条及び第23条の規定に従って定められる犯罪並びに重大な犯罪であって、性質上国際的なものであり、かつ、組織的な犯罪集団が関与するものの防止、捜査及び訴追について適用する。

第5条:組織的な犯罪集団への参加の犯罪化

  • 締約国は、次の一方又は双方の行為を犯罪とするため、必要な立法その他の措置をとる。
  • 物質的利益を得ることに関連する目的のため重大な犯罪を行うことを一又は二以上の者と合意することであって、国内法上求められるときは、その合意の参加者の一人による当該合意の内容を推進するための行為を伴い又は組織的な犯罪集団が関与するもの
  • 組織的な犯罪集団の目的等を認識しながら、組織的な犯罪集団の犯罪活動等に積極的に参加する個人の行為
  • 締約国は、組織的な犯罪集団が関与する重大な犯罪の実行を組織し、指示し、ほう助し、教唆し、若しくは援助し又はこれについて相談することを犯罪とするため、必要な立法その他の措置をとる。

第6条:犯罪収益の洗浄の犯罪化

  • 締約国は、自国の国内法の基本原則に従い、次の行為を犯罪とするため、必要な立法その他の措置をとる。
  • 犯罪収益の不正な起源を隠匿すること等の目的で犯罪収益である財産を転換し又は移転すること及び犯罪収益である財産の真の性質等を隠匿し又は偽装すること。
  • 犯罪収益である財産を取得し、所持し又は使用すること。
  • この条の規定に従って定められる犯罪に参加し、これを共謀し、これに係る未遂の罪を犯し、これをほう助すること等
  • 締約国は、すべての重大な犯罪並びに第五条、第八条及び第二十三条の規定に従って定められる犯罪を前提犯罪に含める。自国の法律が特定の前提犯罪を列記している締約国の場合には、その列記には、少なくとも、組織的な犯罪集団が関連する犯罪を包括的に含める。

第8条:腐敗行為の犯罪化

  • 締約国は、次の行為を犯罪とするため、必要な立法その他の措置をとる。
  • 公務員に対し、当該公務員が公務の遂行に当たって行動し又は行動を差し控えることを目的として、当該公務員等のために不当な利益を約束し、申し出又は供与すること。
  • 公務員が、自己の公務の遂行に当たって行動し又は行動を差し控えることを目的として、当該公務員等のために不当な利益を要求し又は受領すること。

第12条:没収及び押収

  • 締約国は、自国の国内法制において最大限度可能な範囲で、この条約の対象となる犯罪により生じた犯罪収益及びこの条約の対象となる犯罪において用い又は用いようとした財産等の没収を可能とするため、必要な措置をとる。

第15条:裁判権

  • 締約国は、犯罪が自国の領域内で行われる場合及び犯罪が自国の船舶内又は航空機内で行われる場合において、第5条、第6条、第8条及び第23条の規定に従って定められる犯罪についての自国の裁判権を設定するため、必要な措置をとる。締約国は、犯罪が自国の国民に対して行われる場合等にも、自国の裁判権を設定することができる。

第16条:犯罪人引渡し

  • この条約の対象となる犯罪並びに第5条、第6条、第8条及び第23条に規定する犯罪並びに重大な犯罪であって、組織的な犯罪集団が関与し、かつ、引渡しの請求の対象となる者が請求を受けた締約国の領域内に所在するものについてこの条を適用する。ただし、請求に係る犯罪が請求を行った締約国及び請求を受けた締約国の双方の国内法に基づいて刑を科することができるものであることを条件とする。
  • この条の規定の適用を受ける犯罪は、締約国間の現行の犯罪人引渡条約における引渡犯罪とみなされる。
  • 請求を受けた締約国は、状況が正当かつ緊急であると認められる場合において、当該請求を行った締約国の請求があるときは、その引渡しが求められている自国の領域内に所在する者の抑留等を行うことができる。
  • 締約国は、この条の規定の適用を受ける犯罪につき容疑者が自国の国民であることのみを理由として引渡しを行わない場合には、犯罪人引渡しの請求を行った締約国からの要請により、不当に遅滞することなく、訴追のため自国の権限のある当局に事件を付託する義務を負う。

第18条:法律上の相互援助

  • 締約国は、第3条に規定するこの条約の対象となる犯罪に関する捜査、提訴及び司法手続において最大限の法律上の支援を相互に与える。

第20条:特別な捜査方法

  • 締約国は、自国の国内法制の基本原則によって認められる場合には、監視付移転の適当な利用及び適当と認める場合には電子的監視等の特別な捜査方法の利用ができるように、可能な範囲内で、かつ、自国の国内法により定められる条件の下で、必要な措置をとる。

第23条:司法妨害の犯罪化

  • 締約国は、この条約の対象となる犯罪に関する手続において虚偽の証言をさせること等の目的のために暴行を加え又は不当な利益を約束すること等の行為及び裁判官又は法執行の職員によるこの条約の対象となる犯罪に関する公務の遂行を妨害するために暴行を加える等の行為を犯罪とするため、必要な立法その他の措置をとる。

第24条:証人の保護

  • 締約国は、この条約の対象となる犯罪に関する刑事手続において証言する証人等について、生じ得る報復等から保護するため、適当な措置をとる。

第25条:被害者に対する援助及び保護の提供

  • 締約国は、この条約の対象となる犯罪の被害者に対し、援助及び保護を与え、被害者が損害賠償等を受けられるよう適当な手続を定める。

第34条:条約の実施

  • 第5条、第6条、第8条及び第23条の規定に従って定められる犯罪については、各締約国の国内法において、第3条1に定める国際的な性質又は組織的な犯罪集団の関与とは関係なく定める。ただし、第五条の規定により組織的な犯罪集団の関与が要求される場合は、この限りでない。

(第3条に言う「別段の定め」にあたる条項であるが、この条項のため、第3条にかかわらず、条約の主要部分全てについて「国際性」が無関係となり、純然たる国内犯もこの条約でいう犯罪としなければならない。)

(UNODC(国連薬物犯罪事務所)のlegislative guidesのパラグラフ18によれば、第34条の解釈として、"It should also be noted that if dual-criminality is present, offenders can be extradited for one of the four offences or for a serious crime, even if the offence is not transnational in nature (art. 16, para. 1)." 「もし2カ国からの処罰可能性がある場合、犯罪者は、たとえ犯罪が国際的なものでない場合でも、4犯罪(第5条、第6条、第8条、第23条の犯罪)あるいは重大な犯罪の訴追のために国外移送され得ることは、認識されるべきである。」とある。)


第40条:廃棄(条約からの脱退)

  • 締約国は、国際連合事務総長に対して書面による通告を行うことにより、この条約を廃棄することができる。廃棄は、同事務総長がその通告を受領した日の後一年で効力を生ずる。

(要するに、条約からの脱退は自由である。)


Wikipediaより参照→リンク


2003年9月から発行し、2017年1月の時点で締結国は187ヵ国であり、同年時点で国連加盟国は193ヵ国であるため世界のほぼ全ての国がこの条約を締結していることになる。


日本国内での動き

日本国においてはこの条約は採択された時点で署名はされたものの、国内法規の問題もあり批准されていない。

なお、司法の妨害等に関しては現行法で対処可能、犯罪収益の洗浄に関しては犯罪による収益の移転防止に関する法律の改正にて対応が完了している。

問題は犯罪組織への参加等に対する処罰であり、日本の場合刑法においては未遂「犯罪の実行に着手」することが構成要件であり準備や計画の時点では罪に問えない、また別の法律、例えば組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律や破壊活動防止法等の法律では対処できないとされた。

また日本国の場合日本国憲法との兼ね合いもあり、結社や団体の設立や加入に関して制限をかけることができるのかどうか、という問題も存在する。

そのため、国会においてはこの条約の署名後、共謀罪および類似する法律の制定を目指すものの、いずれも成立させることはできなかった。


近年の流れ

第二次安倍晋三内閣においては、それまでなしえなかった共謀罪に相当する法律を成立させ、日本がこの条約を締結することを目指しており、それまでは2020年に予定されている東京オリンピックも安心して開けないと断言している。

また「先進国と言われる国々の中でこの条約を締結していないのは実は日本のみであり、締結できなかった最大の原因が、共謀罪( もしくはそれに相当する法律 )が定められていないことにある」と政権側は主張している。

そのため2017年5月に国会に提出されている「テロ等準備罪」は「民間の賄賂罪」「公務員の汚職罪」など、国際的に問題となっている法律は対象外とされている。これは日本国の場合現状の法律でこれらは対応可能と政府がみなしているためである。


反対意見

ただし共謀罪に相当する法律に関しては「拡大解釈により戦前の治安維持法のような使われ方がされる恐れがある」として反対する声も大きい。

また、共謀罪を制定しなくとも現状の刑法や組織犯罪処罰法などの改正や、この条約のための特別法により対処可能ではないかという意見も存在する。


マスコミ各社の報道

マスコミ各社は、条約の重要人物である刑事司法学者ニコス・パッサス教授のインタビューについて報じている。(パッサス教授は、各国の立法作業の指針を示した「立法ガイド」の執筆で中心的な役割を担った人物であり、その発言は重大な政治的意味を持つ)


朝日新聞はパッサス教授が「テロ対策は条約の目的ではない」と明言した記事を紙面に掲載。東京新聞も「条約はテロ防止を目的としたものではない」という発言を報じ、政府説明との矛盾を指摘した。(「条約、対テロ目的でない」 国連指針を執筆・米教授 「共謀罪」政府説明と矛盾)


各社の報道は政治家の活動にも影響を与え、民進党の逢坂誠二衆議院議員が東京新聞の翻訳を元に、国会で質問注意書を提出する事にも繋がる。(政府のTOC条約の解釈に関する質問主意書)


パッサス教授の発言により条約はテロ対策と無関係と証明され、政府の説明が矛盾している疑いが強まった。


しかし、放送局チャンネル桜の番組「Front Japan 桜」にてデザイナーの木坂麻衣子によるパッサス教授への取材結果と称した物が報じられ(【Front Japan 桜】本当に憎しみと差別を煽っているのは誰か / パレルモ条約(TOC)に関する日本の報道[桜H29/6/23])において、木坂は「パッサス教授は『私(のインタビュー)が間違った引用をされたか、またはGoogleの翻訳が不正確だったかのどちらかだ』『UNTOC(パレルモ条約)は、国際間の利益目的の組織犯罪との戦いを促すために創設されたものである』と返信した」とされ、朝日新聞の報道が否定されたと、木坂によって主張された。


更に、このチャンネル桜の内容に疑問を持った勝見貴弘によってTwitter上でパッサス教授へと直接の接触を持ち(Twitterモーメントにまとめられたやりとり)パッサス教授自らが

I have given several interviews and the youtube lady refers to one of them.

I have indeed stated and confirm that UNTOC's aim was NOT terrorism but serious organized clime for material benefit.

「私は幾つか取材に応えてきましたが,このYouTubeの女性(木坂のこと)が話しているのはそのうちの一つでしょう。

私は確かに、UNTOCの目的はテロ『ではなく』実体的利益を求める重大な組織犯罪を目的としていると述べ、また確認してきました」

(「ではなく」部分の太文字化は「not」を「NOT」と大文字化して強調していることの再現)

と、再度主張し、更に朝日の内容がパッサス教授の主張を誤って伝えたものでない事もまた、パッサス教授自ら主張された。これらにより「テロ対策は条約の目的ではない」事が、再度確認され、木坂によってチャンネル桜に報じられた内容が「誤訳」もしくは「意図的な捏造」によるものであると証明された。


成立・施行による締結

過去に3度に渡り廃案に追い込まれた共謀罪の、構成要件を厳格化したテロ等準備罪が成立し2017年7月11日に施行され、これにより遅まきながら締結への条件を満たし国際組織犯罪防止条約の締結が行われ、同年の8月10日から効力が発揮されることとなった。

これによって日本は国連加盟国で188ヵ国目の締結国となり、先進7ヵ国(G7)では日本だけが取り残されていた状態が解消され、ようやくテロ組織犯罪と対峙する国際連携の環(わ)の中に加わることができることとなった。


関連動画


関連項目

国際連合 国際法 条約

組織犯罪 テロ 防止 テロ対策

法律 共謀罪


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