概要
ガンダムシリーズ20周年記念作品として日本とアメリカ合衆国で共同製作されたテレビドラマ作品。
制作費用はプロモーショントレーラー版までに2億、テレビ放映版までに8億、合わせて10億という破格の費用がかけられているが、これはアメリカのテレビドラマのスペシャル番組としては標準的な金額であり、映画としては安い部類に入る。
SFX製作はデジタル・ミューズ社が担当した。
また、派生作品としてゲーム、小説、ラジオドラマが存在する。
本作の舞台は宇宙世紀223年という映像化された宇宙世紀作品の中で最も未来を描いた作品である。
後に発売されたPS2用ゲームのOPでのみ年号が「Space Century(スペースセンチュリー)- year 224」と表示されていたが、ゲーム中では「Universal Century 223(宇宙世紀223年)」と表示されている。
実写作品である事に加え、コックピットのデザインが機動戦士Ζガンダム以前の全天周モニターを採用していない物に戻っている事などから「アニメ作品としてのガンダム」との映像の方向性の違いを感じるファンも多いが、一方でストーリーや世界観の破綻も少なく映像の完成度も(当時としては)高い為、一概に切って捨てるべきではないという評価も存在している。
世界観
人類が宇宙に進出してから二世紀近く経ったU.C.0217年、ザンスカール戦争から半世紀以上を経ても宇宙戦国時代が続いて各コロニーは自立化していき、腐敗や弱体化が続く地球連邦政府は権威回復を目的に度重なる紛争を鎮圧するため、ついに地球連邦軍によるコロニーの武力制圧という強硬策を開始する。それに対してコロニー側は激しく反発・抵抗し、大規模な高烈度紛争となってしまう。
しかし親地球派サイドの調停により翌U.C.0218年に連邦とコロニー側は和解するが、先の暴挙によって宇宙の諸勢力を敵に回していた連邦の権威は完全に失墜、コロニーの独立を認めざるを得なくなる。そして統治機構としての機能を事実上失っていた地球連邦政府は遂に崩壊・分裂し、これを機にコロニー(植民地)という名称がセツルメント(隣保事業)と改められる。
しかし、地球上では度重なる紛争とそれに伴う環境破壊によって自給体制が維持出来なくなっており、旧連邦派は地球寄りのサイド2、サイド3、サイド5、サイド7を糾合してセツルメント国家議会を形成する。月面都市、サイド1、サイド4はそれに対抗してセツルメント自由同盟を結成した。サイド6及び建設中だったサイド・ガイア(サイド8)は独立・中立を保った。
そして、セツルメント国家議会は旧地球連邦軍の軍事力をそのままセツルメント国家議会軍(CONSENT)として再編し、更なる勢力拡大を志向する。かくして地球連邦亡き後の地球圏はこれら2大組織の対立する場となり、政治状況もひどく脆弱かつ不安定でであり、こうした情勢を受けて秘密結社・イルミナーティが地球圏の秩序を守るための調停に動き出す。
ストーリー
ドラマ版
宇宙世紀223年。元地球議会軍のパイロット、マーク・カランは、サイド・ガイアの生物工学博士、シンシア・グレーブスを助けたことで地球の食糧危機に端を発した事件に巻き込まれてしまう。
過去の記憶から軍を辞め戦うことを拒否していたマークだが大切なものを守るために最新型モビルスーツ『Gセイバー』へと搭乗し戦いに身を投じていく。
ゲーム版
ガイアの光事件(ドラマ版の出来事)の後の宇宙世紀224年の冬。セツルメント国家議会軍の強硬派筆頭であるバイス・バッシング准将は独裁政権樹立を画策し、その為にプロジェクトレイブンと言う非人道的な軍備増強計画を発動した。イルミナーティは地球圏の勢力バランスを崩しかねないその計画を察知し、その阻止をGセイバーを擁するライトニング部隊に命じる。地球に派遣されたライトニング部隊に対してバイスは自分の配下である精鋭部隊グレムリーシープを繰り出す。
登場MS
ドラマ登場機体
かつての地球連邦軍の主力量産MS。
宇宙世紀0223年では原型機初起動からすでに30年以上が経過した旧式MSで、本来は軍用MSでありながら民間払い下げやコマーシャルモデルなどの製造で広く普及しており、連邦崩壊後は各セツルメントに払い下げられ、防衛用や作業用などに使われている。
信頼性や整備性は高く、ブロックを積み重ねた用なフォルムをしている。武器はビームライフルと背部ランドセルに設置されたビームサーベル1本、頭部にバルカン砲を装備、また左腕にビームシールドを装備している。
サイド・ガイアに配備されていた機体はマシンガンで武装し、ビームシールドではなく実体型シールドを装備している上に、ビームサーベルが装備されていない機体もあったりとバラつきがあるがこれは連邦崩壊とそれに伴う混乱で部品調達が困難になったからだと思われる。
ちなみに腹部の蛇腹状スパイン構造はGセイバーにも受け継がれており、セイバーチームはこの機体をベースにして高性能カスタム機Fセイバーを開発しており、その事からもこの機体はメカニックの改造次第で高性能化出来るほど柔軟性にも優れている。
ドラマ版のみに登場。
MMS-DS209グッピー
食糧危機を回避するための研究を行う大西洋深海農業研究所リグで使用されている旧式の深海作業用可変MS。
四肢を後ろに回すことで巡航形態への変形が可能で、腕部は用途に合わせて交換が可能となっている。
海底で育成された食用の海草を回収する作業に使われている。
ドラマ版のみに登場。
CCMS-03ブグ
セツルメント国家議会軍の主力量産MS。
セイバーチームが手掛けた機体である。現行の技術だけで設計されており、かつ安定した性能と地上や宇宙でも運用できるほどの汎用性を持っており現場の将兵からの人気が高い。頭部センサーはモノアイを採用しており、機体カラーも緑と言う点など昔のザクを思わせる。
あらゆる任務に対応する為に様々な武装等を持っており、実体弾式のマシンガンと盾の内部にある打撃兵器ジャイアント・ハチェットを装備、またビームライフルとビームサーベルを装備する機体も存在する。背部にブースターパックを装備する事も可能。
緊急時に背部のランドセルをパージし、胴体に収められたコクピットブロックを脱出カプセルとして射出させることができる。またバリュートのような装備を持っているのか大気圏に突入しても無傷と言うとんでもなく堅牢な機体でもある。
ただし外見こそ同一だが、宇宙用では耐圧処理が施されておらず水中では潰れてしまう。
ドラマ版とゲームに登場している。
CAMS-13レイ/CAMW-13MWレイ
議会軍のガーノー総督によって推進されるMW計画で作られた機体。
無人機モビルウェポン(MW)とそれを制御する有人機の2機種が存在する。
生物的なフォルムをしており、頭部センサーは議会軍のMSで唯一デュアルアイを採用している。総合スペックではGセイバーと互角レベルを誇る。武装であるビームランサーは遠距離や近距離の攻撃に仕える銃剣のような武器である。またビームサーベル、ビームシールドも標準装備されており、背部には縦に8列伸びたミサイル、肩には機関砲が装備されている。また、ブグと同型のブースターの装備が可能である。
有人機は指揮官クラスの軍人に与えられる予定であった。
MWレイは旧式機のフリーダムを圧倒するがGセイバーやイリュージョンには及ばなかった。
ドラマ版のみに登場。
ゲーム版登場機体
CCMS-03ブグ2
議会軍の次期主力として開発された地上専用ブグ。
肩部は装甲が強化され、腰部には高機動ユニットを装備している。機体色は初期生産型は青で、後期生産型は黄茶色である。
信頼性と生産性を重視しており、装備もビームサーベルとビームライフルといった標準的なものである。技術的に特筆すべき点はないが、性能はGセイバー以上である。
大量に量産されており、議会軍の強硬派でプロジェクト・レイブンの提唱者バイス・バッシング准将率いる精鋭部隊「グレムリーシープ」など各部隊に配備されている。
CAMS-14レイド/CAMW-MWレイド
レイの発展型である量産機。
MW計画で作られた機体であり、コクピットブロックを持った有人機は緑色のカラーで無人機MWは紫色。また白いカラーの寒冷地仕様も存在する。
武装はレイとほぼ同じ。
CCMS-04スピアヘッド
議会軍の量産機。ブグとレイドに比べて性能は高く、近接戦に特化している。
武器はレイドと同じくビームランサー。先行生産型は青いカラーリングで後期生産型(ゲーム未登場)は緑のカラーリング。
また複数のオプション装備を持っており肩に大型シールドを装備し、大型ランチャーを装備したBタイプ(上記イラストがそれに該当する)、腕に6門のビーム砲、肩に2門のキャノン砲を装備したCタイプが存在する。
CAMS-15レイブン
議会軍強硬派の筆頭であるバイス・バッシング准将が推し進める非人道的な軍備増強計画「プロジェクト・レイブン」の中核となる漆黒の可変MS。
既存のMSはおろかG3セイバーすら遥かに越えた高性能を誇る。武器はビーム砲とビームサーベルで、ビームサーベルは回転してビームシールドにもなる。
飛行形態に変型して機体前面にビームバリアーを張ることもできる。また、かつてのギャプランのように飛行形態の航続時間延長用の専用ブースターも存在する。
この機体に関してはかなりの最高機密だと言われていたが実は正体は無人機のMWであった。
用語
スペースセツルメント
宇宙に住む人々の居住地の名称。
他の宇宙世紀作品で言えばスペースコロニーである。
地球連邦政府の分裂後、サイドが地球と国際法上同等の権利を持つ存在になった為、差別的な名称であるスペースコロニーからスペースセツルメントへと変えた。
ジオン・ズム・ダイクンの悲願であったスペースノイドの独立がついに実現した事になったのだが独立できても地球派と反地球派の対立と言う図式は変わっていなかった。
イルミナーティ
名こそ知られているが実態については謎に包まれた組織。世界の秩序維持と調停が目的。
あくまで噂だが、成立は旧連邦時代末期であるプライベートクラブに端を発すると言われていたり、70年以上昔のサイド間紛争が頻発した時代にすでに存在しているとの説もある。ただの地球連邦が崩壊した事を機に自分たちの価値観で勢力の均衡を保つ活動をするようになった。
指導者や本拠地を持たず、議会軍や自由同盟など様々な組織にメンバーが浸透しており、組織の実態を把握するのは難しい。
メンバーは多種多様で退役軍人やジャーナリスト、政治家など様々。
紛争の調停は軍内部にいる協力者が出来る限りの範囲でサポートを行うが、技術者集団であるセイバーチームを仲間にした事でGセイバーなどの独自のモビルスーツを開発・保有するようになった。
あくまで秩序維持と調停が目的の為、覇権を求める気は無く議会軍全体を敵に回しているわけでは無く、不当な暴力を振るうものや秩序に対し不穏な活動を行うものがあれば、必ずその動きを阻止しようとする。
セツルメント国家議会
地球連邦崩壊後、地球連邦を構成していた地球上の国家が親地球派サイドであるサイド2、サイド3、サイド5、サイド7を取り込んで樹立した連邦制国家。
地球全土と各サイドを勢力圏にしており、その本部は地球に存在している。また旧地球連邦軍を再編してセツルメント国家議会軍にしており、彼ら議会軍を使って非参加のサイドに対して圧力をかけている。長年の戦乱による環境破壊で自給体制の維持できない地球では深刻な食糧危機に直面しており、それが圧力をかけるきっかけとなっている。
議会軍は陸・海。空・宇宙などの各フィールドごとに軍を擁しており、特に宇宙軍の方が発言率と規模が大きい。しかし元が元なだけに議会軍内部では派閥がいくつも存在しており、特に地球を至上とする思想を持つ強硬派は勢力拡大の為に非人道的な行為をしている。
セツルメント自由同盟
サイド1、サイド4が月と手を組んで立ち上げた同盟。
モビルウェポン(MW)
セツルメント国家議会軍で開発されているAIで動く無人のモビルスーツ。有人機から制御するものでこれによって戦力増強とパイロットの生命を守ると言う利点がある。
戦力としては十分な能力を持っているが事前に指定された命令に則って戦闘を行うために突発的にその範疇を越えた状況には対応しきれない欠点もある。一部では「モビルウェポンは戦争をゲームにする」と嫌悪するものもいる。
後にプロジェクト・レイブンと言う人間になりすます事が出来る最新のMW開発計画が行われた。