概要
アチェリ(Acheri) とはインド人の民間伝承に登場するといわれる少女の幽霊。普段は山頂に住んでいて、夜になると谷間におりてきて太鼓を叩き、歌うなどの饗宴をおこなう。
運悪くアチェリに出会ってしまうと、影を投げかけられ病気にされてしまう。そのため伝わっている地域の子供たちは、魔除けのために赤い糸を首に巻いたり赤い布を身に付けている。
実は…
日本では下記の女神転生シリーズの影響でインドの民間伝承という解説が主流であるが、海外ではインド人はインド人でも、インディアンオジブワ族・チペワ族のフォークロアであるという資料が一般的でイラストも描かれている。不幸な理由で死んだ少女の幽霊であり、その姿は灰色の服を着て暗い目をしていることが紹介されている。
海外版Wikipediaの参考文献で最も古いものは1972年にカルフォルニア大学出版局から発刊された「Hindus of the Himalayas(ヒマラヤのヒンドゥー教)」である。
この資料の113ページにはインド中西部マハラシュトラ州のシルカンダの伝承として「matriya(matris)」と呼ばれる、人々を病気にしてしまう少女の幽霊(精霊)が丘からやってくることが書かれている。しかし、病気にしてしまう影、魔除けの赤い糸や布については言休されず「アチェリ」という名は出てこない。
なお、女神転生シリーズに登場する女幽霊であるチュレルの名はこの伝承の前ページに掲載されている。
北インドのチャッティースガル州にアチェリという地名があり、仏教には阿闍梨(アーチャリー)という言葉があるために名付けられ、80年代に書かれた通俗的なモンスター図鑑で、インディアンの伝承として各種設定が創作された可能性もある。
創作での扱い
女神転生シリーズ
初出は『ソウルハッカーズ』で種族は”鬼女”。足元に目がある影を持つインド風の少女悪魔として登場した。同じく少女姿の魔人アリスやモー・ショボー、怨霊エリカと比べるとマイナーだが、ナジャとともに幼い姿が可愛いとpixivではファンの絵師から多くの投稿がされている。
『真・女神転生IMAGINE』ではボスとして登場。運営のCAVEはモデリングに際し、ATLUSから影のほうが本体に見えるようにしてほしいと監修を受けた。
憂国の大戦
赤い着物を着た鬼娘。デザインはpixivユーザーでもある水玉ぱんちゅ氏。名前と設定のみで資料が皆無の中の仕事であったという。
百神
大きな幽霊のような影を持つ少女の姿をしている。仏教の「四苦」の意味が加わった「アチェリ・ドゥフカ」「アチェリ・ドヴェーシャ」「アチェリ・スティヤーナ」「アチェリ・ラーガ」が登場。
スーパーナチュラル
アメリカのオカルトテレビドラマ。インディアンの伝承を元にした姿でセカンドシーズン最終回に登場した。
関連タグ
余談
- 米国産のTRPG『D&D』に登場する鳥型の魔物アケイライ(Achaierai:日本ではアカイライとして知られる)は、インディアンの伝承由来であるという説が一時期唱えられていたが、アチェリと混同されたためのようである。
- 英語版Wikipediaでは2010年に発売された 「Descriptive Ethnology, Vol. II: Europe, Africa, India」を資料としてインド神話説をとっており編集合戦がおきている。ノートではインディアンの伝承のほうが信憑性が高いという意見も出ているが決着はついていない。
外部リンク
英語版Wikipedia フランス語版Wikipedia スペイン語版Wikipedia イタリア語版Wikipedia
ポルトガル語版Wikipedia ロシア語版Wikipedia
参考文献も列記してある。