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DDSATの編集履歴

2011-05-05 11:21:26 バージョン

DDSAT

女神転生シリーズのPS2用RPG。前後編に相当する2本がアトラスから発売された。

正式名称は、DIGITAL DEVIL SAGA アバタール・チューナー


アバタールチューナー


概要

真・女神転生III』(2003年2月発売)と平行して進められていた「新・女神転生」プロジェクトで、従来のシリーズの続編ではない完全新作として開発された。

女神転生の代名詞ともいえる悪魔合体仲魔システムがなくなり、プレイヤーキャラ自らが悪魔に変身する異色作である。


インド神話仏教の思想が物語の土台となっていて、プレイヤー達の変身後の悪魔の名前や作中に登場する用語(アートマニルヴァーナ)などにも色濃く現れている。

また豪華な声優陣に、板野一郎演出によるフルボイスのムービーが随所に挿入されているのも見所。


ストーリー

主人公サーフ率いるトライブ「エンブリオン」は、ジャンクヤード(本策の舞台)の覇者のみが到達できるニルヴァーナを目指していつ果てるとも知れぬ抗争に明け暮れていた。

ある日、謎の物体“ツボミ”を巡って隣接トライブと戦闘していた彼らはツボミから放たれた光に侵されて悪魔に変身する力“アートマ”に覚醒し、感情と共に他者を喰らわねば生きていけない業を背負うことになる。

そんな中、彼らを助けに来たと悪魔化を抑制する力を持つ黒髪の少女、セラが現れた。

時を置かず、ジャンクヤードを管理する「カルマ教会」から、「黒髪の少女を連れてジャンクヤードの覇者になったトライブにのみニルヴァーナの門を開く」という掟が発せられる。


雨と硝煙に煙る煉獄ジャンクヤードの抗争は、セラを巡って激化の一途を辿っていく・・・。


主な登場人物(詳細は名前タグへ)

エンブリオン

サーフ 〔Serph〕

  主人公。六大トライブの一角「エンブリオン」のリーダー。CV:野島健児


ヒート 〔Heat〕

  エンブリオンのアタッカー。CV:緑川光


ゲイル 〔Gale〕

  エンブリオンの参謀。CV:堀秀行


シエロ 〔Cielo〕

  エンブリオンのメンバーでムードメイカー。CV:三浦祥朗


セラ 〔Sera〕

  記憶喪失の黒髪の少女。CV:桑島法子


ジャンクヤード

ハーリー・Q 〔Harley Q〕

  六大トライブで第五位の勢力を持つ「アサインメンツ」のリーダー。CV:小野坂昌也


ジナーナ 〔Jinana〕

  六大トライブで第四位の勢力を持つ「メリーベル」のリーダーの女性。CV:伊倉一恵


バット 〔Bat〕

  右目の周りに星のようなペイントをしているメリーベルの№2。CV:置鮎龍太郎


ミック・ザ・ニック 〔Mick the Nick〕

  六大トライブで第三位の勢力を持つ「ソリッド」のリーダー。CV:江川央生


ルーパ 〔Loopa〕

  六大トライブでは第二位の勢力を持つ「ハウンズ」のリーダー。CV:石川英郎


バロン・オメガ 〔Varon Omega〕

  現時点で最大勢力を誇るトライブ「ブルーティッシュ」のリーダー。CV:銀河万丈


その他(DDSAT)

キングフロスト

ポイント136の新たなキングを称する悪魔で、最上階の「姫の寝室」の上に陣取っている。

部下のジャックランタンに分け前を与えることを条件に宝箱の鍵を探させており、サーフ達はその鍵探しをさせられることになる。

しかしお宝の分配は真っ赤な嘘で、部下のジャックランタンを始末した後、その場にやって来たサーフ達も“ヒー法”の下に始末しようと襲いかかってくる。

作中でキングフロストが主張するヒー法は『第一条:キングの物はキングの物 お前の物はキングの物』、『第二条:逆らう奴はとりあえず死刑』であり、ジャックランタンは前者に、サーフ達は後者に抵触したものと思われる。


ベルゼブブ

蠅の王ベルゼブブのアートマを得た元アサインメンツ構成員。

意識が完全に悪魔化しており、かつて自身を“魔王”と称して敵だけでなく味方まで殺した為にスワディスターナの地下に幽閉されていた。

新たなボスとなり自分の所に来たサーフに対して弱肉強食の掟を説き襲いかかるが返り討ちにされ、一度は敗走する。サーフに対して復讐の念を抱き、更なる力を得る為に多くの者を喰らったことで人間に近かった姿から巨大な蠅の姿に変化し、その意識は完全に魔王ベルゼブブと化す。魔王ベルゼブブの意識はジャンクヤードの秘密を看破しているらしく、“まがいもの”、“仮初の煉獄”、“現世”という言葉を用いてニルヴァーナを目指すことを宣言する


メタトロン

大天使メタトロンのアートマを持つニュービーの青年。

ローラという恋人を捜してジャンクヤードを彷徨い、住人の間で噂になっていた。アジュニャーにおいてサーフと対面するが、サーフが持っていたタグリングがローラの物であることを見抜き、仇を討たんと襲いかかってくる。彼の発言の中で、元々ローラとはなんらかの理由で現世で結ばれぬ関係にあり両者とも既に一度死んだということをほのめかされる。

悪魔化がかなり進行しているらしく、青年の意識と大天使メタトロンの意識がせめぎ合う姿が戦闘中見られる。


美青年であり、エンブリオンの女性構成員が話題にする場面がある。


コウリュウ四聖獣

ツボミが破裂した後のジャンクヤードに現れたニュービー。

コウリュウをリーダーに、セイリュウビャッコスザクゲンブがジャンクヤード各地に散らばっており、それぞれがエンブリオン構成員へ攻撃を仕掛けていたことからサーフ達と交戦することとなる。

全員が感情と現世での記憶を持っており、ニルヴァーナに到達する真の意味を理解しその為に、勝ち残った最後のトライブ・エンブリオンを打倒しようとして行動している。


・セイリュウ:アジュニャーに潜伏するニュービー。メンバーの中でもとりわけニルヴァーナへの到達に強い執着心を持ち、戦闘中に「生き返る」という発言をする。

・ビャッコ:マニプラに潜伏するニュービー。戦闘開始直後は強気な発言をするが、追いつめられると打って変って投げやりな態度を見せる。

・スザク:アサインツに潜伏するニュービー。メンバーの中で唯一の女性で、ニルヴァーナへの到達に対しての執着が薄い。しかし自身(特に悪魔形態)の容姿に気を使っているらしく、攻撃されて羽根を傷つけられると逆上する。

・ゲンブ:アナハタに潜伏するニュービー。直前に交戦した構成員いわく「オモロイ奴」で、変身すると亀と龍の頭同士で漫才を始める。戦闘中の発言が多くダジャレを飛ばしたり、こちらがカジャ系スキルを使用するとサーフ達の変身悪魔の容姿を含めて説教をする。

・コウリュウ:サハスララに潜伏するニュービー。四聖獣にエンブリオンを攻撃させた張本人で、トライブを新たに設立するのではなく最後に残ったトライブに奇襲をかけることでニルヴァーナに到達しようとした。ガードの制止を力尽くで退けてカルマ協会内に隠れ家を作るだけあり、四聖獣とは段違いの実力を誇る。


人修羅〔Demi-Fiend〕

アナハタにてサーフ達が遭遇した存在。

言葉を交わすことなくサーフ達に襲いかかり、尋常でない実力と召喚する仲魔との連携で猛威を奮う。

撃破した直後はガスによる幻影として処理されるが、二作目において“アマラリング”というアイテムが登場したことで人修羅がジャンクヤードに存在していたことが証明される。


DDSAT2のストーリー

ジャンクヤードの互いを喰らいあう壮絶な戦いの末に、煉獄の覇者となったトライブ「エンブリオン」。しかしニルヴァーナに繋がる門の直前でジャンクヤードは消え去り、サーフは仲間達とも散り散りになってしまった

何処とも知れぬ場所に放り出されたサーフが目にしたものは、彫像のように石化した人々が乱立する廃墟と黄色くぎらつく空、そして頭上に禍々しく輝く黒い太陽だった。この場所こそ楽園ニルヴァーナであり、カルマ協会という組織に選ばれた者達がそれ以外の人間を狩る新たな地獄であった。

明かされる謎と渦巻く思惑と共に、ニルヴァーナを舞台にしたサーフ達の新たな戦いが幕を開ける。


DDSAT2の登場人物

ローカパーラ

ロアルド 〔Roald〕 CV:神奈延年

反カルマ協会組織「ローカパーラ」の二代目リーダーで、元は小説家くずれのインテリ。初代リーダーのグレッグと共に組織を立ち上げた人物。しかしグレッグの死亡と長い地下生活による組織の疲弊により近年協会に対して防戦一方で、自身も酒に逃げていた為に構成員や地下街住人から腰抜け呼ばわりをされていた。策謀に長けた人物で、協会の内通者から得た情報によってサーフ達にジャンクヤードの正体を明かし、シエロを人質にとって彼らをカルマ協会にけしかけようとした。

しかし、サーフ達との出会いとフレッドの言葉により初志と誇りを取り戻し、エンブリオンのチームカラーとアートマを自身に宿して協会に立ち向かうことを決意する。

変身悪魔は“インドラ”で、アートマは“ライトニングボルト”、印は左手の甲にある。また作中、変身悪魔の特性を生かして活路を開く場面がある。

北米版では名前が“Roland”になっている。


フレッド 〔Fred〕 CV:進藤尚美

地下街に住む少年で「ローカパーラ」の初代リーダー・グレッグの息子。物語の冒頭でアルジラによってカルマ協会兵士の人間狩りから助けられ、サーフ達にローカパーラの存在を教えた。性格は年相応に生意気でお調子者だが、しっかりとした考えと強い意志を備える。

協会の攻撃に対して防戦一方のローカパーラと飲んだくれるばかりのロアルドを目にして、大人に対して強い不信感を抱いていたが、誇りを忘れずに戦うエンブリオンメンバーの姿やゲイルとの絆を通して成長し、彼らの意思を継いだ人物である。


アディル 〔Adil〕 CV:置鮎龍太郎

「ローカパーラ」の構成員。ロアルドへの忠誠心が強く、組織では彼の補佐を務める。

当初はサーフ達をAI風情となじり人喰いの化け物と忌み嫌っていたが、サーフが仲間の為に犠牲なったと聞いた時は彼を「英雄」と呼び、「同朋の死には己の命で報いる」とエンブリオンメンバーを仲間として認めた。

カルマシティ潜入後、エンブリオンメンバーを先に進ませるために協会兵と交戦し、動力プラントではロアルド達に危機を知らせる。


グレッグ 〔Greg〕

「ローカパーラ」の初代リーダー。ロアルドの親友で、フレッドの父親。

勇敢なリーダーで仲間からの信頼も厚かったが、数年前に仲間を助ける為に戦死した。協会と戦う一方で、フレッドには平和の象徴であるオリーブの葉を与えていた。


カルマ協会

マルゴ・キュヴィエ 〔Margot Cuvier〕 CV:江森浩子

カルマ協会の長を務めるフランス人女性。身体が石のように結晶化する奇病キュヴィエ症候群の発見者で、環境破壊に警鐘を鳴らし滅びに向かう人類を救う為にカルマ協会を設立させた。

黒い太陽により死にかけた世界において人類の種を未来に残す為の方法を模索しており、ジャンクヤードの実験から悪魔化ウイルスによってアートマを得た人間は陽の下でも生きていけることを知る。そして絶対的な秩序の下、優秀な人間のみを悪魔化してそれ以外の人間を文字通り糧として切り捨て管理する社会を築く「ニルヴァーナ計画」を推進する。

悪魔化した人間の暴走を抑える為にテクノシャーマンであるセラの歌が必要だったので、実体化したサーフ達のことをエンジェルに伏せ、彼らを操ることでセラを服従させようとした。


ジェナ・エンジェル 〔Jenna Angel〕 CV:富沢美智恵

カルマ協会の技術部総責任者。十年前、地球環境の異常やキュヴィエ症候群の原因が太陽から降り注ぐ情報であることを突き止めた人物で、EGGの情報とメーガナーダから悪魔化ウイルスを構成した。自身も悪魔化能力を得ており変身悪魔は“ハリ・ハラ”、アートマは“メイルシュトロウム”で、印は胸にある。悪魔化ウイルスの実験の為にジャンクヤードにウイルスをばら撒き、セラの身柄確保の提示や情報セルの収集、バロンに特殊能力を与えた張本人。外見は黒髪の女性だが、機能する卵巣と精巣をもつ両性具有でセラの母(父)にあたる。

一作目ではサハスララの頂上でエンブリオンメンバーと対峙しセラを連れ去ろうとするが彼らの想像以上の結束と力の前に敗れ、ジャンクヤード消滅の為に撤退する。

二作目では、万人に「解脱」への機会を与える為に、ローカパーラと実体化したサーフ達を利用してマルゴ・キュヴィエの推進する「ニルヴァーナ計画」を妨害する。彼女は「解脱」を人間の生物的進化としてとらえ、自然淘汰の中でしかなしえないと考えた。その為に悪魔化ウイルスを用いて全ての人間を悪魔化させて喰らい合わせ、残った者が生きる意味、悟りを得る「混沌」の世界を生み出そうとした。

また、カルマ協会職員から男女の別なく慕われるカリスマであり、強力な直属士官を擁している。


ゲイルは彼女の顔を度々思い出して感情を発現させかけ、また彼女自身もゲイルにある人物の面影を感じている。


セラ 〔Seraphita〕 CV:桑島法子

カルマ協会の要であるテクノシャーマンで、ジャンクヤードに現れたセラの現実世界での姿。本名はセラフィータで、エンジェルの卵子と精子から生まれた実子である。神と唯一交信できる存在であり、彼女が行う交信から獲得した神の情報はEGGに蓄積され、それを解析することによってカルマ協会は高い科学力を得ていた。しかし神の情報を浴びる副作用により肉体が異常成長しており実年齢7歳なのに対して外見は17歳ほど、内臓の老化はさらに激しい為減速剤を使用していた。

テクノシャーマンとして生活する中で、遊び場となる仮想空間と主治医など周囲の人間をモデルにした仮想自我を持つ人格プログラムを遊び相手として作り出した。しかしこれが軍の目にとまり、現実の兵士にインプラントする戦闘用AIを作り出す「アスラ・プロジェクト」の基礎に採用されてしまい、この際に仮想空間はジャンクヤードとなり、セラの遊び相手だったAIサーフ達も戦闘用に書き換えられてしまった。ある事件で哀しみにとらわれて神を狂わせ、太陽の黒化を引き起こしてしまう。

作中では、EGG施設にてエンブリオンメンバーに救出されるも目の前で再びサーフを失い、その時のセラの激しい哀しみによって神の最終審判を引き起こしてしまう。だが、サーフの力を受け継ぎゲイルに命の意味を伝えられたことにより、神の暴走を止める為に命を賭して戦いの場に赴く。アートマはサーフと同じ“ウォータークラウン”で、変身悪魔は“ヴァルナーニ”、印は右頬にある。

セラの歌はエンジェルによって伝えられたものである。


収容所所長

カルマシティにある捕虜収容所の所長で、本名は作中登場しない。捕虜収容所は表向きではただの倉庫として入り口周辺に大量のコンテナなどが置かれてカモフラージュされているが、地下はカルマシティの外に住む人間を拘置する施設で、捕えた人間を材料に缶詰に加工する悪魔化した兵士の食糧確保の為の工場である。

彼の変身悪魔は“クヴァンダ”で、悪魔の姿で過ごす、人肉嗜食の傾向(“15年ものの赤”という缶詰を好んで食べる)、司令室の壁に血肉が大量に飛散しているなど、既に精神状態が尋常でない域に達している。所長として一般兵士と一線を画す「惑いの墨縄」という相手を捕縛する能力を持つ。またサーフを“阿修羅の王”、ジャンクヤードを“ガラクタの玩具箱”と揶揄したことから、協会内でも中心に近い人物と思われる。

ゲームではクヴァンダの追跡を受けながらMAPを探索することになるのだが、クヴァンダの足の速さ、墨縄による足止めトラップ、接近の際の喘ぎ声、そして選択肢中でも問答無用で接触するなどDDSAT中最恐のステージの呼び声が高い。


警備部部長  CV:置鮎龍太郎

カルマ協会警備部を統率する人物で、本名は不明。

サーフ達が交戦する協会兵士は大部分が警備部所属であり、ジェナ・エンジェルと同等の地位に立つ人物で、マルゴ・キュヴィエに直接報告を行う姿が見られる。

CVと物言いから動力プラントで戦うことになる“ナーガ・ラジャ”が彼の変身悪魔と思われ、それを裏付けるように戦闘中多数の警備部兵士を投入し、強力な連携攻撃を繰り出してくる。


トリブヴァーナ

カルマ協会兵士の中でも特に凶暴な三人組の士官。協会も厄介者扱いするほど気性が荒く、ロアルドにキラーエリートと呼ばれる。三士官・天(CV:伊倉一恵)、三士官・地(CV:江川央生)、三士官・気(CV:小野坂昌也)と表記され、変身悪魔はそれぞれ“ガンガー”、“ウベルリ”、“カーシー”。戦闘では各人が己の長所と短所をフォローし連携する強敵である。

アートマを得ながらも「人間の力」という点に強いこだわりを持ち、AIであるサーフ達やある人物に強い対抗心を持っている。しかし二度にわたってサーフ達に敗れ、人間の勝利を得る為に三士官・地が恐るべき手段で雪辱に打って出る。


テレンス・E・ベック 〔Terence E. Beck〕 CV:銀河万丈

カルマ協会と手を組んだ軍の人物で、階級は大佐。

セラの作り出した仮想空間と人格プログラムを見て軍事転用することを発案し、市街戦を想定した仮想空間で戦闘用AI同士を戦わせてより強力なAIを選別し開発する計画「アスラ・プロジェクト」の責任者となる。

プロジェクト進行中にセラの哀しみで神が狂い、サーフ・シェフィールドが悪魔化した場面に偶然立ち会ってしまった為、彼に喰い殺されてしまう。

その意識は神の下に帰ることなくEGGに取り込まれ、ジャンクヤードのバロン・オメガに宿る。


サーフ・シェフィールド 〔Serph Sheffield〕 CV:野島健児

セラの精神面のケアを担当していた主治医の一人。黒髪に黒い瞳の青年で、セラの仮想空間で作られたAIサーフのモデル。

知識高い人物で人当たりもよく、セラからも強い信頼を得ていた。しかし、実際は他者を「神の力を手に入れる」という自身の目的を果たす為の道具程度にしか思わない冷酷な人物で、セラに対する態度も見せかけだけのものであった。また、人心掌握や心理操作に長けている。

物語の五年前、セラの身体にかかる負担を無視して「アスラ・プロジェクト」を進行させる。その暴挙を止めようとしたヒート・オブライエンをアルジラを操って射殺させるが、直後にその現場をセラに見られてしまう。セラの哀しみはEGGを通して神に伝わり、太陽の黒化を引き起こした。

そしてシェフィールドは溢れ出た神の情報に侵され悪魔と化し、我を忘れて周りの人間を喰い散らした末に、殺された。

彼が変身する悪魔は“リアルヴァルナ”。エンブリオンサーフのヴァルナより一回り背が高く、黒を基調とした体色である。


ヒート・オブライエン 〔Heat O'Brian〕 CV:緑川光

セラの肉体面のケアを担当していた主治医の一人。金髪に鳶色の瞳の青年で、セラの仮想空間で作られたAIヒートのモデル。

正義感の強い誠実な人物で、幼いセラを道具に研究を続けることに疑問を抱き、何度もサーフ・シェフィールドを止めようとした。そしてこの両者のやり取りを見ていたセラにとって「怖い人物」と認識されいた。

物語の五年前、軍が進めようとする「アスラ・プロジェクト」をセラの肉体にかかる負担を懸念して止めようとしたが、シェフィールドの独断により決行されてしまう。進行するプロジェクトの中でセラの苦しむ姿を目の当たりにして、ついに彼はシェフィールドに銃を突きつけて止めようとする。しかし直後アルジラによって射殺されてしまう。この時になってセラはオブライエンこそが自分のことを最も心配してくれていた人間だったことを悟るのだった。

死後もオブライエンの情報は地上に止まり、EGG内部においてサーフと対面する。そしてサーフに彼自身を縛る過去の亡霊達を見せ、打ち破らせた。


アルジラ(現実世界) CV:冬馬由美

セラの担当看護師を務めていた金髪の女性。セラの仮想空間で作られたAIアルジラのモデル。看護師としてセラに優しく接していたことから、彼女によく懐かれていた。しかしアルジラ自身はテクノシャーマンとしての異能を備え、異常成長を遂げるセラに対して恐怖と嫌悪を感じていた。

サーフ・シェフィールドに好意を持っていた為に彼の心理操作にかかり、ヒート・オブライエンにシェフィールドが銃を突きつけられた際に彼を守る為にオブライエンを射殺してしまう。しかし直後に悪魔と化したシェフィールドに襲われ、最初の犠牲者として喰い殺されてしまう。


その他(DDSAT2)

ディビッド 〔David〕 CV:堀秀行

エンジェルが国際環境保健機構に所属していた頃の同僚で、金髪碧眼の青年。エンジェルの恋人で共にキュヴィエ症候群の研究を行い、人を救う為の自身の研究を誇りにしていた。

だが、ディビッドもキュヴィエ症候群を発症し隔離病棟に身を置くことになるが、感染を恐れ暴走した大衆によって施設を襲撃され、巻き込まれて命を落とした。

死の直前に、エンジェルに「誰も恨むな」と言い、治療法を発見し「光になれる」と励まして彼女の腕の中で息を引き取る。しかし、エンジェルは彼の遺言を歪んで遂行することになってしまう。

エンジェルはゲイルにディビッドの面影を感じており、またゲイル自身も自分の中にある彼の存在を理解したことで神の正体と怨念にとらわれたエンジェルを止める決心を得る。


サーフ(AI) CV:野島健児

サーフ・シェフィールドをモデルとして、セラに作り出された人格プログラム。

性格はセラの願望を反映したもので、他のAIと同じく基本はセラのことを第一に考えて彼女に尽くすというもの。しかし、主であるセラがいなければ何もできず、ただ彼女を探し求めてさまよう人形のような存在でしかない。「アスラ・プロジェクト」の進行によって戦闘用プログラムを上書きされ、セラの手によってジャンクヤードに隠された。

彼らセラに作られたAIこそがエンブリオンメンバーの前身であるが、現在のサーフ達はジャンクヤードで触れた絆やセラに従うのではなく互いを“仲間”と認め合ったことを経て、かつてのAIとは別の存在になっている。

彼が変身する悪魔は、白を基調とした体色の“フェイクヴァルナ”。


シエロ(現実世界)

テクノシャーマンによる神との交信実験が本格化する以前に、被験者として南米から連れてこられたテレパシストの少年。明るい性格でセラがとても懐いており、仮想空間で作られたAIシエロのモデルとなった。

しかし実験の過程で強すぎる神の情報に耐えられず、狂死したという。


メーガナーダ 〔Meghanada〕

五年前の神が狂った日にヴァルナや四大天使と共に顕現した最凶の喰奴。四本の腕に昆虫の羽根のような装甲と腹背にそれぞれ五つずつ備わった口を持つ異形の悪魔。意識は完全に悪魔化しており、神話中で打ち破った神の名「インドラ」と「GURARA」という不気味な唸り声しか発さない。

ヴァルナが殺すしかなかったのに対してメーガナーダは封印することに成功した為、EGG施設の悪魔研究室に厳重に保管され、エンジェルはメーガナーダの情報から悪魔化ウイルスを作り出した。

作中、動力プラントに立て篭もるローカパーラを攻めあぐねたカルマ協会兵士に対して、エンジェルがメーガナーダの封印を解くことを命じる。解放されたメーガナーダは瞬く間にローカパーラを全滅させ、エンブリオンメンバーを先に行かせる為に囮となったロアルドに瀕死の重傷を与えた。しかし、ロアルドとアルジラの命を賭けた策の前に動力プラントごと吹き飛ばされ死亡した。


四大天使

五年前の神が狂った日にヴァルナ、メーガナーダと共に顕現した喰奴達。

構成はミカエルガブリエルラファエルウリエルの四体で、その凶暴性から長らく封印されていた。しかし、エンジェルの命令で解放されカルマシティ中に散らばってしまう。

四大天使達の意識は当初から変質の兆候が見え、飢えとエンブリオンメンバーとの交戦により完全に悪魔化し、天使としての意思に従って地上の浄化と神の千年王国設立を目指す。


・ウリエル:EGG施設、キュヴィエ症候群研究室に潜伏。キュヴィエ症候群患者の石化した姿から異世界において裏切り者を粛清した記憶を誘発され、大天使ウリエルの意識を覚醒させる。

・ラファエル:収容所内に潜伏。人肉加工プラントから異世界において千年王国意地の為に住人に苦役を強いた場所・ファクトリーの記憶を誘発され、大天使ラファエルの意識を覚醒させる。

・ガブリエル:カルマ協会本部ヘリポートに潜伏。カルマシティの姿から、異世界において画策した救世主を造り出す計画の記憶を誘発され、大天使ガブリエルとしての意識を覚醒させる。他の大天使がミレニアム設立に執着するのに対し、ガブリエルのみは己を仲間共々倒すように伝え、さらにサーフ達に救世主のこと、“愛”のことを説く。

・ミカエル:カルマシティ外に潜伏。四大天使をまとめる者としてミレニアムを作ることを宣言する。己の主である「神」への思いが強く、サーフ達への殺意を顕わにし、神の名の下に強大な力を振るう。


ブラフマン 〔Brahman〕

梵天。この世界において「神」と呼ばれる太陽の意思が形をなしたものである。その姿は五つの相(顔)を備えた機械的な存在で、額には真・女神転生Ⅲのアマラ転輪鼓が付いている。また登場シーンでは巨大な脳のイメージで現れている。

太陽は膨大な情報の集積体であり、太古の昔から地球環境に影響を与え続けた。そして「神」は全ての始原であり終着点、輪廻の輪そのもので、死んだ者の情報は神の下に帰り情報の循環の果てに再び地球に戻って来る。そして真の悟りとはエンジェルの言う生物的進化ではなく、神そのものを理解した先で何が一番大切かを知ることである。

太陽中心部に辿りついたセラフ達に「自分と戦え」と告げ、五つの相を通して彼らに最後の問い掛けを行う。

テクノシャーマンによる神との対話は両者が言葉を交わすようなものではなく被験者がただ神の情報に包まれるというもので、明確な意思があるかもわからないという。しかし、一方で温かさに満ちており、かつての環境異常やキュヴィエ症候群の蔓延は人類自身の行いに原因があるとセラは感じていた。


セラフ 〔Seraph〕 CV:桑島法子

情報となり太陽に向かうサーフとセラの思いが一つになった時に生まれた、完全なる人間。銀と黒半分ずつの髪と男女両方の肉体的特徴を備える。精神はまだサーフとセラが共存している状態だが、やがてそれも融合し一つになるという。変身悪魔は“アルダー”で、アートマは“クラリオン”、印は額にある。

転生を繰り返して複数の精神が混在した情報が作中登場するが、セラフは転生を経ずして男女二者の精神が融合した異例の存在であり、そこに人間の持つ無限の可能性と真の解脱に至る鍵が秘められている。それを現すようにシュレディンガーから「君に感じられないことはない」と言われ、また太陽に集まる情報達から特別視される。

そして人の可能性を神に伝える最後の旅の果てにセラフは一つの答えを見つけ出す。


シュレディンガー 〔Schroedinger〕 CV:野島健児

銀色の眼を持ち右耳だけ銀色の謎の黒猫。首にはセラフのアートマに似た形の鈴をつけている。

一作目はジャンクヤードの各所に現れ、時にはサーフ達の危機を間接的に救うような行動をとり、最終的にジャンクヤードの異常さを彼らに教える決定打となった。

二作目ではサーフ達を追うようにニルヴァーナに現れる。サーフ達の考えていることを察しているような雰囲気を持ち、事実エンブリオンの仲間が死んだ際は哀しみに暮れる姿を見せた。EGG内部ではサーフと対面し、初めて名を名乗る。そこで神と輪廻のこと、解脱の真の意味と五年前にあった出来事をサーフに見せた。そして太陽において仲間と共にセラフを出迎え、神の下に行く道中で度々助言と情報体の姿を通して生きる意味を教えた。

ブラフマンとの戦いの後に答えを見つけたセラフの下に訪れて真の姿を現し、仲間のこととセラフがこれから行く先のことを語る。


シヴァ〔Siva〕

太陽第六層で待ち受ける強大な情報体。この世界ではナタラージャの相(シヴァの神格)をとっている。

セラフ達が梵天とまみえる資格があるか、そして彼らが守ろうとする世界の存続を賭けて戦うことになる。

戦闘中、終末をしめす言葉やセラフが変身する悪魔アルダーを指して「我がアバタール」と呼びかけ、シヴァの逸話や別名のトリローチャナ(三つの眼を持つ者)になぞらえたスキル『サードアイ』を駆使するなど、種族同様に破壊神の性格が強い。


ヴィシュヌ〔Vishnu〕

太陽第六層で待ち受ける強大な情報体。この世界ではクリシュナの化身(ヴィシュヌの地上での顕現)をとっている。

地上を人の心がアダルマ(悪)に覆われた汚れた世界とみなして浄化の意思を示し、ヴィシュヌを凌駕するセラフ達のダルマ(正義)を己に見せて浄化を止めてみせるように要求する。

ヴィシュヌが“ヴィシュヴァルーパ(宇宙的姿)”で描かれるように「我と我が世」という発言をし、破壊によって秩序を再生させるという化身の一つカルキに似た行動を見せる。

なお『チャトゥルプジャ』という専用スキルを使うが正しくは『チャトゥルブジャ(Chaturbhuja)』である


セト〔Seth〕

太陽第五層で待ち受ける強大な情報体。

サタンの半身として、セラフを“裁く者”と真逆の存在であると見止め襲いかかる。

己の神性である悪、戦、嵐を最上のものとする、『砂漠の風』『妬みの暴圧』の名を冠するスキルを駆使するなどエジプト神話本来の性格が色濃い。


サタン 〔Satan〕

異なる世界から流れてきた情報。

半身であるセトと共に太陽に来ており、神の裁きを体現する存在としてセラフをかつて自分の前に立ちふさがった“神に抗う者”と認識し襲いかかる。

『神の裁き』『神の息吹』という“神”の名を用いたスキルを使用するという女神転生シリーズの性格と共に、『誘惑の果実』というキリスト教における悪魔としての側面を持つ。

最後はセラフがどこに行くのかを問い掛ける情報(ことば)を残して消滅するが、この問い掛けを通してセラフはシュレディンガーから目指すべき“答え”の片鱗をほのめかされることになる。


DIGITAL DEVIL SAGA アバタール・チューナー A's TEST Server

2006年にアトラスモバイルコンテンツ「メガテンα」で配信が開始された携帯アプリで、ジャンルはRPG。後に売り切りアプリとして配信される。

大まかなシステムはPS2版に準じるが、マントラシステムが大きく変更されたり、配置替えや戦闘中の変身解除不可、スキルの装備数が最大六個など差異が見られる。


・あらすじ

主人公サーフは人が人と喰らい合う「カルマの塔」内部の一室で目を覚ました。

そこで暴漢に襲われていた黒髪の少女セラを悪魔変身能力で助け、カルマの塔から脱出することを目指す。その中で出会った仲間や敵、そして謎の言葉から次第に真実が解き明かされる・・・


・登場人物

サーフ

悪魔“ヴァルナ”に変身する銀の髪と瞳の青年。

セラを助ける際に暴走しかけるが『歌』によって正気を取り戻したことから、以後彼女と行動を共にし、カルマの塔からの脱出を試みる。

今作はサーフ視点の選択肢が多く、怒りを露わにしたり仲間を励ます姿が見られる。


アルジラ

悪魔“プリティヴィー”に変身するピンクパープルの髪と瞳の女性。

他者を喰らうことや悪魔の力を使うことに強い抵抗を感じており、カルマの塔の頂上を目指す理由も「人間に戻ること」である。

男らしい口調で、当初はかなり刺々しい態度を見せるが、ミック・ザ・ニックの罠に嵌ったところをサーフに助けられて以降は行動を共にする。喰らうことに執着するヒートに嫌悪を示し衝突することもあるが、いつしか互いに仲間として認め合う。


ヒート

悪魔“アグニ”に変身する赤い髪と瞳の男性。

飄々とした性格でサーフを『兄ちゃん』、アルジラを『姐さん』、セラを『お嬢ちゃん』と呼ぶ。

トライブのリーダーになることを目指してカルマの塔の頂上を目指しており、サーフ達に同行した理由も「戦い易い」というもので、かなり好戦的である。

強さを求めるが故に倒した敵を貪欲に喰らったり、セラを「足手まとい」と呼ぶなどしてアルジラと衝突することがあった。しかし、物語中盤でアルジラがヒートを庇って怪我を負ったことから、「仲間」を意識するようになり、トライブに関する野望も少しずつ変化していく。


セラ

黒い髪と瞳の少女で、“歌”により悪魔の力を抑えることができる。

自身の名前以外のことを覚えておらず、サーフと共にカルマの塔からの脱出を目指す。


シュレディンガー

サーフ達の前にたびたび姿を現す黒猫。

人語を喋って意味深な言葉をサーフ達に投げかける。その発言は階層を上がるごとに謎を増し、カルマの塔の正体をほのめかす言葉をもたらす。


ミック・ザ・ニック

カルマの塔の低階層を牛耳る男。

頂上を目指す者を襲って喰らうことから、塔内部の人間から恐れられており、計略も用いる。

ただし、実際に戦うことになるのは彼の部下である。


シエロ ゲイル

カルマの塔のある階層で出会うことになる人物。

シエロは初対面でありながらセラと面識があると発言し、ゲイルは同行していた人物としてある男の名を挙げる。


クォンタムデビルサーガ アバタールチューナー

五代ゆうによる『DIGITAL DEVIL SAGA アバタール・チューナー』の原案小説。第一巻は2011年2月18日発行で、隔月で全五巻で三部構成。

世界観とキャラクター、大まかなエピソードはゲームと共通しつつ、人物・悪魔の能力、世界観と設定の追加や変更など小説という媒体に適した変更が行われており、特に覚醒のタイミングなどのストーリーの展開もかなり差異がある。


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アトラス 女神転生

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