概要
1968年1月3日から1969年3月30日に放送された、全65話のTVシリーズ。当時はカラーアニメの普及が定着を見せていたが、原作の雰囲気を再現するために意図的に白黒アニメとしての製作が進められた。また、放送前には既にいくつかのエピソードが製作されていた。
記念すべき第1話は「おばけナイター」である。しかし最初に完成したエピソードは本来おばけナイターではなかった。しかし「番組のイメージを明るいものにしたい」という理由で、制作された作品の中では一番朗らかな雰囲気を持っていた当該エピソードが選ばれた。
当時は原作でもまだ鬼太郎ファミリーが完全には確率していなかったため、レギュラーと言えるのは鬼太郎、目玉おやじ、ねずみ男の三名である。なお、全話登場は鬼太郎だけで、ねずみ男は第2話から登場し、以降全エピソード出演を果たしている。逆に、目玉おやじは鬼太郎と共に第1話から登場しているが、第7話の「幽霊電車」の回のみ原作に併せて例外的に未登場であった。砂かけ婆や子泣き爺は準レギュラーに近かった。
原作のえぐい表現などはマイルドに変更されている……と言うと「こんな時代でも自主規制か」と呆れるかもしれないが、あくまでこれは当時の基準の話であり、現代から見れば十分えげつなさはある。さらに言うと放送コードの規制が緩かったために、現代では差別用語と区別されている言葉がたくさん使用されている。これは直接的な続編となる第2期も同じ。
今でこそ孫悟空としてお馴染みの野沢雅子は、この作品で初の主人公役を獲得。自身を語る上で欠かせない「3つの思い入れ深い役柄」として、この鬼太郎を一つとしてあげている。
なお、メインキャストとなる野沢雅子、田の中勇、大塚周夫は元々同じ劇団(「劇団東芸」時代の一時期)の仲間であったため、「劇団の延長」として、役作りにおいてはそれぞれが意見を出し合って、キャラ作りや演技の方向性が固まっていったという。アフレコの前の発声練習も並ではなかったとのこと(野沢雅子曰く「動物園の檻のよう」)。
野沢雅子は「女性の感性で演じてはダメだ」という指摘に応じて修正し、田の中勇が演じる目玉おやじの特徴的な話し方は「目玉が抑揚を持って喋るのはおかしい、棒読みっぽく行くべきだ」という意見から始まったという。他にもねずみ男は時折オネエ口調でおどけて話すことがあるが、これは台詞の印象を和らげようとするためだった(例えばねずみ男が相手に媚びへつらう時、相手を「お前」と呼ぶより「あなた」という方が通りが良く、腰が低く見える)とのこと。この際、大塚周夫は田の中勇からいろいろ演技について指摘を受けた。このように三名は忌憚なく意見を言い合っていた。
大塚周夫は「(鬼太郎なら)絶対この三人だ」と豪語するほど掛け合いの手応えを感じていたという。40年後に製作された『墓場鬼太郎』の際はその積み上げてきたものの重さについても語っている。
楽曲はいずみたくによるおどろおどろしい曲調のものが印象的であろう。
レギュラー
キャラクターとしての1期鬼太郎
イラスト上で描かれる際は、まず白黒であることは勿論だが、墓場を除けば歴代の中で最も背が低く、その点を強調されることが多い。ただし2期との差は僅かで、後に上映された記念映画における短編(5大鬼太郎)ではよく見ないとわからないほど。また、よく見ると2期よりも少し顔が横に丸っこくなっており、加えて鼻の穴が大きいという特徴がある。コアなファンはそこを意識して描写することも。
プラモデルをプレゼントされて子供のようにはしゃぐといった場面があるものの、基本的には少し大人びた不思議な少年として描かれている。2期と比べると物腰はソフトであり、長寿アニメの主人公として出来る限り子供に対して受け入れやすくアレンジされていると言える。ねずみ男には手厳しい制裁を加えることがある。
余談
- 「ゲゲゲの鬼太郎」と改題された理由は、元々の題名である「墓場の鬼太郎」がテレビにはそぐわないという判断からである。一般的に改題の際にモチーフにしたのは水木しげるの愛称(「しげる」と言えず「げげる」と言っていたためについた愛称「げげ」から来ているという説)と言われているが、DVD-BOXの特設サイトでは「アニメ前に発表されていたイメージソング(後のOP)の歌詞『ゲゲゲのゲ』から着想を得た」と記されている。この改題については、長期間どちらが正しいかはハッキリとしなかったが、水木しげる自身は晩年も、「イメージソングの基となった原作の虫の鳴き声『ゲゲゲ』も含めて幼少期の渾名『げげ』から来た」と一貫して語っており、原作者の言として一番正しいと公式にも認知された。
- 「ゲゲゲの鬼太郎」に決まる前の仮タイトルは、「鬼太郎くん」だった。
- 東映動画(東映アニメーション)最後の白黒アニメである。厳密に言えばもーれつア太郎が最後であるが、ア太郎は途中でカラーアニメ(白黒は第77回まで)となったため、最後まで白黒アニメで通して終わったのは本作で最後ということになる。