不幸よのぉ〜 不幸よのぉ〜
そんなそなたに魔法の力を与えよう
概要
Web漫画サイト『Championタップ!』(秋田書店)にて、2017年10月26日更新分から連載開始された、『魔法少女サイト』の公式スピンオフ作品。既刊1巻。
本編である『魔法少女サイト』がアニメ化及び『週刊少年チャンピオン』への移籍連載が決定すると同時に、佐藤健太郎(原作)×宗我辺としのり(作画担当)による本作品の連載が決定し、内容も本編とリンクしている。
あらすじ
新膳(しんぜん)中学校テニス部に所属する女子中学生の高橋つららは、長月雹花とダブルスを組んでいる親友同士。
親友の雹花と共に念願叶って、テニス部の全国大会出場権を獲得したつららだったが、親友にも打ち明けられない大きな不幸を背負った末、謎のwebサイト『魔法少女サイト』と出会い、電動ドリルの形をしたステッキを手にする。
不幸な少女だけが出会う不気味なサイトとステッキの存在が、つららと雹花の運命を狂わせていく…。
登場人物
高橋 つらら(たかはし つらら)
主人公。新膳中学校テニス部に所属するツインテールの少女。
以前からテニス部顧問の倉木に脅迫され、肉体関係を強要されていた末に妊娠が発覚し、長年の夢だった全国大会出場を諦めようとしていたその時、魔法少女サイトからステッキを与えられ、魔法少女となる。
ステッキを与えられたその日、倉木に妊娠の事実を打ち明けるが、中絶するよう見捨てられてしまう。その上、赤井から贈られたキーホルダーを壊され、自身や赤井を一方的に侮辱されたことに逆上したあまりに使ったステッキで不本意にも倉木を殺害してしまい、罪悪感に怯えるようになるが…。
ステッキはレーザーで撃ち抜いたものをねじ曲げ、木っ端微塵に破裂させる電動ドリル型。紋章はてんびん座(♎)。
長月 雹花(ながつき ひょうか)
もう一人の主人公。親友のつららと共にテニス部に所属し、ダブルスを組んでいる少女。黒髪ショートヘアと左目下の泣きぼくろが特徴で、ボーイッシュかつ冷静な性格。
かつて父親を事故で亡くしたショックから引きこもりになってしまうが、毎日見舞いに訪れてくるつららに友情を感じるようになり、全国大会に出たいという彼女の夢を叶えるために立ち直り、無二の親友となった。
偶然にもつららがステッキを使った倉木の殺害現場に遭遇して彼女の苦しみを知り、「つららを苦しめる奴は死んでも構わない」という思想を持ち始め、倉木の遺体処理やつららの中絶費用を集めるべく、自身もつららのステッキを手にして魔法少女となる。
安條 磯子(あんじょう いそこ)
つららと雹花のクラスメイト。黒みがかったダークブラウンのロングヘアで、斜めにカットされた特徴的な前髪で右目を隠した少女(彼女とどこかしら似ている)。
根暗でどこか謎めいた雰囲気を漂わせているが、実は…?
赤井(あかい)
つららと雹花のクラスメイトで、つららに密かな好意を寄せている少年。彼女の全国大会出場祝いにキーホルダーをプレゼントした。
つららが顧問の倉木に肉体関係を強要されていた上、妊娠した事実を知らないものの、例えつららがどんな女性であっても愛する覚悟を決めた上で彼女に告白し、一線を越えたことで交際を始める。
倉木(くらき)
つららと雹花が所属するテニス部の男性顧問。気さくな性格で、部員達から慕われている。
しかしその裏では、全国大会出場を目指していたつららを脅し、自宅に連れ込んで肉体関係を強要していた卑劣漢。つららから妊娠の事実を打ち明けられるも、中絶するよう見捨てた上でつららや赤井を一方的に侮辱し、逆上したつららが取り出したステッキによって頭部を破裂させられ、死亡。
遺体はつららの苦しみを知り、「つららを汚した最低の男」と倉木に強い憎悪の念を向けるようになった雹花の手によって処分された。
その後、倉木が生徒(つらら)を自宅に連れ込んでいた噂が学校内に広まり、倉木の自宅アパートに訪れた学年主任と女性教師がつららの陵辱写真を収めたファイルを発見した(アパートの隣人の男は以前から倉木の正体に気付いていた模様)。
拾陸(じゅうろく)
つららが出会い、雹花と共に手にしたステッキを送った魔法少女サイトの管理人。オーバーオール風の腹掛けを着た金太郎のような風貌をしている。
ステッキは機械のような羽の装飾で、星座記号の紋章が手の甲に浮かび上がる(配布先は湊区)。
魔法少女サイト及び、サイト管理人の詳細等の用語は本編・個別記事を参照。
番外編における登場人物
なのか
高校受験に成功した少女。合格祝いで両親とファミレスで外食を楽しもうとした矢先に突如店内に突っ込んできたトラックに轢かれ、両親と両足を失い、車椅子生活を強いられてしまう。
赤の他人に人生を壊された強い憎しみを抱いていた中で魔法少女サイトと出会い、ステッキを手にする。
ステッキは挟んだものを消滅させるペンチ型。紋章はかに座(♋)。
岩蔵 茂助
トラック事故を引き起こした張本人である老人。
自身が起こした事故でなのかの両親と両足を奪ってしまったことを強く悔やんでおり、不起訴となった時は自殺を考えていたが、妻を一人残すことができずにいた。
関連イラスト
関連項目
外部リンク
※以下、ネタバレ注意!!
※以下の項目は単行本未収録並びに重大なネタバレを含むため、注意。閲覧は自身の責任になります。 |
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どうして…。どうしてわたしばかり、こんな…
つららが現実逃避の形で赤井と交際を始め、雹花はつららに「決別」宣言をする。
倉木の子を妊娠してしまったつららは、「お腹に自分と赤井くんの子がいる」とばかり思い込み始める。
しかし…、終わりは突然始まる。
それは………
学年主任と女性教師が倉木のアパートから回収したつららの陵辱写真が何者かによって、学校中に大きく貼り出されていたのだった。
あんたら教師たちみんな…、腐ってるってことはよくわかった。
お前ら…何が楽しいんだよ…。そんなことして、なにが楽しいって言うんだよ!!!
倉木に撮られた陵辱写真が学校中に流出してしまったことから、つららは豹変した赤井に手酷く見捨てられた上、クラスメイトから凄まじいいじめの対象となって酷い罵声を浴びるようになってしまう。
雹花は学年主任を問い詰めて事の経緯を知るが、当然写真を見つけたとは言え先生達が犯人ではなく、きっと何者かが写真を流出したと聞いて「もしや犯人は安條なのでは?」とばかり疑うが、クラスメイトからの心ない罵声に苦しむつららを一人庇おうとする自身でさえ罵声を浴びる結果に…。
お前に…あたしたちの絆はわからねぇ
そしてつららは、赤井の裏切りやクラスメイトからのいじめや罵声に耐えきれず、発狂して叫び狂い、つららのその姿に雹花や赤井は思わず狼狽えてしまう。
一方の安條は特にいじめに加担する訳でも、いじめを止めようとする訳でもなく、この状況を単に面白がるだけで、つららの発狂時もクラスメイトがそれを嘲笑い、雹花や赤井が狼狽える中でも一人平然としていた。
叫び狂いながら教室を飛び出したつららを一人追いかける雹花がたどり着いた屋上で、つららは…。
永遠にさようなら。
雹花ちゃん…、ごめんね…。全部わたしのせいだね…。
雹花ちゃんとわたしの夢…、叶えられなくてごめんね…。
教室を飛び出したつららを一人追いかけた雹花が目にしたのは、今にも屋上から身を投げようとしているつららだった。
あたしがお前の夢を叶えたいと思ってる…!!
今からでも遅くない…!!やり直せばいい!!
言っただろ!?あたしがお前をサポートするって…!!
全国大会出場の夢を捨てた上、陵辱写真が周囲に知られ、挙げ句の果てに赤井には見放され、酷いいじめの対象となって全てを失ったつららは、もうどんな道も残されていないとばかり、絶望に閉ざされた末に…
1人のほうが、きっと幸せになれるから…。
ごめんね…、そして今まで…
ありがとう。
決別宣言しながらも、一人自分を庇おうとする雹花の決死の説得もむなしく、
つららは雹花の目の前で…
屋上から飛び降り、自らの命を絶つのだった…。
本編第2部29話(通算第84話)話以降のネタバレ注意!!
ここから先は本編に関わる非常に重大なネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
本編に登場するサイト管理人の一人・漆の正体が、本編第2部29話(通算第84話)にて遂に判明する。
それは…、
高橋つららが拾陸が管轄する魔法少女サイトから受け取った電動ドリル型ステッキを手にし、魔法少女となった長月雹花本人だった。
つららの死後、雹花がどうなってしまったかは『Sept』本編にて今後描かれると思われるが、サイト管理人の正体がステッキで寿命を使い果たした“元魔法少女”という説が強く成り立っている以上、雹花は恐らく、親友であるつららの自殺後にステッキを多用した末に寿命が尽き、漆に変貌を遂げたと思われる。
しかし、雹花が変貌した漆は人間と手を組もうとするなど、管理人達の中でも独断での行動が多く、サイト管理人の一人・拾伍は「漆にはまだ人間(長月雹花)だった頃の感情が残っているのでは?」と疑念を抱くが、壱によればサイト管理人に変貌した元魔法少女は、“王”によって全ての記憶や感情は抹消されるという。
そして、魔法少女サイトとは無関係でありながら、「魔法の使者」を名乗り、少年少女に関係なく魔法少女サイトのステッキを与える謎の存在・“A”として暗躍していた安條磯子は、“ある者”によって始末され、その人間が漆と結託するきっかけを作った張本人となっていた。
結果的に作中でつららは自殺、雹花はステッキで寿命が尽きたためにサイト管理人・漆と化し、安條は“A”として暗躍していた末に“ある者”によって始末されたため、本編より過去の時間軸を描いた『魔法少女サイトSept』は、サイト管理人・漆の誕生秘話といえる物語である(ただし、番外編主人公・なのかの消息については一切不明)。